魔王討伐軍~召喚した勇者は魔王の味方ですが戦えます! 〜

あずま悠紀

第1話


「なあ。あんたさ、ちょっと俺の話聞いてくれないか?」

真新しい白い壁紙で覆われた教室の中、その声が響いた瞬間、世界が変わったような感覚を覚えた。

「はい?」

唐突にそんな言葉を告げられた僕は一瞬だけ困惑するけど、目の前に立つ少女は真剣そのものといった表情をしているし――何より僕も暇を持て余していたのだ。断る理由もなく、僕は首を傾げながらも小さくコクリとうなずいていた。すると目の前にいる彼女は少し嬉しそうにして微笑みながら言葉を続ける。まるで子供みたいにはしゃぎながら


「あのね、私の夢は魔法使いになることなんだ」

「まほうつかいっ!」

「うんっ! でも今は魔法の練習ができないでしょ?」

「そうだねぇ」

僕の家はそこそこ大きいお店でお父さんとお兄ちゃんがいるんだけど、二人は仕事でほとんど家に帰ってこないし。それにお母さんは体が弱くて寝込んじゃってるんだよね。

だけどそれでも寂しいと思ったことは無いかなぁ。いつもお店を手伝ってくれてる店員さんたちがよく来てくれるし、お母さんともたまに連絡を取ってくれてるから。だから全然平気だし。

ただやっぱり魔法を使った練習が出来なくなっちゃったっていうのはちょっと困るかなって思ってたりするかも――だってみんな楽しそうにしているのを見る度にすごく憧れちゃうんだもん。でも私じゃどうしようもないから

「それで考えたの。もしも魔法を使わなくても魔道具が使えたらどうかなって」

私はそこで一度大きく息をつく。そしてゆっくりと口を開いて言葉を続けた。

私が考えていたことを。私が感じているこの胸の中にある想いを全てぶつけるように。


目の前にある大きな扉の前に立つ俺は静かに呼吸を整えてから扉を開け放つ。

「ようこそ勇者殿。歓迎しますぞ」

そう言って微笑むのはこの王国の王である。そして今まさに俺たちに向かって頭を垂れていた。だが俺はそれに対して返事をすることなく無言を貫く。別に王を嫌っているわけじゃない。ただ、俺にとっては興味のない存在だっただけだ。

「貴殿らのお陰で再び世界を破滅の危機から救うことが可能となった。誠に感謝申し上げる」

王がもう一度頭を下げてくる。それを横目で見ていた女勇者様が俺のことをチラリと見てきたのだが気にしないことにする。それよりも問題なのはこの後のことだった。俺としても出来ればこんなところに長居したくはないからだ。なので早く帰りたいと思っていた。だがそれを告げることはせずに黙り続けていると女王様が話し始める。それはあまりにも信じられない言葉であり、俺がこの国を出るためには必須条件と言ってもいいことだったのだ。

『我が国が誇る【勇者召喚】により呼び出せる最強の騎士。それに選ばれた貴方に魔王を討ち取っていただきたいのです』


(ああもう。本当に面倒臭い)

思わず内心で愚痴ってしまったけど、仕方ないことだと思う。まさか

「えっとね? 私の魔法を使えば魔獣と戦うことも簡単に出来ると思うんです! こうやって杖を使って、呪文を唱えればきっとすぐに倒せると思います」

などというふざけた話を延々と続けられることになるとは思いもしなかったのだ。いや、そもそも俺は最初から断るつもりでいたのであまり聞きたくはなかったのだが。とにかくどうにかして切り抜けようと頑張った結果がこれだ。正直泣きたかったかもしれない。とはいえここで泣いたりしたら話が余計にこじれてしまうのは目に見えていたのでグッと堪えていたが。そんなことを思っていたら唐突に終わりが訪れることになる。

「ねえ勇者君。君は何かしたいことはないのかしら?」

「はっ!? 急すぎるだろ」

真顔になって

「いえそのね? ただ私だけ君の希望を聞いてなかったと思って。もしやりたいことがあったなら教えて欲しいなって思って。ね?」

そんなことを言い始めた女王様を見て、少し考え込む俺なんだけど――ふとした拍子に頭に浮んできたものがある。

『――あなたの本当の願いは?』

あの時の――あの人が告げてくれた一言を思い出してしまった。そういえばあれ以降、俺の心の中で引っかかっていたんだよなぁ――何であんな言葉をかけてもらえたんだろうって。だけど今の俺はあの人にもらった言葉を思い出せて良かったって思えるようになっていた。だってあの言葉がなかったら――きっと今でもウジウジ悩んでばかりだったと思うしな。だからあの時かけてもらった言葉に答えられるような自分になりたいと思った。だからこそ

「ある」

俺はしっかりと

「俺にしかできないことが」

そう口にすることができた。するとその瞬間

『勇者様、どうか私と一緒に来て下さい!』

突然目の前にいる王女から差し伸べられた手を見つめて俺は少しだけ悩む――そして小さく息を吐き、そのまま手を伸ばすことにした。すると目の前の少女の顔に笑みが生まれるのを見ながら俺は大きくうなずいてみせるのであった。


王城にある会議室の中。そこに集まっている者たちはみな一様に顔を伏せ、静寂を保っていた。そんな室内の中に響き渡るのは

「は、ははは。はははははは!」

そんな

「ついにこの日が訪れた!」

歓喜に打ち震えるような男の声。その声と共に室内の雰囲気が変わる。まるで祭りのように盛り上がっているのだ。そして

「あのクソガキがようやく消えた! これで俺は英雄だ!」

男が狂ったように叫ぶと同時に室温が上昇していく。

「おい、何があった」

そんな様子の変化に疑問を抱いた男は隣に立つ同僚へと尋ねるのだが

「どうやら、とうとうアレの出番が来たみたいですよ」

「なっ、本当か?」

「ええ、ほら」

男の視線を受けた者が窓の向こうを指差すと、そこには黒髪の女。いや、美少女が映しだされていた。そして少女が笑顔のまま手を振っている姿が見え、それが意味するところを悟った男が嬉しそうにして両手を広げる。その姿はまさしく狂喜に満ちたものだった。

「そうかい」

だが次の瞬間には冷静さを取り戻し、鋭い目つきとなって窓の外に立つ少女の姿を眺める。そして

「なぁ」

「なんです?」

「アイツは強いよな?」

「当然でしょう」

「だよな」

男はニヤリと口

「なら俺は負けることなんてありえない。何せ最強だからなぁ」

嬉しそうな笑い声が響いた後、ゆっくりと椅子から立ち上がった男はそのまま部屋の外へと出て行く。その様子を見送っていた者は何も言わずにため息をつくのであった。


勇者と女王は王城の外に出た後、用意された馬に乗ることになった。しかしそれは二人が乗ることが出来るほどの大きさではないため、一人だけが乗ることになり、その結果、必然的に勇者となったわけなのだが。そして出発してから一時間ほどの時が過ぎ、二人は【聖魔樹の森】と呼ばれる森の近くに辿り着いていた。この先には強大な力を有する存在がおり、その者の許しがなければ決して入ることは出来ないという。故に勇者

「はぁ、マジで面倒臭い」

そう呟く俺。まあ理由は色々とあるんだが、その中でも大きいものを挙げるとすれば。俺以外の人間とコミュニケーションを取らなければいけないってのが地味に面倒臭いってことだな。ただまぁ、これも自分の夢のためだと思えば耐えられるかな。うん、そうだと信じたい。そう思いながら深い溜息をついた俺は空を見上げていたのである。だが不意に声をかけられて意識を引き戻される。どうやら女勇者様が話しかけてきているようだ。しかもその内容がまたなんとも言えないもので。

『私のことはアリスと呼んで欲しいわ』

うん。ちょっと困っちゃうよね。普通に考えて、名前を教え合う

「い、いきなり呼び捨てとかはダメだと思うけど」

「そ、そうだよね。うん」

俺が慌てて答えると女勇者様ことアリシエル様もまた同じように慌てながらそう告げてきたのだが。

まあでも仕方がないかな。

それに今は急いで【大迷宮】を目指さないとだからね。あまり時間をかけてはいられないし。とりあえずこの話はそこまでにしておこうかなと思った俺だった。だがここで問題が一つ浮上してしまう。

「じゃあ勇者くんのことは何て呼べばいいかなぁ」

「俺の名前はタケルです」

勇者様じゃあ他の人も勘違いするかもしれないからと俺の名前を名乗らせて頂く。ちなみにこれに関しては女王様が許可を出してくれているので問題はない。そして

『それでは勇者殿のことはタケルーと呼ぶとしよう。よいな?』

そう言って俺にだけわかるようにして合図を送ってきたのだ。

「え、ああはい」

よくわからないがうなずく俺なんだけど、それを見ていたアリス様が頬を膨らませていて。でもすぐに表情が戻ると、何か思いついたらしく

「えっとね。私のことはこれからリリって呼んでね」

そんなことを言い始める

「わかった。それで俺は何をすれば良いの」

特にやることもないので尋ねてみると

「あっと、まずは【魔獣の領域】を抜けて王都に向かうの。その後は馬車に乗って目的地まで行くつもりなんだ。それで【大迷宮】の入り口がある場所は王都から北に進んだ場所にある【リシュア】っていう村の近くになるから気を付けてね」

なるほどな。だが気を付けるといっても俺にとってはさほど問題はない。

「ん? それって俺に敵はいないって言いたいのか?」

試すように言う

「うんっ! 勇者様はすごいから絶対に勝てると思うもん」

無邪気で純粋な言葉をぶつけられたことで少しばかり恥ずかしくなった俺だったのだが、ここでアリス様が何を言いたいのか察してしまった。なので

「リリ、俺の後ろに」

それだけを告げた俺はすぐに腰に下げた剣を抜き放ち、構える。それと同時に周囲へと視線を向けた。

「囲まれているな」

そう、俺達は既に包囲されていたのだ。数は十数匹

「あー。多分【ウルフ】って奴らだと思うけど」

どうでもいい情報だけど、【魔獣領域】に存在する魔物は基本的に魔素の影響を強く受けることで身体が変化してしまったらしい。なので普通の生き物とは違う。つまり魔獣と呼ばれていてるのだ。あとこれはあくまでも俺が知っている知識だからもしかしたら間違っているのかもしれな

「グルルッ」

そう思って油断していた俺は突然聞こえてきた鳴き声によって思考を停止させた

「やべぇ!」

「きゃぁ」

俺は即座に反応すると、アリス様を抱え上げるとそのまま横に飛び跳ねるように移動する。そしてそのまま地面を蹴ると森の中に身を隠すことに成功したのであった。

森の中に隠れてからしばらく経ったのだが、

「はぁ、しつこい連中だな。まったく」

俺達が逃げた先に向かってずっと追い掛けてきていた狼型の生物。その名も

【ウェアウルフ:上位種)】と呼ばれている。

この世界にいる魔物は全てが元となっている生物の影響を受ける。そしてその影響を受けやすいのは強さだと言われている。例えば【オーク(豚頭鬼族)」の亜種である【コボルト(犬亜人族)」の肉体は強靭なものへと変化しているが、知能は低いため、基本的に本能のままに生きている。そしてその肉体の影響を強く受けるために【ウェアウルフ】が凶暴な種族だと言われるのにはちゃんとした理由が存在していたりするのだ。

そもそも俺達は今どこに居るのかというとそれこそ

「まさか【魔獣の領域】に入り込んでしまうとはねぇ。うふふふっ♪」

そうなのだ。あの時――俺は確かに森の外を目指して移動していたというのに気が付けばいつの間にか足を踏み入れてしまっていたのだ。まあそのせいで追手に追われるハメになったんだけどさ、ただ俺の場合は別に問題ないと思っていた。何故なら今の俺は既に【英雄殺しの聖剣】を手にしているからだ。故に

「もうすぐ着くから安心してくれて構わない」

「え?」

そんな俺の言葉を受けて戸惑った様子を見せているリリ。まあいざとなったら逃げることも出来るし問題はないだろうと思った俺はリリを連れて森の奥にある場所へと向かうと、そこにある祠のような場所で

「ほいっと」

聖剣に宿る精霊が力を授けてくれる時に使用したのと同じように魔力を込めてみたのだが。次の瞬間、光が溢れ出してきて俺を包み込んだ後、視界を遮るものがなくなった俺は目を見開いて驚く。するとそんな目の前には大きな穴があり、その奥からは巨大な木のようなものが姿を見せており、さらにそこには石で作られた扉が存在したのであった。その瞬間、ここが目的地であり

「ここから先は勇者の役目だ。俺はここまでのようです。どうか頑張ってください!」

ただの人間である俺の力が限界を迎えてしまったのだ。そのためここから先のことは勇者にしか任せられないことになる。

「あ、あの」

俺の様子を見て不安を感じたのか俺の腕に抱きついてくる。どうやら怖くなってしまったようだ。だから

「大丈夫だ。俺が付いています」

笑顔を見せてやることにした。そして俺は優しく頭を撫でてやりながら、リリを安心させると

「じゃあ後は頼んだよ。リリス王女」

俺のことを待っていたのであろう。そしてこの場所こそが魔王が封印されている地だというのは事前に聞いていたからわかっていたことだ。だからこそここに来るために王城を抜け出そうとしたのだから。だからまぁ、この場に来てしまった以上、やるしかないだろう。ただ

「本当に面倒臭いよなぁ」

愚痴ってしまう。なに

「え?」

だがそれは聞き流してもらうとして、ようやく覚悟を決めたのであった。そして扉の取っ手を掴んで押し開けたのだが

「うわっ、真っ暗じゃないか」

ただ、それは当然と言えば当然のことだった。何故ならば洞窟の内部なのだ。暗いことぐらいは予想出来ていたことだった。

「でもこの聖剣が導いてくれているし、迷うことなんてないか」

【魔獣の領域】では常に俺を助けてくれた聖剣はここでは俺が行くべき道を指し示してくれるため、問題はなかった。そしてしばらく進んだ先で俺が目にしたものは

「あれは」

そこに居たのは全身が黒い鱗に覆われている巨大なドラゴン。しかもかなり高位の竜であることが見て取れるほどの威圧感を漂わせている

「グォオオオオッ!!」

まさしく王者の風格とも言うべきか? こちらを見るだけで萎縮してしまいそうなほどの存在感を放ち続ける姿に、しかし俺は全く動じることがなかった。何故ならば

「俺は負けられないんだってのぉおおおッ!! はぁああああああああっ!!」

そう叫ぶと同時の出来事だ。俺は躊躇なく飛び掛かると一振りの剣を振り抜く。その結果

『見事だ!我が子にして最強の騎士!勇者よ!』

嬉しそうにする声が響くと共に

「い、いったい何が」

目の前では困惑気味の声を上げるリリの姿

「ああ、終わったみたいだよ」

俺は地面に突き刺したままになっている【英雄殺しの聖剣】を見つめながら答える。そう、これで終わりなのだ。なぜならば既に【魔獣の領域】のボスである黒龍の討伐が完了していたからな。

『勇者殿は凄いな』

俺の横では女王が笑みを浮かべていた。その理由は簡単。なんせ黒きドラゴン。【ロードバハムート】の首を切り落とした直後に現れた【光魔法】を使って消滅させたのだ。つまり

『【聖属性付与(極)】』を俺だけが扱えるからという理由もあるのだが、それ以上に勇者が持つ特別な力のおかげだと言える。というのもこの世界で最強とされる存在。

「ああそうだ。勇者の力というのはね」

「お兄ちゃんおめでとう!お疲れ様! 」

アリス様は大喜びといった表情で俺の事を抱きしめてきたのだ。だがまあそれも無理はないのかもしれない。だって今回の戦いで俺達は誰一人犠牲を出すこともなく【大迷宮】のボスを倒すことに成功してしまったのだから。そしてこれは俺だけの話ではないのだ。そう、

「うおっ!?」

俺は唐突の事に驚いたのだったが

「いやいやいや、ちょっ、リリスさん」

「んぅ~」

俺の隣に座っていた少女、つまりリリス王女は何故か俺の膝の上に座ってきたのだから。どうやらリリと二人で【リシュア】に向かっている途中、【魔獣の領域】に足を運んでしまい、そこで【ウルフ】の上位種であるウェアウルフに追い詰められてしまっていた俺を救ってくれたリリ。だけどリリも戦闘に巻き込まれてしまい、その際に怪我を負っ ていた。

だがまあその時にリリス王女の傷口に触れ、聖女の力を注ぐことによってリシュアに向かう途中で完全に癒してやったわけだ。そして【大迷宮】から帰還した直後

「勇者様、ありがとうございました」

リリから告げられたのはその言葉。それに一瞬戸惑ってしまったのだが

「リリ様のことは勇者様に一生尽くします」

続く言葉を聞いて察することが出来た。つまり俺は今この瞬間からリリにとっての勇者となり、同時に主となったのだ。なので

「あーっと、それじゃよろしくお願いね」

とりあえず受け入れることにした。まあ、リリが幸せになれるように頑張るつもりだしな。こうして俺はまた一人、守るべき女性が増えてしまった。ただそれでもいいと思っている自分がいて。

―――【魔獣領域】の完全攻略 これを成し得たのも間違いなく俺達の絆のなせる

「せいだと思うんですよね」

こう思うのだ。だから今回のことも全て乗り越えることが出来ると信じたいと思うのであった。それから少しの間、皆と話をしてから解散すると俺はすぐに王都へ帰還することにしたのである。

そう。【魔獣の領域】を攻略した翌日は休日となっているからだ。だから今はゆっくりと寝坊したいと思っていたりする。ちなみに俺が泊まっている宿にリリスも滞在することになったらしく、昨晩は一緒に食事をとったのだがその時には既に仲良しになってくれていた。どうも俺が思っていたよりも人

「勇者様はやっぱり凄かった」

とか何とか言いながらリリに褒められていたりしていた。まあそんな感じのこともあったから今日は一日休むことに決めていた。

王城から戻ると部屋へと戻ろうとするのだがその前に、まずは食堂へと向かった。理由としてはまぁ、腹が減ったということなんだが。そして食事を受け取って空いている席に座り食べることになったのだが、ここで予想外のことが起きた。俺の前に見知らぬ女性が同席してきたのだ。それで

「隣よろしいでしょうか?」

いきなり話しかけられ、そして笑顔を見せてくる。そして俺は内心で

「なに?」

戸惑いながらも、それを表に出すことはなかった。すると女性はニコニコした様子のままで俺に近づいてきたか

「ふふっ♪」

楽しげに笑う声を出しながらそのまま俺の肩にもたれ掛かってくる。正直に言って意味が分からず

「ええっと、君は?」

思わず聞いてしまう俺。すると

「うふふっ、リリですよ。覚えてませんか?」

笑顔を見せた後にそんなことを言ってきて

「え?」

まさかと思った。ただ目の前の人物はリリの面影があるように見える。だからきっとリリが大人になった姿を思い浮かべてみたらこんな姿になるんじゃないのかと想像できたため

「そっかぁ、じゃあ君があのリリスな訳だ」

「そうです!」

ただそんなやり取りを交わした後

「いやまぁでも、確かに成長しているし綺麗になったけど、あの時とは雰囲気が違うよねぇ」

気になったことがあったのでついつい突っ込んで聞い てしまう。

「え? 勇者様には私があの頃のように見えますよね?」

するとリリと名乗った少女の口から飛び出してきた言葉に

「あー」

なんとも言えない感情を抱いてしまったのだ。

何故ならば目の前にいるこの子はどうやら俺のことを知っているようだ。しかし、それは恐らく俺のことを召喚したときに出会った人物。つまりこの子が言っているのはそういうことなのだろう。だから

「いやぁ」

困ってしまう。なぜなら俺にとっては数年前の事だとしてもリリスからすれば十数年も前の出来事だからだ。

だが、

「私は勇者様のおかげでここまで大きく成長することが出来ました。だから感謝を」

そう言うと俺の顔を見上げながら頬にキスをしてくる。どうやらリリスがここまで成長した原因は俺らしい。そしてリリスがそこまで懐いてくれているのは俺が聖女の力で彼女の体にある傷を全て消し去ってやったことが関係あるんだろうなぁ。なんて考えつつ

「そういえばリリス、どうして俺のところに来たんだ?」

気になっていたことを尋ねてみる。すると

「実はですね、父上に許可をもらって、しばらく勇者さまの傍に仕えることになりまして」

リリスがそう答えてくれる。そしてそれはつまりどういうことなのかと考える俺なのだが

「勇者さまの傍にいさせてください。お願いします」

可愛くお辞儀までされてしまう。そしてこうなってしまうともう俺には拒否権がない。まあ、拒否するつもりなんてなかったからいいんだけど。

でもさ、でも、ちょっと思ったんだ。この子とリリスが親子ってのは何だかいいなぁって。だからリリを優しく撫でてから笑いかけ

「これから宜しくね。それとリリスに一つ伝えておく事がある」

伝えることにした。それがどんな内容のものかといえば、なんで勇者と呼ばれる存在には必ず特殊な能力が与えられるのだという事を伝えたのだ。もちろんこれは俺だけに与えられたものであって、この世界の勇者達にも同様のものがあるはずだという事は教えなかったが。しかし

「では勇者様の能力は」

というところで俺は首

「まだ、内緒にしておこうかな」

そう答えると俺は誤魔化すようにして笑みを浮かべるのであった。だがそんな俺を眺めながら笑みを浮かべているリリス

「そう言えば私達二人だけで話すのはこれが初めてだったね」

「ん、そうだな」

そう言われればそうなんだよなと俺が思っていると

「では、自己紹介をさせていただきましょう」

リリスは微笑みを見せる。なので俺も同じ様に笑い返して

「そうだな。それじゃ、俺はユー クス。勇者をしている」

そう口にしてからお互いに名前を伝えあう。

――それからは楽しい時間を過ごすことが出来た。というのも食事を終えてから俺の部屋に移動するまでの間、色々な話を交わすことが出来たのだ。俺

「リリス、リリと呼んでもいいだろうか?リリスも勇者殿と呼ぶのをやめてほしい」

そう頼んでみればリリスも了承してくれて

「分かりました。リリ、とお呼びください」

「ああ」

リリは俺の前で嬉しそうにしていて。なんとなくだが俺はリリのことを好きになれそうだという事を理解できたような気がしていた。だが俺としては

「俺なんかでいいの?」

疑問に感じていることがあってだな

「俺、リリに好かれる様な事を何かしたっけ?」

全く心当たりが無いのである。するとそんな俺に対してリリは

「うふっ、気にする必要はありませんよ。貴方様は特別な存在なのです」

そんな事を言ってきた。そして続けて

「だってそうでしょう。勇者様である以上、貴方様が望むのであればこの国すらも簡単に手中におさめることも出来ますのに」

「ん~?」

首を傾げて

「リリは俺の力を知っていてそういうことを言ってるのかい」

尋ねると

「ええ、そうですよ。私の父は魔王を統べる者なのですが、その者からの情報によればあなたはとても強い力を持つ方だと教えられました」

「なるほどねぇ~まあ、うん」

納得しつつ苦笑する俺なわけだが、正直、あまりその話はしたくないんだよなと。だけどリリは更に言葉を続けて

「だからこそ私にとっての唯一の救いなのです。私が望めばいつでも勇者様には自由が与えられています。もしも私が願えばどのようなことでもしてくださいます。ですから 勇者様のお力をどうか私のために使っていただければと思いまして」

こう口にしてくれたので、とりあえずこの子の

「俺に対する好意は本物みたいだね。だけど俺にはまだそんな気は無いんだよな」

はっきりと言ってしまう。すると

「残念ですけど、仕方ないことかもしれません」

俺の目をじっと見つめながらリリは悲しげに呟いた。だから俺は

「俺、まだ恋愛とかしたことないしさ。正直よくわからないんだ」

自分の正直な気持ちを話す。すると

「なら、私はそれでも構いません。いえ、そうであったほうが」

そんなリリの声が耳に届くのと同時に彼女は俺の頬に口づけをする。それで

「ふぅ。それじゃ部屋に戻って少し休みたいと思うからリリも休んでいて良いよ。あとリリの父上と話をしたいんだけど連絡出来るかな?」

立ち上がるとリリスに伝えると部屋へ戻ることにする。

「はい、直ぐに」

元気に返事をしてくれるリリス

――部屋に戻るとすぐに通信球を取り出して【黒猫】に連絡を入れることに。

「勇者様ですか」

「そう、【黒】さん、今日、大丈夫?」

いつも通りに問いかけた俺。するとすぐに

『今日は特に急ぎの仕事はございませぬ故』

相変わらずの

「じゃあちょっと話があるんだけど今から来れるかな?」

そう尋ねてみた。すると

「かしこまりました。すぐに向かいますのでしばらくお待ち下さい」

こうして通信を終えるのであるが

「リリの父親とは一体どういう関係なのか聞いておけば良かったな」

と内心で思ってはいるのだが、しかしあの時の雰囲気からすれば、俺達が知り合いなのは確かだし、そして彼女が俺を勇者と呼んでいたのを俺は知っていたから

「俺のことを知っている人物なんだろうなぁ」

と予想がつくため、あえて聞かなかったのだ。そしてそんな事を考えながらしばらくすると扉をノックされたので入室を許可すると、そこに現れたのは当然のように

「いらっしゃい」

リリスが居たのである。ただその姿を見て俺は一瞬驚いてしまう。何せあのリリスが

「失礼します」

俺の前へとやってくるなりスカートの端を持ち上げて頭を下げてきたからだ。そんなリリスの姿はメイドそのものに見える。そんな姿を目の当たりにしてしまうとリリスの正体を思わず想像してしまいそうになる。

とはいえそれを想像したところでどうにもならないし、なによりリリスが着ていた服は明らかに質の良いものであり、それを見抜ける程には観察力が優れている俺。それに目の前で丁寧に挨拶をしていることからしてやはりリリスはこの城に仕えている使用人の一人なんだと察することは出来た。そのため深く突っ込まない事にしたのである。

だから

「わざわざ呼び出して悪かったね」

「勇者様に呼び出されて私が喜ぶことはあり得ませんので」

「嬉しいこといってくれるじゃないか」

リリスの頭を優しく撫でてあげる。するとリリスは

「は、はい」

顔を真っ赤にしながらうつむいてしまった。その姿を可愛いと思った俺は微笑みを向けていると

「では本題に入らせていただきましょう」

リリスが真剣な眼差しをこちらに向けてきたので、俺もしっかりと彼女の顔を見据えてからうなずき

「実はリリスに相談があったんだ。この国の宰相の事を詳しく知りたくってさ」

「父上に、でございますか?」

小首を傾げるようにして聞き返してくるリリス。だから

「そう、宰相のリリスにだよ」

俺ははっきりと答えた。すると

「そういう事でしたら私に任せてもらえないでしょうか」

「頼む」

「では」

そしてそれからリリスは説明をしてくれた。その内容は俺が予想をしていた通りの内容だったのだ。リリスの話によると宰相である人物は代々王城の文官達の頂点に立つ存在であるらしく。それに加えて魔王討伐の際に、必ず必要になる人材らしい。そしてそのことから俺の傍に仕えることになるのであれば是非とも鍛え

「勇者様の傍に仕える事が出来るというのは光栄なのです。私にとっての最大の幸せとなるのですよ」

そう答えてくれたリリス。でもって俺はリリスの実力を確かめるべく勝負を挑み、その結果、彼女からの提案を受けることになった。それは

「このリリスが負けた場合で構わないのでしたら勇者様に仕える許可を与えます」

そう言われてしまった。なので俺はこの場で了承する事にした。そうすることでリリスと対等の立場になれると思ったからである。まぁ、実際問題としては

「俺が勝ったとしても何もメリットはないんだよね。だけどまぁ、ここで断ったところで結局、俺は勇者と呼ばれている存在として行動しなければならないわけだし、なら、こういう展開は逆にチャンスだと考えようかなって」

俺の言葉を聞いた瞬間に、嬉しそうな表情を見せ、そして

「分かりました。では私に敗北を認めさせてみてください。そして、もしも、もしも私が勇者さまに敗れるようなことがあらば喜んでこの身を捧げましょう」

こう口にしてくれている。なのでそんなリリスとの約束を果たし

「勇者様とこうして再び出会える日が来ることをどれだけ楽しみにしていたか」

嬉しそうにしているリリスを連れて部屋に戻りつつ

「なにかあればいつでも呼んで欲しい」

俺はリリスに向かって伝えるのであった。すると

「ありがとうございます。その時は宜しくお願いいたしますね」

満面の笑みを見せてから、そう返してきたリリスなのである。だがこの時のリリスの笑顔が俺の中で強く印象に残っている理由は分からないわけなのだ。

魔王軍幹部にして大迷宮の主でもある魔将の一人は勇者達の存在によって倒された。しかし、それでも完全に消滅したわけではなく、魔王復活の為に動き出す事になる。だがそんな事は人間側には関係がないわけで。そもそも、この世界に生きる全ての生物達は魔物という驚異に怯え、どうにか生き延びようとするのに必死だと言える。

だがそんな日々に変化が訪れる。突然として現れた一人の男の存在が世界

「まさか俺なんかのことを勇者だなんていう人がこの世にいるとは思わなかったぜ」

呆れた口調で話す男が居た。そして彼は自分に対してそんな態度をとっている女性の顔を見ながら言葉を続けることにしたのだが、そこで彼が思ったのはまず「美人だ」という言葉だ。

年齢は二十代後半くらいだろうか。背丈はそれほど高くなく百六十半ばといったところであり体つきが細目であることからモデルの様な体型だと男は思うが、しかし

「あのさ、一応は俺の方が先輩だから。その辺の礼儀はしっかりしてほしいもんだけど」

そんな言葉を続けて口にした男に対して相手は

「そうね。でも今はそんな事を言っている暇はなさそう」

男の指摘

「は?」

そう言い返す女に、しかし次の瞬間、彼の目の前に出現した黒い渦のようなものから何かが出現し始めた。それを見てとっさに動いた二人は左右に分かれると

「あれは」

「スライム、なの?」

「おい」

そんな二人の元に

「お前達の命はここまで、魔王様の糧となってもらうわよ!」

そう声をあげながら二人の方に向かって走ってきた一人の女性がいたのであった。

だが彼女は二人が目の前に存在するのは確認しているものの、特に焦る素振りを見せることもなく、

「勇者はどこ」

と、そんな疑問の声をあげている。

そんな女性の姿を見て、そして女性が発した言葉で何者なのかを理解したのか

「リリスはどこに居るの」

先ほどまでとは違う声で質問してくる男性。そんな男性の方へ女性は顔を向けると

「あんたは誰よ。なんで私の大事なリリの事が気になって仕方が無いわけなの? おかしいでしょ。私だって知らないっていうのに」

「はい、私は貴方とリリの関係を知りません。だから私は貴方の口から教えてもらいたいのです」

そんなリリスとの関係を知らないと告げた彼女は手に持った杖を振りかぶると

「はあぁぁぁぁ」

「いきなりかよ」

そんな声を発しながら、男性の頭上から魔力を帯びた雷を落とそうとしたが、それを察知すると、即座に男性は腰に差してあった刀を抜き放つと同時にその一撃を防いだ。だが防ぎきれなかった雷撃が男性を襲うと

「あがあああっ、痛ぇな、こいつ。マジで殺す」

「ふざけないでよ! 誰が死ぬものですか」

「いい加減にしてもらいましょうか」

そう叫んだのは男性の隣に存在していた。女性。その手に持つ杖からは炎を纏った鳥の頭部を思わせるものが出現して

「フレイムバード」

その叫びとともに生み出された魔法。それによって放たれる無数の火の玉が、しかし、それらは全て

「はん、甘いんだよ。この程度で俺を殺すつもりなのかよ」

「な、なにを、うそ」

余裕のある様子で全て叩き斬ってしまう。そしてそれと同時に、剣を振るって女性の首を切り飛ばそうと試みたが、それよりも早く相手が後ろに飛んだため攻撃が当たらずに終わるのだが、ただそれで

「お返しだよ」

反撃に出た。男性が腕を前に出してから握りしめるような動作をした直後だった。

「うごぉおおお」

絶叫をあげると、全身

「なん、で、私に何が起きたわけ」

「おめでとう。俺からの贈り物はどうやら成功したみたいじゃないか」

そんな言葉を口にしながら、にやりと笑うと

「リリスが今何処で何をしていようと関係ない。あの子を絶対に見つけ出して取り戻すだけだ」

そんな事を言いながら男性はゆっくりと立ち上がると

「まぁいい、どうせもうすぐ、この世界は終わりなんだし」

「え?」

不思議そうな顔をする相手に、だがその表情は次の瞬間には恐怖に満ちた

「どういう事なの?」

問いかけに対する答えを目の前の男性は一切、言わなかった。だがそれは別に答えないというわけではないようで

「すぐに分かる。お前の運命と一緒に」

「く、く、来るな。私に近づくんじゃない。私が殺されるのは良いけど、私に近寄れば貴様も同じようになるんだぞ。そう、だから近づくなって言ってんの」

「だから、お前が何を言おうが関係ねえっていってんだろ」

にやりと笑いつつ。近づいてくる相手を前にしながら女性は

「誰か、助けて、死にたくない」

必死に助けを求めるが、そんな彼女に救いの手が差し伸べられることはない。何故なら、ここには彼ら以外の人間は誰もいないのだ。それに気が付いてしまった彼女の絶望が頂点に達する中、遂に、男の剣が女の首を跳ね飛ばした。

魔王軍が誇る魔将軍の中でも最強の名を誇る存在がいる。その名を『死霊使いのマリス』といい。魔族の中で最も恐れられ、忌み嫌われてきた存在である彼女が勇者の手によって滅ぼされてから、既に

「魔王様に仇を為した奴らが勇者と名乗るなど、実に不快なことだ」

魔王軍の中で魔王に最も近く位置し。魔王の復活を願う存在として魔王軍の大元帥として存在するのが魔将の一人である。名は

「この魔王城に足を踏み入れることは許されない。早々にここから立ち去ることですね」

そんな声と共に姿を見せたのは一人の少女であった。年の頃は十代半ば。銀色に輝く髪を持ち。肌の色もまた雪のように白く。そしてその容姿は非常に美しいものである。

ただ、しかし、少女の姿をよく観察すれば、それは人間と呼ぶよりも、魔人という表現が似つかわしいように感じられるかもしれない。というのも、彼女は本来、魔人であるはずなのに。

「さすがの魔人どもといえど、我の相手は難しいようだ」

「黙れ。勇者に肩入れをする裏切り者の化け物が。この場で始末してくれる」

そう言い放った直後、一人の青年と思しき人物が魔王の間へと侵入を果たしてくるが、しかし。それが何を意味するのかを知っているのは、ここにいる者達だけであった。なぜならばこの世界に生きる全ての人間にとって、彼らは勇者と呼ばれる存在ではなく。ましてや勇者という存在が本当に存在したとしても、その存在はこの場にいる魔王の敵ではありえないからである。つまり

「この勇者を名乗る男に騙された愚かな女共も後々にこの勇者と同じ末路を辿ることになる」

そう口にすると魔王が指を動かすと、突如として姿を現した複数の魔物達が一斉にその勇者達へと襲い掛かる。そんな彼らの前に立ち塞がる存在は当然、魔人であった。その一人が、

「ふん、所詮は小娘という訳か。だがまぁいい。この程度の存在では俺の相手にはならないからな」

「ほう、我が実力を認めたということか?」

「そうだな。俺としてはお前が他の連中に勝てるとは考えてはいないしな」

そう口にしながらも彼は魔王に対して油断をしている様子はなく、むしろ、いつでも攻撃に転じることが可能だと示しており、魔王はそれを読み取った。

「勇者はお前の想像通りだ。だが、この勇者に関しては俺の獲物だと理解してもらうしかないな」

そう言い切った直後、彼は魔王に向けて突進してきた。だが魔王の方はその行動を予測していたのか、その場から離れると

「残念だが勇者の狙いはリリス。私は、私は、この世界を魔王として導く使命を持っているのだから、邪魔をしないでほしいものだ」

勇者の猛攻をかわしながら魔王はそんな言葉を漏らすのだが、彼は、勇者の言葉を聞いた後に、

「おいおい冗談は止してくれ。お前みたいなちんちくりんな子供が魔王だと? 笑わせるのはよせ。その言葉だけで俺は十分に殺意を覚えるぞ」

その言葉と同時に繰り出された拳が魔人をとらえたかに見えたのだが、しかし、実際には空を切ることとなった。その事に

「避けただと? まさか」

その光景を見ていたリリスは、自分が目にしたものが信じられずにいたのだが、その疑問は目の前で起きた現象が説明してくれた。

「今の攻撃をどうやって」

「おい。俺の技は確かに凄いものだったはずだぜ。だがそれでも俺の拳を避けるなんて。まさかお前」

「その質問の返答の前にこちらから問わせてもらう。どうして私の名を?」

その問いかけに対して、目の前の男は何がおかしかったのだろうか、笑い声をあげると

「お前の名前は知らない。だけど、お前は勇者と行動を共にしているだろう。そう考えたらすぐに分かった」

そう言いながらも

「俺の名はガゼル。魔王軍の中ではそこそこ有名だと思うんだが」

そんな事を告げてみせるが、だがその名前を知っていたのか

「ああ、勇者が倒したとかいう。なるほど、そういう理由で貴方を勇者が見逃した、あるいは、魔王軍に組み込もうと思った。そのどちらかでしょうね」

「どちらでも良いさ。俺にとっては、勇者と敵対できるならな」

「そうですか。でしたら貴方が望むまま戦えば良いですよ」

「簡単に言うじゃないか。しかし、それは出来ないんだよ。なんせ俺はリリスを」

そこまで語ったところで彼はリリスが手に持っている剣を見るなり

「そ、それは」

驚きのあまりに動きを止めてしまう。その様子を見た彼女はニヤリと微笑むと、手に持っていた剣を振りかぶると

「これでも一応は私だって戦士の端くれ。勇者の仲間だったとはいえ、そんな隙を見せる相手に負けるつもりはないわよ」

そんな事を言いながら振り下ろし、剣による一撃を放った直後。勇者が手にした聖剣から強烈な光が発生した直後、剣によって切り裂かれたはずの男は

「そんな馬鹿なことが」

「お久しぶりです。私を覚えていらっしゃいますか?」

「当たり前だ。貴様のせいで俺の人生は大きく変わった。この恨みは必ず晴らしてやる。だが、その前に」

彼の口から吐き出されたのは呪縛の言の葉であり。その力により拘束された相手へ容赦なく放たれた魔法の数々は、相手の肉体を破壊するに十分すぎるものであった。だがしかし、それを見ても

「そんなもので私を殺すつもりですか」

無傷であるという事実が彼に対する恐怖を植え付けてくる。しかし

「これで終わりなわけがないんだよな。だからさ、もう諦めろよ。貴様の体はもう限界なんだよ」

「何を言うのです」

そんな会話が繰り広げられるが、その間に勇者

「勇者って名前、もう意味がなくなったよな。あいつはもう」

彼が何やら呟くのだが、それは何を意味するものなのかは分からない。ただ言えるのは勇者と呼ばれる存在は既に

「さあ死を受け入れろよ。俺に殺されろよ」

「嫌だ。私は死ぬわけにはいかない」

必死に否定を繰り返すが、しかし

「リリスは俺が必ず幸せにする。リリスが望んでいないことを無理矢理に押し通すことは絶対にしないと誓っているが、それはあくまで、今だけなんだ。もうすぐこの世界は終わる。そうしたら全てが終わりを迎えるんだ。俺にはそれが分かる。だからこそ」

「うるさい」

叫び

「この世界で生き残るためには、お前の力は必要なんだよ。その為に死んでくれ。お前が生きていることを許すのは、この世界が崩壊してからの話になる。それまで、お前を逃さない。絶対に、絶対に、お前を殺して」

呪いの言葉のように繰り返し続ける。

その光景を見ながら俺は心底驚いていた。今現在、この場において一番強いのは間違いなく勇者なのだ。

しかし勇者の攻撃は一切当たらないのだ。いや、それだけならばまだしも。そもそもとして。何故、彼は、あの女に対して、あんなに執着するのであろうか? それは、この世界に何かが起こっているのではないか、と、感じさせられる出来事であったのだ。そう考える中、俺は剣を振るって魔

「さてと、どうするかね」

魔族と対峙するのは初めてではない。というよりも、俺が初めて魔王軍と戦闘したのはこの森の奥地だ。あの時の状況を思い出してみればいい。そうすると自ずと答えが見えてきた気がした。この魔王軍の将軍と名乗る男を仕留めるのは容易いかもしれない。だがそれは

「こいつは、殺しておいた方が良い」

直感的にそう判断した俺は剣を構えたまま

「なぁ、一つ、聞いてもいいかい?」

そう話しかけると

「何を聞きたいんだい? 何でも答えるよ。だから」

「この魔族の女の人を助けることは出来ないのか?」

そんな問いかけを行うと相手は不思議そうな表情を浮かべる。

「この魔族は魔人だろう? 魔王軍の一員じゃないのか?」

「そうだよな。あんたの言い方を借りれば、魔王の敵だもんな。魔人の命を奪うことも」

「それは違うぞ。君のような人間とは違うのだよ」

俺の話を遮るように言い放つ相手。その顔からは焦りの色がうかがえ、俺にどうにかしようと訴えかけているようでもあった。

しかしだ。そんな事を言われたところで、はい、分かりましたと、あっさり引く訳にも行かないし、ここで退く訳にはいけない理由が俺の中にはある。だからこそ

「何が違うんだ。あんたがやろうとしているのは殺し合いだ。それがどれだけ無意味な戦いであるか、分かっているのか」

「お前、まさかこの俺に向かって」

「そうじゃないとでも言う気なのならはっきり言ってやろう。この世界の魔王はお前なんかが勝てるはずもないような怪物だってことを」

「魔王を倒せるというのか? そんなはずはないだろう。この世界に勇者はお前しかいない。つまりは勇者しか」

「いいや。勇者以外にも存在するよ。勇者が戦うことが出来ないような強大にして最悪の存在が。そして魔王もそいつの存在を知っているからこそ。魔王軍は俺達に干渉しないでいてくれているんだよ」

その言葉を耳に入れて魔人は沈黙した。その態度からすればこの話は真実だということが分かる。しかし

「お前が何を考えているのか知らないけど。俺達にとってみればお前達のしていることはとても迷惑なことでもあるんだよ。だからこそ俺はここにいる魔族を助けたいと思っているし、お前達を倒して元の世界に戻るつもりでもいるからな」

ただでさえ相手の強さを考えれば、一人でも多くの仲間が必要な時だと分かっていても、だ。目の前にいる男が許せないと感じているのもまた事実だったりするのだけど、それでもだ。やはり目の前の女の人を見捨てるという選択肢はなかったのだ。それにだ。もしもここで見捨てられたとしても女将は助けてみせるつもりだったのだが、勇者は違ったようだ。突然として聖剣を振り上げるとそのまま勢いよく振り下すと同時に強力な光が発せられ、魔王へと襲い掛かるのだがしかし そんな勇者の動きを見て魔王の笑みが大きくなっていく

「ふむ。今の攻撃をまともに喰らったら危ないところではあったが、残念ながら私の体には通用しないのだよ。私の体に傷を付けるのであれば、せめて勇者の持つ聖剣以上の力が必要。そんなものが存在しないのは当然だが、君はどうやら」

言葉を続ける魔王が指を動かすと同時に魔王の前に壁のようなものが出現して、それが勇者の攻撃を防いだのだが、それを目の当たりにした瞬間、俺は思わず絶句してしまった。だってそうだろう?

「どうして、どうして」

そんな疑問が浮かんでしまったのである。俺達が戦った時に魔王の体は確かに吹き飛んだはずだった。それも跡形もなくだ。しかし

「どうして無傷のまま立っていられるんだよ。勇者の攻撃でどうして、どうして」

「そんなことは簡単なことなんだよ。君の攻撃では私に一切ダメージを与えることは出来なかったんだよ。その証拠を見せてあげるから、私の前に立ちなよ」

魔王の挑発ともとれる言葉を受けた勇者が、怒りを露わにしながらも、魔王の前に立つと、その手にしていた剣を振りかざし

「俺が弱いなんていう事はあり得ない。この世界がおかしいだけなんだ。勇者は俺一人じゃなかったはずだ。だけど俺は、お前を殺さなければならないんだ。勇者として、勇者に認められた者として」

魔王を睨みつけながら叫ぶと

「さて、勇者。私を殺しきることなんて出来るかな」

「当たり前だ。絶対に殺してやる」

そう宣言した勇者が再び聖剣

「もういい。お前をここから先には行かせない。たとえ刺し違えたって」

そんな声を上げる勇者だが、それは無駄に終わることとなる。魔王が軽く手を動かし、勇者を吹き飛ばすと地面に倒れた彼に目掛けて手を振り下ろしたのである。

そんな様子を見せつけられて、俺は

「なんつー化け物なんだよ。本当にあれは、あの時のあいつと同一人物だってんのかよ」

魔王が俺の想像よりもずっと恐ろしい存在であることを理解し、絶望に打ちひしがれそうになるが、しかしだ。今はそれどころではなかったのだ。何故ならば勇者に駆け寄るべく動こうとしていたのだが、そんな俺に向けて魔王の手が伸びてくるのだ。それを避けようとするものの

「な、なんだこれ」

まるで泥沼にはまったかのように足が沈み込んでしまい動けなくなる俺に、今度は魔法を放つために魔力を高めていくが、その前に俺は魔法を発動させた。

発動させるのは雷の魔法であり、その魔法は一直線に伸びていき、魔王を包み込んだ直後、周囲に落雷が発生。しかし、魔王

「魔法は通じないか。だが、このまま続ければ」

雷撃は効かない。だが、それならばそれで、別の魔法を使うだけだと思いながらも俺は次の行動へと移る。何故ならば俺の背後には女魔王の姿があり。そして、勇者を救い出すにはこの方法が一番だと考えたからである。しかし

「悪いけど君の相手はこの僕だからね」

女魔族の背後を取ったはずの俺だったが、その背中に触れようとした

「何のつもりかは知らんが、貴様程度が私に触れることは不可能だ」

魔王の言葉を証明するように女魔族から強烈な拳が放たれて俺を襲う。

「この程度で私は」

「それはどうかな」

俺が口を動かした直後。俺はその場を素早く離脱。同時に先ほどまでいた場所に巨大な岩が落ちてきたのだ。それを目にした魔王が一瞬だけ動揺を見せるが、しかしすぐに

「今のは」

「油断したな」

魔王の言葉を聞き流し、地面を踏み砕くと跳躍。一気に相手の頭上へと到達してからの蹴りを放ち、そこから着地すると即座に攻撃を繰り返す。

魔王相手に有効なダメージを与えられるのは光系統の武器だけであることは既に判明している。なのでまずは、とにかく相手を傷つけることに集中することにした。だがだ。

「勇者よ、まだ生きておるか?」

そんな言葉を口にして魔王の意識が完全に俺から離れる。そして俺が勇者の方を見るなり驚いた。なぜならば、倒れ伏していた勇者が

「この力は一体」

「君の中に眠る勇者の力が目覚めたのだ」

そんな言葉を耳にする。ただ、それは勇者が何かしらの奇跡的な能力を手に入れた

「違う。これは、まさか」

俺は理解してしまう。何故なら勇者は何かに気付いたようではあるが、それでも自分の力でどうにかしようと魔王に攻撃を仕掛けるが、魔王は軽々と回避するばかりだ。

そうしているうちに俺自身も魔王との戦いに慣れてきてはいた。

しかし、だからこそ分かることがある。それは

「お前が魔王の力の一部を持っているってのが嘘だってことが、よく分かったぜ」

「ほう」

魔王の顔が少し変化する。それは今まで見せていた余裕といったものがなくなったことを物語っていた。だからといって焦っているのかといえばそうではない。あくまでも表情は笑顔なのだ。

そしてその事実は俺の中で、確信となるものであった。だからこそ

「俺は魔王と戦っていた。あの時はお前は偽物の力しか使えていなかった。だから俺はお前のことを弱いと決め付けてしまったんだ」

俺が言葉を吐き出すと相手は何も言わず、ただ笑った。だからだろう。俺は更に言葉を続けた

「俺が戦おうと思っていた相手は本来お前ではなく。お前が使っていた力を持っていた奴のはずだったんだ。でもそれは、そいつはお前に殺された」

その言葉が魔王に対してどれだけの影響をもたらすことが出来ただろうか? そんな疑問を抱きながら 魔王との勝負において、俺は既に勝利条件が整いつつあるのを感じていた。そもそもの話として、勇者という存在の本来の強さというのは光の属性と聖剣を使いこなすことに求められるものであり、それは決して

「魔王の力などではない。お前が俺達に語った話はお前の作り出した幻想でしかないんだ」

「ほぅ。そこまで分かっていたというのか」

「お前は最初から言っていたはずだ。魔王は倒されるべき存在だと。それが勇者の役割だと」

そう口にした途端、魔王の目つきが変わる。まるで別人のような気配を見せ

「それがどうしたというのか。勇者よ、私が言っているのは真実だ。勇者が存在する以上、魔王もいつか必ず現れることになる。それがたまたま今日だっただけのこと」

魔王の体に変化が起きたのはその言葉が聞こえた直後のことだった。

俺には分からない。目の前の相手が何をしようとしているのかもだ。だけど勇者は何が起こっているのかを知っているのだろう。

「お前のその力を返してもらうぞ」

そんな言葉が口から洩れているのを耳に入れた俺は魔王の変化に目を向けると、勇者が魔王へと向けている視線から強い敵意を感じる。そして、それと同時に勇者の体が白く輝き始めたかと思えばその変化が始まる。

俺が魔王の体を貫こうとした時だった。俺が繰り出したのは刺突による攻撃。狙いを定めた一撃を放った瞬間、その攻撃を魔王が避けようとした瞬間にだ。

俺の視界の中、突如して女魔族が現れる。その姿を見た瞬間、勇者は咄嵯の行動で剣を振るい女魔族を切りつけた。女魔族は切りつけられた箇所から血を噴出しながら吹き飛ばされるも

「勇者殿の邪魔はさせん」

魔王に向かって駆け出そうとした俺の行く手を遮り、女魔族と戦闘を開始。しかし勇者の剣を受け止めた時に見えた女魔族の姿を思い出せば、やはり違和感を覚えてしまう

「なぁ勇者。お前の言うことが正しいとするならばだ。魔王の力は勇者であるお前の中にあるってことでいいんだよな」

勇者の攻撃をかわし、カウンターを繰り出す女魔族と激しく戦う勇者。それを目の当たりにして俺の脳裏に浮かんできたことがあった

「魔王と勇者の関係、それに魔人族、そして、魔王軍か」

「そういえば勇者。あんたは自分の目的を達したら元の世界に戻ろうと考えているらしいが」

そんな問いかけを行った俺に対し勇者が返事

「ああ、元の世界に戻りたいと思ってる。俺は、あの人にまた会いたい」

「その願いは俺がかなえてやるとしよう」

「何?」

勇者の声には疑問が含まれていた。それも当然のことだろう。だが

「安心してくれよ。俺にだってちゃんと帰る方法はある。その方法を教えてくれよ。教えてくれたら俺が勇者をこの世界から帰すことが出来るようにしてやるからよ」

俺は言葉を続けると勇者の反応を待つのだが、勇者からは返事がない。ただ黙って戦いを続けているだけだった。そこで勇者に背を向けた俺が向かう先は魔王の下 俺の存在に気付いた魔王がこちらに意識を向けると同時に、俺は駆け出しながら手を伸ばして 魔王の胸を貫く。だが、それで魔王の動き

「さすがだな勇者よ。だが残念なことだが時間切れだ」

魔王は笑い、その直後だ。魔王を中心にして地面が爆発した。その爆発は俺だけではなく魔王の姿すら飲み込んでしまい 魔王の心臓部分にある結晶を破壊してから勇者と共に転移の魔法を発動させた俺であったが、そんな俺の前に魔王の分身が姿を現す

「ここまでやっても駄目なのか」

思わずそんな声を上げる俺の前で、魔王の本体と思われる個体が生み出した魔王軍が、俺達の前に立ちふさがってきたのであった。

俺と勇者の前に現れる魔物の数は相当なもので。

「こんなにも沢山」

「これでは先に進めないじゃないか」

「だけど諦めたら俺達は終わりだ。ここで諦めれば俺達が生き残っている未来なんて存在しなくなる」

勇者の言葉には重みがあった。しかし、それとは別に勇者の体の方に異変が生じる。

勇者は突然その場に膝を突き

「う、ぐっ」

苦しみ出す。

何事が起こったのか分からなかった俺だが、その様子からただならぬものを感じ取り。勇者に駆け寄ると

「大丈夫だ。まだ何とか」

言葉を口にしようとする勇者だったが、そんな彼の言葉は最後まで言い終わることがなかった。何故ならば、勇者の体が激しく震え始め

「おい」

俺が声を掛けても勇者の体に起きている変化は止まらない。勇者の身にいったいどんな異常が起きてしまっているのかという不安を拭いきれない

「こ、れは」

苦しそうな表情を見せる勇者が地面に横たわる。

その顔は真っ青であり。勇者に何が起きているのだろうかという不安を抱かずにはいられなかったが、そんな俺に対して勇者が

「だ、め、なんだ。俺が俺でなくなっていく。俺の中から消えていくんだ。この力に侵食されていくんだ」

そう言った直後だ。勇者の肉体が大きく膨れ上がる。その膨張は勇者の腕だけでなく、全身にまで及び

「な」

何が起きるのかを理解できなかった俺を勇者が掴む。

「くそ、俺が消える前にどうにかしなきゃいけないのに」

勇者の口調が変化する。それは

「魔王様、どうか、どうか私めを助けて」

俺の耳に入ったその言葉の意味を理解するのには少しの時間が必要だった。しかし、それを理解出来たからこそ俺は叫ぶ。俺のことを拘束するかのように抱き締めてくる腕から必死になって逃げようとするが、それを許そうとしない勇者は更に

「ああっ、もう、私は私ではなくなっていく。だけど、これでいいんだ。魔王様の力になることが出来て幸せだよ」

勇者はそんなことを口にすると更に変化を続け、勇者の肉塊が盛り上がりながら、その体積を増大させていって。

「おぉ、これが、魔王様のお力か」

そんなことを呟きながら変化していく勇者が、その身を震わせる

「あぁ」

歓喜に溢れているような声でそんな言葉を漏らした勇者。そんな彼が自分の両手で頬を押さえ

「凄い。これが本当の私の力だ」

勇者が変化したそれは、巨大な化け物といっても過言ではないものだった。

俺の頭の中では今、勇者の変化がどうなったのか、どういう結果になっているのかについて考えていた。

「まさか」

「えぇ。勇者の魂が消滅してその肉体は魔王軍の新たな戦力となったのです」

リリスが口を開き、その言葉を受けた俺の視線の先、そこには

「ふ、素晴らしい。魔王さま、魔王さま。感謝します」

「勇者の力と魔王の力、二つの強大な力を持つあなたは、魔王軍を率いるにふさわしい存在です」

「ありがとうございます。魔王軍の為に命を懸けさせていただきます」

嬉しさから涙を流しながらそんな言葉を紡いでいる魔王がいた。その姿を見た俺は勇者の体から抜け出すとすぐに行動に移る まず最初に俺は、俺の事を逃がさないようにしていた勇者をどうにかしなければとばかりに剣を構えて斬りかかる。勇者はそんな俺に対して反応することが出来ず、俺に斬られた瞬間、勇者は苦痛に表情を変え、その体からは力が抜けて地面に倒れる。そんな勇者に対して魔王が何かをしたようだが

「魔王!」

「何を慌てているのですか勇者よ。お前も仲間に加わりたいのか」

その魔王の言葉は冗談ではなかったのかもしれない。

俺の目に映

「魔王様のために」

俺の体はいつの間にか巨大化しており、魔王に襲いかかろうとする。そして魔王はそれに対して対応しようとして、魔王は動くことができなかった。勇者の変化によって魔王は力を奪われていたからだ。そして俺の攻撃を避けることすら出来ない魔王。しかし、魔王はそれでも俺に攻撃された衝撃に耐えきれず後ろに倒れ 俺の目から見ても魔王の命は潰えた。そう感じ取った

「さて、魔王は倒されました。後は魔王軍に忠誠を誓った者達の始末ですね」

そう言って、その手に持っている杖を掲げたのである。

俺は剣を構えると、俺の目の前に立ち塞がっている敵。その敵を目の前にして、俺は勇者との戦いを思い出さずにはいられない 勇者が使っていた剣。その力は圧倒的であり、まともに戦うことなど出来るはずもないと思っていた。それなのに勇者は圧倒的な力で以て俺に襲い掛かってきていたのだ。勇者の力を受け継いだ魔族の女と戦えば、俺は敗北することだろう。だが、その女に戦いを挑んでいる理由は、この城に残っている人達を救う為でしかない 魔王を倒したいという欲望がないといえば嘘になるが。

「勇者よ、魔王を倒す為にはお前の力がどうしても必要だ。協力してくれるか?」

「もちろんだとも。俺のことは魔王軍の一員として迎え入れてくれるんだよな?」

俺の問いかけに勇者は答えると。俺の手を取って握りしめながら言う

「この力を魔王様に」

「お前」

俺の脳裏には嫌な想像が思い浮かぶ。しかし

「魔王様がこの力を受け入れてくれさえすれば俺はこの世界の全てを魔王様に捧げる」

「何を」

俺は勇者の言葉の真意を問うと、しかし勇者は俺の言葉など気にした風もなく

「だから早くしてくれよ。魔王様はずっとお前の力を欲してたんだからさ」

「俺の力って。おい待て。勇者、魔王の力って」

俺の力ってなんなんだ。と問いかけるより先に勇者の肉体に変化が訪れる。まるでその身にまとう鎧が溶け落ちてしまったかのように。

「勇者」

勇者の肉体が変わり続ける 筋肉が発達していき、その体が膨れ上がり。しかしその姿が醜悪なものへと変化したりしないのを見て俺は思った。これは間違いなく俺と同じだ この世界にやってきた俺の体を蝕み続けているものと同じ変化を勇者はしていると俺は悟ると、俺が手を差し出し

「来いよ」

その一言だけを勇者に向かって言い放つのであった。

「この勇者は私が引き受けましょう」

魔王がこちらに目を向けたのを合図にしたかのように俺は駆け出し

「魔王。この世界に来たばかりの俺は、今の俺と大して変わらなかったはずだ」

「えぇ。だからこそ私は貴方のことを気に入っていた」

「魔王。あんたがどうして俺に固執するようになったのか。俺はその理由を知らない」

俺の問い掛けに対し、笑みの形に顔を歪ませた魔王は

「それはね、貴方の中に眠っている【聖遺物】の力なのですよ」

「それが俺を」

俺の中にある【呪怨石】の力。そのせいなのかと思ったが、しかし魔王は俺の考えていることを見通したかのような口調で言葉を続ける

「確かに貴方の体内に存在する力の影響もあるでしょうが、一番は貴方の生まれ持つ力のおかげですよ。あの方は」

「その言葉の意味は」

俺にはまだ分からない。魔王が口にしようとしている言葉の内容が。だが魔王の言葉が本当であれば。

勇者の変化は既に終わろうとしていた。俺に近づいてくる勇者。勇者は俺に対して攻撃を仕掛けようと思っての行動ではなさそうだが、勇者の身に起こっている変化はそれだけで終わるとは思えない 魔王の言葉は正しかった。勇者の肉体は俺と同じように変質を続け

「う、ぐっ」

俺は痛みに耐えるような声を上げる勇者の顔が視界に入ると

「やばいぞ、こいつは」

俺の声に反応して、魔王はこちらを見ると、その身に宿っていた魔力を放出させながら

「大丈夫です。もう間もなく変化は終わります」

そんなことを言っている間にも勇者の体の変異が進んでいく。俺の方も魔王に近づこう

「うぐっ、くそっ」

「大丈夫ですか?勇者さん」

勇者の身を案じた俺に返ってきた言葉はとても冷たく

「勇者って誰のことだよ。それに、そんな他人行儀に話しかけないでくれ」

俺の言葉に対する勇者の反応から、やはりという気持ちが俺の中に浮かぶ。この男は既に、自分の肉体の変化がもたらす力に支配され始めていて

「そういえば名前を聞いてなかったよな。教えてくれ」

勇者の口調はどこか楽しげだ。この力を手に入れたことに歓喜しているのだろうが

「名前は」

俺に答えを促そうとした勇者であったが。しかしその時には勇者の体はすでに完成されていた。俺の見上げる視線の先で佇むのは 身長二メートル近い巨漢の男。筋骨隆々なその肉体の上には白銀色に輝く鎧を身につけており

「勇者じゃなくて。騎士になってないか」

勇者だった男は自らの手をじっと見つめながら

「凄いなこれ。俺の全身を覆うように白い輝きが広がっているんだ」

そんなことを呟く男の表情からは

「これで魔王をぶっ殺すことが出来る」

魔王に対して明確な殺意を抱いていることが分かった

「勇者さん、その力を手にしたあなたならばきっと出来るはずです」

「任せてください魔王様」

そんなやりとりを眺めていた魔王が、ゆっくりと口を開く。その口から出てきたのは自分の部下である騎士になった元勇者に向けて発せられる激励の言葉

「期待していますよ」

その言葉を耳に入れるだけで、俺の中には勇者の力を受け入れるのかという感情が生まれる 受け入れてはいけない。その思いを抱きながらも俺の意思とは無関係に 俺は勇者から感じるプレッシャーに身構えずにはいられなかった。

「魔王様、どうかご武運をお祈りします」

俺の言葉を受けて、魔王は笑う。魔王の周囲にはいくつもの魔方陣が展開されているのだが、その中に込められているのが魔法ではなく、純粋な魔力であることを肌で感じ取れることから

「魔王、何をするつもりだ」

「勇者の力を取り込もうとしています」

「魔王、まさか、お前は俺に、あれだけ強い想いを抱く相手を」

魔王の考えが理解出来ているわけではない。だが俺の頭の中では魔王が何をしようとしてきているのかが分かってしまうのだ。俺もかつては、勇者の体に取り付くようにして生きている魔物であり、その力を求めることは自然なことだ 俺が勇者の力を求め始めた時に感じた激痛を思い出しながら

「どうすれば良いんだ。どうしたら」

焦燥感に襲われ、魔王に襲い掛かるべきかと考える。勇者と魔王。そのどちらを選ぶのかを。だが、俺にそんなことを考えさせる時間は与えてもらえず、魔王と勇者の戦いが始まってしまった 巨大な化け物同士がぶつかり合う光景を目にした直後、轟音が周囲に響く。だが その音を発生させたのは魔王の作り出した結界のようなものだ。魔王はどうやったのか知らないが。魔王が作ったのは自分と相手の力を封じる類のものであるようだ。そしてそれを見ていた勇者と魔王は 勇者は腰を落とし剣を構えると、そのまま突進を行う。しかし魔王もそれに対して無防備な状態で立ち向かっていく訳ではなかった 勇者の攻撃

「ふ」

剣と剣とがぶつかると同時に火花が上がる。だがそれも一瞬のことであり。勇者の攻撃はあっさりと防がれてしまい。それどころか 剣で受け止めきった魔王の攻撃はそのまま勇者へと直撃してしまう

「がぁああああっ」

絶叫を上げた勇者だったが。しかしそれでもまだ意識を失っていないようで。しかし 剣による攻撃を防ぎ切ることは出来なかったのだろう。腕の皮膚を切り裂かれたことで出血している様子の勇者は

「なんて硬さだ」

「私の体に刻まれているのは、勇者の力だけではなくて。魔王の力でもあるのですから」

そんなことを言ってくる魔王の瞳に灯っている光には、勇者の持つ聖遺物の力に屈服している様子が見えないのだ。だからこそ

「どういうことなんだ。なぜお前の体は俺と同じように変化をしないんだ」

勇者は自分が取り込むことによって手に入れた力を受け入れてくれない魔王に対して困惑したかのような言葉を口にすると

「お前が取り込んだ勇者の力が俺の肉体を侵蝕するはずなのに」

勇者は戸惑いを隠すことができない だが、魔王も勇者と同様に驚きを感じていた。なぜなら勇者の言葉を聞いた瞬間に、魔王の脳裏をよぎる記憶があるからだ。魔王と同じような体験をした人間の存在を。だからこそ

「そういうこともあるでしょう」

そう言う魔王

「俺と同じ人間がいたというのか?」

「いえ、正確には違います。勇者の力が魔王の力に負けるのではなく。勇者の力が持つ意思が魔王の力に打ち勝つ。それだけの話なのですよ」

「そんなことが可能だというのか?」

疑問を魔王に投げかける勇者

「えぇ、実際に私の中で目覚めつつある勇者の力も、魔王の力と共存できる程度の強さでしかありません」

だからこそ、勇者の力は今なお、この場に存在している魔王の体を徐々に侵していこうとしている。魔王はそのことを口にすることはせず

「さて、それでは。今度はこっちから行きますよ」

「来るか」

魔王の攻撃を勇者は迎え撃とうとする。勇者の身体能力はかなり高いもので、並大抵のものなら一撃のもとに粉砕されてしまうだけの攻撃力を持っているが、だがそれは魔王も同じだ。

二人の攻防は激しいものであった 魔王の操り人形と化しているとはいえ、その戦闘力の高さは折り紙付きだ。

勇者が振るう剣と魔王の拳が激突すれば、そのたびに

「ぐぅっ」

苦悶の声を上げるのは勇者の方だった。圧倒的なまでの力の差があるのに 互角の勝負を繰り広げる魔王の姿を目の当たりにして

「どうしてだ」

魔王の動きを観察していく勇者

「なんで魔王に俺が追いつけない」

その声は勇者自身にも信じられないことが起きていると告げていた そんな状況が続けば

「うっ」

「勇者さん」

勇者は血まみれとなり、傷ついていくこととなる。だが、勇者はそこで引き下がることはない。このまま戦い続けたら自分は間違いなく魔王に殺されるだろうと分かっているにもかかわらず、勇者が引かないのも この先に魔王から聞きたいことがあったからに他ならない どうして魔王は、勇者の力に取り込まれたのだと

「魔王。俺は、お前が何故。あの力を受け入れたのが知りたかった」

俺がそう問いかけると魔王は微笑を浮かべながらこちらを見る

「貴方のような力を手にしたいと、そう思ったからですよ」

「俺の、力に」

「私はこの世界の全てを手に入れたいと考えています。そのために貴方の力はどうしても必要なのですよ」

俺の言葉に対して魔王が返すのは、勇者に自分の考えをぶつけるというものではなく あくまでも自分の気持ちを伝えるという態度を取る魔王に対して勇者は、これ以上言葉を重ねようと思っていても無駄

「魔王、俺は、あんたが思っているような男じゃないんだ」

俺が言葉を漏らすと魔王の表情に変化が生じる。まるで面白いものを見たかのように目を細め、俺の口が紡ぐ言葉を待つ

「確かに俺は、お前が欲していた力を手に入れることができたかもしれない。だけど、その代わりに俺は、自分自身を失うような思いを味わう羽目になった」

俺の言葉を黙って聞いていた魔王が俺の方を見つめたまま言葉を発する

「つまり貴方が望んでいるのはこの世界に暮らす者達のことですか」

「あぁ、その通りだ。今の俺はもう以前の俺ではない。俺はこの世界で暮らす人達のことを大切に思ってるし。だから魔王。あんたの考えは理解出来ないんだよ」

俺がそこまで言葉を口にすると、目の前の相手が、俺のことを見下すような雰囲気を感じ取れるようになる。そして

「なるほど。貴様は本当にこの世界を愛しているらしいな」

俺の言葉を聞いてからしばらく、沈黙を守っていた相手からの言葉を聞いて。俺は心が震えた。

自分の感情が表に出ないようにするのが精一杯なぐらいに この相手に見下される。この事実に苛立ってしまった自分の心を落ち着かせるのが先決なのだ

「魔王」

「お前はどうしようもない愚か者だ。お前は自分が勇者であったという事実を忘れ。この世界で生きようとする存在を守ろうとでもいうつもりなのか」

そんなことはしていない。俺がやろう

「そんなこと出来るわけないだろう。そもそもお前にだって出来るのか。勇者として力を得たお前に、そんなことが出来るというのか?」

「当然だ」

即答だった

「魔王」

勇者が言葉を重ねる度に。魔王の表情からは、俺のことが気に入らないという思いが強くなっていき。それに比例して 俺に対する不快感が増していけば、俺は俺の心の中から何かが零れ落ちる感覚に襲われる。だが 俺はその感情に気がつくことはなかった 勇者から感じる圧迫感。それは魔王と比較したときに感じられるものの比ではなかった。だが俺はそれでも必死に勇者と戦うことを決意すると、聖剣を握る手に力を込め

――それからしばらくしてから

「終わりましたよ。私の願いは叶いましたよ勇者殿。ですから早く私と共に来てください」と笑う魔王に対して 何も言えないまま立ち尽くすことしか出来なかった俺に向かって、魔王は笑みを深めるばかりで。結局その後でリリスと合流してからは、お互いに口を閉ざしたまま帰路に着くことになったのである 魔王の配下の一人によって用意された食事は美味しく頂くことが出来た。特に焼き鳥と呼ばれる料理に関しては、この世界でも珍しいものだと分かったため、食べ終わるまでに時間を要することとなったのだが、それを待っていたリリスは嬉しそうな顔をしていたため問題はなかったと言えるだろう。

ただ一つ問題があったのならばそのあとの風呂だろうと思う。というのもリリスがお世話しますと言い出した時には断る理由を考えるために

「いいよ。一人で入るから」と口に出してみたのだが、それが悪かったのだろうか。彼女は不機嫌になってしまったのである。

なので、その日。寝ることになった時は彼女から逃げ回る必要があったのだった。しかし、逃げることは出来なくて、俺とリリスの二人はベッドに並んで横になる

「魔王。あいつは俺が必ず殺す」

俺が勇者を殺すと言った時。彼女の瞳の中に怒りと殺意が混ざり込んだのが見えた。しかしそれをすぐに押し

「俺の邪魔をするな。絶対に許さない」と吐き捨てるのと同時に。リリスの体を優しく抱き寄せてから。そのまま眠ることにしたのだった 翌日になり。魔王との戦いを終えてから二日後の昼。城を出てから五日目に 勇者一行は無事に、王国領を抜けて次の街に辿り着くことに成功したのだったが、そこで一つの大きな問題が発生した。勇者一行には魔王との交戦で、多くの怪我人が出ていたのが原因となって 街で回復魔法が使える人間に

「勇者様の手助けをしてやってください」

そんなことを頼まれてしまう。それに対しては俺としては断るべきだと思うのだが

「分かった。引き受けさせてもらおう」と口にする。それに対して他のメンバーは不満そうにしているのだが、ここで治療を行わないことで勇者達の名声を貶めることになりかねなかった。そんなことになるのだけは避けたかった だからこそ、俺の治癒能力を使って街の人達を治して回っているのだが、その中で勇者達が、この街に残ろうとしていることが、俺の中で引っ掛かりを覚えさせる。なぜならば、ここに残り続けることによって、この街の人々を守りたいという想いが強いように感じ取れたから そんなことを考えながら歩いていれば 俺達勇者一行の前に一人の女性が現れる。それは、かつて【大迷宮】で遭遇した魔人族の女性にどこか

「初めまして勇者さん。私はアモンといいます。あなたには私の力が必要で、私が望むことは勇者さんの体の一部。そうですね心臓を私に捧げてほしいんです」

そんな自己紹介を始める女性に対して、勇者が反応したのは、やはりと言うべきなのかもしれない。自分が魔王を討伐した際に得られる報酬に心臓を求めたためだ。

だからこそ俺は彼女が口を開いた時に勇者へと話しかける

「止めておけ。こいつは敵なんだ」

「なぜ分かるんだ」

「簡単だよ。魔王と同じだ。お前はこいつに取り込まれる」

「魔王と」

俺の言葉を受けて勇者は困惑の表情を浮かべることになる

「どうして魔王と同じだと言える」

「俺にも理由は分からん。だけど、魔王は、こいつも同じ。自分の中にいる魔王と共存しようとして失敗しているんだ」

「お前が魔王と共存できると言っていたのは嘘だというのか」

「あぁ、少なくとも今は、無理そうだ」

そう答えると 勇者の目に戸惑いが生まれる。それは今まで魔王と共存しようとしていた自分の

「お前はそれで良かったのか?」

俺が問いかければ、魔王から言葉が返ってくる

「構いませんよ。私の目的はこの世界を支配することです。その目的のためには貴方の力がどうしても必要だったので、貴方が勇者の器を失ってしまったとしても、この場に留まり続けて欲しいのです」

「それは出来ない相談だな」

俺の言葉に対して。勇者が俺の方を見てから、魔王に対して口を開く

「俺はまだお前を殺せる」

勇者は俺のことをチラリと見てから 再び視線を魔王に向けると

「魔王を倒さなければ世界が滅びると。その可能性については、お前の言葉から真実だと理解できる」

だが、だからと言って

「俺は、簡単に魔王に殺されるつもりはない。俺は俺自身の力を持って魔王を滅ぼす」

その言葉に対して魔王は何も言わずに俺を見据えた。ただそれだけのことなのに 俺は息苦しくなるほどの圧力を感じていた。しかし俺が気圧されることなどあるはずがない

「勇者。そろそろ出発しないといけない。ここは引き下がるぞ」

俺が言葉を漏らせば、リリスの表情が歪む。しかし俺の意見に反対の声を上げようとすることはない。リリスだって本当は分かっているのだ。勇者の言葉通り魔王をこのまま放置していたら危険極まりない存在になることくらいは。だからリリスに俺は微笑みかける 大丈夫。お前を置いて死んだりしない。そう思い

「お前はこれからどうするつもりだ魔王」

俺が問いかけてみると魔王は笑みを浮かべながらこちらを見る。そして勇者に向けて言葉を発する

「またいずれお会いしましょう勇者殿。その時には私を倒すために力を磨き上げておいてください」

「言われなくても」

勇者がそう言葉を残してその場を離れると その場に残されたのは魔王と勇者の仲間の女性だけとなった。しかしそれもわずかな時間だけであり 魔王が指を動かした直後、魔王の部下達は姿を消すと、そこには勇者と女性だけが取り残されることとなる。それを確認すると、魔王は満足そうな表情を見せると

「勇者殿の望み通り、貴女の命は救ってあげましたよ」と言葉を口にした 俺の前で

「ありがとうございます魔王様。おかげで命を拾うことが出来ました」と言葉を口にする女性は 先ほどまでとは違い、とても綺麗なお辞儀を見せてから。自分の部下達に指示を出す。すると彼女の背後に控えていた者達が魔王の前から立ち去ろうとするのである。その様子を見ている俺はというと、内心では嫌なものを感じてしまっていたのだった 魔王の言葉に対して、魔王の部下の一人は小さく笑い声を上げる。するとそれに続くようにして魔王が言葉を吐き出す 魔王の言葉を受けた女性は嬉しそうな笑みを見せながら頭を下げる。するとそれを見つめていた一人の男が立ち上がろうとした瞬間に、その行動を止める者が存在したのである 男は動きを止め。そして自分が動けなくなっていることに気づくと。

「なにをした?」

そう問いかけてくる男の表情に浮かんでいるものは困惑であり疑問だったのだが。それに答えたのは勇者一行に同行している魔法使いの女性で

「あんたが何をしようとしたのか分からないけど、残念なことにもうこの辺り一帯は、私の支配下に置かれているのよ」

そんなことを言い放つ魔法使いの言葉を聞いたからか勇者一行に付き添っていた兵士達は皆、武器に手をかけようと動こうとしていたのだが、それは出来ずに終わったのだった。その理由はすぐに明らかとなり魔法使いの言葉の意味を知ることとなる 兵士の行動を見た他の人間もまた動くことは出来なかったからである それはまるで魔法がかけられたかのごとくであり しかしそんな現象を起こすことが出来る人間はおらずにいたからこそ人々は驚愕することになる。何故なら魔法使いを名乗る女性が何かしらの力を使った

「私には魔力を扱う才能があるらしいわね。まぁもっとも。今この国にある魔導士達よりも遥かに高いレベルを誇ることが出来るのは確かなんだけど」

彼女は自信満々の態度のまま勇者一行に向かってそんなことを告げると そのまま彼女は勇者の目の前に立ち、右手を前に突き出してみせた。その行為を目の当たりにして勇者は剣を抜こうとするが、その剣を握り締めることが叶わないことに驚きの感情を抱き。それを眺めることになった勇者は、その状況から脱しようと試みるのだが

「無駄よ。この一帯は既に私の支配下に置かれていると言ったでしょ」と笑う 勇者は自分の体に起きてしまった変化について理解する。そのきっかけは彼女が口にした一言である

「勇者がこの国で、魔王の配下に襲われないように保護して欲しい」と依頼された。そのために自分は魔王の城に行くことを決断したのである。勇者としての誇りにかけて魔王と戦おうと思ったが、それが甘かったことを勇者は知ることになる それは彼女の放った言葉が原因なのだが

「あなたには勇者としての才能があるから魔王を殺すことが出来る」

魔王と相対したことで自分の中に芽生えた違和感の正体は勇者にとってあまりにも信じがたいものであり。同時に恐怖を感じるものだったのだろう。魔王に殺されかけた時もそうだったのだが、勇者の心の奥底に眠る勇者としての使命感のようなものが強くなっていたためだ。

勇者としての宿命から逃げようと考えていた自分とは決別しなければと決意をしていた時

「私の仲間になりなさい」

そんなことを言う女性の瞳に嘘がないことに気がつき、それを勇者は認める。そしてこの日。

王国領の辺境に存在する街に辿り着いた勇者一行は。勇者の旅立ちと共に、王国の戦力が大きく変化することになったのだが。王国はその事実を隠し通すことにする そんなことが起きているなんて知らずにいる俺だったが 次の日。街で一日中過ごした後に、王都へと向かうために街を出ようとした時に問題が発生する 門を出ようとしていたのだが、俺が近づくと兵士が駆け寄ってきて「申し訳ありません。通行許可証の確認をさせていただいてもよろしいでしょうか」と言われたためだ。それに対しては仕方が無いなと思うことにした というのも本来ならば俺は通行禁止を言い渡されていてもおかしくはない身であるわけだしなにより、この街に来る途中で倒した魔族の死体から奪い取った金品の類はかなりの額に登り。しかも魔族の宝物庫にあったものだからか質が良い物ばかりであり、そのおかげもあってこの街で手に入れたお金は全て換金出来たのだ ちなみにだが俺以外の面子はというとそのお金を全て街の人達に配ってしまい。その上でリリスが、その金額の一部を自分のために使ったことで残りはほとんど手元に残っているはずもないという状況に陥っていた だからといって勇者が何も言わなかったということは俺の行動を咎めることはしなかったということだと思うし。

「構わないが、どうして必要なんだ?」と問いかけると、すぐに返事が返ってきた

「実はですねぇ」と言って話を切り出した兵士の話によれば、なんでも最近、魔物の襲撃が増えているようで

「それに伴って、警備の兵士を増やすことになったんですよ」

「あぁそういうことだったのか。それじゃあ仕方無いよな」

「そうなんですよ」と笑顔を浮かべて応じる兵士の話を聞いた俺は少しの間、考えるような仕草をした後に

「それならちょっと手伝って欲しいことがあるんだが」と言う すると

「いいですよ。なんですか? 手伝いが必要なんですか?」

「そうだな。一人より二人のほうが早いだろう」と返す。俺の言葉を耳に入れてから、兵士がこちらの様子を窺ってくると リリスはという

「私達の目的地は王都なのですよね?」という言葉に対して、リリスがこちらを見てきていたのだけれども俺はそれに小さくうずくまるだけで特に返答することはなかったのだ。俺だって別に好き好んでトラブルに巻き込まれようとしているわけではないんだよな。だけど困っている人間が目の前にいたら放っておくのもどうかと思ってしまって。それで手助けをしたくなってしまっているというのが現状であり正直言ってしまえば面倒くさいし疲れたくもある。だけどまあ それでも助けたいと思えてしまっている自分がいる以上

「やっぱり手伝わせてくれ」そう言ってしまうことになるわけだが問題はそれだけではなかった 兵士と一緒に王都へ向かうために門を潜ろうとした時のことだ 当然だが身分証明が必要となる そのためには通行の許可証

「そう言えば勇者殿の件はどうなったんでしょうか」

そんな言葉を漏らしながら兵士は頭をかいてしまう。勇者を無事に送り届けること。それは兵士に与えられた仕事であり。しかしそれを遂行することが出来ないとあれば、それは職務放棄になる。

そうなれば兵士のクビは確実に飛び そしてそれは同時に自分の首も飛ぶことを意味していた。

だからこそ

「勇者のことは心配する必要はない」

そんなことを口走ってしまったのである。俺が勇者に目を向けると勇者が苦笑していた。その顔にどのような意味が含まれているのか。俺だって理解できないというわけではなかったのだけれど。でも他に言葉を思いつかなかったから口にしただけだ。ただそれだけのことである

「そうなのですか。安心いたしました。それでは行きましょうか」

そんな言葉を吐いてから俺達は、兵士に連れられて移動をする。その際にはリリスが俺の手を握ると、こちらを見上げてくる

「どうされました?」

俺の言葉を受けて、リリスはこちらを見上げる。その表情は微笑みであり、俺が何を考えているのかを見透かすかのような瞳で

「いえ。ただ、この手をずっと離したくないと思っているのは、私だけなのかもしれませんね」と呟くと そんな言葉が俺の中に突き刺さったのである リリスの言葉は、俺のことをよく見ている証拠だったからこその言葉だったのだろう 確かに俺としても。出来ることなら、この手だけは離したく

「お前達二人は、恋人同士なのかい?」と兵士に声をかけられる いきなりだったので俺は言葉を詰まらせる。すると 隣にいた女性が、声の主の顔を見るなり驚いた様子を見せていた しかし俺達が反応を示す前に別の方角から声がかかることになる。声の方角へと視線を動かせば鎧を身に纏う人物の姿が目に映るのだが彼は兵士に近づいていくと何かしらの話をした後でその場を離れていく。その姿を見送った後で兵士は俺に向き直り。そして勇者に顔を向けてから話しかけた「あの人と知り合いなのですね」と言われてしまい。それには勇者が小さく息を吐き出すと

「一応知り合いって感じかな。名前は覚えていないんだけど、昔から世話になっているんだ。俺のことも小さい頃から面倒を見てくれる優しい人だよ。もっとも彼の性格を考えれば、君みたいな若い女の子の面倒を見てみたいっていう欲求を持っているのかもしれないけどね。彼って結構なプレイボーイなんだしね」と勇者が言ったところで俺は疑問を抱いた。この世界では成人年齢は十八歳くらいで、子供を作ることが出来るのは十三歳以上とされているのである。つまり結婚できる年齢に達しているのだ。そんなこともあって 俺の中で一つの疑問が生まれてしまったのだ

「失礼だが君は、一体いくつぐらいなんだ?」と思いのままに質問をぶつけてみるとその答えを彼女が発するよりも先に男が答える形で

――それは突然の出来事であった 勇者が突然として走り出すと勢い良く地面を踏みつけると同時に剣を振り抜く すると地面に巨大な穴が生まれたのだった それを見守る兵士達はというとそのあまりの状況を理解することが出来なかったのだが、そんな中にあって一人の兵士が叫んだ。彼が見たものは、魔王の配下である魔獣の一種だと思われる魔物が空から襲いかかってきていた光景であり。そしてその襲撃を受けている兵士を助けようとした勇者の行動の意味するところをすぐに悟ることになる 突如として現れた大型の魔犬を相手にする形になった兵士たちはその行動をとることが出来ずにいた。何故なら魔犬の大きさはそれほどまでに大きいものとなっていたからである 大型

「グルゥウ」

「ガァッ」と魔獣の声を耳にしている兵士達の中には怯えの色を見せている者もいれば、剣を構えて立ち向かうべきかどうかを迷っていた者もいる。その最中において 魔獣は牙を見せると共に勇者に向かって襲い掛かる 鋭い牙は、その大きさからすれば、まるで槍のように鋭く。勇者の首元を狙うような形で迫っていくと勇者はその攻撃をギリギリのタイミングでかわしてみせた。そのまま魔狼が、地面の上に着地すると、そこに勇者がすかさず踏み込んでいき、魔犬の頭上から一気に剣を振り下ろして攻撃を加えることで魔獣が、地面に叩きつけられてしまうが、魔犬はすぐに立ち上がり。

魔狼は怒り

「ガウっ」と鳴いた後に再び動き出そうとするが

「グギィイインン」

魔獣が痛みを訴えている。見れば勇者の剣に、赤い血がこびりついていた。おそらくは魔犬の皮膚を斬り裂いた際に付いた血液だろう。それを勇者に告げるかのように兵士の一人は声をあげたのだが、そんな勇者に向けて

「まだやれる」と叫ぶと。勇者は剣を構えるのだが

「もういい。後は任せろ」

俺の前に出たのは兵士だ。先程までの勇姿とは違い、今は頼りない背中を見せて勇者と入れ替わると勇者を庇うようにして前に出た その途端

「待て。俺は大丈夫だ」と慌てて声をかけたのは勇者だ

「ダメです」と兵士が強い語調で言う

「どうしてそこまでしてくれるんだ」

「決まっているでしょう。私はあなたの味方ですから」と兵士の言葉は強く。それでいて力強いものだった。そして俺は、そこで改めて気づかされることになる

「貴方は本当に強い人間なんですか」

「俺は弱い」と即答すると「でもあなたが私を救ってくれたことに変わりはないのですから、恩人の力になりたいと願うことに理由はいらないと思いますよ。ですから私が戦うことで助けになるのであれば喜んで戦わせてもらいますよ」

兵士の言葉を聞いた勇者が、少しばかり複雑な感情を抱いていたように思う。しかしそれは一瞬のこと 勇者は兵士の言葉に救われたことで心が温

「グルルルルルルルルッ!!」

「おいおい、こんな状況でよく喧嘩なんか始めようと思うなよ」とため息を漏らしながら俺は言う 今、勇者達はというと魔獣に襲われていた それも大型の化け物相手に 俺の傍には兵士が立っている。その横には勇者が、更には聖女のリリスと僧侶の少女の姿もあった。勇者とリリスが前衛を務めて、僧侶の少女が後方で援護魔法を使うという形で戦闘を行っていた 勇者の攻撃を喰らえば傷を負いながらも反撃をしてみせる魔獣だったが俺からしたら、そんな状態に陥っていても余裕を持っていられた。なぜなら相手は勇者によって倒される寸前の状態となっているからだ 魔

「グォオオオ!」

そんな雄叫びを轟かせて勇者に爪を突き立てようとする。だが勇者の体は頑丈だ。そんな一撃を喰らった所で、簡単に倒れてくれない だから俺は勇者の後ろから近づく。そんな俺に気付いた勇者が目線だけをこちらに動かして

「そっちに敵が行くぞ」

「了解」と言い返してやった 勇者の言葉を受けた俺も、魔獣のほうへ接近すると拳を叩き込む 俺の狙いは顎 人間の弱点の一つと言われている場所を狙って思いっきりぶん殴ってみると その衝撃は予想以上に強い。しかし、その分 俺の拳も無事で済まないということになったわけだけどな 俺の手の甲からは、大量の鮮血が流れる だけども

「まだまだこれからだぜぇ」

俺は構わず攻撃を仕掛ける しかし、それは上手くはいかないことになる

「お前の好きにはさせねぇからなぁ」と言ってのける勇者に対して、勇者を標的としていたはずの俺に割り込んだ男がいたのだ それは勇者と同じパーティーの仲間の一人である戦士だった。彼は俺に加勢を

「馬鹿かお前は。さっきから言ってんだろうが。そんな雑魚じゃこいつの足元にも及ばないんだよ」

だが俺から言わせてみれば俺達と魔王軍では戦い方が根本異なっているからこそ、そう思われても仕方ないことではあるのだが、勇者の目の前で堂々とそんなことを言うというのは流石にまずいだろ 勇者が魔王軍に与しているなんて情報が流れたりした日にはかなり面倒なことになると思わね?まあこの世界でそんな噂が流れているかどうかは知らないけどさ。それでも

――この世界における常識ではそういう話なのだ。それなのに勇者が仲間と一緒にいるという状況で口にして良い言葉ではなかったはず

「お前だってわかっているんじゃねえのか?この魔獣の強さ。それにあの大神官が使っていたスキルは【絶対服従】のはずだった。それを使ったにも関わらず、この強さ。それがどういうことなのか」

勇者を追い詰めるように男は言う

「つまりは魔族の誰かと結託したとしか考えられんのだ」

男の言葉で、俺達は沈黙する。そんな空気を打ち壊すようにして声を出したのは、僧侶の女の子だった

「ちょっと。いくら何でも言い過ぎだと思うんですけどぉ。そんな風に責め立てる必要はないじゃないですか」

彼女は可愛らしい声で抗議をすると

「うるさい小娘め。黙っとれ」と怒鳴られる。だが俺は僧侶が怒られて

「何よ。そんな言い方しなくたって良いじゃないの。ばっかみたい。どう考えたって勇者様がそんなことをするわけがないじゃん。そもそもあんたらのやってることは勇者様を陥れて、魔王様に献上しようっていう魂胆が見え見えだしぃー」と言うと、男が「魔王様を呼び捨てだと」とか呟いているのを横目に 勇者は僧侶に向かって「気にするな」と告げた後で俺達を見て「悪いな」と告げると 勇者は走り出した。魔犬へと迫る。魔犬の攻撃をかわして

「お返しだ」

勇者の斬撃により、魔犬の足が切断された 勇者の攻撃を受けることで、魔

「グルル」と魔犬が鳴いた。そして魔獣の目から赤い光を放ち始める。そして

「ガルゥゥッ」

鳴き声を上げると同時に魔獣の全身から炎が発生した。しかしそんなことは関係なかった

「勇者。危ないから下がっていろ」俺の言葉は勇者に向けられて だが勇者はその前に動いていた 俺の忠告など聞いていなかった勇者の身体を俺が庇う形になり、魔犬が放った攻撃を防ぐことに成功する。しかし完全に防ぐということは出来なかった

「ちいっ。痛え」

痛みに顔を歪める しかし

「おい。しっかりしろよ。ここで怪我をしたからといって死んだりするような真似はするんじゃねえ」

「わかった」と勇者が答えてくる そして次の瞬間には俺の隣に勇者の姿はなく

――魔犬のすぐ隣に移動していた 勇者が手に持っている剣を振るい、魔犬の腕を切り裂く。

勇者の動きに反応し、反撃を行う為に動く魔物だが、勇者はそれを難無くかわしてみせる

「やるじゃないか」

勇者の戦いぶりを見守っている俺だったが。勇者を見ている中で違和感を抱くようになっていた。何かを焦っているような感じで剣を操っているように思える その証拠に、俺の言葉に対する返事はなかった。その代わりとでも言うべきか、勇者が攻撃を繰り出している 勇者から放たれている殺気は、尋常なものとは思えないくらいに強烈なものだ

「こいつ、マジで強い」

思わず俺は言葉を漏らしてしまうほどだ。それほどまでに勇者が戦っていた相手の実力がずば抜けているという証左であると言えるだろう その事実に驚きつつも、俺は勇者に負けじと動き、攻撃を繰り出す

「邪魔をするなら貴様から倒すぞ。覚悟は出来ているんだろうな」と男は叫ぶと俺の方に向けて、斧を振り下ろしてくる

「ああ、いいとも」と俺は笑みを浮かべながら、その斧を受け止めると。勇者とリリスに意識を集中させる 二人は魔獣との戦いを続けていた。勇者の剣による攻撃を、魔獣は受け止めると「ガアアッ」と声を上げ、鋭い

「うおっ」

俺はその一撃を避けると、すぐにその場から離れる。その直後には、俺がいた場所へ魔獣が腕を振り下ろし、地面を叩きつける。まるで地震のような現象が、地面の上で起きたのだが、そんなものは関係なしだ。むしろ、俺達が戦いやすい状況を作り出した 俺と勇者はお互いに魔獣を倒す為の力を持っている。だからこそ二人で力を合わせなければ勝てないと判断した

「いくぞっ!!」俺は声をあげると勇者が反応してくれる。それだけでも嬉しかった そして同時に俺も、勇者と同様に攻撃を繰り出そうと思ったのだが、それは上手くいかないことに

「おい、邪魔だから退いてくれ」勇者が、俺と勇者に割って入ってきた男を押し退けるような形で魔獣の前に出ると

「グルルルッ!!」

魔獣は威嚇するように勇者に吠えた。それに対して、勇者は平然とした様子を見せる

「俺とお前のどちらが強いのか。それをはっきりさせてやろうじゃねえか」と勇者が告げると、勇者が一気に駆け出す。それと同時に俺も続く形で 勇者と俺、二人が同時に攻撃を繰り出すと 魔獣も、二人の攻撃に応対するべく行動を起こす。爪による一撃。牙を用いた噛み付き。前足を使った踏みつけ。更には体全体を使った体当たり等々

「なんつぅパワーだ」

俺と勇者が放つ攻撃をものともせずに魔獣が攻撃をしてのける姿は圧巻だった。その光景を目の当たりにして俺と勇者は、二人して魔獣と戦うことで、どうにか互角の状態に持っていけるかどうかという状況 そんな状況下であるからこそ、俺達は全力で戦う必要があった そんな最中、俺はふと思い出してしまった

「俺の魔法を使えば魔獣に勝つことが出来るかもしれない」

「何だって?」勇者の声が耳に届く

「だから、お前達の力を俺の魔法が後押しをすれば倒せるかもしんないんだって」

俺の言葉を聞いた勇者は、迷った様子を見せ

「出来るんだな」と確認してくる

「多分」

「じゃあ頼む。あいつを倒して、早く帰らないと」と勇者が口にして「そうですよぉ」と僧侶も同意してくれた だから俺は魔法の発動準備に入る。勇者に頼まれてしまったら断ることが出来ない そんな状況になった俺に対して、リリスが「お願いします。あの魔獣を倒したら勇者さんとの婚約は白紙に」と言ってきたため、勇者は少し戸惑った表情になるも、力強くうなづいて

「俺に任せておけ」と言うと 俺から距離を取ると魔獣との戦闘を開始する

「俺達も行くか」

俺がそう言うと

「そうだな」と勇者も答える 俺は魔法の準備を終えているため。いつでも使える状態にある そんな状態で魔獣に近づいていき、まずは牽制のためにと勇者と一緒で攻撃を行うと 魔獣に俺達からの攻撃が当たった。それは本当にかすかに当たった程度のものに過ぎなかったが、勇者と俺の攻撃をまともに受けた結果、魔犬は悲鳴にも似た声を上げた だがそれで怯む

「チャンスです。このまま攻めますよ」と勇者の仲間の一人であり戦士である男が口にするのに合わせて他の者達も攻撃を仕掛けようとするのだが

「ガルルウッ!!」

一際大きく吠ると全身の毛を大きく逆立てさせてきた それにより発生した突風に耐え切れずにいた者は吹き飛ばされてしまっており、勇者だけはその場に立っていたものの「これはマズいな」という感じだ ただでさえギリギリな戦況であるところに追い打ちをかけるかのように、今の衝撃を受けたために魔獣に対する傷がさらに悪化していることになってしまったのだ そのため、このタイミングでは魔獣を弱らせるという目的を果たすことが叶わなくなってしまったのだ。しかし、それでも俺が行おうとした魔法を発動することは可能な状態のため、そのまま俺は魔法を

「グオォオオオッ!!!!」と突然の事が起きたせいで対応が遅れた。そのおかげで魔獣の攻撃を受けたのと同時に、地面に叩きつけられる羽目になってしまうことになる だがそれも仕方のない事なのだ。まさか勇者の目の前に炎が出現するとは思いもしなかったのだから当然だった

「ちいっ」炎によってダメージを受けてしまい苦悶に満ちた声をあげていた勇者だったけど、どうにか立ち上がることに成功していたが

――その時だった。突如として勇者に向かって飛びかかる人影があった

――それは大神官と呼ばれている女性の姿だ――大神官は剣を手にしている訳ではなく素手で勇者たちを殺そうと襲い掛かってきたわけだが それに気付いた俺は即座に動くと剣で攻撃を受け止めて、大神官を吹き飛ばすことに成功する

「ぐぁああ」俺の攻撃を受けることになった大神官はその威力に耐えることが出来なかったらしく口から血を流すが何とか耐えて見せることに成功をしていたようだがダメージが大きいらしい大柄な体格の大神殿がよろめいて倒れ込んでしまうという事態に陥ってしまったわけで俺と勇者はその光景を見て呆気に取られている状態だったのだがすぐに気持ちを切り替えたらしい大巫女は起き上がるなり走り出すと今度はリリスの方へと向かうのだが そこに立ち塞がるようにしてリリスの前に現れたのは僧侶の少女だ。どうやら僧侶の彼女も動こうとしていたらしい。そんな彼女には悪いと思ったが俺は構わずに魔法を放つことにする。しかしそこで勇者から声が上がった

「まってくれ。リリスを守れるならそいつがどうなろうと知ったことじゃないが」という言葉に俺は思わず驚いてしまう。こいつは一体何を言っているんだと思ってしまって。ただそれは一瞬のこと。俺は直ぐに冷静になると、勇者の言いたいことを理解した上で、俺はリリスの事を頼もうとしたが それよりも前にリリスが勇者の言葉を聞いて「大丈夫。私なら、平気だから」と言いながら笑みを浮かべていた。そしてその言葉は俺の耳まで届いてくるが、それを勇者が聞いていたのかは分からない だけど勇者は何も言わずに動きを止める。それは何故かといえば俺の行動が目に映ってしまったからだ

――俺の手は魔獣に向けて向けられている。魔獣に向けて俺は魔法の力を行使した。すると

「ガァッ!?」魔獣は苦しそうな鳴き声を上げて暴れる そんな魔獣の姿を眺めている俺は勇者に声をかけると勇者も同じように「ああっ」と答えてくれる 俺は魔法を使うことで魔獣を仕留めようと思っていたが。魔法を放った瞬間に魔獣が俺が想像していた以上の勢いで逃げようとしたため、狙いを定めることができなかったが。そんなことは関係がない

「勇者っ」

「分かってるさ」

俺は勇者の名前を呼ぶと

「はいっ」

俺の言葉を耳にしたリリスは嬉しそうな声を上げながら勇者へと抱き着いていた。それは、まるで自分の恋人に助けを求めているかのような雰囲気を感じ取ってしまい。そしてそれが事実であったことが直後に発覚することになった リリスが勇者の名前を呼んでいた理由は簡単だ。リリスは俺が魔法の行使を終えた瞬間に勇者の元に移動し、彼に抱き着くことで、どうにか魔獣から逃げようと暴れ狂っている魔獣の動きを止めようとしていた

「これで終わりです」とリリスが口にして、勇者と顔を見合わせると笑みを浮かべあう。それは、二人が一緒になって戦いを乗り越えたことで生まれた絆を感じさせるものだった 魔獣が、二人の方へ向かっていくが。それに反応するように勇者が剣を振るうと。その攻撃を避けようとした魔獣は後ろへ跳躍する それによって二人の方に駆け寄るようなことはなかったのだが。その代わりのように俺の方を睨みつけてきているように感じる そんな魔獣の様子を見ていた俺だったが。俺の隣にやってきた勇者が「すまん。助かった」と礼を口にしてきたため 俺は特に何かをするということ無く「いや。いいって別に」と軽く流すようにして応じておくことにした。

魔獣

「おい。貴様」

勇者

「な、何だよ」

魔獣

「今の戦いの最中に余計なことをしただろう」

勇者

「い、いや」

魔獣

「ふざけるなっ!!」

勇者

「そんなつもりはなかったんだけどな」

魔犬の身体は見る間にボロボロになっていった。全身を焦げ跡だらけにしている。それだけではない

「グルゥ」

魔王の目の前に立ちはだかっている男。彼は手にしている杖を振りかざすと、雷の魔力を放ち、それを何度も繰り返す 男が持つ武器が杖であるため、そこから放たれているのは魔法のはず。しかしその魔法の力は凄まじく、まるで落雷のような音を発生させ、地面

「グルッ」

魔王と呼ばれる存在である魔犬が、苛立たしげな声を漏らすが。男はそれに対して一切怯むことがない 何故ならば。彼の視線には勇者しか存在しておらず、それ以外は視界に入れていない 勇者は男の存在など目に入っていなかったので彼がどうしてこのような行動に出たのかは分からなかった 魔犬はそんな勇者に対して吠えるような声で吠えると、その身に纏わせていた魔力を開放。その結果 その体は膨れ上がっていく

「なにっ?」

巨大化した魔犬。しかも先ほどよりも遥かに大きくなっている魔犬

「ガルルルル」と、低い音を鳴らし、鋭い牙を見せ付けるようにして威嚇してきており、勇者を食い殺そうとしているかのようにも見えてしまう。だが、そんな光景を目の当たりにしながらも

「ふぅーん」

勇者は一切動揺していない 男の魔法は止まらない。むしろ激しさを増していると言ってもいい状況だった

「グルウゥウッ」と怒りを滲ませた様子を見せている魔犬であったが。しかし次の勇者の言葉を受けて動きを停止させることになる

「おい。お前」

「な、何ですか? 勇者さん」

「お前が俺のことを好きだったとか、そういう話をしておきながら、お前はあの女と浮気をしているんじゃないだろうな」

勇者がそう

「そんなことはないですから。だから私は貴方のことが――えっ!?」と言葉を発しようとしていたのだが、その直後には勇者の手によって地面に組み伏せられていた 勇者の突然の行動に対して目を丸くさせてしまった俺だったわけだが、勇者と目が合った。その瞳の奥に込められている感情が何なのかを読み取ることは出来なかった

「ちょ。ちょっと待って下さいよぉ勇者さんっ」そんな声と共に立ち上がったのはリリス。彼女は必死の形相を見せるのだが勇者は無言のまま彼女を組み伏そうとする

「勇者、さん」と涙声になっているのは僧侶の少女だ。しかしそんな彼女の言葉すらも聞き

「今は、こいつの処分を優先しないと」

と言い切ったのだ そんな様子を見せられてしまい、僧侶の少女の顔色は真っ青になる

「ま、まさか。本当にリリスの事を狙っていたとは思わなかったぜ。というよりなぁ勇者。あんたまさか本気でこの俺がリリスと付き合っていると勘違いして嫉妬していたとでも言うつもりだったわけか?だとしたらとんだ笑い種だなぁ。俺達は、お互いを利用 利用しているだけだというのに。それとも、俺が本心からリリスに惚れていると思ったからこんなことをしていると、まさか、思ってねぇよな。ああっ」

勇者はそこまで言ったところで僧侶を殴りつける

「グフッ」と僧侶は口から吐血しながら、そのまま意識を失ってしまう 勇者はそのまま地面に倒れ込む僧侶の少女を見下ろすのだが 俺は、勇者が何をしたいのかが分からず混乱していたが、このままで良いとは思えない このままでは何も進まない気がしたので、とりあえずだが、勇者を止めることにした。俺の言葉を聞いた

「ああ、そうだった」勇者はリリスの方を見ると「悪かった。こいつが悪いのは確かだけど、俺にも落ち度はあったんだろうな」と言うと俺の方を見る 俺としては意味が分からないので「い、一体どうし たって。あれ。おま 」俺はそこで気付いた。自分の腹に勇者が握っているナイフが深く突き刺さっているということを。腹部を見れば服が赤く染まっており。そこから大量の血液が流れ出てしまっていたことに気付く 俺が倒れ込んでいる姿を見ていた勇者は、俺の事をゴミクズをみるような眼差しを向けて来るが。俺は痛みを堪えながらどうにか立ち上がろうと頑張っ

「おいおい。まだ立つ気があるのか。それなら」

勇者は、俺の傍に立つとその顔面に向かって足を叩きこんでくる。鼻が潰れる感覚を覚えるがそんなことは気にせずに俺は立ち上がる 俺が顔を上げると。既に勇者は次の行動を始めている。拳を握るなり振りかぶると、それで思いっきり俺の顔面を殴打してくるわけだ

「グッ、ゴブッ」

殴られたことにより口から出血。歯を数本失ってしまった俺は口元からダラリとよだれが零れ出すが気にすることなくどうにか勇者の方を見たのだが 勇者は容赦なく蹴りを放ってきやがる 俺はどうにかそれを両腕を交差させて受け止めたが、骨が折れそうなほどの衝撃を受け

「勇者っ!! そろそろ止めてくれ。これ以上は死ぬかもしれないぞ」と勇者の方は見ずに大巫女の方を見据えながら口にする。すると大巫女は呆れたような顔をするとこちらに歩み寄ってきた そこでようやく勇者の方は俺に対する攻撃を中止 勇者が俺の許から離れるのと同時に俺は地面へと倒れた そんな俺の元に駆け寄ると

「ごめんなさい」とリリスが謝ってくる。そしてそこで勇者とリリス以外の皆の様子が変化していることに気づく それは俺も感じ取っていた。だからこそ俺はどうするべきかを考えていた そして考えること数秒 俺は決断することにした。まず、今の自分の状態を改めて確認してみることにする 腕は

「痛ッ」思わず声を漏らしてしまう。これは完全に駄目になってる そして顔だが。こちらは少し腫れてるだけっぽいが。それも時間が経つともっと酷くなりそうな予感があった ただ。一番の問題は、俺が着ていた鎧なのだが。流石に壊れてしまっているのが目に映ってしまう。そして武器のほうも そして俺の身体には傷が一つも無い それは、恐らくではあるが勇者が手加減をしたからだ 勇者にそんな余裕は無かったと思うのだが。俺が気絶しないように注意してくれていた。それだけじゃない。もしも俺が殺されないようにするために だから、勇者の行動に間違いはないはずだ 俺の目の前にいる勇者

「勇者。お前の目的は何だ」と質問をすれば勇者は一瞬だけ困った表情を浮かべた 勇者は、リリスを俺の元から引き離したい 俺が邪魔な存在。つまり、俺を殺してしまいたいという気持ちは存在していた。しかしそれよりも優先される理由が存在するようだ その理由は何なのかが俺にはさっぱり理解出来なかった

「何でそんなことを聞こうと思ったのかが分からねぇな」

「答えられないのか」

「答える必要がないだろう」と勇者が告げると、俺に向けて拳を振りかざしてきた。俺は反射的に避けようとしたものの間に合わないと判断すると、その拳を受けることにした。しかしその結果、予想通りではあったが。俺の頬を思い切り殴ることになってしまった

「ぐぅうっ」

「悪い。ついカッとなってやり過ぎたな」勇者はそんな謝罪を口にするが、その言葉は嘘だと確信出来てしまう。何故ならば

「勇者、さん。どうして」と俺に寄り添うようにしているのがリリスであるわけで

「勇者。どうしてこんなことを」と俺の目の前に立っている女。それがリリスだ。彼女が涙を流しており、どうして泣いているのかが分からない。

「勇者さん。どうして」彼女は、そんな勇者に問いかけると、それに対して彼は苦笑して見せるだけだった。それから彼は俺に視線を向ける 何なんだ 勇者

「おい。お前の目的が何なのかを早く教えてもらおうか」

勇者の問いに、どう答えるべきだろうか。別に隠すことなんてないんだが。ここで正直に伝えてしまったところで。勇者は納得してくれるのかが不安に思えた だってそうでしょうよ。魔王を倒しに行くって宣言していた奴が、いきなりそんな風に目的が変わるわけが無いと思われるはずですし。そもそもリリスが俺のことを好きでいたとか勘違いされてたせいだし そんなわけなので、

「なぁ、魔王を倒すつもりって、無かったんだよな」勇者にではなくリリスに尋ねることにした。勇者とリリスの関係を考えれば当然の結果とも言える。ただ、勇者が不愉快そうな目をこちらに向けているのだが、そこは無視をすることに決めた。今更勇者相手に怖気づく必要はないわけだしさ

「えっと。勇者さんの方は、私のことが好きだったみたいで」

リリスがそう言ってくれたお陰もあってか。俺の考えていた内容とは違った展開になりそうな気がして来た。というかリリス。お前がそう言ってくれなければ。俺はきっと勇者のことを誤解したまま戦わなければいけない状況になっていた気がする だからリリス。感謝しておくぜ。マジでありがとな リリスの言葉を聞いて俺のことが

「お前の本当の目的は何だったんだ?」と勇者の方が聞いてきたので「俺はこの世界を救えると思った人間がいるなら。そいつと協力してもいいと思っていただけだぜ」そう言い切ることにする するとリリスのことを好き勝手してくれた挙句に手を出してきた相手は、「ああっ。成程なっ!」と言ってニヤッとした顔を見せた後にその場を離れようとする。その背中を追いかけるようにして駆け出そうとした瞬間。地面に転ばされてしまう 何が起きた?と思いながら見上げると。そこに立っていた人物と目が合った

「へぇーっ! やっぱり貴方も【魔剣】に選ばれちゃってたかっ!!」彼女はそんな言葉を投げかけてくるのだが、どういう意味なのかが良く分からない しかし

「貴方もってことは。俺が【大迷宮】を攻略したっていう情報はすでに広まっているってわけですか」俺は立ち上がりながら彼女に尋ねてみると

「そうだよぉ」と言いながらこちらに向かって飛びかかってくる その攻撃を回避しようとするのだが 何故か上手く避けることが出来ずに

「クソッタレがぁああぁああぁぁああぁぁぁああああぁぁああああぁああぁああああぁああああぁああぁああああぁぁああぁああああぁぁああぁああああぁぁああぁああああぁぁああぁああああぁぁああぁああああぁぁああぁああ」勇者の絶叫を聞きながら俺の方は意識を失ってしまった。最後に覚えている

「ごめんなさいね。まさかここまで耐えることが出来る人間が居たことには私としてもびっくりだけど。残念でした。あなたはこの世界で生きるべきでは無い存在だったの」そんな彼女の言葉を耳に入れて ◆ 俺が意識を取り戻すことが出来たのはあれから数分後の事。既に意識を取り戻した俺だが、全身から痛みを感じるようになっている。恐らくだが、骨が砕けてしまっていたりと。色々な部分に支障をきたしていることだろう。特に腕の損傷が激しいな 顔が少し腫れあがっているのも感じるし、それに口元に激痛がある。歯が欠けちまったってのは確実だよなぁこれ そんなことを思いながらもどうにか立ち上がった俺は周囲の様子を伺うことにした

「勇者」と俺は彼女の名前を呼ぶが返事はない。どうやら俺のことは完全に忘れ去っており、こちらには目もくれない状態で走り続けている。それを確認した俺はリリスと女戦士の元に向かった。俺の姿を見た2人が驚いたような表情を見せる まぁ。そりゃそうなるか。だけど俺は勇者の後を追うように促すことにした

「あいつは、あの勇者のことは、あんたらが追った方がいいと思う。勇者が向かった先は、おそらく、あのダンジョンだ。そこには、とんでもない化け物が待ち受けて居る。だからこそ、俺達が行く必要はあるのかもわからない。けど、もしも。それでも俺に付いて来てくれると言うのであれば、お願いします」俺の話を

「もちろん。あたしも付き合うに決まっているだろう。元々の用件もそちらだ」と女戦士が言うと俺の傍にリリスが近づいてきて「私は、どこまでも付いていきますから」そう口にしてくるので、ありがとうございます、と告げるとリリスと共に歩き始める すると

「私を一人にしていかないでもらえませんかね」と背後から声をかけられたので、振り向いてみれば勇者の後ろ姿を発見する。勇者が足を止めると「俺と一緒に、ついて来て貰えないか」と問いかけていた 俺は、そんな彼女に対して

「お前はリリスと幸せになる道を歩め」と告げた。そして勇者の方はこちらを見ずに、分かりました

「勇者。一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」俺は勇者に向けて問いかけるのだが彼女は首を左右に振った。しかし構わずに俺は問いかけることにした 魔王を殺すことに関してなのだがな。それは、一体どんな気持ちを抱いてのことだったんだろうなってな。それを俺はどうしても気になってしまったんだ だからこそ俺はそれを尋ねることにすると彼女はしばらく沈黙した後「別に、理由なんかないよ」と言った後で立ち去ることに決める それから勇者に追いつくことには成功することが出来たわけだが。そこで俺はとあることに気づく それは、勇者の後ろに隠れるようにして歩いてきている女の子の存在だな。しかもかなりの美少女さんだったわけでさ、思わず凝視してしまったわけなんだよね そんな俺の態度に気づいているの

「あら。もしかするとリリスの事を気に入ったのかしら。それとも私の方かしら」と彼女が告げてきたが、正直に言えば、俺としては何も思うことは無かったわけだが

「いえ、どちらにも、興味はないんです」と伝えると「そうでしょうとも。貴女の瞳には何の魅力も存在していないわ。強いていうのならば、何も宿していない虚ろな瞳だもの」と返されてしまった。俺はそんな彼女に少しだけ苛立ったものの、我慢をすることにした 勇者が何かを話しかけて来たかと思えば

「この先に行けば、もう引き返すことは出来ない。お前は本当に、この世界を救うつもりで良いんだな?」と確認をして来た。それに対しては「当たり前だろうが。俺には勇者みたいな目的は存在しない」と返答する。そして俺はさらに続ける 俺はただ自分の身を守るため。それと自分を育ててくれた家族のために戦うつもりだ、そんなことを言った その話を聞くと、俺の前にいた少女。リリスが泣き始めてしまう その光景を見てしまえば流石に俺は困ってしまうわけで、どうして泣くんだよ。とは思わないまでも。何故泣いているのかが全く理解出来なかったのは事実だった。だってそうでしょうよ。俺としてはそこまでの会話は普通のことだと思える。むしろどうして泣かれてしまうのか分からないわけだ そんな俺達の様子を見ていたリリスの母親が「申し訳ありません」と謝罪の言葉を口にしてきた

「どうして謝る必要があるんだよ」と俺が尋ねるが彼女は

「娘がどうして泣いているのか。分からないんですよね。勇者様。私が謝罪の言葉を口にしたのはそれが理由です」とリリスの母親は言葉を口にしてきたので「えっと」と戸惑うしかない どうしてこのタイミングで謝罪を口にしたのか。それがよく分からないからだ。だけども彼女が俺に謝罪したことでリリスの母親を悪く思ってはいない 何せ、リリスはずっと俺を庇うようにしていたからな。彼女は自分が悪いんだと思っているらしいが、俺にそんな考えは一切なかった。だけど俺がどう思っているとか関係なく。彼女はリリスを守るために。リリスとリリスの母を守る為に そう考えるのだとしたら

「俺は」俺はそんなことを考え

「リリスに危害を加えるつもりはない。それに。俺だってこんな場所で死にたくない」

リリスの母は俺の言葉を受けて

「ですが」と反論して来るのだが、それに対しては俺は「いいから、放っておいてくれ」と言い切った後に「あんたの娘を守ってやる。それだけだ」と告げた リリスは俺のその発言を聞いた上で母親へと「大丈夫。お母さん、信じていて」そう言って見せたのである。そして俺の背中に顔を埋めた リリスのその行動を見た母ちゃんの方が俺達から離れて行くことになる。俺としてはリリスのことが心配だった。だけどリリス自身が問題無いと言ってくれたお陰もあって

「そうですか」と納得してもらった

「なぁ」俺はリリスに声をかけると

「ん?」と疑問符を浮かべられたので俺は言葉を続けようとしたんだけどね それよりも早く目の前にある扉が開かれてしまったわけだ。そこには大きな魔物が待ち受けていたんだが だけどそんな相手を見たとしても勇者は怯むことなく前に出る その動きはまさに一陣の英雄を思わせるようなものだった。だがその英雄は俺にとってすれば邪魔な存在でしかなく。俺はすぐにその場から逃げ出すことにする

「お待ちなさいっ!」という女性の声は聞こえていたが俺は無視することにする

「なぁ勇者、あれってどういう存在なんだ」俺はそんなことを問いかけた その質問に対し彼女は「分からない」と口にして

「けど、あれがこの世界を滅亡させようとする奴らであることには違いない」とまで口にしたので、そういう考え方もあるかも。と俺も思ったのであった だけど

「お前には、関係のないことだ。それにあれと遭遇するのはもう少し後になってのこと」と言われてしまう。その言葉を聞いて俺は素直に従おうと思い、リリスに視線を送ると、俺達は2人で走り出すことにしたのであるが、ここで1つだけ問題があった。いやね、勇者を追いかける必要が無くなった以上は。これからどうしようかな、と思ったんだが、このまま

「なぁ」と俺が彼女に語りかける すると勇者がこちらに振り返り「どうしたんだ」と言われたので「勇者、あんたはこの世界で幸せになれそうなのか」俺がそう尋ねてみると、彼女の口から出てきたのは

「ああ」という言葉であり、俺に微笑みかけてきた。だから、俺も笑みで返したわけだが、そこに割り込んでくるような女がいた。それも大声でだ

「何を笑って居るんだお前らは」そう口にして俺のことを見つめてくる彼女。そして女戦士の姿を俺は見て

「勇者。この女戦士は何者なんだ」と聞くことにしたのだよ。勇者って存在は女戦士との関係ってどんな感じなんだろうか

「この女性は女戦士って呼ばれる人なの」俺が女戦士の名前を尋ねたところで、彼女は女戦士の名前を教えてくれる

「そっか。それで勇者と女戦士の関係は一体何なんだ」

「恋人同士だ」

「へぇ」

俺がその話に対して感想を言うより先に、勇者の背後から現れた女。おそらくは女盗賊が俺に「あなたこそ。私の恋人にちょっかいを掛けないでもらえませんかねぇ」と告げてきて、勇者が「なに?」と俺の顔を見据えて来ながら声を出す そんな状況で、俺の方を見ていない女戦士が勇者の方に近づいて行って

「ちょっと待ってくれ。こいつはリリスの知り合いだ」と女戦士の方を向い

「リリス。この男はお前に好意を抱いているようだ。それでもお前はまだ、こいつと一緒に居たいと思えるのか」

「私は別に、彼のことは何とも思ってはいない」そう断言してくれた その言葉を耳にしてから「お前、何なんだよ」と勇者に向かって言うが

「俺は、この国に住む者達の味方。それこそが勇者として正しい姿。勇者と呼ばれるべき人物の姿だと思っている」と勇者に言われるが 俺は首を傾げることしか出来ない 俺にとっては、そんな勇者に対して違和感しかなかった どうしてここまで自分の事しか考えずに行動する事が出来るんだ? 勇者なんて職業を持っている連中は自己中心的な人間が多い。だけど勇者の称号を持っていなかったら 普通は自分が

「俺はこの世界に救いをもたらすためにやって来た」とか言い出すと思うんだけどさ、目の前にいる男の場合は違うのだ ただただ自分が生き残れる環境を求めて動くだけで、他の人間がどれだけ死のうと関係なしといった具合だし、むしろ積極的に殺しているようにさえ見える時があるんだよな まぁだからこそ怖いと感じているわけだが。そんなことを考えていると俺の目の前にやってきた勇者は俺の手を握ってきたかと思ったらそのまま歩き始めたわけで どうしたものかと考えたわけだがとりあえず大人しくついていくことに決めたのである

「リリスさんに好意を向けられているというのは本当でしょうか」と俺の隣にいた女性がそんなことを口走るのだが、それに対して俺は答えることが出来ない というのも俺は勇者の方しか視界に収める

「おい」

「なんだよ」と声を出したわけだが。俺の言葉を聞いた勇者は足を止めた。それから俺の事をジッと見つめてきやがった。俺の方はそれを見て 何か変なこと言ったかな

「別に、なんでもねえよ」

俺がそういうと彼女は俺に背を向けることになった。だけど彼女はそれからしばらくの間。動こうとしないで俺の事を見ながら

「リリスには気をつけてください」とだけ呟いたので「どういう意味だ」と言い返すが

「いえ、貴方は気にしなくていいんです。それよりも今は。魔王との戦いに集中していただきたい。私の言っていることの意味はいずれ分かることでしょうからね」と彼女は言ったのだった *

***

****

(まさか)彼は内心でそう思うことになる。先程の出来事を思い出すと同時に

(リリスに恋心を抱かれるとはな)と思ってしまう そんな彼には少しばかり余裕があった。理由は分からないものの彼自信にも自覚していることが一つあるからだ。それは彼自身の強さである

(今の俺は間違いなく強敵を相手にしても勝てるほどの力を持ち合わせているという実感を得ている。だから俺は今のままでも戦えるはずなのだから焦る事はない。それにあの2人も問題ないだろう。特に

「なぁ勇者」と彼が声を掛けた所で「どうした?」と返事をされる そのことに苦笑いをしながら「俺とリリスの出会いについては聞いたことがあるよな」と聞いてみると 彼女は首を振り

「いいえ、全く」と言ったので「おい」とツッコミを入れてしまうと

「お前は私がどうしてこの世界に来ることになったのか。その目的を知っているだろう」と口にされたので「そりゃあ、あれだろ。あんたが異世界からやってきたっていう女神さまに会いに行って、あんたらの世界の神々に頼み込んで。この世界に転移してもらうように仕組んだ。ってのは覚えているぞ」と答えると 彼女は満足そうな表情を浮かべると

「そういう事です」と口にして そして言葉を続けた その言葉には俺も納得したのだが。同時に俺の中には不安が生まれていた。リリスが俺に対して恋愛感情を抱いているということに気がついて

「リリスを守れなかった俺にはリリスを守る権利が無いのではないだろうか」と思えたからだ。だから 俺は彼女の母親に謝り続けるしかないと思っていた 俺は、彼女が俺の手をギュッと握ってくる感触を感じ取った そして「大丈夫です。私は絶対に死なないから」と俺に伝えてくれた彼女に

「そうだな」と答えたのであった そう、俺達にとっての問題はそのあとだった。

俺達がたどり着いた場所、それがリリスの母親と初めて出会った【大迷宮】の最下層であり そこで俺達は巨大な

「なぁリリス。この魔将は何なんだ」俺はリリスへと問いかけるとリリスは「お母さんが倒した」と言ってくれる。そんな会話の中で勇者の背中に隠れてしまった。リリスにそんな反応されると俺としても寂しいわけで だからといって

「おい、あんまり怯えさせるなよ。俺達の話を聞いていたんなら理解してくれているんじゃないのか」と口にする そんな言葉を受けながらも

「この魔物が」

勇者の声が震えている

「なんだよ」俺は彼女の顔色を見ようと近寄って行くと、彼女の口からはこんなことが吐き出されることになる その瞬間、勇者の目からは光が消えると俺に向かって襲いかかってきた。しかも、剣を使って

「くっ、そ、ふざけんなっ! 勇者、あんたっ!」と俺は叫び声をあげた。だけど勇者の方は俺のことを見るなり、ニヤケ顔になる。俺が弱い存在であると判断したのだろう。俺の攻撃など避けるまでもないという感じの そして俺は攻撃を回避すると勇者に斬りかかろうとしたのだが、その行動よりも早く、勇者の一撃を受けてしまう その衝撃によって俺が吹っ飛んでしまい。地面に体を打ち付けてしまい、その光景を見たリリスが勇者に対して攻撃を繰り出す

「よくもっ!」リリスの放つその言葉は怒りが籠っていた。だけどその攻撃は空を切り、その隙に勇者がリリスの背後に回ってリリスの首に手を当てようとする

「させっかっ!!」

「ちぃ」俺が間に入り、どうにか勇者の行動を止められた だが、勇者の体は軽く、力もそこまでは強くはなかったようで、勇者の力を抑え込むことが出来ずに 俺の身体に勇者の体が押し付けられる だが、俺に出来る抵抗はここまでである そんな風に思ったのが間違いだとすぐに気づくことになった。なぜならば勇者の腕の力は、勇者自身の体重の数十倍はあり、それだけに 俺の全身の骨は軋みをあげ、折れそうになる。それこそ

「ぐぅ」

「ふふ」勇者は笑みを見せるが 俺はその姿を見て なんつー化け物だって思い知らされることになる。それほどまでに恐ろしい笑みを見せてくるものだから。だからこそ このまま殺されるってことも考えられたんだが、勇者が俺にしてきた行為というのが。俺のことを見つめてきて それからキスをしてこようとした。俺はそんな行為をされて、どうしてそんなことをされるかが分からなかった

「何考えてんだあんた」俺はそう尋ねることにした

「何とは」そう尋ね返してくる勇者に対して「いやさ。何つってもさ、この状況だぜ」と言いながら自分の身に起きている出来事を説明することにしたのだよ。そう

「なんだよ勇者。俺としたいとか言ってくれても。この場じゃ出来ねえだろ」

俺のこの一言が勇者に突き刺さったようだ。勇者の動きが一瞬だが、止まってしまうほどに強く、勇者の体を拘束することに成功した だからなのか

「うぉぉおおお」と叫んだ後に「この、馬鹿者がっ!! 勇者である私をお前如きの力で押さえつけるなんて」というセリフと共に再び勇者が動き出したわけである そのおかげで俺の体の痛みが増すことになるのだが そのことで俺の中に苛立ちを覚えるが、その時にはすでに遅かったのだ。俺に攻撃を仕掛けてきた勇者の蹴りをもろに受けて、壁に叩きつけられてしまうことになった

「かは」俺は吐血してしまい それと同時に勇者の拳が俺の顔面に直撃することになったのである。それで俺の意識は遠のいた。薄れゆく景色の中。リリスと、それから勇者の視線を感じ取りながらも俺は、その状態で動けなくなっていたのだった

***

目が覚めるとそこは暗闇の世界。

俺は一体どこにいるんだろうと思ってしまうが とりあえず

「どこなんだよここ」

そう言葉を零してから、この場所にやってくる前の出来事を思い出してみると 確か俺と勇者との戦いが始まっていて。勇者の攻撃は俺にダメージを与えることになり、勇者の力が俺を上回っていたということもあって俺は敗北することになるはずだったのだ。そう考えていたわけだが 勇者はリリスの方に目を向けていたかと思ったら 突然に勇者がリリスに向けて走り始めたのだ。そして、そのままの勢いで

「な、ちょ、おいっ! リリスから離れろ」俺は声を張り上げると 勇者はこちらをチラッとだけ見たと思ったら「うるさい、少し黙っていてくれないか」という言葉とともに俺の腹部を殴ってきた

「うぐ」そんなことをされてしまったせいで。俺は何も出来なかったのである。そして俺の事を見ているだけだった勇者は「さようなら、君のような雑魚が相手だったことに少しばかり心残りがあるが。私は行かせてもらうよ」と口にする。すると勇者は、その場から消えてしまう そんなことが起こってしまったことで 俺は リリスを守るために動くことを決断して、リリスのところに行こうとしたんだけど、俺の方が先にやられてしまう結果になり。気を失ってしまった

「だけどあれはどういうことだったんだ」と俺が言うと リリスは何かを考える仕草をした。そんなリリスを見ながら俺は言葉を続けていく

「あいつの言っていたことは本当なのか? 魔王を倒すためには勇者は必要な存在なんだろ。だったらいなくなった場合の事は考えているのか?」

そう言葉にすると同時に。勇者は何かの目的を果たすためにこの世界にやってきた。それは間違いないと思えていた その理由は何かと考えてみたが、答えが出ないまま。リリスと2人っきりの状態で俺はしばらく考える時間を手に入れることになる。しかしどれだけ考え続けても結論を導き出すことが出来ずにいたのであった 俺は魔王を討伐するための戦力を集めている。それもかなり優秀な人材であるとなお良いと考えていた。そう思っていた理由はいくつかある それはこの世界での人間の強さは、レベルとスキルによって決まるからだ その事実を知っていたから、俺は自分が求める人材を見つける必要があったので、王都まで足を運んだということだ

「まずはリリスにこの世界の仕組みを教える必要があるだろう」

そのことを考えるとリリスをこの城に置いておくというのは良くないと考えた。というのも、もし仮に勇者が俺の目の前に現れることになった時に。この世界について何も知らないままで対応しようとしてしまうと、必ず勇者に出し抜かれてしまうのは確実だろう そんなわけで

「これからしばらくの間、あんたは自由にしていてもらって構わない」俺は勇者との戦いで傷つき。ボロボロ

「大丈夫なのですか」心配そうな表情をしているリリスに対して「ああ」と口にし

「俺よりもあんたに言いたいことがある。だからリリスは俺の部屋から出ていくように。勇者がここにやってきた時の対策を考えなければならないから」と言うことにすると 彼女は渋々といった感じだったが、大人しく俺の言葉に従うようにしてくれた だから俺は彼女の事を見送ると、それから

「おい、そこに隠れているのは分かってるからな。出てこないなら出て来てくれ」そう言った その言葉に反応をしてくれたのか、部屋の入り口の方から人の足音が聞こえると 俺の目の前には金髪の女が現れる。この人は、あの勇者を召喚させた女性でもあり リリスの母親でもあるリリアさんだった そのリリアさんの容姿

「どうも」と挨拶をする俺に向かって「久しいね」と言葉をかけてくれる。そんな彼女を見て「俺が知っている限りでは初めましてですが」と答えると リリスは悲しげに

「お母さんが覚えていないだけだと思います」と口にするのだが 俺としてはそれを聞くことが出来て嬉しかったと思う。

「なるほどねぇ。ところでアンタは、この子のことが好きなのかしら」と口にしてくるので、それに答えようと口を開く前に、俺は勇者のことを

「勇者って本当に強いんですか」と質問することにした。それに対してリリアスは「私の娘よりは弱いかもしれないけど、それなりではあるわよ。それと貴方とリリスは今現在恋人同士ではないのよね」と言ってくるので 俺は首を横に振った。そして勇者がリリスに対して何をしたのかを聞きだすと「そういうことだったの。まぁあの子でなくても無理な要求を突きつけてしまえばそうやって拒否されてしまうのも分かるけれど、あの子だって悪いわけではないのだし、むしろあなたは優しい方だと私は思うのだけど。でも今はその話は置いといて」リリアさんの話によると 勇者がリリスの部屋に訪れることになった理由はリリスを城に閉じ込めておけなかったためだ そして、リリスはこの国の姫であり。そんな彼女が城を抜け出したという情報が城の文官達の耳に届き、「すぐに連れ戻さねば大変なことに」と考えてしまい。それで勇者を派遣させて。リリスの事を追いかけさせようとしたのだそうだが、リリスが簡単に捕まるはずがないということでリリスの母として。この国にいる知り合いに頼み込んで、リリスを捜索するように依頼したというのだ。だからこの国にやってきて。俺

「それで私達はこうして出会ったということになるわけだけれども。それよりもアンタにお願いしたい事があるんだよね」「お願いしたいことですか」と尋ね返していると そこでこの部屋の中で動き回ることが出来る唯一の存在であるはずの猫ちゃんの存在を思い出す。この部屋の中の様子を見ただけでも俺達が苦戦したことぐらいは想像できるはずだ。その俺達を追い詰めることができる存在にわざわざ接触させる意味などないだろうと考えることにした俺は

「なんでしょうか」と言いながら猫ちゃんの背中をさすってあげると

「その子を大事にしてあげて欲しいの。この子は私が唯一愛することができたペットだったから。だからその子のことだけは大切して欲しいなって思ってる」そんなことを言われても

「そんなこと言われても困りますって。何にもしてあげられないじゃないですか。俺は」そう言うしかなかった。だって実際問題。今の俺はただの一般人だ。そんな俺がどうやって勇者の力をどうにかするんだよと 本気でそう思った。だけどそんなことを言ってみてもこの人にとっては無駄なことだと分かっている。

「そう、じゃあいいわ。さっさと出ていきなさい。勇者はすぐそこまで来てるようだから」リリスのお姉さまはそう言うと 部屋の中から出ていこうとする。しかし リリスがその行動を止めると「どうして止めるの?」リリスに対してリリスのお姉さまはそう言葉を返した

「私からもお話しがあるのです」リリスが真剣な顔つきで言うと リリスの姉がこちらに目を向けると

「いい加減にしなさい。今はふざけている場合なんかではなくて、勇者が」とまで口にしたところで 俺がリリスとリリスの姉の間に立つようにして

「俺から一つだけ話をしたいことがあるんだ」と口にする するとリリスのお姉様は

「話だけなら聞いても良いかな」と言ってくれる。なので俺は

「俺のことは覚えていますか」リリスに視線を向けてから言うと

「残念だけど思い出せそうにないな。ごめん」申し訳なさそうにそう言葉を返してくるのである

「そう、です、か」落胆の色を見せないようにしながらも俺は、自分の体の変化が、勇者との戦いのせいで起こっているのであれば。それを何とかしなければならない

「あのですね。俺は勇者と戦っていた時に。【魔王】になったんです。その結果として。魔王としての魔力を得ることができたみたいで、その力を使って勇者と戦うことができるようになったんですよ。そして俺は勇者を倒せるだけの戦力を集めているわけで」と俺は、リリスに説明するような形で、勇者との一件を説明することにすると 俺の話を最後まで聞くとリリスはこちらの顔を見上げてきて「本当、なのか?」と言ったのだ「はい」と俺は答える。それから勇者との戦闘の詳細について話す 戦闘が始まって、俺の体は傷

「その傷は大丈夫なのか」リリスは俺の体のことを気にかけてくれていて 俺のことを治療するために動こうとしてくれるが、それは俺が阻止をすることになる。俺が動くことで勇者を呼び寄せてしまう可能性があったからだ。だからこそ俺は動くことが出来なかった。そして俺は、戦いの最中に意識を失うことになったのだが、俺が再び目覚めたのは リリスがリリアさんに事情を説明しているところを見た後で。勇者の姿がどこにもないということを理解すると、この部屋から出ていくことにした。そしてリリスとリ

「さようなら、貴方のような雑魚が相手だったことに少しばかり心残りはあるが。私は行かせてもらうよ」

俺は そんな勇者の言葉が聞こえてきた時に、何かを言われるのではないかと身構えてしまうのだが、俺の視界に映ったのは そんな俺の予想していた内容とは全く異なる光景だった。それは、この世界に勇者がやって来たという情報を得たらしい王様や大臣達が勇者に謁見するための用意を行っていた。勇者がこの場にやってきたという知らせは城中に響き渡ったようで この場は勇者を一目見る為にと集まった人で一杯になってしまったのである 俺が目を覚ました時には 城の入り口に人が押し寄せてきていた。俺は、その人たちから距離を取って、物陰からその状況を眺めていた。

「なんじゃありゃ」と呟いている間にも人々は集まり続け ついには城の城門まで人々が押し寄せていたのだ。しかも城内に居た者達で対処することが出来ないほどの数が城の前に集まってきてしまっている。そんな状況を確認した後に俺が

――リリスの事が心配だったので彼女を探してみる。リリスを見つけることが出来たので声をかけようとすると。彼女はリリアスの母親と一緒に会話をしている最中であった為に声をかけることを躊躇してしまうのだが リリスの方ではすぐにリリアスの母親が近くにいることに気づいたらしく彼女は母親の方へと向かって行く 俺はその二人に対して何を言えば良いのかを考えることになる。リアリスの事は心配する必要はもうなかったのだろうかと考えているところで、リリスが俺に向かって駆け寄ってくると「母上、どうしよう」と

「落ち着けよ」と言って俺はリリアスを見る。リリアスは、今の状況に対して何も理解していないようであり、自分がどのような立場にあるのかを理解しておらずに「勇者に挨拶をしにいかなければ」などと言っている始末であり、それに加えて、俺に向かって「君も一緒に付いてきてくれないか」などと口にしてくるのだ。正直なところをいえば行きたくはないと思っている部分があったのだが断る理由を上手く思いつかなかったために俺はリアリスと一緒に勇者がいる場所へと向かうことにした。その際に兵士さんたちに話しかけてみれば「勇者様はとても忙しい人だから」という理由で勇者には会いに行くことは出来ないと言われたのだ。その対応に俺は困惑してしまったのだが、それ以上は特に何かを口にすることも出来ないままにその場から離れることにするしかなかった。そうして

「私の名前はリリアだ。リリスの母親でもある。そちらは?」と、そんな言葉が耳に入った。そんな言葉が聞こえて来ると、リリアはリリスの方に顔を向けながら、名前を教えて欲しいということをリリスに向かって口にするのだった。そうして俺は そんなやり取りが行われている間に リリスの母親の方は、俺とリ

「俺はレイです」そんな風に自己紹介を行うと リリスはこちらに顔を向けてから俺のことを見ると「勇者さまと親しい方です」と、俺の紹介をする。だがその発言に対してリアリスは俺に対して警戒心を剥き出しにした状態でこちらを見てくることになる。

その反応は、まぁ仕方がないことなのかもしれないと思ってしまうのは俺が異世界の住人であるということと。この世界における英雄的な存在の一人であると思われる存在と知り合いであることの証明となるようなものが手元にあるからだと思う だけどそんな俺の表情や、リリスの発言を受けてリリスは俺のことを

「怪しい奴」と認識してくれたらしく 俺はそんな彼女に視線を向けられているのだった そして俺は、この国の人達が何故こんなにもリリスの事に注目するのかを考えてしまった。確かにリリスの見た目はかなり可愛らしい。だから目立つことは間違いないのだけれど。だけど、ここまでリリスに注目を集めるというのはおかしいことではないかと考え

「なんなんだ」と思わずに言ってしまう リリスの容姿に目を奪われたとか。リリスの声を聞いただけで恋に落ちそうになったと。リリスの事を天使だと錯覚しそうになった、等々 色々と リリスに対して好意的な意見を述べていくこの国の人たちを、見て思ったことがあるのだ。これは本当に異常だなと。

「そうね、私は勇者に憧れている人間の一人だし、勇者に会える機会なんて早々無いわけだから」

そう言って笑みを浮かべる女。しかしそんな女の態度に違和感を覚えることになる 俺は、この世界の人間は【聖騎士】と呼ばれている連中以外に【勇者に好意を抱いている】という話を、聞いたことがなかったので 目の前の女の話を疑うような感覚になるのだった。そして 俺は、自分の記憶の中で、目の前の女性について確認するのだが、その情報が正しいものだと分かった上で、それでも俺は、彼女の言う【勇者への想い】というものについては信じることが出来なかった だってそうだろ?勇者は魔王を殺した

「勇者に殺されたくないなら魔王は死ぬべきだ」それが当たり前の話だ。勇者は正義の存在だ だからこそ悪の存在を絶対に許さないはずだ

「勇者はお前にどんな言葉を吐いていた?」俺はそう問いかけることにした。俺の質問に対し女性は

「私は貴様に、殺されるような真似をした覚えはない」そう言って、怒りのこもった眼差しを俺に向けてきた。俺は 勇者が、何を目的として女性を、殺そうとしたのかが分からないでいた

「俺が殺した」俺は嘘偽りなく事実を、目の前の人物に伝えることに

「どういう意味だよ」

しかし俺の言葉の意味が分からず

「勇者は死んだんだよ」

「えっ、どうして。勇者が殺されたっていうんだ!」俺の言葉に対して、女性は驚愕したかのような様子を見せていた そしてそんな女性の顔に、恐怖の色が見えるのだった 俺の目に見えるリリスは。勇者を目にすることが出来たということで喜んでいるのと同時に、リリアさんに対して尊敬の意を見せているように思えた。

そして

「勇者様と話が出来て光栄であります。私の名前を覚えてくださると嬉しいのです」そんな言葉を口元にするのだったが。リリスの母親は、勇者との面会を望んでいなかったのか そんな娘の姿を眺めながら「私はもう、勇者とは会うことは望んでいない」と言うのだった。そして

「私は、リリスが幸せになれることを第一として考えているから。あの男に会う気は一切ないよ」と口にしたのである。俺はリリスの様子を観察している限りでは、彼女が本気でリリスの母親に対して不満を抱いてはいないということが分かるのだが。だからこそ 俺は、リリスの母親の発言を咎めることは出来なかった そんなことがあった。その後

「君に聞きたいことがある」勇者がリリスに向かって言った 勇者はリリスを睨みつけるような感じになっている。俺は、そんな勇者とリリスの間に割って入ろうと動くのだが、俺よりも早く動いた人物がいるのだ。その人物は、俺のことを横から押し退ける形でリリスをかばおうとする 俺はリリスを守るために動こう

「ちょっと貴方達なにをやって、あ、あんたたちは確か、あの時に。リリスを庇ってくれた人じゃないか。それにこの人は私の大切な友人です。そんな風に彼女を見下すようなことを言うのは止めてください」リリアがリリスの前に立ってリリスを守る体勢を取った リリアの行動を見てリリスの母親は「リリス、何を馬鹿なことを考えているのですか。さっきも私は言いましたよね」と言った。しかし彼女はリリスに近寄るとその手を優しく掴むと「いい加減に落ち着きなさい」と言った

「私は、落ちついていますよ母上」

リリスはリリアに、自分は落ちついているとアピールをするために、

「そんな訳ありません。私が今まで見たことのないぐらいに動揺しています」と、リアリスは そんなリリスの頭をそっと撫でていた リリスはリリアスの言葉を聞いて、一瞬で黙った。その光景を見ながら

「貴方も貴方で落ち着きなさい。リリスが勇者に会いたいというのでここに来ることになったんですよ。それを貴方が台無しにしてどうするの」リリアスに言われてリリスが落ち込んだのがわかる。だがそんなリリスにリリアは

「リリス。この場は引いてくれると嬉しいのだけれど。リリスにお願いされてここに来たんです。でも今のリリスの状態では話が進まないと思ったから、だから少し落ち着いて貰おうと思って。ごめんなさいねリリス。それとリリス、この場には王様や大臣の方々が集まっています。なので今は我慢しましょう。そうすれば王様や大臣の方々にも勇者様を紹介してもらえるようになるでしょう。そうすれば私と二人で勇者様の所に向かうことが出来るようになるわ。その時まで、今ここで、騒ぎを起こすつもりがないならば」そう口にするとリリスが「わかりました」と言って、その場で立ち尽くしてしまった。そしてその様子を見ながらも勇者と俺は視線を合わせないようにと努力をしていた そんな二人のやり取りが終わり、リリアスはリリスの手を引く形で食堂を出ていくのだった 俺がリリスに対して

「大丈夫?」と声をかけるのだが リリスは「問題ないです。それよりも勇者さま」と言い 勇者に向かって視線を向ける

「ん、俺がどうかしたのかい?」

勇者は自分の顔を指差してリリスに対して疑問をぶつけるような形を取っていた。そんな勇者にリリスは笑顔を見せつつ

「これから一緒に食事を取りませんか」そんな誘いの言葉を勇者へと告げたのである。リリスの発言に対して勇者は何を考えたのか、勇者はすぐに「リリア様は、よろしいのでしょうか」とリ

「良いも悪いも。リリアの許可を取ろうとしたら、それはリリアさんの意志を蔑ろにすることになる。リリア様が、リリスのしたいことを応援してあげたいと願っていることは知ってる。だから、リリア様が反対しない以上はリリスは俺に何かをしてくることは無いだろう」と。勇者は、そんな言葉を返したのだった。そしてそんな勇者の言葉を耳に入れたリリスは嬉しそうな顔を浮かべてから

「じゃあ、一緒に食べてくれますか」と勇者に問い掛けた。勇者はそれに対してリリスの顔をジッと見つめるのであった 俺は今現在、目の前に立っている女性に対して警戒をしている最中なのだ。勇者と二人っきりになるためにリリアに近づいてきた

「貴様は、いったい何者だ」勇者が鋭い視線を送り付けて俺のことを見据えながらそう言葉を口にする 勇者は俺の事を怪しみながら見ている。

俺はそんな勇者の視線を真っ直ぐに受け止めて そして俺が、リリスと会話をしていると「貴方達は、いったい何のためにこの場所へと訪れたのですか?」と問いかけてきたのだ。俺は そんなリリスの母さんの言葉に対して

「私の名前はリリスと申します。この度は私の友人である勇者さまと一緒にこの【大迷宮】を攻略するために来てまいりました」そんな風に挨拶を行うと、リリスの母はリリスの頭に触れてから「よく頑張りましたね」そう言ってから俺に目を向けて来た。

「そうですか、あなたが」そこで言葉を区切ると、俺に向かって微笑んできた女性に対して俺は首を傾げてしまうのだが 女性は俺の事をジーっと見ると、「私は、勇者に憧れています」そう言うのだ 俺は、女性の言葉を聞いた後にリリスのことを見ると、リリスの顔色が変わるのが分かった。俺は「俺に憧れている」という言葉に反応したのは 俺ではなく、リリスだと分かる。なぜなら俺は

「俺は貴女に何の感情も無いですよ」と言うのだが、それでもリリスの顔色は変わらないままだった。そんな時だった 勇者が「俺はリリスさんの気持ちがよく分かります」と、そんな風に言ってきたのだ。勇者の突然の発言を聞いた俺は驚いてしまった。そして

「貴女のような綺麗で美しい人に、憧れを抱くのは当然の話だと思う」そんな言葉を口元にしたのである 勇者はそんなセリフと共に笑みを見せた。

俺はそんな勇者にイラつく 俺はそんな勇者の態度に嫌悪感を抱きながらも

「勇者、お前が、どうしてこの世界に存在するんだよ」と言葉を勇者にぶつける。そしてそれと同時に勇者のことを睨みつけた 俺と勇者のやりとりを見て リリスのお母さんが「勇者?」と勇者に

「そうですね、私は確かに勇者と呼ばれている存在でございます」勇者はリリスのお母さんにそう言うと。自分の事を見てくるリリスのことを見つめ返しながら

「リリスさん。貴方が勇者に憧れているのは知っておりましたが、貴女の憧れる勇者は、貴女が思うような勇者なのでしょうか」と、真剣な表情をして

「貴方は私が考える勇者とは程遠い」と、はっきり告げたのだ そんな勇者の言葉を受けて

「そんなことはないはずです」そんな風にリリスが口を開いて反論するのであるが、しかし

「いいえ。リリス。勇者とは人々の先頭に立ち皆の為に命を投げ出して戦うものなのです。そのような心構えを持つべきなのです。リリス、貴女の思いは素晴らしいものです。しかし」

リリスは「そんな、勇者とは、もっと、人の為になることに喜びを覚えるべきだと私は考えています。そんなことを」と口にした。だが

「それが駄目なことですか? この世界での常識として」そんな風に迫っていく。そして

「私はそんな、そんな勇者なんて、絶対に認めない」そんなことをリリスは言い出すのであった。

勇者は、リリスに、自分のあり方が間違っていると指摘されたことで少しショックを受けたようだったが

「そうですか、残念です。それでは」そんなことを口にしてから席から立ち上がる。そして勇者が立ち上がった後で俺は勇者に声をかけようとするのだが

「おい勇者、ちょっとまて」

そんなことを言い出した。そんな俺の発言を勇者が無視するわけも無く

「どうしたのですか」そんな返事をしてきた そんな勇者に向けて俺は、どうして、そんなに、あっさりとしているんだと、そんな疑問が俺の心の中に浮び上がった。だが俺は

「なあ勇者、一つ聞きたいんだけど、いいか?」

「いいですけど、なんでしょう」

「さっき俺のことを馬鹿にしたような発言をしていたけれど。その発言をする前の瞬間に見せた。あの時の行動って、本気で言っているのか。それとも」そうやって質問を続ける。

そんな時に俺の耳に届いた言葉があったのだ

「リリス、勇者のことが気になるのかしら」と。その声の主はリリスの母親であるリリア そんな母親からの呼びかけに

「そ、そんな事は」リリスがそんな風に慌てるのだけど、そんなリリスに対して

「そうなのかしら、リリスは勇者の事が好きになったのかしら」リリアがそんなことを問うのである。するとそんなリリアに対してリリスは慌てて「そ、そんな訳がありません」と言い切ったのであった。その言葉を聞いてリリアが、とても満足そうな顔をする。それから俺のことをリリアは見るのであった。そんな俺も、その視線を感じて思わず顔をしかめていたのである。だってリリアは リリスの頭を優しく撫でながら

「貴方も大変よね」

リリアはそんなことを言うのだ。そんなリリアに対して勇者が話しかけると

「勇者さまは、リリスに好意を抱いているのでしょうか」

そんな風にリリアは勇者へと語りかける。その問いかけにリリスの母は、リリスと、同じ目線をするように膝立ちの姿勢になりながら

「勇者様。私は勇者様のことをお名前だけで存じておりました。この世界の人間ではありませんね。この国の方々とは明らかに容姿が違っていたのでよく覚えていました。それにこの国の勇者がリリスにご執心だったことも私にとっては興味深かった出来事の一つでしたが、しかし勇者さま。私のリリスには勇者様と、そう簡単に結ばれるという結末を迎えることは出来ません。その理由は先ほど述べたとおりです。ですから諦めてください」そう言って

「それと私に対して敬語を使わなくて構いません。リリアスの母ですからね。私にとって、勇者さまは娘の彼氏でもなければ旦那でもないので」そんな言葉を勇者に対して投げかけてから俺のことを見据えてきた。そして俺に対して

「リリアスをよろしくお願いします。娘を泣かせることはしないで下さい。そして、これからリリアスのことを頼むことになると思うのです。ですから、もしも勇者がリリスを泣かせてしまった場合は」と リリアが、俺に向かって言葉を向けてきて「その時は」と言いながら指を差してきた。そんな指を俺は 俺は「リリア様。リリスは貴女の娘じゃないんですよ」と言葉を向ける

「ふぅ、そうだったわね。そうだった。リアリス様は、勇者の妻にするために私がこの世界へと召喚した勇者の子孫だったね」そう口にしながら微笑むのであった。

リリアの態度が変わっていくのが分かる。そしてそれは俺の予想以上に早かったのだった。そんな状況の中でリリアが俺の方を見るのだった。そして俺は勇者のことをジッと見てみた

「お前の気持ちはよくわかったよ」

そんなことを俺は呟く。そんな俺に対して勇者は笑顔を浮かべてみせた。そして

「貴方の考えがよく分からない」そう口にしてきたのだ。俺は

「勇者、貴様に何が分かる。勇者が俺の事を理解できなくて当然だろう」と。勇者の気持ちが理解できると。そう言って来たことに対して

「それは違う、勇者は人々の為に」

「勇者は、勇者は人々に希望を与える」そんな事を勇者は俺に言ってくるのだった。勇者の口からそんなことを言われたのだが

「貴様が言うのであれば、そうなのだろう。だがな勇者」と

「なんだい」勇者が俺の言葉に対して反応を示す そんな勇者の反応を見ながら俺は

「貴様は勇者だからという理由で人々を救いたいと願っているかもしれないがな」と、そう言う

「そうだね。勇者は人々の味方だ。俺はそう信じているしそうあるべきだと思っている」

俺は勇者の言葉を受けて、この男を説得することは非常に困難な作業になると、そんなことを考えた。だからこそ

「勇者、貴様の思いを否定するつもりはない。俺の気持ちとしては、貴様の気持ちを理解している」と言う 俺の言葉を受けて

「そう言ってもらえると助かる。君は、俺の仲間に似ているところがある。きっと」

「俺は仲間に似てる? お前の仲間と似ているのか」と そこで俺は勇者と話をして分かったことがあった。勇者は人を救うことに異常なまでの情熱を持っているのだと。俺は、そのことを感じ取ったのである

「ああ、似ているんだ」

「そうか」そんな会話をしたのちに俺は勇者との会話を切り上げる。そして俺達三人は【大迷宮】の最深部を目指すのだった。

勇者はそんな俺の行動を見て不思議に思えたのか首を傾げていたが、特に何かを言うことはなかった。そして俺は

「それで勇者、俺は、これからどんなことをすればいいんだ?」と。

「君と一緒に行動する」と、そんな言葉を勇者が言ってきたのだ。そんな勇者に俺は「一緒に? 俺はお前と戦うつもりでいるぞ」

俺の発言に対して

「それでもいい、むしろ、そっちの方が好ましいかな」そんな風に言い出したのである。そして俺は勇者のことを見つつ

(やっぱり勇者の考え方が理解できない。勇者はなぜこんなにも余裕のある態度をとっているのだろうか。こいつは本当に勇者なのか? 俺にはそう見えない。だが)そんなことを考える。だがその前に俺はリリスに

「リリスはどう思う」と。

「私は別に構わない」

リリス

「それじゃ決まりか」

「それならばリリス」

リリス

「なに?」

「勇者のことを気に入らないのなら、勇者のことを始末しろ。それが一番手っ取り早い方法だと思うんだ。俺も出来る限りの手を打つ」

リリス

「それでは貴方にメリットが無いように感じる」

「そうでもないんだがな」と。

リリス

「そんな事ないはず」と。

「そんなに心配してくれるなんて嬉しいね」

リリス

「そ、そんな事は」

「とにかくリリス、俺のことを信じて欲しい。必ずリリスの期待に応えられるようにする」

リリス

「う、うん。信じる」

そんなやり取りがあってから俺は、まずは俺自身の強化を優先することにした。そして俺は【勇者殺し】の力を最大限に引き出せるようにしてから【魔道具職人】の力で、様々な魔法剣を生み出すことに成功した。

この世界で俺は魔法が使えない。そんな俺でも戦うための武器として魔法の力を込めたナイフを創り出した。その数はかなり多いので、このナイフを【勇者キラー】と名付けた。このナイフがあれば例え魔王が相手

「それでは始めましょう」

「おう。そうしようぜ」

勇者はそんな風に言うとこちらへと接近をしてくる。それに対して俺は自分の体を強化するための強化薬を大量に作り出すのであった。この強化された肉体を使って、さらに強くなった状態で俺自身も戦うために

「それでは行きますよ」

そう告げてから勇者がこちらに向かって駆け出してきたのである。

「行くよ」

そんな言葉と同時に勇者は拳を振り下ろした。そんな攻撃に対して俺は腕に装着している籠手で

「おらぁ!」と、声をあげながら攻撃を弾く。その一撃だけで籠手からは衝撃が発生したのであるが 俺が籠手を纏っていたのはミスリル製だった。そんな俺の体にミスリル製の装備を付けていたとしても衝撃を完全に防ぐことは難しかったが。それでもダメージを減らすことに成功していた。それから何度も連続で攻撃を仕掛けていく勇者。その勇者の攻撃をかわしながら、俺はカウンターを決めるべく勇者に接近していったのである。そんな俺の様子を見ていて、俺に攻撃をする隙を狙っていたらしい、勇者の背後に控えていた二人の男女。その二人は、勇者と共に行動をする勇者の護衛役だった。

この二人はかなりの腕前を持つ人間である。それもかなりの実力者であった。その二人を相手にしつつ 勇者は、なかなかどうして戦い方が上手く、そして強い

「お前、思ったよりもやるじゃないか」

「ありがとうございます。しかし、そちらこそ、さすがは【大迷宮】を攻略してきただけの実力は持っているようですね」

「その言い方、なんかムカつくな」

「申し訳ございません」

そんな言葉を互いに口にするのであった。そしてそんな時に俺は勇者に向かって斬りかかり、それを勇者がかわすと、すぐに追撃をしてみせようとするが 護衛役の女によって阻まれる。そしてその女の振るった槍を避けながら後ろに跳ぶ

「ふむ、なるほど」と。そう呟きながら俺は目の前の相手の動きを観察する。すると女が勇者のことを守れる位置まで下がったのだ。そこで女は俺

「貴方も中々やるようね」と。

「褒めてもらえて光栄だよ。だけど、お前の方はそんなに大したことはないようだが」と。そう答えてみせた。そして同時に俺は、女の持つ剣に目線を送る。その瞬間 女は手に持っていた武器を構え直すと、そのまま俺に向けて突き刺そうとしてきたのだ。その素早い行動に対応できたからこそ俺はギリギリ避けることに成功するのである。

この世界の住人にしては良い反応をしていると思ったのだ。

「へぇ~今のをよけるんだ」

「当たり前だ。舐めて貰っては困る」と、そんな言葉を返した直後に、俺は再び相手に襲い掛かる。そしてそんな俺に対して今度は勇者から援護射撃が入った。それにより、俺は体勢を崩すのであった。そこにすかさず勇者の蹴りが入り込んできて 俺は勇者の放った蹴りをどうにか籠手の付いた方の腕で受け止める。だが完全に止めることは出来なくて吹き飛ばされる俺。そんな俺を女が追ってきて槍を突き刺してきたが 俺は女に向かってナイフを投擲した。そして俺は

「これで、どうだ!!」

俺の投げたナイフに気がついた女は避けようとしたが、その前に女は肩に痛みを感じた。それによって、俺に視線を向けるのだったが、俺はその隙を見逃さずに女

「ふふふ、残念だったわね」と、女は笑っていたが、次の瞬

「何言ってるんだよ」と、勇者が女の後ろに現れると、勇者は自分の拳を振るおうとしたのだが、それは叶わなかった。なぜならば勇者が振り向く前に 俺は既にナイフの刃先を下に向けると地面に投げつけたのである。そして勇者が地面の方を見たのと、その音につられて二人が上を見上げたタイミングがほぼ同時になった。つまり俺は、勇者と、それに付き従う護衛の女と

「なんだ? 一体何を」と、疑問に思っている勇者。だがそんな三人の様子を俺は確認しながら、即座に別の武器を取り出していた。俺が取り出して勇者達に向けたのは拳銃という代物。

そしてこの世界では銃は存在しない。だから 勇者と、その周りにいる者達はこの武器の存在について、その存在を知っているが、どういう効果を及ぼして自分達に向けられたのか分からずに混乱している様子であった。

そして俺の方は、拳銃の扱いには慣れていないので

「死ね」という言葉を口にしてから発砲を行う。その途端、俺の視界には大量の火花が散っていった。それと同時に俺の体は銃弾の威力で弾き飛んでいたわけだが 俺の体に命中した弾丸がどういったものなのか理解出来なかったらしく、呆然としている連中に、容赦なく続けて引き金を引くと、今度は三発立て続けに撃ちだされた。そして俺は

「次はこれか」と言いながら手榴弾と呼ばれる物を二つ作り出したのである。そして、俺が取り出した手榴弾を見て慌てる三人。そんな三人の様子を確認した後に、俺は「さよなら」と言うと。その三つの爆弾を投げつけた。そうして爆発が起こる直前に

「うおおお!!!!」と、叫びを上げながら俺は、その場から離れていった。

そして俺は振り返

「お前等、生きてるか?」

俺がそんな質問をするのとほとんど同じくらいに三人の姿を確認することが出来た。勇者は爆風と炎に巻き込まれて大ダメージを受けているが、死んではいないみたいであり。それとは別に俺の攻撃から生き残った男と女は生きていた。その姿を見て俺は、やはりな、と思う。何故ならば勇者達から感じられる気配に全く乱れが無かったからだ。

それどころか勇者は笑いながら

「まさか俺の仲間を殺すつもりはなかっただろうな」なんてことを言い出す始末である。その言葉を聞いた俺は 俺は少しだけイラついたが、それを抑えてから

「悪いな。俺の目的は、あくまでもこの世界の人間の皆殺し。そのための障害になると判断したものは、例外なく殺すだけだ」

「そうかい。それならいいさ」

勇者が何か言ってきたのをスルーしながら、それからの会話は終わったので俺は再び勇者との殺し合いに集中することにした。そうしないと自分が死ぬ可能性があると感じたからである。

そう考えつつも、俺は自分の周りに魔法剣を生み出し、それらを射出させ、そして時には接近戦を挑んでいくのであった。勇者もまた、接近戦が得意だったのが幸いしたが、勇者の使う技の数々が、俺の予想以上に優れていたせいもあり、徐々に追い詰められていくのを感じていた。そうしているうちに俺の体は徐々にボロボロになり始めていたのである。

そして勇者と殺し合った後、勇者は言った

「やっぱりお前は、あいつに似ているな」と 俺のことを見つめてそう告げてきたのだ。

「似ている?俺が、あんたらが言う【魔王】にか?」

「そうだ」と。勇者がそう言うと同時に

「おい!大丈夫か!?」なんて声が聞こえてきた。声の主はリリスである。そのリリスの姿を視認した俺の意識が一気に切り替わる 俺 リリス 俺は【勇者キラー】の籠手を装着して勇者に向かって駆け出そうとするが リリスがこちらに向かってきたことにより勇者と、それに従う女は、その場から姿を消したのである。それだけではなく、そのタイミングで【転移】の魔道具を使ったと思われる人物までがこの空間に現れた。その人間は【賢者】の称号を持つ者であり その者はリリスと面識があるような素振りを見せると、それからはリリス

「あーあ、逃げられちゃった。それで、そちらの方が噂の勇者様だったんですか?私達の想像していた通りの人でビックリしちゃいましたよ」と。

そう言うと勇者に近づいていき握手を求め始めたのである。勇者は戸惑いながらもその差し出された手を握るのだが、そんな勇者に対して

「私の名乗った名前、偽名じゃないですからね。ちゃんと憶えて下さいよ。それとこれから一緒に行動することになりますので宜しくお願いしますね」と、言うのであった。その発言に対して勇者は何も言わなかった。そして賢者は

「じゃあ早速なんだけど、これから色々と説明するから付いてきてね」と、勇者に声をかけてから

「君達はどうするんだい?一応聞くけど帰るところはあるよね」と尋ねるが。それにリリは 私は帰りません!!と答えたので賢者は困り顔を見せてしまったが、「分かった。だけど王城の方に行くまでは我慢してくれ。この先に行けば安全なんだ。その先は俺と一緒に来て欲しいんだが、問題ないか?」と言う言葉を聞くと それにたいして俺達が反応するより早くに女のほうが声を上げたのだ。そしてそいつの名前はアリッサと言うらしい。

俺やリリスと同じ黒髪を持っていることからも俺やリリスと同じように日本人の子孫だと思われて間違いないだろう そんな感じでアリサの言葉に反応して賢者が動き出す直前で俺は

「待ってくれ、ちょっと話がしたい」と。そんな言葉を賢者に向けて放つ。その言葉を言われたら賢者も立ち止まらない訳にもいかない。そこで俺は改めて勇者に向かって問いかける。

お前は何者なのか、と。

その質問をすると勇者は「俺の名前を聞いて、それでも思い出せないということは」と。そう呟きつつ

「本当に何も覚えていないのか。それとも俺のことを知らないのか。そのどちらなのだ。俺が聞いていることを答えるのは、簡単なことだと思うんだが」と、勇者がそう口にしたので

「俺は勇者のことなんか知らないよ」

と、答えた。そう答えたが 俺は、あることを口にしないままに話を続ける

「それにしても随分と俺を気に入っているみたいだけど」そう尋ねてみると 勇者はそれに「まぁな」と。それだけしか答えてくれず。その答えを耳にした俺は勇者との話を諦めると、次にリリの方へと向かって 俺が話しかけようとするのとほぼ同時に 俺達の近くにまで歩いて来た男が口を開いた その男は、勇者の腰に差していた鞘を受け取るために近寄っていたようだが そんな時に俺が声を掛けた為に足を止めてこっちの方を見ていた 俺と目が合うとその男は無表情のままで 無言のままだ だが俺は

「アンタ。誰だ?」

その問いに対して 俺の方に向かって歩みを進めていた女が代わりに答え

「申し遅れましたわ。わたくしは【賢神:ヘルネシス】。貴方のことは存じておりますの。そしてわたくしが、貴方にお会いしたかったことも。ですのでこうして直接、わたくしが会いに来てみせたのですわ」そんなことを口にしたのであるが、その名前を聞いた途端に 俺と似たような存在なのではと考えを巡らせるが結論が出るよりも先に俺は、その男の正体

「俺に会いたかったってどういうことだ?」

俺がそう問うと女は

「ふふ、その件につきましてはまた後ほど」と、意味深な笑みを浮かべると 俺のそばから離れていき勇者の元へと向かうのであった。そんな二人の姿を目で追っていると俺の方は、リリスが、どうして勇者と知り合いなんですか?という疑問をぶつけてきたのである。

「ああ、それはな」

と、その話をしようとすると

「そんなことよりも、まずはこの場所を離れるのが先決だよ。だから少しだけ我慢して欲しい。すぐに俺の魔法を使って、ここを離れてもらう」と。そう言って俺の返事を待たずに魔法を行使した。だが

「なっ」と

俺と勇者の戦いに横やりを入れる形になった【賢神:ヘルネスト】が驚いた声を上げていた。それは何故かと言うと 【転移陣】

俺の目の前には、突如として、巨大な魔法文字が出現していたのである。そして俺

「なんだこれは」と思わずそう漏らしてしまうのだが。それと同時に、俺は魔法を発動させた奴が誰かと探ろうとする。しかし、俺が魔法を使用したわけではないので、俺の目にその姿を確認することは出来なかった

「おい。俺の質問には応えないのかよ」と、その言葉を俺に放ったのは俺の後方 つまり、今俺の目に見える場所ではなく、俺が振り返ることで確認することが可能な場所に立っていた人物であった。俺がその人物の顔を確認する前に勇者は、そんな俺に向かってこんな言葉を投げかけてくる

「悪いが俺は、ここで、この国を救うつもりだ。そのためにお前を利用することになるかもしれないが。悪いな。俺は、俺のために、俺が助けたいと思えるものを助けるだけだ。お前がどう思うが関係無い」そう

「お前」と言って俺のことを睨んでくるのであった。それに対して俺の口から漏れるのは、溜息だけだった。そして 俺はリリスに「俺の傍から離れてくれないか」とだけ伝えると、俺の事をじっと見つめていたリリスだったが。やがて、小さく、分かりました。という言葉を口にしてくれた。それからリリスは俺から離れるのと入れ違いで 勇者が、俺に向かって斬り掛かってくるのであった。それを間一髪のところで避けようとした俺は リリスが、俺の事を助けようと動いてくれたのを視界の端で捉えるが。リリスの動きは、明らかに遅く。このままでは俺の体が真っ二つになってしまうことを察した俺は 咄嵯

「リリス!!!!」

そう叫んだ後に俺は勇者の攻撃を避けることを諦めると同時に。

「魔法壁!!」

俺はリリスの盾になろうと思い【魔法剣:盾】を生み出し、それで自分の身を庇うと、同時に魔法障壁を展開させるが、それで完全に防ぐことは不可能だと判断できたので

「爆散!!!!」と。そう言い放つと俺は勇者の攻撃によって吹き飛ばされることを選ぶのであった。俺を吹き飛ばしたことで攻撃の手を止めることなく俺に接近して来た勇者にたいして

「お前の目的は俺を殺すことだったんだよな?それなのにお前は殺さなかったよな。どうしてだ?」

俺が勇者に対してそう尋ねると 勇者は「殺すのは、お前じゃなくて、お前の嫁さんだ。それとお前が死ぬことが世界にとって最善の道だって信じているからだ」と。そう答えるのだが。俺としては納得出来ない答えだったために

「俺を、殺したいなら、最初から、俺をさっさと殺しちまえばよかったじゃねぇか」

俺が、俺なりの考えを口にすると、それに勇者が反応する そしてその勇者は、まるで子供を相手にするように諭すように言葉を放つ

「お前が死んでからでは遅いからだよ。この国は、この国が抱え込んでいる【闇】のせいでおかしくなってしまっている。俺の力でどうにかできるかは分からないけど。それでも俺はやる。だから、俺が、この国を救うために必要な人間を殺してしまうわけにはいかない」と。

そう言ったのである。そして勇者は「話は終わりだ。もう行くぞ」と。そう言うと 俺に向けて魔法を放って来たのだった。俺に向かって飛来してくる風の刃を視認した俺は それを回避するべくその場から離れたのだが その直後 俺は背中に強い衝撃を感じ、そして俺の意思とは関係ない形で空中に浮かんだ。

俺のことを空高くに放り投げてくれた勇者は

「お前は邪魔な存在になる可能性がある。この場で確実に始末しておかないと」と。そう呟くのが耳に届いてきたが。俺の体は落下を始めてしまい その俺の元に勇者は近づいて来ると。手にしていた剣で 俺を、突き刺そうと、構えて そのまま突っ込んで来やがったのである。俺はその勇者の姿に目を向けて その勇者に、リリスを任せても良いのではないかと考えるが。俺はまだ死ぬ訳にもいかなかったので

「魔法壁!!」

そう叫んで、自分に魔法をかけて防御すると、それと同時にリリスに向かって叫ぶ。すると、リリスはその叫びに応えるかのように、その動きを変化させていった。

そんな動きの変化を見せるリリスを目

「なにがしたいんだ?」

勇者が俺から距離を取りながら、そんな声を上げた。その言葉の意味を理解できなかった俺だが 勇者の言葉を受けた直後に リリスの体に異変が起きたことに気が付き、その異変を起こしたであろう人物を探すために視線を動かそうとしたが 俺が、勇者と向き合うよりも先に

「貴様。一体何をしたんだ」

と そんな言葉と共に勇者が動き出して

「くそがぁ」

勇者に斬り殺されないようにするために、俺も動こうとしたが。しかし既に手遅れになっていたようで、俺は全身が切り裂かれるような感覚を覚え その場に膝を付くのであった。そんな俺に対して、勇者は追撃を行おうとしたが。そんな

「リリス」

俺の耳にリリスの泣きそうな

「私を置いて逃げてください。私の力だけではあの方を抑えることが出来ないのは事実です。だから、早く」と そんな悲痛な思いを口にしたのであったが。俺は、それに答える余裕が無かった。そして そんなリリスに向かって「おい、勇者」と、俺が言葉をかけるが。そんな俺の声など聞こえて居ないのだろう

「なんだよ。死にたくなければ、さっさとそこから離れて、どこかに逃げていろ」と 俺に返事をした勇者に対して、俺の背後で倒れていたはずの男が、立ち上がり 勇者に対して何かを語り始めるのであった。

そして

「私は女神さまの命により、この勇者と貴方がたを護るために行動しております」と。そう言葉を吐き出した男 ヘルネシスと名乗ったその男の事を俺と同じような存在であると推測し警戒をしていた。だが俺と似たような存在であろうと俺のように勇者が連れて来た女 ヘルネリスという名前を持つらしい女のことを勇者に任せるようなことはせず ヘルネシスの事を敵だと認識していたので、まずは 勇者を仕留める事にしたのだが。ヘルネシスという男は「リリス殿は私がお守りいたします。そして」と ヘルネシスが口を開いた次の瞬間に勇者が「魔法」と 魔法を行使するために その手を、勇者に向かってかざしたのだ。それは勇者の得意とする魔法なのか? それは分からなかった。だけど俺に、

「そんなもので」と そんな言葉を吐かせていた。何故ならば勇者の行使しようとしている魔法に対して、俺は全く恐怖を抱くこと無く そんなものは通用しないと思っている。そして 勇者の魔法に対して何の行動をとることも無く。勇者の放った魔法が着弾するが。俺が作り出した【魔法陣】は魔法が命中したとしても無傷で耐え抜くことが出来た。

俺に、傷をつけることも出来なかった。そして

「無駄な足掻きだったな」と 勇者に向かってそう言葉をかけた俺は勇者が俺に向かって魔法を連続で行使しようとしたので 俺は「させねぇよ」と 俺の事を庇おうとしているヘルネリスのことを魔法によって拘束しているのだが ヘルネシスは

「問題ありません。それよりも、今のうちに勇者を倒すべきでしょう」と 勇者に対する殺意を隠しもせずに口にするのだが

「いや。こいつを殺すのは後にしろ。こいつは、まだ利用できるかもしれない」と 俺は勇者に言葉を返すのと同時に

「とりあえずお前が持っている情報を俺達に提供して欲しい」と言うと 勇者は

「俺の質問には応えないってことか」と 俺に向かってそう言ってきたが。しかし、そこで俺と会話を続けるのではなく 魔法を行使しようとした勇者にたいして俺は「爆散!!」と、そう言って、魔法文字を作り出し 魔法を発動させると 勇者の足元には巨大な魔法文字が出現し、それが一瞬にして広がっていくと勇者の下半身と上半身に別れを告げることになったのである

「なんだよ」

その光景を見た俺はそう言葉を漏らすと勇者は自分が死んだという事実を認識していないようだったので 俺は「リリス」

そう言いながら倒れているリリスのことを起こして、それからリリスに、勇者の死体を見せて

「俺の仲間を殺さないで欲しかった」と、それだけを口にしたのだが リリスは何も答えることは無かったのであった。

リリスのことを、自分の傍に引き戻すことに成功した俺達は 自分達が泊まっている宿へと戻ると その日はゆっくりと休み。翌日になった。俺達が部屋の中で今後のことについて話し合っていた時のことである。俺達の目の前に現れたのは俺のことを召喚した女神さま その人であった 俺達の前に姿を現した女神さまは

「この国の王都はどうやら混乱に包まれてしまっているみたいね」と言い出す 俺は、それを聞いた時に、どうしてこんな場所にまでわざわざやって来てくださったのか疑問を感じたため。俺は女神様に尋ねることにする

「それでどうして、あなたがここに居るのですか? どうして、あなたが、俺が勇者と戦っていることを御存じなんでしょうか」

俺は そんな感じで女神様に問い掛けると それに対して、俺の問いかけに対して返されたのは、ある人物の存在だった

「それについては、この子から話を聞いたの」と。そう言いながら指を指したのは リリスであった

「彼女が?いったいなにを話したんだろうか?」と。そう思いながら俺はリ

「どうして、この人は、この世界に呼び出されてしまったの?」

「どうして、貴方はこの国で、召喚されてしまったの?」と。俺に対して聞いてきた女神様は俺のことを見つめてくると、続けてこう言った

「それじゃあ今度はこちらからの質問なんだけど。いいかな?」と

「良いですよ。俺が答えられる範囲内であれば」と。

俺はそう言いながら、俺のことを見上げてきているリリスを庇うように動くと その行動を目に入れた女神様が「そのリリスさんなんだけど。その方は、勇者の婚約者なのよ。そして今回の件に関してはその方にも責任がある」と その言葉を受けて俺の中に疑問が生まれる その言葉の内容から、このリリスという女性が、どういう立場の人物なのかが気になり始めていたのである。そして 俺と女神さまの間に割って入るように、リリスは前に出てくると、俺に向かって深々と頭を下げたのである 俺はそんなリリスの姿を目にしながら、女神様に「ちょっとすみません。確認しておきますけど、これは本当に俺が悪いわけじゃないんですよね?」と。俺が言うと

「えぇ、もちろん。勇者の婚約者である彼女の責任よ」

俺の、そんな発言に、俺の隣に立つリリスが反応を見せると、そんな

「私は、貴方の妻となり。この世界を救うために行動すると決めたはずです」と言って そして俺はリリスの言葉を聞きながら リリスは「私のことなんて放っといてください。私と勇者の事は私と勇者でどうにかします」と。そんなことを言うが 俺はその言葉を即座に否定することにした。俺の目の前に立っている女性は勇者の伴侶である。そして 勇者と共にこの世界で生きることを決意していた女性なのだ。だから

「勇者とリリス。お前は二人で、これから先。どうやって生きていくつもりなんだ。俺と、リリスの関係性について教えておくと、俺とリリスはお互いに助け合っていこうと約束している関係なんだよ。そんな、お前たちが二人揃って不幸になっている姿を黙って見てはいられない。リリス。俺の言っていることが分かるよな?」と。俺はリリスに向かって、そう語りかけるが

「私は」と。言葉を途中で区切ったリリスは俯くと すぐに顔を持ち上げると、その顔を上げた時には覚悟を決めた表情を見せていて。そのまま言葉を発した

「私は勇者と離れることは出来ない」

「勇者と一緒に、私は生きていきたい」

はっきりと、俺に対して、そう言葉を放った

「それがリリスの意思なのか?」と 俺はリリスに対して、そう聞き返しながら、俺は心の底では理解していて。そんな事は無いはずだ。と思いながらも、俺はリリスに

「リリスは俺のことを嫌いになってしまったんじゃ無いのか?俺のことを、リリスを護れなかった俺のことを恨んでいないとでもいうのなら。そんな言葉を聞かせてほしくは無かった」と。俺がそういうと

「違う。そんなことで私が、貴方の事を嫌っていると思っているんですか?そんなことを思っていますよね?だって私が貴方のことをどれだけ好きなのかを分かっていない」と そんなリリスの言葉を聞いた俺は思わず、リリスの肩を掴もうとしたが。俺の手がリリス

「お前」

勇者が死んでしまってからはリリスの体も弱り続けていたようで、俺は勇者の使っていた【聖水】を使い続けないとダメだとか。リリスの体を治すためには【聖薬】が必要になってくるとか。そういったことを考えていた俺の前で 俺のことをじっと見据えてきたリリスは 俺が伸ばした手を両手で握りしめると

「大丈夫です。私はずっと一緒に居ます。絶対に、貴方の傍を離れない。どんなことがあっても」と言ったので

「ありがとう」とだけ言って 俺はそれ以上リリスのことを心配するようなことはせずに ただただリリスが元気になることを祈っていた。リリスは勇者が殺された直後は 俺が魔王を殺した後に、俺に対して向けて来た

「あの人を」といった発言を口にするようになっていたのだが その発言は勇者が死んだ後も続いていて。俺はリリスの口から出てくるその言葉を聞いてしまう度に「お前が勇者と添い遂げたいと思うように勇者と俺もまたお前たちと同じように。共に生きたいと思う存在が別に居る」という様な事を、俺は 俺の気持ちを理解して欲しいという思いで口にするのだが。それでもなお

「私は、勇者の傍を離れることが出来ない」と言い続けている。そんな姿を見ながら、俺はリリスに俺の気持ちが伝わっていないことを嘆きながら、俺は、しかし俺自身には勇者と結ばれる資格が無いことも知っている。なぜならば俺には、既に妻がいるのだ。俺に好意を告げてくれていた

「彼女」は 今では俺の妻となって、そして勇者が俺に殺意を抱いていたことを知ってしまったために、彼女は勇者の殺害を決意してしまっていたのだ。俺に その決意を伝えた妻は「お願いします」と 涙ながらに俺のことを見つめながら その願いを口にしてきた。

「あなたが死ぬようなことになったら」

その言葉が発せられた次の瞬間に、俺の頬を思いっきり叩くように叩いてきた妻のその行動が、俺に勇者との決着を付けさせる為に起こしたものだと知っていた俺は「ごめん」と、俺が謝る言葉を口にするのだが 俺に「許さない」という言葉をぶつけてきた妻との間には、俺がこの世界に呼び出されてから築き上げた絆が存在していない

「そんなに勇者のことが大事なのかい?俺の事を愛してくれていると思っていたんだけれど。違ったの?」

俺に対して勇者を殺して欲しくなかったらしい。俺の知らないところで、何かが起きていたことは間違いない。しかし、勇者の奴め。どうして俺のことを殺しに来る?そんなことを考えてしまう。俺は勇者のことが嫌いではないのだが。俺を殺そうなどと 思っていないはずの勇者は俺に明確な意思を持って攻撃を行ってきていることを確信した俺は

「まぁ、どうでもいいや」と 考えることを放置した リリスの体調が少しずつ良くなってきていることから 勇者を討伐した後は俺が傍に居なくてもリリスの体の調子が良くなるのではないかと

「リリス」と。名前を呼びながらリリスのことを見つめた リリスが俺の方へ振り返った際に見せた笑みを見て俺はリリスが生きているという事実を確認することが出来た。それはリリスの顔色がとても良くなっているからである。そして今ならばリリスにも勇者を殺すことが出来るんじゃないかと思った俺は、「少し外に出掛けないか?」と。そう言うことにするとリリスはすぐに立ち上がり 嬉しそうな声音を発しながら返事をしてくるのだった 宿屋を出た後は俺達二人で王国領内の街を巡って行くことにすると、そこには、以前訪れた時に感じたものよりも遥かに多い人々が存在していた。そしてその人々の視線を一身に受けているのは俺と

「勇者さま。私のために戦ってくれて本当に嬉しい。勇者さま。あなたとなら私達はきっと幸せな家庭を築ける。ねぇ、そうだと思わない?私はね、あなたのためだったら、どんな犠牲を払ってもかまわない」

勇者と、そんな風に話している、勇者の婚約者を名乗る女性の存在があった。俺の目の前にいる女性は確かに勇者が俺に向けてきた敵意に似たような感情

「リリスと勇者様。二人は結婚して幸せに過ごすべきなのよ」と。そんなことを口にしている。俺はそんな言葉を耳に入れながらも

「おい、勇者、お前。何を考えているんだ」

俺の声に反応してくれたのか、こちらを向いたかと思えば、すぐに俺の前から立ち去って行ってしまう勇者の背中を見つめながら

「リリス。あいつはお前のことを大切にしてくれる。俺なんかとは違って、リリスを悲しませることもない。お前の為に全力を尽くそうとしてくれたように、今度は、俺とリリスとで一緒になって頑張っていけば良いじゃないか。それにお前は気付いているだろ?」

俺が問いかけるような口調でリリスへと問い掛けると、その言葉を聞いたリリスが首を横に振っている様子を見てしまった俺が次に目にしてしまった光景は俺にとって衝撃的なものであった。なぜならリリスが自分の胸に手を当てたからだ

「私は勇者と共に生きる道を選んでしまった。でも」そんな言葉を残して走り去っていったリリスの姿が見えなくなってしまうのと同時に俺は駆け出していた だがそんな行動をしても もう遅いということを理解するしかなかった俺は

「どうして、リリスなんだ」そんな疑問を抱く リリスの後を追いかけようとしても追いかけることが出来ない状況にある。なぜならば街の人々から俺に対する好奇の目が突き刺さって

「あの方は?」「あんなに若いのに」

俺は街の人の言葉を無視して「あの」と、声を掛けると「何ですか勇者殿」「どうかしましたか勇者様」と。俺はその言葉を聞くだけで 勇者の野郎がリリスと一緒に居ることがどういう事を意味しているのか。理解してしまう自分が居て

「すみません。ちょっと、あの勇者がリリスと一緒に歩いているのを目撃しまして。それで、ちょっと気になっちゃって。えぇっと、すみません」

俺はそんな言い訳を口走って

「勇者殿。リリスさんと一緒に歩かれていた勇者というのは貴方のことでしたか」

勇者がこの街に来ている

「勇者が」と。俺は心の中で呟いた。俺は勇者の事を 心の底

「俺とお前とでは」と 俺はその言葉を言い終えるまでもなく、すぐに言葉を切った。そしてすぐに「俺は」と言いかけた言葉を「俺には大切な家族が居ます。妻だって」と。そんなことを口にしていた 俺は俺自身が抱いている 勇者への殺意についてを。その言葉によって覆い隠すことに成功したと思いながら

「勇者がこの場に居ても俺は何もしない。何も」そんな言葉を続けようとした俺の言葉を 遮るように一人の男性が

「勇者様、貴方には勇者である資格がある」と そんなことを言ってきた

「だから」と言って、俺の前に

「勇者が貴方のことを、貴方の妻を殺したというのに、勇者のことを恨まないというのか?勇者のことを愛したままなのか」と 俺のことを見据えてくる そんな男性の姿を見て 勇者の婚約者を名乗っていた女性の姿が重なっていく

「勇者は悪く無い。俺は勇者のことを憎むことが出来ない」俺はそれだけ

「俺がお前たちの事を邪魔しなければ」そんな言葉を吐き出すと 勇者の婚約者と名乗っていた女性は勇者の隣に立ちながら 俺を見据えながら、勇者の手を取って

「勇者様には私が居るの。貴女のような偽物の女なんて」と。そんなことを言うのだが 勇者の表情を見る限りだと勇者がその言葉に対して怒ることは無く 俺の前で 勇者の婚約者と名乗る女性が口にする

「貴方は勇者を愛していない。でもね、私は違うの。貴方と違って私は本当の意味で、彼のことを愛することが出来ていて。私は彼だけを想っていて」

その言葉を聞いた時俺は目の前の 勇者のことを好きになっている 俺の妻のことを考えると

「俺は、俺のことを愛してくれている人の傍に居なければならない。俺のことを好きだと、愛してくれている人を蔑ろにしてまで俺は、勇者と添い遂げることは望んでいない。俺が、勇者の傍に居ると決めたのはあくまで、勇者の力を借りることによって俺の力が、もっと強化される。その可能性がある。それ故に、傍にいる」と。俺は自分の口から、

「勇者は、魔王と、そしてお前と添い遂げたいとは思ってはいない。勇者は俺の妻を本気で愛してくれている」

俺は勇者に向かって

「俺が、お前と戦うのは。俺のことを愛してくれている人と、添い遂げたいという想い。お前とは」と そんな俺のことを見つめてきている勇者は 勇者は勇者なりに 俺に対して何かを察知することができたのかもしれない。そんな雰囲気を出しながら

「魔王。私はお前と敵対するような真似はしたくは無い。私は、魔王に危害を加えるつもりは一切無い」

そんなことを言って来たのだ

「魔王と勇者。二人共、私の夫となる男よ」

勇者は

「勇者」という言葉を口にして 勇者は、魔王と呼ばれる存在のことを抱きしめてきたのだ。

それは勇者と、俺の 目の前で行われている光景だった。その出来事を俺の目がしっかりと認識できた時には、勇者が俺のことを殺そうとする素振りを見せてきて。俺は 勇者に殺されてしまうのではないかと思いながらも、勇者の腕を振り払うことをせず 俺は「どうして?」とだけを口にする 俺の妻が殺された リリスと勇者が楽しそうにしている様子を目の当たりにした俺は 俺の傍を離れようとしているリリスのことを止める

「ごめんなさい」そう言うリリスの言葉を聞きながらも

「待ってくれ」

と、俺が言葉を掛けようと そんな風に思った時に、しかし、俺とリリスとの間には 勇者の剣が迫って来ているということを理解出来た 勇者と俺との間に生まれた子供と 勇者の婚約者が、お互いに、見つめ合う形で、しかし、お互いのことを全く意識していないかのようなそんな状態で。二人は見つめ合っていると

「どうして、どうして私じゃなかったの?私の方が絶対に」そんなことを言い出している 勇者の婚約者の様子が、やはり、俺と俺の目の前で 俺の妻が勇者と婚約関係を結ぶことになった理由を知っている俺にとっては 目の前に立っている女性の様子はどこか不気味に見えて仕方が無いのであった

「リリスは、俺と勇者が結ばれることを望んだんだよ。俺達はお互いの気持ちを伝え合った」

勇者が振るう聖刀

「勇者の聖剣」は

「勇者と魔王。その二人が結婚することを望んでくれたんだ。だからリリスと俺とで勇者と結婚することに決めたんだ」

リリスも俺のことを殺すつもりだったと聞いたことがある。だから俺はその事実を口にすると勇者は俺の目の前から離れて行って

「勇者、俺とお前は、俺達は敵同士じゃないんだ」

そんな言葉を伝えると勇者は俺のことを見下ろしながら、そして勇者の婚約者はそんな勇者を 勇者の視線を追い掛けていくように、そんな感じで、勇者の視線を追っていった。勇者の視線が俺の後方へと向かうと、勇者の婚約者も 勇者と同じ視線の先を眺めるような仕草を見せた後に「リリスさん?」と。俺の 背後に

「リリス」という名前が聞こえて来たと同時にリリスの姿を見つけることが出来た俺は「リリス!」

俺はリリスの名を呼ぶ 俺の声が届いたようで リリスの瞳が大きく見開かれ 次の瞬間にはリリスが俺の元へ向かって駆け出し そんなリリスの姿を見て 勇者が「どうして?」と。そんな声を漏らした。

俺はそんな勇者の声を聞いている間に リリスは俺のすぐ目の前にまで近寄ってくると そのまま勢いよく抱き着いて来て リリスを抱き留める形で 俺はリリスのことを強く強く リリスの温もりを確かめるように抱きしめるのだけど そんな二人の様子を見てしまった 勇者の婚約者を名乗る女性からは 勇者はどうすることも出来ないのだろうけど、 俺は俺の後ろ

「リリスさん?」と。リリスの名前を呼んだ女性の言葉に対して 勇者がリリスの名前を呼んでいる その言葉を聞くだけでも分かる リリスは本当に勇者のことを愛してしまっていたのか と 勇者がリリスのことを殺してくれる可能性はなくなった。リリスの身体は勇者にとって害になるようなことはない。俺は勇者とリリスの関係を目にして、改めて確信を持つことが出来る。だからこそ俺はリリスのことを安心させるべく

「リリス。大丈夫だよ。勇者が君をどうにかしようとしても、俺は負けない」そんな言葉を掛けてからリリスの背中を撫でると リリスの肩が震え始める

「怖かったの。私、もう、あの人と二度と会えないのかって」

「リリス」

「あの人に私は殺されるんじゃないかって」と リリスの言葉を聞いた俺が次に耳にしたのは勇者が「リリス。リリスは勇者が嫌いなんだろ?」と。そんな言葉を口にしていた 勇者がリリスに問い掛けるのだが、リリスはその言葉を耳にしても特に表情を変えることも無く 勇者の言葉に対して返事をすることなく「リリスは」俺のことを優しく包み込むようにしてくれる。

そんなリリスが俺に語りかけてくる言葉は「リリスが」という言葉を リリスが俺に教えてくれるのである 勇者はリリスのそんな反応を見て何を思ったのだろうか。勇者は勇者として 俺の事を殺せなければ そして 俺はそんな勇者

「勇者様」と 俺のことを助けに来てくれていた勇者のことを、勇者の婚約者である女性は呼び止める

「魔王を討伐しに行くというのであれば、勇者殿。貴方に同行させていただきます。魔王を倒すのが貴方の目的なのですよね」と。勇者に言葉を告げる。そんな言葉を受け取った勇者の返答は

「俺は勇者である。だから、この世界に存在する全ての魔物達を倒してみせない。この世界で苦しんでいる人々を助ける。それが勇者である」と。そんな言葉を勇者は勇者の婚約者である女性の前で行ったのである

「勇者殿」

「魔王を倒しに行きましょう」と。そんな勇者に女性の方は言葉を続けて行く

「私が貴女の力となります」と。そう言って、女性の方は微笑んでみせるのだった。

女性の方に笑いかける勇者と女性の方を俺は 俺はただ見据え続けるしかない。俺の目は 俺と俺の妻との子供を慈しみ。俺を見つめてくれている そんな優しい眼差しの 勇者のことを 俺のことを見つめ続けてくれる女性のことを見つめ続け

「あぁ」と。俺は 俺の妻のことを愛している

「愛しています」そんな言葉を勇者に告げられたことで動揺を隠せなかったのだ 俺のことを愛してくれている人達のために。

「リリス。君は勇者に殺されかけた」と 俺は勇者に対して、強い口調のままに、言葉をぶつけた リリスの事を愛おしく想ってくれている 勇者に向かって 勇者のことを睨むような態度を取りながら 勇者のことを俺は 勇者のことを愛してくれている人の傍に居たいと思う。俺のことを愛してくれている人を蔑ろにしてまで勇者と一緒になろうと

「リリスは勇者のことを愛していない」と 俺はリリスのことを守っている勇者に向かって そう言い放つ 勇者が俺のことを殺さなかったのは勇者の意思ではないのかもしれない。しかし、俺は、それでも、俺のことを愛してくれているという人を蔑ろにしてまで俺と勇者が結ばれることを望まないし。勇者は勇者なりの理由で、俺のことを殺さない。

しかし俺は勇者のことを睨むようにしながら 俺のことを愛してくれている人を蔑ろにしてまで、自分の気持ちを押し通そうと

「リリス。俺の言葉を聞いて欲しい」

そう口にした俺は勇者の婚約者の女性に抱き締められながら、そんなことを口にしている リリスのことを見つめながら俺はリ

「俺の妻を殺したのは勇者だ。俺の妻をお前は殺したんだよ」と。そんなことを言ってしまった。そんな風に言われてしまうことを予測できなかったのかどうかは不明だけど、そんな風に言い放った俺に「そんな言い方をしないでください」と、勇者の婚約者の女性が言いながら、俺とリリスのことを引き剥がした。そんな風に引き離されたことで俺の視界に入って来たのは 勇者に寄り添いながら 勇者のことを上目遣いで見ている勇者の婚約者の女性のことが 勇者の婚約者の女の人に対して勇者は「勇者」という名前を口にすると、俺の方を見る勇者。

「勇者が」

俺が「勇者が、魔王を倒した後に、どうするか分からない」と 言うことになると、それに呼応するかのように「勇者」と言い出した女の人がいるわけだが そうして俺達が会話をしている間も 相変わらず勇者と勇者の仲間達の方では 俺の知らないところで色々とあったらしいんだけども ともかくとして、今は俺とリリスの関係について話したい そんなことを考えた俺は、「俺の妻を殺したのは誰だって?勇者。それは勇者。君自身じゃないか?」なんてことを俺は勇者に向けて言い出すのだったのだが

「どうして、どうして勇者の聖剣が」そんなことを言いながらも俺に斬りかかってくる 俺の妻が殺されたのも 勇者と俺の仲を引き裂こうとしたのも 全部 目の前にいる勇者が

「リリスを傷付けようとしたお前の行為は全て勇者が、俺の愛する妻を殺してくれた。俺はお前のことを許さない」

俺は俺の妻が殺された時に抱いた感情 その全てをそのままに 勇者のことを睨みながら 勇者のことを追い詰めようとする。だけど

「勇者の聖剣」を操り。そしてそれを使いこなしている勇者の戦闘能力はかなり高く。俺の繰り出す攻撃を全て防がれてしまっている 俺と勇者の戦いが始まろうとしたのとほぼ同時に 魔王城の中を動き回り、情報収集を行い続けていたはずの俺の部下達は俺の元へ戻って来て、報告を始める

「魔王陛下」と。

そんな魔王の配下の兵士達の言葉を受けて 俺の耳に届いて来るのは、俺を殺せ 魔王を殺して、この世界の平和を乱す者達を討ち滅ぼしてしまおう そんな考えで 俺を殺そうとしてくる人達の存在を知る 俺の耳に届く そんな声があまりにも大きく聞こえてきて。

魔王が部下にした人間に 俺は魔王に勝てなかった そんなことは、俺は知っている。

「魔王を倒せば俺達は英雄扱いだ。そうなったら俺達に危害を加えてこようとしてるやつらの好きにはさせねえぞ」とか。俺には俺を暗殺しようとしている奴らが、そんな風に言って 勇者に俺を討伐させようとして

「ふざけんなって。お前達のような輩を野放しに出来るかよ」と。勇者がそんなことを言い始める 勇者の言葉を受けた俺が勇者に何かを問いかけるようなことはない 俺とリリスのことを見守ってくれていた女性の方は「勇者殿。勇者殿は、勇者殿が私と共に行動しているのを知られても構いませんか」と。そんな言葉が女性から漏れる 勇者の婚約者の女性の言葉に俺は心の中で、女性に

「勇者のことを守ってあげてください」と、そんな言葉を投げ掛ける 俺は俺のことを守ると言ってくれるリリスの事が大切だから そんな風に思ってしまうんだ 俺が女性のことを見つめると女性は 女性に俺のことを助けに来てくれた騎士のことを思い浮かべる そんな女性が、勇者のことを守りたいと思った そのことに間違いはないのだと思うけど そんなやり取りを俺は目にしていて。

「リリス。大丈夫だよ」と そんな言葉を掛けることにした。リリスが

「勇者様の傍に居たいの」

そんなことを言うと、勇者の傍にいたくて、勇者の近くに居続けた 勇者がリリスのことを手にかけようとしていたのを知っているからこそ

「俺は君を愛してる。だから勇者と一緒にならないでくれ。勇者と一緒に居る君の姿を見たらきっと俺は嫉妬してしまう」

そんな言葉は嘘

「リリスは」

勇者が「俺は勇者」と。

勇者の口から言葉が漏れ始める。「俺は」

勇者に抱きつき、勇者の腕の中に納まる女性の事を見つめている女性の事を見つめ続ける男性の 勇者のことを 勇者と、女性と、女性の夫である男性が 女性と女性の夫のことを愛し 勇者は 勇者が、そんな勇者に付き従っている勇者の婚約者のことも大切に想う。大切な

「俺の妻を。俺の子供を、殺したくせに」そんな勇者に対して そんな言葉を俺は吐き続けるのである。「俺は」

俺は俺のことを愛してくれる人達のことを見捨てたくないし。俺のために命を散らしてくれた仲間達が

「俺の家族を奪った」

勇者のことを睨むような視線で俺は見据え続けて、勇者のことを倒す 勇者を魔王城の外に出してから、勇者を討伐しに行くのだと

「魔王を討伐しに行く。俺が魔王になって」と そんなことを俺は口にすることになる。

魔王は勇者の嫁さんだからね

「勇者が魔王になる。そうすれば」と、そう言ったのは、勇者の婚約者だった女性

「魔王が、あの男を殺すのを待っていれば、俺が、勇者を殺したことになる」と。俺は言葉を続けていく。俺は、魔王城に残っていた。俺に協力して 俺に力を貸してくれた人達に向かって。俺が勇者のことを殺すことを望んでいただろう人に向けて、俺の想いを口にすることにしたのだ そんな俺は俺の言葉を聞く

「魔王さま」と。

そう言ってくれた人がいることで、俺の視界の中には 俺の事を、俺の妻を殺した相手を殺せ とばかりに 殺意を抱いている人の姿が確認することが出来る そんな状況で俺は 勇者の事を討伐するための準備を進めながら俺は思う 勇者を殺したところで、世界が変わるわけではない。と 俺がどれだけ勇者を憎もうとも、どれだけ、世界を呪いたいと願っても、そんなことは何一つ変わることなど無い そんな俺の心の奥底にあった気持ち それが俺の中から吐き出され始めたのを、感じ取ることが出来てしまう俺は ただ、ただ。

俺の気持ちを知って欲しかった。

俺の妻の気持ちを理解してほしかった。

俺は、俺自身の

「俺は」

「勇者のことを愛していたのに」と。そんな俺の声を聞いてしまったリリスのことを抱きしめながら俺は涙を流す 勇者の事を恨んでいる 俺に殺された俺のことを愛してくれている人は その全てを。その恨みを忘れることなく 魔王の城を出て行くのと同時に俺は魔王の力を手に入れる 魔王になった。俺は魔王となって。それから、勇者のことを殺そうとするために

「勇者のことを愛してくれている人のことを蔑ろにしてまで勇者と一緒になろうとは思わない」と。そんな言葉は俺が口にすることは無いと思う だって。

「リリスは勇者のことを愛していない」

俺の耳に入る、リリスと勇者の婚約を祝福するような人々の言葉

「勇者のことが嫌いだ。リリスが俺のところに戻ってくるなら、お前達の望む通り。リリスのことを勇者には渡さないように、リリスを、俺の側に置くようにする。そうすることで、リリスは、お前達の手に渡すことはない。勇者のことを好きな女は勇者のことを好きだと、お前達のことを好きでいる必要なんてないんだよ」と そんな言葉が勇者の婚約者の女性に向け。

「俺はリリスのことを守っていくよ」

そんな言葉を聞いた、勇者の婚約者の女性が 涙を流したように見えたのだが、気のせいだろうか?と。俺が疑問を抱きながらも、そんな風に勇者のことを 俺は俺の意思を伝えるのであった。そんな時のことだった

「魔王陛下。ご報告したいことがあるのです」と。そう言って現れたのは 勇者の婚約者であり、リリスの友人でもあった。その人 俺の部下に勇者の居場所を確認してもらい その場所へと赴くことにした。

そうして俺の前に現れた、勇者の仲間の男性は、「俺に復讐の機会を与えてくれないか」と。そんなことを俺に向けて言ってきた。「俺が、貴方の愛する人を俺の手で殺してしまった。そんなことは許してもらえるとは思ってもいない。それでも。どうか俺を許して欲しい。俺が殺さなければいけなかったあいつらを殺してくれた。俺の仲間のしたことに責任を感じてしまっている」そんなことを、勇者のことを慕ってくれていたその男性から言われてしまい そんな言葉

「俺に」なんて言葉を 俺は勇者に言われたことはなかったんだ 勇者のことを好きになってしまった女の子達がいる だけど勇者が そんな子達のことを見向きをするわけもなく そんな言葉が 俺は 勇者の傍にいたくて 勇者のことを見ている 勇者がリリスのことを 見てくれるようになってくれれば 勇者に俺の傍にいてもらって

「勇者のことを殺してくれ」と言う言葉が

「勇者のことが好き」だと 勇者のことをずっと想っていて 勇者のことを支えてあげたいと思っていたはずの人達に向けられるようになったのは

「勇者のことを」と、そんな言葉を向ける人達に 勇者の傍に居たいのに、どうして邪魔をしたんだと、そういう気持ちを抱いたままに殺されていってしまった人達の言葉が向けられ始めた

「魔王陛下。私を」そんな言葉 そんな言葉で 勇者のことを愛する女性達は、自分達の命を犠牲にして、俺に「勇者のことを頼んだ」って言うような言葉を遺した 俺の部下に殺された人達の魂が俺に集まってきて 俺はそんな声を聞けるようになるんだ 俺が魔王になってから

「お前達に勇者のことを任せることが出来るのか?」とか そんな声が

「私を」そんな言葉と共に聞こえてくる 俺を勇者に殺された女性

「私は勇者を。この世界に君臨する者達のことが大っ嫌なんだ」と 俺の配下になった女性が そんな言葉を伝えてくれ 俺はそれを受け入れてから。

俺は勇者の討伐に旅立つことを決めた。

「私の願いは、私が殺した彼等の死をなかったことにしない。その為には勇者に殺されるのが丁度いいのよ」

勇者のことが好きだった。

そう思っていた女性 俺に助けを求めてきた

「俺が、君達のことを必ず守り抜くよ」と、俺がそう伝えると 女性達が俺に抱いていた信頼感みたいなものが 凄い勢いで大きくなっていくのを感じることができたから。だから。そんな言葉を口にすることにしたのだ そんな

「俺は勇者のことを愛している」と、そんな言葉を俺が口にしているのを聞いて。

「私だって」

そんなことを言っている人達のことも俺は受け入れていこうと考えているんだ。

俺の側に居たい そう思っている人達の望みをかなえること 俺に出来る限りのことはやってあげようと。俺はそんなことを考えていた。だからこそ俺は「俺の大事な妻を死に追いやった男を勇者にすることは絶対に無い。もしも勇者のことを助けたいというのならば。お前達が勇者のことを救えばいいだろう。だがな。俺はそんなお前らのことを許すつもりはないぞ」と言い切ることが出来た 俺の前に姿を現さなかっただけで。俺が魔王として覚醒したときに「貴方の力を貸してほしいんです」「僕たちの力だけでは勇者に対抗することが出来ないんですよ」などと。色々とお願いをしてきやがった連中がいたのだが その全てが、どうしようもないくらい、ろくでもないものだったんだが、その事実は今は関係ないだろうと思うことにする。というより忘れることにした まぁなんとなく察して欲しい。こんな状況で他のことを考える余裕があるとは思えないんだから仕方が無いと思うのだ そんなことを俺に伝えてきている奴等は、きっと自分の行いによって自分が何をしてしまったのかということを知る機会を得た方がいいんじゃないかと思ってしまうんだけどね 本当にさ そんな風に思うんだよ。うんざりしながらね という訳でだな そんな話を俺にして来た奴等のことは全員ぶっ飛ばしておくことにしているんだ。当然

「お前達が」俺のことを見つめて来ているのである。俺の妻を死に至らしめることになった、元凶 勇者のことを好いている女は、皆、死んでしまえばいいとばかりに思っているのである。俺を、俺の妻が愛してくれた勇者を。リリスは俺の妻だからね リリスのことを傷付けようと思っている輩は、一人残らず始末しておく。そう決めた俺は 魔王になった俺は 勇者のことを助けるような真似はしたくないと思いつつも 俺のことを好きだと。魔王の配下の女性達はそんな風に思っているのだ。だから。魔王の城の外で、俺の目の前にいる人達に「俺の大事な奥さんを傷つけようとしたあんたらを許さない」と言って、俺が、俺の配下になった人達と手を組むことにしたのだ。魔王の城の中じゃなくて外に姿を現しているのは 魔王城の中では 俺の妻の味方になってくれる人が大勢いた。しかし、外に出てしまうと俺のことを愛してくれている人達と敵対しなければならなくなる可能性があるのだと俺は考えたのだ。そんなことを俺が考えていたから 俺に勇者のことを愛していた人達は俺に対して敵意を見せることはなく、ただ俺のことを見続けている。

そして、俺の言葉を聞きながら、涙を流しているのが見える 俺は「リリスは俺のことを裏切らなかった。リリスだけは俺のことを愛し続けてくれた。勇者のことなんて俺にとっては何もない。ただ俺が愛する女性はリリスだけだ」そんな言葉を俺に言ってくる

「勇者のことは嫌いだ。俺の事を騙すだけの為に、俺の妻を殺したあいつが憎くて憎くて仕方が無かった」

俺はそんな言葉を吐くと。俺は、俺のことを、魔王様と呼ぶようになってくれた、そんな人達を見渡しながら、口を開いた。俺の妻を殺した勇者のことを俺はまだ嫌いだし。許すことは出来そうに無いけど。だけど 俺のことを慕ってくれた人達のことを信じたいと。

そんな風に思ってしまうようになった。

「俺は」そんなことを俺は言って 俺は、勇者のことは許せないと思う気持ちと、許したい気持ち その二つが、心の中に渦巻いていて。勇者に対する憎しみと

「愛したい。リリスのことを愛し続けていく」

「勇者のことを好きだと思っていた女達を全部殺した後に」俺はそんな風にも考えてしまっていたりするのであった。そんな俺は 俺に向かって殺意を向けてくる女達の相手をする為に 彼女達との会話を続けることにした 俺のことを好きだといってくる そんな人がいるんだ だけどさ 俺はリリスを愛している。俺のことを好きになってしまったのかもしれない。もしかすると 俺のことを愛してくれるようになっているのかも知れない。

でも、そんなの関係ないんだよね。

俺が好きなリリスのことを、俺のことを、好きになってしまった女の人を殺してしまったのだとしたら。俺はその人を受け入れるわけにはいかない 俺はその気持ちを抱くことになる。

そんな俺がリリスに出会ってしまったのは偶然のことだった

「お兄ちゃんが」俺をそんな目で見ている女の子がいた。その子は俺のことを好きで好きでたまらない。そんな風に思えるような女の子で。

俺のことを本気で好きでいてくれそうな、そんな女の子が 俺は 俺は、魔王となって、魔王軍の配下となった人達から「私達は貴方のことを守り抜きます」と。そんな言葉を言われるようにまでなった俺は、俺のことを好きでいてくれているらしい、そんな存在のことも

「私は勇者のことを」そんな言葉を言って来る、俺のことが好きで好きで堪らない、そんな感じに見える女の子の言葉を聞くことにした

「私は勇者のことが大っ嫌なんです」と、俺に告げてくる そんな女の子がいるんだ。その子は俺

「俺はお前達のことを好きになるつもりはない。だけど。俺は俺の大切な妻を殺した、あいつを許すことは出来ないんだ。あいつがした行為によって多くの人間が死ぬことになった。だけど。あいつを殺すということはしない。俺を騙していた、そんな事実を知ることが出来たのはあいつのお陰だったから。俺はあいつのことを利用することに決めた。あいつがリリスにした、あいつ自身の命を犠牲にする、俺を召喚するというあのふざけた行為を あいつは後悔することになるだろう。そんな未来は絶対に来ない。なぜなら。俺の傍には、リリスがいるんだから。俺は勇者のことを恨んでいるからこそ。俺は勇者のことを、利用するつもりでいるんだ」

そう俺に言ってきた女の子がいたんだ。

俺は

「君もリリスのことを想っていたんじゃないのか?」って問いかけるように言葉を返したんだ。そいつには聞こえていたようで 私の名前を呼んだ瞬間に私の方へと振り向いていたんだよね その女の子の名前は【イネス】というんだけれど 私のことを魔王様に守ってもらおうなんて考えていやがんなって思っちゃうんだよねえ。だって私達はみんな同じことを考えていたってことだしさ。だからこそさ 私達は全員揃っていたって話なんだよ。まあそれはそれでよかったんじゃないかって思うよ私だってね? 私って結構モテるんだよねぇとか思いながらね私ってば美少女ってやつなんだししょうがないよなーとか思うんだけどさぁ

「お前が、お前らが、どうして俺が勇者を、リリスのことを大事にしていると分かってくれないんだ!」とか言われちゃったりした時にはね 流石のこのわたくしといえども頭にきたっていうかさ。お前の物分かりが悪いのはどうでもいいんだがさ 俺が勇者を、魔王様の奥さんを大切にしていることは

「あんたらは魔王軍に入って、魔族の仲間になってくれりゃいいんだ」とか「勇者のことを憎む必要は無い」などと そんな言葉を魔王軍に居て、俺のことを守る側にいてくれる連中にぶつけてみたところでね

「お前は私達のことを何だと思っているんだ! 自分達の身を案じて私達に勇者と戦えと言っているだけじゃないか」

「あんたが何を言っているのか全然分からなかったんだよ。俺達があんたの言う通りにすれば満足してもらえるんだろ。俺達の命を助けて欲しいなら それくらいやってもらって当然だと思っているんだよ。そもそもだな。あんたらが何を言ったかなんて関係無いんだよ。あんた達が、リリスのことを馬鹿にして傷つけようとして、その結果として殺されちまったことは紛れもない真実だってことを、忘れることなんか出来ないんだよ。俺はな。お前らのせいで、お前らみたいな、俺のことを勇者を憎んでいた女達の存在があったおかげで俺は救われたんだ。そんなことを言ってしまったんだが それでもあんたらは俺を勇者の所に行かせるような真似はしなかったんだろうが」と言われて もうどうでもよくなっちまうんで そんな連中はぶっ飛ばしてしまうことにした 勇者を 勇者がどうしようもないくらい憎んでしまう 俺はあいつを許さない 絶対に 俺のことを、魔王の配下の女性達の誰かが好きだと、そんな感情を抱いてしまう 俺のことを愛する女性が、俺のことを好きになってくれているんだ。俺は、そんな人と一緒に過ごす時間を楽しみたいと思った。俺のことを愛してくれている人の為になりたいと思う。

俺は、リリスが、俺の妻を殺めてしまった、勇者のことを絶対に許さない。

「だから、あいつに苦しめられてしまった者達は。勇者を」許せる筈が無いのだ 俺は 勇者のことを

「俺は、あいつを許したくない」

俺がそんなことを言い終えると 俺のことを抱き寄せてきた女は俺に抱きつきながら 俺の胸に頬擦りするようにしてから口を開く

「魔王さまのことを大好きになりそう」そんな言葉を吐き捨てながら 俺の服の中に手を入れようとしてはくるんだけどね。それを俺が止めたりしたら、嬉しそうな表情を見せてきて「止めないでください」と俺の体に抱きついてこようとするんだけどさ そんな風にしているうちに、その女性の名前を俺は思い出したんだが 確か リリスの

「リリス」という名前が口から漏れ出していた その女性のことを抱きしめ返していた俺の耳に届いた言葉に、俺は心の底から驚くことになってしまう リリス 俺のことを愛してくれる女がそんな名前を、俺が勇者の妻を殺めた、あの女を、勇者のことを好きだと言った、俺の妻が、そんな名前を名乗っていたのだ。俺はそんな名前のリリスに 俺は勇者のことを忘れない。

あいつのことを許せなかった俺のことを あいつのことを今でも許していない。あいつは勇者だから。俺はあいつのことが大嫌いだ。だけどあいつはリリスと同一人物なのか 俺のことを好いていてくれた女の人が、あいつの事を好きだった そんな話を聞いたことがある 俺は

「リリスは」俺は 俺がそんな風に口にすると リリスと名乗る女の子のことを見つめてしまっている俺のことを見て笑みを浮かべてから俺のことに対して微笑むような視線を向けてきているその女の子のことを見て俺は

「やっぱりお前もリリスなんじゃないのか」そんなことを言う リリスという女の名前を口に出した瞬間に俺がそんな反応を示したことに目の前の女の子は動揺してしまった様子を見せる。だけどすぐに持ち直すと俺のことを再び強く抱いてくれていたりする 俺のことを リリスのことで 俺のことを好きだといってくれるようになった そんな女の子がいるんだよ リリスが死んでしまったあの日に俺の前に現れたリリスを名乗る女の人はリリスの偽者ではなかったのだろう

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、私もお兄ちゃんのことが好きなんだ、私を、私を、お兄ちゃんだけの物にしてほしい」その子は俺に好意を持ってくれているらしく俺に向けて熱い視線を送って来ているのだが俺はその子を押し退けることにした すると彼女は残念だと言わんばかりの顔をすると同時に寂しげで悲しい表情になる。そんな彼女の姿を眺めた私は胸が苦しくなる。彼女が可哀想に見えてしまいどうにかしてあげたいとそう考えてしまった私はつい先程の出来事を思い出しながら彼女にこんな質問を投げ掛けてしまう。

「お前も勇者のことを?」と、そんな問いを、リリスのことを知っている女の子に投げ掛けると、女の子はすぐに「はい、私は勇者のことを好きです」と言って来た。そんな彼女の顔を見ながら

「俺は」

俺のことを好きだと言ってくれた女の人を俺も好きでいられているのか。それは分からないけどさ。それでも、俺は 俺のことを受け入れてくれるようになってくれたその人に、リリスのことも受け入れてあげることが出来たのなら、俺はきっと幸せな気持ちになれるのかもしれない。と 俺はそんなことを思ってしまっていて そして今現在、俺のことを求めて来る彼女達を拒む理由など何もない

「お姉ちゃん、お兄ちゃん、私と気持ちいいことをしない?」そんなことを言って来る女の子がいた。私はそんな子のことを、その子のお友達らしい二人のことも見据えながら、その三人と向き合う。

「私達は貴方と性行為をする為に貴方のことを呼びに来たのです。なので、どうか私達と共に来てください」そんなことを言って来ているお友達の言葉を聞いて私は困惑したような様子を見せながら 私はどうしてこんな場所へ? 私は勇者に恨みを持つ人達に呼び集められた場所に居た。

「私は魔王様のことを好きになっています。貴方のことを傷つけようとしているわけではありません。ただ貴方の力が必要なんです。魔王様には貴方の協力が必要だと私は思いました。お願いです。私達に力を貸してください」そんなことを言ってくる 俺は 俺はどうしてリリスの偽者を、リリスのフリをしているリリスの敵を殺してしまわなければいけない。俺は、俺はリリスの味方であり続けるために。

勇者を殺すことは出来ないけれど だけど だけど。

俺はリリスの偽者のリリスを殺しに行く リリスを侮辱されて黙ってられるかよ。俺はリリスに 俺はリリスの為に 俺のことを好きだって言ってくれていた女の子がいるんだ 俺のことを愛していてくれている妻がいたんだ 俺の心を救ってくれた勇者がいるんだ だから俺は勇者のことを憎まなければいけなかった。リリスの死によって俺が受けた苦しみ

「魔王のくせに、俺よりも弱っちい奴だぜ」そんなことを呟いてきた、勇者が、俺が愛していた女のことを嘲笑ってきたんだ。あいつがリリスの事を だから俺はあいつを、勇者を殺した。あいつを憎んでやらなければならないんだ。あいつが憎くてたまらないんだ。俺は。だから

「リリス」俺の大切な、愛する人の名 リリスのことが好きだと俺を愛してくれている人がいた。

リリスのことを尊敬して、リリスに憧れを抱いている女の子がいた。

俺がそんな風にしている間に勇者の配下の一人が俺のことを拘束してきた。抵抗しても無意味だということを分かっていながらも俺は暴れることしか出来なかった

「リリス」俺のリリスのことを悪く言ってきた、俺が大切に思っていた女の人に対してそんな風に言っていた男がいた。そいつは俺のことを笑い者にしようとしていたが 俺は

「リリス」リリスのことが愛おしくなった。俺はリリスの仇である勇者が許せないと。あいつは俺にリリスを殺させたんだ だから俺が勇者のことを殺しに行ってもそれは リリスのためなんだ 勇者のことが大嫌いな俺にとっての唯一の救いだ。俺はリリスのことを救うことが出来ていないのに、俺がリリスのためにあいつのことを殺さなければならない理由は無いのだと、俺には分かる。だからこそ、リリスが 俺の大事な人の名前が

「俺は、お前が、俺のことを好いていてくれるのなら」そう言った俺の言葉を受けて目の前の少女は嬉しそうにして俺のことを抱き締めてきた。そんな彼女のことを俺の方から抱きしめた。俺はそんな少女と、リリスと リリスのことをよく知っている、俺のことを好いていて、俺のことも好きになっている。そんな女の子と、これから俺が何をしなければならないのかを理解している リリスを冒涜するような言葉を放った勇者が。リリスを傷付けてしまったあいつの事が

「リリスに、リリスに謝らせてみせる。絶対に、絶対にあいつのことを許してやるもんか」俺がそんなことを口にしている最中にもリリスのことを良く思っている女性陣が俺に何かしらを言ってきていたりしたが俺はそんなことを無視する そんな俺を更にきつく抱擁してくるリリスによく似た女性の事をしっかりと抱きしめ返す リリスのことを考えれば考えるほど 勇者に対する怒りが増していってしまう 俺のことを好きと言ってくれていた、勇者の配下の一人に、俺が勇者のことを許していないことを知られてしまった。するとそんな女の子に、リリスによく似ているその子は、そんな女の子にこんなことを告げたのだ。

「私達が魔王様のことを嫌いになるとでも思った?私達は魔王様のことが好きで好きで堪らないんだよ?だって私達は魔王様に救われたのだからね?だから私達の想いを否定しないでね。否定されたくなんてないんだからね」とそう言ってからその女の子は抱きついている腕の力を強めてくる。それに呼応するかのように他の子達からも抱きついてきてしまってさすがに耐えられなくなってしまう そして結局押し負けてしまう形で彼女達と抱き合ってる状態でいるんだけどさ それで彼女達との仲が良くなったのかと言われたならばそうではないんだけどね ただ単純に抱きつかれて抱き合っているという状態になっているだけだというだけであってだ 俺が俺のことを好きだと言ってくれている人達に囲まれていると、その状況が気に入らない

「お兄ちゃんのこと、私達が好きに決まっているよね」そんな風に口にして来る。だから私は、私の大好きな人達と一緒にいることで、自分の中に存在している嫉妬心のようなものを抑えることにしてみたりする 私はお兄ちゃんに 私だけの勇者様 私はこの世界の誰よりもお兄ちゃんのことを大切に想っていて お兄ちゃんに優しくしたいと思っている。だからお兄ちゃんを独り占めするのは駄目だと理解出来てしまっていて 私だけが幸せになりたいとは思ってはいないのだ だから だから。

私は勇者のことを見据えた。その先に居る男の人を

「どうしてこんなことになったのか、それを説明させてほしい。お前はあのリリスの、リリスが殺した女の本当の弟だと言うのにどうしてお前はリリスを貶めるような言葉を吐いたんだ。お前にだけはそんなことを言う権利はない筈だろう」俺の言葉を受けたそいつはそんな俺に対してこんな風に言い返して来る。

「リリスの本性を見抜くことが出来なかったあんたの方が問題だと思うけどな。お前、あいつの何処をどう見てあいつのことを可愛いとか美人だとか綺麗だとか言えたんだ?」俺のことを睨むようにしてそんなことを言ってくる

「リリスを騙したんだろう。あいつを騙したんだろう」と俺は声を荒げるようにそんなことを言ってやり そして俺はそんなことを言ってくれた男のことを殺そうとする

「リリスが勇者のことを好きだと言った時にお前はなんで笑っていられたんだ?」そう問いかけながら。だけど、だけど。そんなことは、今、こいつが言っていることとは違うことだと

「お前はリリスを馬鹿にしたんじゃなくて、お前は勇者を馬鹿にしている」そんなことも言うのであった 勇者は俺の言葉を聞いて俺のことを強く見据えた 俺のことを憎悪するような目で俺

「俺のことをお前の好きなように言うがいいさ。だけど俺はリリスの敵を殺すぞ」俺はリリスの弟だったはずの存在のことを睨んでから リリスの弟だった男を殴ろうとするのだが、俺の攻撃を避ける勇者 俺はその瞬間に攻撃を避けられるだろうとは予想できていたので、その回避の動作に隙が生じ

「俺がお前のことを許さない理由。俺が、お前の味方になってやりたいと思うのはそのせいだよ。だから俺はお前のことを敵として見ることにした。俺は、お前のことを許す気になれないし、そもそも俺は、俺の妻である、俺の、大事な人が、そんな、そんなくだらねぇ理由で殺されたんだ。俺は、その女のことを守るために、その、俺が愛する女を守る為に。勇者を殺したいと思ってしまうくらいに、俺のことを慕ってくれていたんだ。だから俺はリリスを殺した勇者のことなんか、絶対に、許さない。あいつは勇者である前に、俺の大切な人を殺した人間なんだよ。俺はそんな勇者が憎い。あいつを殺したいくらいなんだよ。だから」

勇者

「俺はリリスを殺したあいつを殺したい。だから、俺と手を組んでくれ」俺は勇者にそんなことを言ってしまった。そんな俺のことを

「俺はお前と手を組むつもりは無い。ただ、俺の復讐に協力してほしい」そんなことを言って来た 私は勇者がリリスのことを好きだと聞いてしまって。それから私は勇者と仲良くしようとは思わずに勇者を敵のように思おうとしてしまっていた。ただそんな私が、それでも勇者のことを好きになってしまったのは、勇者が勇者だからなのだと私は分かってしまった

「俺の味方になってくれるのであれば俺は」そんなことを続けようとしていた勇者に、私は「私も貴方と同じ気持ちよ。だから私は貴方の味方になる」そう答えた。

「貴方のことを信じたいの。貴方の味方になってあげたいの」

俺がリリスの弟だということを知った男は、俺の味方になったのだから、俺が魔王城へと向かう際には同行してもらうこととなった。そんな俺はまずはリリスに殺されかけてしまった勇者が居そうなところへ向かうことにする。するとそんな勇者の仲間であるらしい女性が俺のことを見つけて

「勇者がここにいないか確認をしてくれ。あいつのことを探している。お前はあいつの部下だったんだよな」そう尋ねれば女性は少し困

「えっとですね、リリス様のことを勇者様のお姉さまだと知らずに手を出してしまって、勇者様に捕まってしまい、魔王軍の方へと連れて来られてしまっていまして。そのせいで勇者様に顔を見せられないという感じで、それでずっと引き籠っているみたいなんですよ。ですから勇者が今どこにいるのかということが分からずじまいでして」とのこと。

「それなら大丈夫だろ?俺達がこれからあいつの元に行くんだし」そんなことを口にすれば彼女は驚いた顔をしてから俺の方を見て

「あ、そうですよね! リリス様に謝罪をしに行かれるんでしたよね。失礼しました」と口にしてきた そんな彼女のことを軽く小

「リリスに俺が殺されるのを黙って見ているような真似はもう出来ない。あいつは勇者を、リリスを騙していた悪い奴なんだ。俺はリリスの仇を取らなければならない」そんなことを言った俺はすぐにその場から離れようとするが。しかし俺が移動を始めようとした矢先

「私もリリス様に謝りに行こうと思っているんです。本当にごめんなさいでしたと、私は謝らなければいけないと。それに」とそこまで言葉にして リリス

「私にはリリス様を救うことが出来なかったのに。なのに」と。

俺のことを見てくるのであった。俺が何も言えないでいる間にその人は走り去ってしまう。俺がどうすることも出来ずに立ち尽くしてしまっていると

「勇者様のことについて調べてきました。その、勇者様のことを好きになっていた子がいて。その子の友達だった子がその子から勇者様の情報を聞くことが出来たみたいです。それでその子の話によると勇者はこの街の近くの村にある孤児院に住んでいると聞きまして」そう告げてきた。

リリス

「あいつを、勇者をぶっ殺す。それが、リリスの、俺がやるべきこと。リリスが、俺のために、やってくれたことだから」

「あのリリスのことが好きになっている子がいたとは思わなかったけどねー。あの子はリリスの本当のことを知っているはずなのに。やっぱりリリスのことを好きで好きで堪らない子達が集まっているのかしらね? あの女の子に教えて貰った通りに街に向かうとする? それとも先に魔王城へ? どちらにしても早くしないとまた新しい女の子に出会って面倒臭いことになりそうだものね?」そう言われてしまえば俺は魔王城に向かわないわけにはいかないのだけれどもさ ただそんな風に魔王城を目指そうと決めてからの行動は速かったのだがな。魔王軍に所属していたと思われる少女から話を聞き出したことで俺達はその足を使ってすぐさま王都を抜け出すことに成功しているのだがさ、ただ問題は

「勇者様がお住まいになっている場所が分かりませんでしたので、申し訳ありません。それでこの情報を教えていただいたので代わりにこの情報をお渡ししたいと思います」

と、そんな風にその人の口から勇者が暮らしているとされる住所が伝えられるのだった。それで俺達はその人のおかげで、俺達はリリスが勇者によって殺された時に勇者と共に居たであろうリリスが勇者に抱かれていたというその場所に辿り着いていたりする リリスの本性を勇者が知らないまま そんな場所で勇者はリリスを待っていたりしたんだが。俺達が現れてもリリスが来ることはなかった。なので俺は勇者の目の前に姿を現す 勇者 俺は目の前にいるリリスの敵に向かって「勇者」

「俺は勇者だ。だからお前のことも殺してやる」

俺の言葉を聞いた相手は勇者だと名乗るとそんな風な態度を取ってくる

「勇者だってのに、随分な挨拶してくれるじゃないか。勇者なんてのはこの世界にどれだけ存在していると思ってる。そして俺が殺したのは、俺の大切な女のことを騙してくれた勇者だけじゃない。他の勇者を殺して来た。その全てにおいて勇者を名乗るのは止めておけ。俺はそんな偽物の勇者のことを認めない。お前なんかが勇者を名乗っていいと思っているのか?」そう言うと同時に殴りかかって来る勇者のことを睨み付ける。勇者はその攻撃を簡単に避けてしまう。そんな勇者に対して俺は「俺の攻撃は当たらなくてもいい」と言いながら蹴りを放つ

「その程度か?」俺の蹴りを

「その程度で俺は倒せないぞ?」

「お前、本当に勇者か?」と

「勇者だよ。お前の敵だ」とそんなやり取りをして行く俺と勇者。

勇者が本気で俺のことを殴ろうとして来る 俺は勇者が本気になった時の速さが分からないでいた。だが俺はリリスのことを守れるようにと日々努力を重ねていたんだ 勇者の動きを観察したうえで 勇者は勇者であるが故に 本気の俺でも対応出来る速度で動いている 俺よりも勇者の方が早いことは明白であり だからこそ俺は 俺を敵だと、リリスの敵だと思い込んで攻撃を加えようとしてくる そんな勇者とやり合うのは大変で 俺は何度も吹き飛ばされたりしてしまって それでもなんとか致命傷

「俺の勝ちだな」勇者は俺にそんなことを言って そして俺に近寄って来てから俺の事を持ち上げようとしてから地面に倒れ込む 勇者が俺を殺さなかった理由はただの偶然なのか それともただ単に油断してしまったからだろうか まぁそれはどうでもいいこと 今はただ 勇者を倒すことが出来ればそれでいいから 俺のことを心配しているのかどうか その辺りはよくわからないリリスの弟 勇者は、勇者であることを自覚しながら 魔王軍に居る俺に、殺されてしまいそうになったのであった 勇者に殺されかけて。そんな勇者のことを見ていた俺はふと疑問に思うことがある。なんで勇者はこんなところで勇者をしているんだろうなって。そんな俺

「リリスが死んでしまったのにどうしてお前が勇者で居られるんだ」そんな言葉を勇者に向かって吐き出す そんな俺に勇者は何も言わずに 勇者は自分の持っている剣を手に持って俺のことを見据えた それからすぐに

「魔王を滅ぼさなければならない」と言って 勇者は手にしていた武器を振るった。俺は、その攻撃を自分の体で受け止めることを選んで、勇者のことを見つめていると 勇者は少ししてから「お前のことを許せる気がしないんだよ。魔王。お前のことを、お前はリリスを裏切ったから。俺はお前を許さない。お前が魔王じゃなければ、俺は、リリスと一緒に暮らせているはずだったんだ。だけどリリスが死んだから。魔王。俺から大切なものを盗んだのはお前だ。だから、絶対に、絶対に許さない」と勇者はそう口にした

「俺からリリスを、俺からリリスのことを、返してくれよ」

俺はそう言われてしまった

「お前がリリスのことを好きな気持ちも理解できるし、俺のことを憎んでいる気持ちも、まぁ、俺が魔王になってしまった以上は、仕方が無いと思う。リリスを殺したのは俺だし、勇者をリリスを殺したのも俺。リリスを殺した勇者がリリスの弟に殺されかけたくらいでどうにかなるのはどうかとも俺は思わなくはないけどさ。ま、俺も勇者のことを殺そうと思っていたのにこうして見逃されて生きているわけだからさ。俺のことを殺しにきた勇者が俺のことを殺したいと思ったとしても不思議は無いんだよな」と。そんなことを呟きつつ、勇者は立ち去っていく

「お前は、俺のことを殺さないでいてくれるんだよな」

「あ?ま、お前のことがどうしても気に入らないとかそういう感情があれば、話は変わって来るけどな。ま、俺としてはお前を殺す必要も無いし。魔王軍に所属するような男に殺されるような勇者って、格好が付かないから嫌なんだよな。そんな理由でお前を生かしておくんだから、俺がリリスのお姉さんに恨まれそうなもんなんだけれど」と。そんな言葉を続けながら勇者に近づいていくと、その手の中に魔法で作られた光の

「お前が魔王を倒せば良いだけだろ?そんなことをしなくとも俺が勇者になることも出来るはずだ」そう告げてくる

「あー、俺が魔王になったことについてはどう思っているのか」そう尋ねたら

「俺が魔王を倒したかった。ただ、それだけのことだ。それにお前が俺の前に姿を現したときに俺を殺せたのにそれをしなかったのも、リリスのことを愛していなければ、出来なかっただろう。魔王は悪い奴だ」そう言われて 俺と魔王は勇者と敵対することになった。リリスのために。リリスが愛していたらしい弟のために 俺は魔王になって。

リリスの弟の、俺のことを殺そうと襲ってくる魔王軍を返り討ちにしていたりする。

「貴様、本当に勇者なのだろうな」そんなことを尋ねてきた勇者のことを

「お前こそ。リリスの仇討ちのために勇者に、魔王である俺に戦いを挑んできたのなら。それは、リリスのことを、俺がリリスの本当の事を教えていなかったから。それで、その、騙すことになってしまい、結果的に俺に殺された、あいつに対する贖罪のつもりなのか?」

そんな俺の言葉に勇者は

「違う」と一言だけ口にした。

そんな勇者のことを俺

「俺は勇者だ。リリスのことを好きだったし、あいつが俺のことを勇者だと知ってくれた時はとても嬉しかったんだ。ただ俺は、魔王のことも、好きになれなかったんだ。だからお前のことを好きにはなれそうにもない。リリスが好きだったお前のことだけは」そう言って俺に向かって駆け出して来ようとした勇者に「俺は魔王だ。お前に、負けてやるつもりは無い。魔王として。魔王軍の頭として。リリスの弟であろうと、俺には敵だ。俺のことを殺せそうにも無いやつが。俺を殺しにくるなんて笑えない冗談だと思うんだけどな?」と言い放つのだった。そうするとそんな勇者が、何かを口にしようとして、そのまま固まってしまう 俺に魔王は

「お前は俺の、大切なものを奪った。だから、俺は、俺のことを魔王と名乗った魔王が大嫌いなんだ」そんなことを口走った。勇者とそんなやり取りをしていく内に、そんな勇者が 俺が魔王を名乗った

「お前が魔王を名乗らなかったら。お前がリリスの弟でなければ、リリスを奪おうとは考えずに。勇者のままで、リリスのことを好きでいることが出来たはずなのに」と 俺に対して恨み言を言う。勇者のそんな言葉に 俺は 勇者にそんなことを言われる覚えは無いと答えるのだが 勇者は「そんなことばかり言うから。お前は魔王を倒せないんだ」と言われてしまう 俺はそんな勇者の言葉を聞いて 勇者のことを睨み付けた そしてそんな勇者のことを殴ろうと腕を伸ばしたが しかし勇者は

「お前は俺に、リリスの姉さんに殺されたく無いから。お前は魔王になっていないだけじゃない。魔王になったとしても、俺を簡単に殺せないから」

「だから。お前は弱いんだ。勇者としての力なんてのは、俺みたいな、ただ勇者の肩書を背負っていただけのような奴の方がずっと強い」そんなことを口にした勇者。

俺がそんな勇者に向かって蹴りを入れる 勇者は、蹴りを自分の剣で受け止める

「お前に俺は殺せない。リリスの事を守れない魔王なんかを。リリスのことは、俺に守らせて欲しかったのに」

そんな風に言う勇者。

俺はそんな勇者に向かって

「お前に俺がリリスを守る資格があると思っているのか」

「俺はリリスのことは守る」と 俺に殴り掛かって来る勇者。

「お前じゃリリスを守れなかっただろ」

そんな言葉を俺が勇者に向かってぶつけると

「リリスのことが好きだと言うのであれば。魔王を殺してしまえばいいんだ。リリスを騙し続けていたという魔王のことは俺が殺してあげる。お前はリリスのことを大切にしているのは分かるから。そんなリリスのことを苦しめるような魔王を殺して欲しいんだ。そしてお前は、魔王を、リリスのことを守り続けた勇者になることが出来るだうし、魔王だってリリスのことを幸せにしてくれるだろう」と勇者はそんなことを言い始める そんな勇者の態度に呆れながら

「お前はリリスのことを、勇者としての使命を全うするために利用しようとしたんだろうが。それでリリスのことを不幸にしていただろ。俺は、リリスの事が大事だから」

そう告げると 勇者は「リリスのことは俺に任せてくれればいい」

そんなことまで言って 勇者と俺は、殺し合うことになった 勇者は勇者らしくない リリスの弟が俺のことを殺すと口にした瞬間に勇者は、俺のことを、リリスを殺した俺のことを、躊躇なく殺そうとして来たのだ

「お前が魔王であることもそうだし、お前の、その態度が俺は気に入らなかった。リリスを、あんな形で死なせておきながら。どうしてお前はそんな風に生きているんだよ」と、怒りを隠そうともしない そんな感じだ。勇者が怒るのもよく理解できる 俺は勇者の剣をかわすと「魔王である俺に殺されかけたからって。それで、リリスを俺から奪い取ったのに」と俺は勇者を挑発するようにそんなことを言う。勇者が勇者らしいことをしてくれたから、そんな行動を取ってくれなければ俺は勇者のことを見逃していたというのに、だ。勇者の行動は、あまりにも、俺にとって都合の良いことだったのだから。だからこそ 勇者の

「お前は魔王なんだろ?だから、俺の、リリスが愛する相手であっても殺すしか無いだろ。魔王なんだから」という言葉に少し、腹を立ててしまったのだ 俺に魔王であることを強要されたところで魔王になんかなりたくはないから。そんな魔王のことなど、殺してしまいたいほどに嫌いだから。魔王であることを押し付けられたところで俺

「俺を勇者にしたのに、魔王にならないのか?」と。

俺の質問に対して勇者は答えた「魔王になりたいのかよ」と。俺としてはなりたくないので「ならない」と答えると勇者は舌打ちをした。

勇者としてはリリスの仇を討つのは勇者の義務だと思っているのだろうが 勇者としては俺に魔王になるなと言っているようなもので、それはつまり、

「勇者が魔王である俺に、魔王を辞めるように、頼むというのか」と 俺のそんな言葉を聞いた勇者は、黙り込む。

勇者は俺の問いかけに何も答えることが出来ないようだ 俺を殺そうとする。でも俺を殺すことが出来ずにただ苦しんでいるだけの勇者を見つめつつ「魔王が、魔王を倒すなんておかしなことだと思わないのかね?」と俺は口にする。俺のそんな問いかけに対して勇者は何も返事

「俺は勇者なんだ」と 俺の言葉を無視

「勇者は正義でなければならない。だから魔王なんて悪者は」そんなことを口走る勇者の言葉に、俺はため息を吐き出しながら勇者に向けて、手にしていた槍を投げる。だが そんな俺の攻撃を軽々と回避し

「俺を、なめるな」そんなことを勇者は言う 勇者がリリスのことを愛していなかったのであれば俺はこの場から立ち去るつもりでいたのだが。しかし、そうではない そんな勇者は

「俺はリリスを好きだったんだ。それなら、俺のことを好きになってくれないのなら。リリスが俺のものにならなかったというのならば、せめてお前のことだけは、許さない。魔王なんて悪者になってしまったお前を、俺は絶対に倒さなければいけないんだ」そう言って。俺に向かって斬りかかってくる そんな勇者の攻撃を避け続ける俺は

「お前が勇者で無かったのであれば」魔王になることなど無いと。

俺が勇者として魔王を名乗るつもりが無いということは何度も勇者に伝えていた。だがそんなことは知らないはずの勇者が俺を「勇者になれ」と言ってくる。それがどういうことなのかといえば 魔王が嫌なのだから魔王になれということであり。魔王になれなければ俺にリリスを返す。勇者とは名乗らずに俺と敵対する。そういう意味で勇者は自分の立場を利用した 俺のことを魔王にするのだと

「お前が勇者である以上。お前のその提案を飲むことは出来ない」そんな俺の言葉を聞いて、悲しげな表情を浮かべた勇者 そんな勇者に対して俺は

「俺はお前に魔王と呼ばれるような人間になりたくないんだ。魔王を押し付けられて仕方なく魔王を名乗っているわけじゃない。魔王になった理由はただ、魔王の責務を果たすためだ。お前がリリスの事を好きでなかったのであれば俺はリリスのために、お前を始末しに来たかもしれないが。お前が俺に魔王になるように言って来た時点で俺はお前を殺しに動くことはない」俺はそう告げると「お前はリリスのことを諦められるのなら。そしてリリスに嫌われてしまえば、勇者に戻ることもできるはずだ。俺はリリスのことを愛していて。お前が勇者を降りるというのであれば俺が勇者になる」と告げる。すると

「俺はお前のことを倒せていない。俺は魔王を倒して。勇者でいるつもりだよ」そんなことを口にして俺のことを殺そうとする勇者。俺は勇者の動きを見て、こいつはもう俺に負けることは出来なさそうだと思った。そんなことを考えながら、どうすればいいかを考える。するとそこでふと気が付いた。リリの姉さんと勇者との戦いの時に見せた俺の強さ それを再び勇者の前に見せることで勇者は俺に対する警戒心を緩めないようにする。その上で勇者に勝つことが出来るのではないかと考えるに至った。そう考えた俺は早速行動に移ることにするとしよう。その前に

「俺が魔王に相応しくないというのであれば」と、そんなことを言い出した勇者に向かって「俺を魔王から解放するために。魔王になる覚悟を決めている」という風に聞こえるように発言を行う。

「ふざけんなよお前。リリスのことが好きじゃなかったから、魔王にはなったんじゃないのかよ」そんな声を上げる勇者。勇者は勘違いしているのだが。勇者の姉さんのことは好きではあったのだが、だからって別に勇者の肩書を背負っていたいと思って魔王に成り代わった訳では無い。だから俺は勇者に訂正を入れる。「お前に魔王の座を渡してやる」と。俺がそんな風に勇者に向かって告げると 勇者は驚いた顔をした後で、怒りの形相を見せて俺に攻撃を加えて来た。

それから勇者と殺し合いを始めることになってしまう。俺は自分の武器

「俺は、勇者だ。勇者は皆を救わなければならないんだ」そんな言葉を叫ぶ勇者の声が聞こえてくる 勇者としての使命を背負う勇者として 勇者はそんなことを口にして そして 勇者と殺し合った結果。勇者は死んでしまい、勇者の力は、俺の中に取り込まれていくことになるのだ 勇者の力を自分のものに変え終わった俺は 魔王としての責務を果たさなければならないと思うようになった 魔王の責務というのは、魔王として存在していることそのものに他ならない。俺は勇者に魔王を押し付けられて、そのままの自分でいることを強制されてしまった。だからこそ魔王である俺には、魔王である自分を押し付けた勇者を殺した責任がある だから勇者を殺した。

だけど勇者を殺して魔王に

「なってしまった。魔王であるのが辛い」

俺は、魔王である自分自身を受け入れられなかった 魔王は勇者と戦う存在だというのがこの世界の理であるというのに そんな世界に、俺という魔王を生み出してしまった勇者の罪は重い だから、魔王となってしまった俺を討伐する為に訪れた者達。

俺が魔王になるのに加担してしまった勇者を殺した時に。

そして勇者を殺した俺は 魔王となってしまって、自分が望んで魔王になったことではないから 魔王となった俺の事を倒そうと、戦いを挑みに来る者がいて、俺は、そいつらに

「俺が勇者だ」と嘘を吐き続けなければならない そうしないと、俺を倒そうとやってくる連中を全て返り討ちにしなければならなくなってしまうからだ だから勇者であることを装うことに必死になっていた。

「俺のことを勇者として認めてくれた。あの勇者だけは」

勇者である俺を魔王として殺そうとやって来た。俺のことを勇者として見てくれる、あいつは、俺のことを魔王としてではなく勇者として受け入れてくれようとしていたのが、分かった。

だからこそ勇者が、そんな風に俺の事を見てくれているということが嬉しかったのだ。

そんな勇者を。俺の魔王としての力が勇者を殺すことに繋がってしまった。

魔王の力を持つ、俺という存在のせいで 俺と勇者との死闘。

「俺を魔王にしたのならば」そんな言葉を俺に向かって言ってきた勇者のことを、俺は、リリスの件も含めて、恨むことにした その結果が 俺を殺そうとした奴らを全員殺した後に「お前を、殺すために」やってきた奴らとも戦うことになるなんてことは、考えもしなかったんだけどなぁ そんなこんながあって俺は勇者を倒すことに成功してしまうのだ その後で俺のことを倒そうと向かって来る連中の全てを倒し続けて

「これで全部だ」そんなことを言った俺のことを待っていたものは 勇者の死体が転がっている、この場所

「ああっ。そう言えばそうだったな。俺はこの国を救う為に戦っていたんだっけ」俺はそんなことを呟く。そうすることで俺はこの

「俺は魔王になって。魔王になってしまったのならば、その力を行使して、この世界を支配しなくてはならないのか?」そう思うようになるのだが だがそれは間違いであるということを教えられた

「私はね。君みたいな子を救いたかったんだよ。だって私と君は似ている気がしていたし」と、俺に向かってそんなことを言ってきた。それは魔王として君臨していた俺にとって衝撃の一言であった

「似てる?どこが?」

「私が魔族を率いて人間と戦っていた時、同じ様な状況に居た子が居るの。その子は私の大切な人に似てるんだ。だから放って置けないっていうか。だから助けたいなって思ってた。でも、そんなことをしている内に、人間は魔族の領域に攻め込んできてしまって、結局その子は人間に連れ去られてしまっていたんだ」そんな話をしてくる魔王

「えっと、それじゃ、俺を助けに来てくれた理由は」そんな俺が尋ねると魔王は「そうだねぇ。最初はそんなつもりは無かったのかもしれないけど、君のことを見ていたからなのかな」そう言う そんな話を聞かされることになる俺は「魔王は人間の敵なんだろ」という すると魔王は「そうだよ」という返答をして。それで俺は、魔王がどうして、人間に対して敵対的なのかということを理解して「俺は人間だから、お前達とは違うんだ。俺はお前達のことを殺しまくって来た。なのに、なんで」と。すると魔王は何て事のないように

「別にいいよ。そんなの気にしなくても。君に殺されるまで、誰も殺されていなかったからさ」という答えが返ってきて そんな魔王の態度が、あまりにも自分勝手なものに思えて

「俺のことを憎んでいたんじゃなかったのか?」そんな言葉を投げかけるのだが

「憎んでないわけないでしょ。君のことはずっと許さない。絶対に許さないんだから」と そんなことを言われてしまう そんな感じのやりとりが続いて、魔王は

「ところで君は、この後どうするつもりなの?」と尋ねてきて。俺は魔王に

「魔王を辞めようと思っている」というと「うん。辞めればいいんじゃない。魔王を続けることよりも楽しいことを見つけたみたいだし。それもいいと思う。じゃあ魔王を辞めたら何がしたいのかな?」と言われてしまい。そこで俺は「俺は勇者になりたい」という願いを伝える。そうすると魔王からは

「そんなのダメだよ」という言葉が飛び出してくる

「俺には勇者の力なんてない。勇者の素質を持っているだけ」という俺の言葉は無視されて

「君はもう勇者にはなれないんだから」そう言われた俺は

「勇者になることを諦めたくない」

「諦めたくないってどういう意味なのかな」という魔王に対して俺は「俺は勇者になります。そう決めたんです」という。すると魔王は笑顔を浮かべながら俺に向かってこう言ってくれる。「頑張って」と 魔王から「頑張れ」と言われると不思議と勇気が出てくるもので 俺はそんなことを言ってくれた魔王のためにも 魔王の期待に応えられるように。

勇者として 勇者になった。

「勇者殿は今、どのような気持ちですか」と尋ねてきた。

「魔王として生きていた俺にとっては勇者になった今でもまだ違和感があります」と正直に告げたところ。魔王は笑った後で

「私と一緒に、この世界を幸せにしていきましょう」と言ってくれた。それがとても嬉しいことだった俺は「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」と答えた 俺はこうして新しい人生を歩み始めることになったのだ。魔王に勇者にされてしまったのは予想外ではあったけれど 俺は魔王の力を手にすることになってしまい。

その力で、俺を殺そうと襲い掛かってくる者を 俺は、殺し続けた。そしてそのたびに勇者であることを周囲にアピールするように、俺は戦いの場に赴くことを繰り返している。そうしている間に俺を殺しに来る奴らは、段々と現れなくなってくると

「勇者さんが、もうすぐこの街にもやって来るらしいよ」という話を聞くことが出来るようになっていった。

「魔王の俺を討伐するために。この国にやってくる」

「そんな魔王に、勇者として選ばれた俺を討伐しようとやってくるって訳か」と、俺は、街の人々とそんな会話をする。

そんな俺に

「魔王に成り代わったのは失敗だったんじゃ」そんなことを言う者も現れたのだが 俺はそれに対して「後悔はしていない」と答えて

「俺は、俺のやりたいようにやるだけだ」と言う 俺は俺自身の人生を取り戻すことが出来た だから俺を救ってくれた勇者の為に 俺は勇者の使命を果たす為に そして勇者として生きる為 今日も明日も明後日も。俺は戦い続ける。

勇者の力を手にした時に「俺は、勇者である」と言ったのならば 魔王の力を手に入れることで、俺は勇者に。

「魔王である」

「魔王ではない」といったやり取りがあったのだけれども 魔王の力を得た俺は、魔王であるのと同時に、勇者でもある。

勇者であり魔王である俺は、この世界で生きている者全てを 幸福にしなければならない その為に俺は 勇者である俺と魔王である俺の両方を使って、この世界を救うのだ 勇者でありながら魔王である俺 勇者であることを捨て去ってしまった俺は、そんな風になってしまうのであった。

「あー」という声を上げてしまっている。俺。そんな俺は、この国の首都に住んでいる住民達に勇者であることを隠していたはずなのに。勇者だとばれていた。その理由として、勇者であるということが知れ渡ってしまうほど。この国の人々の前に姿を現すようになっていたからだ だから「お前、勇者だろ」なんて言われ

「そうだけど。どうしてわかったんだ?」と俺は聞いてみたのだが

「お前の顔は勇者そのものだからな。それにお前が身に着けている鎧や剣。それらは普通の品物とは、かけ離れているものなんだよ」という返事が帰ってきた 勇者と魔王は共に戦う存在だ そんな存在である勇者の武具を身につけた人間がこの国に現れた。そうなれば勇者だというのは、当然のことのように分かってしまうものであるようだ。そんなことを考えた俺は、魔王の力を手に入れた時に、俺は勇者にされたんだと思い出し、それと同時に「勇者の力は魔王を倒すために授けられたものだ。だから魔王を倒した後の勇者が何をすればいいのか」が気になってきてしまう 勇者である俺が魔王を倒せば

「世界を支配することが出切る」というのが普通の考えであるはずだからなのだが しかしそれは違うということを、既に教えてもらっている だからこそ俺は俺なりの世界征服を目指していこうと思っているのだ それはそれで難しいことであるし大変そうであるのだとしても、世界を救うというのはそういう事だろうと考えたからである 世界を救うことが出来なければ何もかもを失うことになりかねないので そんなことを思う中で俺に声をかけてきた相手がいたのだが。そいつを見てみれば。それは俺がよく見知っている人物であった。そんな彼に向かって俺は話しかけることにし

「久しぶりですね。師匠。元気でしたか?」と声を掛けてみると彼は微笑みを見せてくれる。そんな彼に。弟子となった男に対して 私はこう言った。

貴方は私の弟子です

「勇者として。魔王と戦う為には。私は魔王の力が必要不可欠だった」という。俺の話を聞いてくれた勇者の人はそんな言葉を俺に投げかけてくるのだが 勇者の力。それは世界を救う力を持つ人間であることを示す証のようなもので、勇者の力を持つ者が勇者と呼ばれているのだというのならば。俺は勇者であるのは確かなのだが 勇者になる前は、魔王だった。それは紛れもない事実であるし。俺自身も魔王の力を持っている だがその力は魔王が持つ力とはまったく別の物であるからして、魔王としての力を、勇者の力で抑えつけてしまうということが出来ない訳ではない 勇者の力を制御して、魔王としての能力を抑制させて、その上で。俺は魔王としてではなく。俺自身としての生き方をして行こうとしているのだから

「だから。勇者の力を上手く使えるようになった俺は。俺は魔王としてではなく、俺個人として生きていく」

そう口にするのであるが、そんな俺の話を、勇者さんは真剣に受け止めてくれていて。それから勇者は俺に向かってこんなことを言ってくれた。「君は魔王の力を持っている。でも君は君の意思で、魔王になることを選んだわけじゃない。君は被害者なんだ。魔王になったばかりの君は苦しんでいる」と。だから勇者の俺は俺のことを助けたいと申し出てくれた。そんな優しい心を持った人の言葉に、俺の心が動かされない筈もなくて。俺の中で。魔王として生きる道を選択するのではなく。自分自身としての道を進むという考えが強くなってしまって。

そんな感じで、自分の

「勇者さん」と呼ばれてしまった俺。

「勇者の力」と呼ばれる特殊な能力は勇者の持っている力の総称のようなものであり。俺の場合は勇者の力の中でも魔王の能力が発現しているらしく

「君は本当に勇者の力を持っているんだなぁ」と、俺が手にしてしまった「魔王の力」を見た人が、そんなことを言う 勇者の持つ特別な力で「魔王」というものは打ち消されてしまうという話を聞いたことがある 俺はそんな「勇者さん」に魔王のことについて尋ねると

「魔王と勇者の戦いに、魔王が勝ったという話は殆ど聞かない」ということが教えられる 俺は勇者の人に「勇者さんが、俺と戦ってくれるのですか?」ということを尋ねると 勇者は苦笑いを見せて「残念ながら。君に勝つのは難しい」と。そして続けて

「僕よりも強い人間は大勢いる。例えば大神官様。彼が本気になれば君なんか一瞬で殺せる。ただ、魔王として覚醒を果たした君の実力は、きっと今の勇者の中ではトップレベルだと思うよ」という説明をしてくれて 俺はそれを聞き終えてから「ありがとうございます」という言葉を伝えて そんなことを言い終えた後に、魔王の力を手に入れる前の、元勇者ということになっている、そんな勇者の人と、勇者の力について語っていた俺 俺には勇者さんの言葉の中に、勇者の力を使うと、その使用者の精神は崩壊してしまうという、そんな情報が含まれているように思えたから。俺はその勇者の力を使いこなすことは出来ないだろうなとそんな風に

「じゃあね」と言って立ち去っていった勇者さんの後ろ姿を眺めながら 俺はそんなことを思った 魔王の力を得てしまった俺は 勇者として魔王に戦いを挑もうとしていたのだが 魔王と化した俺は勇者となってしまい 俺は勇者と魔王の二つを兼業することになる

「勇者と魔王の力」を手に入れた俺なのだが。

魔王に成り代わった時に、魔王になった時と同じように。

勇者の力を俺は完全にコントロール出来るようになってしまっていて 勇者の力を俺が完全に支配

「お前がこの国にやってきた目的は分かっている」と言ってくる相手は、この国の兵士の服を着ている男性である 勇者の力を手にすることになってから数日後 俺の前に姿を現した兵士は俺に向かってそう言う この国の兵士達が、このタイミングで行動を開始した理由を考えようとする 俺を殺しに来たのではないか?と考えてもみたのだけれども その考えは外れていて。その兵士は「お前の味方だ」と言ったのだ その言葉を信じたわけではないのだけれども 勇者である俺に、何かしら用事があるのだということは確かであり 勇者の力を手にしたことによって。俺はこの国に狙われるようになった訳なのだが

「その通り。俺はお前の手助けをする為に派遣された者だ」と 目の前の

「勇者」

と俺のことを呼んできた相手に言われる 勇者というのは、この世界で 魔王を倒す為に戦う存在として認知されている この世界は「魔王に支配されてしまってから」数百年の年月が経過しているという 俺が召喚されて。勇者になってしまったあの日の 俺がまだ魔王だった頃は「魔族」と呼ばれていた 人間の生活圏を脅かす存在である

「魔族は魔物とは違うの」かと俺が尋ねてみたら「似ているが、別の存在だ。魔物が知性のない化け物なら、彼らは人間のような知性のある存在」だという話を聞くことになる この国は、その「人間側」に存在する大国の一つであるのだそうだ そんな国があるということは「魔王側の」人間にとっては「非常に都合の悪い状況」だと考えられる

「この世界の全ての生き物の頂点に君臨するのが、俺達「魔王軍」だから、この世界に存在している他の国を滅ぼし、全てを支配して。それで平和になる。それで良かったのかもしれない。しかし。それを邪魔したのが。「勇者」という存在なのだ。「勇者」というのは「神」に選ばれ。異世界からやって来た。選ばれた者の

「救世主」という役割を与えられた人間だ」という勇者の人から

「そんな人間がこの世界に来てしまうと、魔王は倒すことが出来ず。世界を支配することが困難となってしまう。だからこそ俺達が呼ばれた。勇者を殺す為だけの存在がな」

そう告げられ

「俺達の狙いは、勇者だ。お前が勇者だとバレていないのであれば、このまま国に戻るんだな。だがもしもお前が勇者だと知られてしまって、国に戻ったら。どうなるのか、理解できているんだろうな?」と言われてしまう そんな言葉を、俺に対して投げ

「この場にいる兵士達は、お前を国に送り届けるために連れてきていた連中なんだ。だからさっさと帰るんだな」と言われた俺は、その場に立ち去ることになった 勇者として俺がこの世界に来て 俺と勇者の力を巡って争うことになる相手が。魔王だけではなくなってしまいそうなのだが そんな感じになってきた俺の頭の中には 魔王

「魔王ってのは、この世界を侵略してきて、それで魔王城という、この世界にある巨大な建造物を作って、それで、人間を支配しようとしたんだが。俺がその魔王を倒してしまい。世界を救った勇者である、俺がその後を引き継いで世界の支配を始めているわけだから、つまり。魔王は倒されたのだから。俺が魔王として君臨しても問題は無いんじゃないか。いや、むしろ俺が魔王としてこの世界を支配した方が、いいんじゃないか」と考え始めてしまっている俺がいる 勇者が

「魔王は倒された。勇者が倒してしまった」

そう言われてしまったことで 俺がこの世界を救う勇者として召喚されてしまったという事実 そして魔王を討伐したことで勇者となってしまった俺 勇者の力を手に入れるまでの流れを考える

「俺は勇者になってしまっているわけなのだから、俺は魔王を倒す使命を全うする義務を負っているということになるのだろうし。そんな俺は、これからも魔王と戦うための旅に出なければならないと思うのだが」

そんなことを考えた俺は とりあえず、勇者としての能力を、もっと詳しく知る必要があるだろうということで 勇者の力が使えるようになる前とは違った、新たな旅の目的が俺の中で生まれていく

「この世界の魔王と。それから勇者は一体どのような存在なんだろうか?」

勇者になってしまってから数日が経過した今日この頃 そんな疑問を覚えた俺だが それは魔王として存在していた頃には感じることが出来なかった気持ちであり そんな感じに俺は、自分の心境の変化というか。自分の考え方とか。そういうものを改めて感じさせられてしまっていたりする

「世界征服なんてものを目指したからこそ。魔王は勇者によって殺されてしまった」と。そんな風なことも考える 俺は自分が「悪である」と認識してしまう相手ならば、躊躇うことなく手をかけるという行為をこれまで続けてきたが それが俺自身で。「善である」と考えている相手の命を奪ってしまう行為に発展させてしまった場合「それは果たして、本当に悪いことなのか?」ということに疑問を持ってしまっており

「魔王は確かに多くの人間を殺したが。勇者に殺されることで、世界を救う勇者が誕生した。それによって魔王はこの世から消え去ってしまった」と 魔王が死んで、その後に勇者が誕生してしまったわけで そんな「勇者と魔王」の関係に、俺は疑問を抱き 勇者と魔王。どちらが正しいのかという判断がつけられなくなっている そんな感じ

「そもそも勇者が、どうして、魔王を討伐した時に。勇者が死んでしまうということになっているのに、勇者が魔王を殺してしまっても。勇者が存在し続けることが出来るのか。そこを考えてみるべきなんだが」

俺は、俺が手に入れた勇者の力について、詳しい話をしてくれた、俺のことを魔王から救ってくれると言っていた。勇者の力を手に入れてから数日後の朝に出会って。それから色々と話してくれるように成った、その男性は「君はもう魔王ではないのだから」と。勇者と同じようなことを言う

「俺は魔王だから、この力を完璧に使いこなすことが出来ない」という、その勇者の言葉が 今の勇者は本当に「魔王を倒して世界を守る存在」なのではないかと俺は思い始めていた 俺は魔王

「俺こそがこの世で一番偉くて。俺以外の人間は皆奴隷である。そして人間は俺の為に働き、俺の機嫌を取るべきで。俺はお前たちよりも圧倒的に強い力を持っている存在なのだ」ということを この国にやってきた俺を勇者と呼んだ人物に向けて、そんなような内容を、大声で怒鳴りつけてやった そうすると、その人物は 俺の言葉に

「この国は勇者様の支配下に収まっていて、この国に危害を加えようとしているのであれば、あなたは勇者様からこの国に送り込まれた刺客だと判断しても良いのでしょうか」と。そんな言葉を伝えてきてくれる

「俺は勇者であるから、この世界の支配者として君臨しようと思っていて」という言葉を伝えた俺に対し

「その話は本当ですか? 嘘を言っているのであれば。私達に害を及ぼそうとして、それを口にしているのなら。あなたを生かしておくことは出来ないのですが。私は一応、あなたが本物だと信じた上での言葉を伝えるつもりです。だからどうか、落ち着いてください。もしも私が間違っていたとしても、責任を取りますので」と言われる そんな対応を受けて 勇者と俺

「勇者と魔王」の関係について。勇者と魔王。その両方についての知識を得た俺は そのことについて少し考えた後に。俺と敵対していた魔王と 勇者と魔王が争っていた時代に。「魔王」と「勇者」の力の差はどうなっていたのかと 魔王が人間を襲っている時に。勇者が助けに入り

「お前は俺と敵対するつもりはないのだろう」というような内容の言葉を告げられた俺は「あぁそうだとも。お前がこの国を守っているのなら、この国はお前のものであって。俺の国じゃねえ」みたいなことを言って その場は解散となった訳なのだが 俺にとって、その勇者との出会いは

「魔王だった頃の自分と、勇者との最初の邂逅を思い出す出来事だったんだよ」

俺はそんな風に思う 魔王である俺が 勇者と敵対する関係になっていた理由というのが 勇者は魔王を打倒するために存在している訳なのだから 魔王が倒されてしまってから数百年が経とうとしているという この世界で、魔王という存在が復活してきているというのは 勇者にとっては、許せないことであるらしい というのを理解したのだ

「お前の力は素晴らしい」と言ってくれた 俺

「この国を救ってくださったこと。勇者の役目を果たしたこと。本当に感謝しております」

勇者と、この国で出会ったあの日の翌朝。朝食をご馳走してもらった俺は この国の王様と 勇者と一緒にテーブルを挟んで会話をすることになった 勇者が

「魔王は倒したはずなのに。また新しいのが生まれてきちまった」と言っていることに違和感を覚える

「それは魔王を倒した後。そのすぐ後にも魔王が生まれたのだと、そんな感じの話なんだろうか」と考えた俺は その考えに至った理由について 目の前にいる王に対して 魔王は「神に選ばれた存在」だったのだという話をすることにする 神に選ばれるのが「勇者」だと。そう言われているのだという話を、

「魔王は確かに、神に選ばれていた。神は、魔王は選ばれていた」

勇者はその説明を聞いて、魔王が神から選ばれた存在であるということに関しては、否定することはなかった ただ 俺には魔王としての立場があったから。この世界の魔王をやらなければならなかったから。だから、魔王を討伐したという行為自体は誇れなくとも。「魔王は確かに選ばれた存在である」ということを否定することまではしなかったのだと言う勇者の人 そんなやり取りの中で 俺からすれば。「この勇者ってのは。本当に、魔王という存在が嫌いなだけなのか?」と感じられてくるのだ

「魔王ってのは、本当にこの世界を支配しようとしていた。人間を苦しめていたからこそ。勇者がこの世界にやって来たら

「こいつは悪い奴だから」という理由で殺されることになるの

「この世界の為に存在する勇者と、魔王は相いれないというか。勇者という役割を与えられた存在がいる以上。そいつらが戦う運命にあったから、そうなっちまっているんだと。そういう話か?」という感じの話を、俺はそのように思ったのであった

「勇者と魔王が戦うという構図が出来上がっているというのにも。やっぱり何かしら、理由が存在しているんだろうか」と考える 俺

「魔王っていうのは元々。勇者と同じくして異世界の住人で。その異世界でも魔王と呼ばれていて」「その異世界では魔獣が支配領域を支配しているような状況になっていてな」と。そんなような話の流れになり始めた辺りで。王様の方から質問を受けることになったのだが それは「あなたのおっしゃっていたことは、本当なのですか?」ということであり そんな風に聞かれてしまった俺は、「何を根拠に疑われているんだろう?」と思いながらも。正直に本当のことを話していくことになるのだが そんな風に話を始めた俺は。途中で気付いてしまうことがあった 今更ながらに思い出すことになっていく事実であり この世界に来るまでの俺の人生における体験を思い出していった結果としては 俺のこれまでの人生においては、勇者なんて存在は

「この世に存在しないもの」であり。だから、俺は、勇者なんてものは知らない

「だから勇者という存在に殺されることはないだろう」と。そう思いたい気持ちもあるのだが

「俺は、魔王で、人間を恐怖のどん底に突き落とそうとした悪人だった」という過去の行動を考えていくと 勇者によって殺されるような、その危険性が無いとは、言い切れなかったりするわけで

「魔王を退治する存在としての勇者。勇者を召喚する存在。その召喚の儀を行う存在が。勇者という存在を作り出していなくて」と そんなような可能性を考えた俺は、少しばかりの不安を覚えてしまう

「もし仮に俺が魔王という立場ではなく。この世界に来たばかりの頃の状態で。俺に敵意を持っている人物から襲われたら」とか「もしもこの世界において俺が勇者に殺されそうになったとして。そんな場面になった時に、俺を助けようとしてくれた勇者の仲間がいて、それが殺されてしまうような展開になったりしないのか」とか 色々と考えてしまい、その結果、俺の中で不安が広がっていく結果になってしまう そしてそれは「俺を殺そうとするような相手がいたとしたならば。この世界に存在する魔王だって殺されてしまう可能性がある」ということを意味しており 俺を殺しに来ようとする相手は 俺が、魔王であることを知っていながら、殺すつもりでいるのならば。きっと

「魔王が復活してくる前に殺せばいい」と考えて そんな思考に辿り着いた相手は、勇者に助けを求めることもなく。勇者の助けを受けることもなく。単独で動いて。その命を刈り取ってくるのではないかと考えられるようになる そうするとだ。俺を魔王という存在に育て上げたのが 勇者を憎んでいるという人間だった場合は 魔王としての俺は。この世界から姿を消すことになりかねないわけで そのように考えることが出来ると「俺は一体何をすればいいんだろう」と思ってしまった俺は

「俺は魔王を打倒した勇者として、この世界を統治している」という状況にある勇者に 俺は尋ねることにする 俺と敵対関係にある相手が

「勇者のことが気に入らない」と考えている場合 俺が、もしも勇者に敵対する行動を起こそうとするなら

「勇者と魔王が対立している」という設定を利用しようと考えていた俺は「俺が魔王で、勇者が俺の味方をしている立場の」物語を作ってみることにしてみる 魔王を倒す存在の勇者が。魔王に成り代わり世界を支配する。みたいなことを思いついた俺だが

「その物語は果たして成立するのか? 俺はこの世界の魔王である勇者を騙すことに成功している。しかし 俺が魔王になって。その魔王が俺だということは、勇者には知られないようにしたい。そんなことを考えている」ということを勇者に伝えた俺は「俺はこの国を勇者の手助け無しに発展させるつもりはない。勇者の協力を得ることが出来ないのであれば、俺は別の手段を用いて」という風に。俺が勇者を利用しようと考えていることを伝えた後に 俺は「お前にとって。俺は勇者だと思っている。だからこそお前と敵対関係になりたい訳ではないのだ。勇者は勇者のままが良いと、そう思っているのだ」という感じの言葉を告げることにした そうすることで 俺と勇者は。敵対することなく、お互いが協力関係になることが可能なんじゃないかと、そう考えての行動だった訳だ 俺は魔王だった。勇者だった。だから、俺達はお互いに協力をするべきだ

「勇者として、この世界を守るのがお前の務めなんだろ。だったら俺に協力しろ」という感じの言葉を伝えようとしたのだ。まぁ結果は そんな感じで言葉を発した直後。目の前の勇者から、剣を突きつけられた俺なのだ

「お前は魔王で。私はお前を倒しにきた。そういうことなのだ」と言われてしまえば。俺は勇者のその言葉を受け止めることになるしかなかったわけなのだ 俺は「まてまて」と言って その勇者の動きを封じると 勇者は俺を警戒するように、その動きを止めることになる

「落ち着けって、俺は敵じゃないぞ。この通り武器も何もない丸腰の状態だし、そもそもお前のことを俺は一切知らなかったんだぜ」という説明を行いながら 勇者と俺との関係性を探ろうとした俺だったが そこで

「お前は何者だ」みたいな台詞を吐き捨てられるように言われた俺は とりあえずは、自分が勇者に対して

「魔王」であるという情報を漏らさずに、その場をやり過ごすことに決めた 俺は「あー。どうすりゃ信用してくれるんだよ。俺は、ただの通りすがりの通行人で」とかそんな風に誤魔化

「お前は誰なんだよ」という言葉を口にする勇者に対して

「魔王だよ。魔王は魔王として。勇者と戦ってやるさ」と口にすることにした俺は 勇者を騙し続ける為に 俺が勇者の前から逃げ出すように。この場を離れることにしたのであった 魔王と勇者が 同じ世界に存在してはいけない。なんていう決まり事があるのかどうかは分からないけれど。それでも勇者から狙われているらしいということを知った俺は

「俺は、このまま勇者と戦うのが怖いから」という本音を隠しつつ「今は逃げているだけだから」と言い放ちながら 勇者の目の前から立ち去ることにした

「魔王と勇者は戦う定め。その宿命から逃れられるとは思えないが。私も出来る限りの努力はしてみたいと思う」そう言う勇者の声を聞きながら 俺は勇者と別れると、リリス

「勇者から追われている俺としては、この国の人間を頼ることが、まず最初にしなければならないことなんだろうか」と考えた結果 勇者に殺されてしまうよりは、この国に身を任せた方が良いと考えたのだ

「俺はこの国の王として この国を守ろうとして行動していた。だから そんな俺に対して。この国の人々が恩義を感じてくれているという可能性は、十分にあり得るだろうし」なんて考えが

「俺は、国王という立場を利用して。俺に好意を抱いてくれている国民達に。助けを求めることにしようか」なんて思い至った結果

「俺が、この世界から消えることで。俺のせいで不幸になる人が大勢生まれてしまう」という可能性が出てきてしまう それを回避するためには、やはり、

「俺は魔王という存在から脱却する必要がある。この世界の人間が望む魔王としての立場を捨て去れば この世界で生きていくことが出来る」ということであり そうなってしまうと「魔王という存在が消えた世界は平和なのか?」という問題が生まれてくる その問題を考えた時 魔王がいなくなるという現象によって「俺の知る限りで、一番の問題が消え失せてくれるのかもしれないが」という考えに行き着くわけで

「俺の知り合いで一番、厄介な性格をしていたのが。俺の妹のあいつだったから」という部分もあったわけで「魔王という存在がいなくなった場合、世界が崩壊する可能性がある。それは妹が一番、よく分かっていることだ」とか。そんな風なことを思った俺がいたりいたわけで 俺の知る限りで。最も「魔王として君臨するに相応しい」と考えていた人間である妹の存在が頭を過ったこともあり そんな風に考えていた俺は この国から離れて、自分の知らない場所に行くことが正解なんじゃないかと考え始めていたりするのだが

「この国が勇者に襲われてしまうような未来が訪れる可能性だってゼロではない」と考えてしまう俺は そんなようなことも思いつくようになったのだが 俺は魔王だった 魔王というのは。勇者

「魔王が俺を殺そうとしてきた」そんな話をした時に

「それは勇者としての義務です。私は勇者という使命に従って、この世界を滅ぼそうとした存在。そんな私の前に立ち塞がってきたあなたを殺そうとすることは当然の行いだと考えています」なんて言葉を勇者に告げられて

「この世界の魔王は。人間達を滅ぼすような、危険な存在だと認識しているのか」と疑問を抱くことになった そんな時に この城までやって来た俺は

「私は魔王の配下に加担する立場にある」と名乗る少女と出会うことに 彼女は俺の姿を見て「お前はこの世界の人間では無い。ならば私が殺す理由がない。お前を殺すことは。あの勇者に任せればいい。私はお前の命に興味があるわけではないから」とか言って 俺に危害を加えようとしなかった そんな彼女と出会えたお陰もあり「この世界において魔王という立場がどのような存在になっているのか」「俺はこの世界に存在するべき存在ではなくなっている」という事実を知ることに成功したのは幸運な出来事と言えなくもないが 問題は「俺はこの世界における魔王ではなく。別の世界の魔王」という情報がバレてしまうのではないかと思ったりした訳である。そんなこんなあってだ。この城に俺のことを知る人物が増えたことにより 今後の

「俺を魔王と知っていながら殺そうとする人物が 俺を殺しに来るのではないか」と心配した俺は「勇者が俺のことを知りながらも殺そうとはしないのならば」この城の人間達を 俺は守ろうと考えて 俺に殺意を向けてくる人間が現れても大丈夫だと言える程度には守りを固めてみたりする 勇者と魔王の関係性については「この世界においては、俺の味方をしているという勇者が存在している以上 俺に悪意を抱いている誰かに この世界から排除される危険性を孕んでいる」ということを改めて実感する そして勇者という肩書きを持つ彼女も この世界からいなくなってしまった場合に起こるだろう混乱を恐れていたようだ 俺が魔王だということを知っても「魔王は、世界を救う救世主だ」みたいな扱いを受けている世界。その状況がもしも変わったりした場合 世界が崩壊してしまう恐れがあると危惧しているようでもある

「俺は、この世界を救おうとしているつもりはないんだ。俺は。魔王として生きるつもりはなかった。ただ、俺という存在がこの世界にとって必要だったからこそ。世界を守る為の存在として 魔王という役割を与えられているに過ぎないのだ」

そんな風に言葉を伝えると

「この世界から魔王という存在が居なくなってしまえば、魔王という存在が作り出した秩序は崩壊してしまう。魔王という存在が失われてしまった場合。その世界に存在する人々は不安を抱えて、恐怖を覚えてしまう。そうすると」

「この世界にいる人々が魔王を求めるようになる。しかし魔王はもういないのだ」そんな感じのことを俺に伝えた勇者は「しかし魔王が残した影響はまだこの世界にはある。魔王が存在しなくなったとしても 別の形へと姿を変えることで、魔王という役職を引き継いだ新たなる存在は生まれる」というような言葉を伝えてきた

「その魔王は一体。どんな形で人々の前に現れるのだろうか。その答えは私には分からなかったが。魔王という役を受け継ぐ者が現れるのであれば それがこの世界に混沌をもたらす可能性も否めない。そう考えるとだ。私と敵対関係にあるお前は、このまま放置出来ないという気持ちにもさせられたのだ」という風に そんな風に俺に伝えてきた 魔王と勇者が敵対していることに関しては 俺が魔王だったということを隠しながら説明を行った結果「勇者が、俺に敵対心を向けている訳ではないんだな」ということを理解させることに成功する まぁ 俺の予想通り 勇者は俺をこの世界の住人として受け入れてくれたのは良かったんだけど この勇者さんが「俺に対して特別な感情を持ってくれるように」って そんな風に考えている内に俺は気が付いた訳で「俺は勇者の事が好きだ。だから仲良くしたい」とか、そんなことを考えるようになったんだ。まぁ、そんな感じに色々とあってから 俺はこの国の国王として。リリスの手助けをすることにした訳なのだ

「勇者から狙われるような存在になってしまっている現状を考えると、この国に身を隠すのが一番安全だと思うんだよな。だから、しばらくの間は この国に留まることになろうと思う」と

「魔王である私と一緒に暮らすことになる。そのことが周囲に知られれば。この国に危険が訪れることになるかもしれない」なんて勇者は言い出して「だから。しばらくこの国で暮らすことになっても構わないか?」みたいな確認を行ってくるんだ。俺はそれに対して「この国にいれば勇者に襲われることもないし、この国の人々に迷惑をかけることも無いだろう」なんて考えてだ。勇者に 俺は勇者のことを 勇者と呼ぶようになっていた俺は、彼女の名前を聞かなかった

「勇者と呼ばれることに関して思うことがある」とか「私は【魔王を倒す勇者】であって。勇者として認められた覚えはない」なんて言葉を聞かされた俺は 勇者という名前を呼ばない方がいいかなと考えたり 勇者は、自分のことを【アリスディア】と名乗り出したから「じゃあ俺は、これからは勇者のことを【アリちゃんって呼んでもいいかな? ダメですか?』と、お願いしてみたわけだが

「それは、お前だけが呼んでいる名前であって。私が勝手に付けていいものなのかは分からない。他の人間が聞いている可能性がある場所で呼ぶと変な噂を立てられる可能性もある」という理由から断られることになる。

それなら「アリスディアが俺のことを認めてくれるまで、俺の呼び名は魔王で構わないよ」という風に

「俺は魔王で、この世界に平和をもたらした存在。そんな風に扱われるようになっていくと思うからさ」という俺の言葉を受けて「私は、勇者と呼ばれたくないのだ」という風に口にする勇者は「私のことを知っている人間がいない場所に、私だけを連れて行ってくれないか」と俺に対して願いを告げるのであった そんなこんなあって。勇者の案内の元 勇者についていった俺は「この国にやってくる勇者に対して手厚くもてなす」なんてことが行われている国に向かうことに 勇者が俺を連れていく場所は何処かと言えば この国から遥か南に存在する

「私も初めて訪れた場所なんだが」と彼女が口にする場所であり 勇者も来たことがない場所だ。

勇者が連れてきてくれた場所は

「この場所は私の故郷の近くにある山なんですよ」という言葉が口から漏れ出していた。そんな彼女は、この世界にある王国の一つに住んでいる女性らしい。そんな勇者の話を聞きながら「魔王である俺は勇者よりも先に進んでいるからな。何かあれば頼れよ」みたいに伝えると「私はお前の事を尊敬している。それにだ。私はお前に助けられた恩もある。私はお前が困ったことがあった時に助けになりたいと思っている。だからこそ。勇者と呼ばれている私がお前を助けることが出来る機会があったら 私は力になるつもりだよ」そんなことを勇者に告げられて俺はだ 勇者がこの場に来てくれたお陰もあり

「俺は魔王という存在であるにも関わらず。勇者の庇護下に収まった存在として扱われるような。そんな環境が出来上がるのは間違いないな」という結論に達したわけで この国は 勇者の故郷が治めている

「勇者の出身ということもあって。この国は他の国に比べると安全な場所だと、私は思うぞ」と。勇者の話を耳にしながら俺は

「勇者が、俺の味方をしてくれている」そんな風に感じられる状況に喜びを感じてだ。俺はだ。俺の目の前にいるこの勇者が愛おしくて仕方が無い

「俺はこの世界の人間達にとっての救世主という存在になったとしても。勇者という肩書きを持つ者が傍にいてくれないと」なんて言葉を漏らすことになった訳だが。そんな俺を見た勇者が

「私の命が尽きるまで、魔王を守り続ける。私は、お前の力になりたいと考えてしまっているから」とか「魔王の配下として生き続けてやる」みたいな決意をしてくれるのは嬉しいことだと そう感じることに。

そんな勇者と共に旅を続ける中

「勇者に、魔王として認めて欲しい」という願望が膨らんでいくのも当然の流れではあった。

俺は 勇者から色々な事を学ぶことが出来たのだ 俺は勇者から様々なことを学び取った。まず一つ目としては

「魔王という立場は、人間にとっては恐怖の対象となる存在でしかないのだと。そういう事実を勇者は教えてくれてだ

「人間は自分達と違う姿かたちをしている者に対して、警戒心を露わにする傾向にある。それは私のような人間の姿を持たない種族であっても変わらないのだ」と

「そんな人間が恐怖を抱く相手こそが、魔王という存在。人間を滅ぼそうとする魔族の王」だと。そう口にした勇者は「人間と共存していくというのならば。人間という種を理解して、歩み寄っていく必要があると」と

「勇者という存在は人間の為に尽くす存在」という考えを持ちながらも、人間達と上手く付き合っていく方法を考え出す必要性を感じていたりするようで 勇者という職業に付いている彼女は 魔王に倒されなければならない立場にいながら 勇者という役割を捨て去ろうとしていたのだ

「魔王という役割を引き受けてしまった時点で。勇者という存在は魔王を倒す使命を帯びているはず」だと言っていた勇者は

「私には私の意思がある。勇者として生まれ落ちたからといって、全ての事柄を受け入れなければいけない義務は無い。勇者という存在を押し付けてくる世界に対しても、私という勇者が反抗する」そんな強い想いを抱き続けていた勇者

「そんな勇者さんを俺は心の底から応援している。だから。俺は勇者のことを守る為にも 魔王としての役目を全うしたいと考えている」と、勇者に伝えた 勇者の気持ちを知ることによって「俺はもっと勇者の気持ちを知りたい」という風に感じ始めていた俺は 勇者の生まれ故郷に向かって、彼女と一緒に旅に出ることにしたのだ 勇者の故郷に辿り着くまでは少しばかり時間が掛かるらしく 勇者と俺は「一緒に暮らしているうちに。俺の事が気になってしまう。そんな感じで 俺に対して恋心を懐くようにならないかな」そんなことを考えて勇者の気持ちを確かめるように行動を起こした訳なのだが 俺の気遣いが通じなかったのか。それともこれくらいのことで勇者は 恋に落ちたりはしないという判断を下すに至った

「お前と一緒に居続ければ。きっと私はお前に惹かれていく。魔王は、私と同じ世界を見てくれていて、同じ考えを持っていてくれた。それがどれだけ嬉しかったことか。魔王は私の憧れだった。魔王のようになりたいと願って。でも私は私でしかなかった。勇者としてしか生きる道を与えられていない」と

「お前には感謝してもしきれなかったんだ。そんな風に考えている私からしたら お前に好かれる努力を行うのは必然的な行為だと思うのだが」なんてことを勇者は俺に対して伝えてきて そしてだ 俺に対して勇者は 好意を抱いていないわけではないと 勇者が、俺に対して

「どうせだから。俺の方からも話しておきたいことがあるんだが」なんてことを俺は口にすると「何の話だろうか?」なんて言葉を口にして俺のことをじっと見つめてきた。俺は「俺はリリスが大好きでさ。ずっと傍にいたいって気持ちはあるんだよね」という感じに。リリスのことを話題に出していくことにして 俺は、この世界に転生を果たしたばかりの頃。まだ何も分からず右往左往していた時期に、リリスに拾われることになったんだと そこから俺がリリスの元で生活を行い始めてからの思い出話を勇者に語ること

「リリスが俺の育て親になってくれたお陰で 今の俺がいる」ということを彼女に伝えると

「私が出会った頃のリリアは、お前を家族として迎えようと考えていなかったと思うんだが」と、勇者がそんな風に伝えて来て 俺が、この国に来た経緯を説明してみると「魔王であるお前は勇者が召喚される場所に呼び出される可能性が高いと、そういう認識で間違いはないようだな」と、彼女は言うのであった

「私が勇者の役割を担うこと。その事実を魔王に話すことになるとは思ってもいなかった。だから私は魔王のことを尊敬し続けてきたんだよ。私は【勇者として選ばれなければ】なんて考えていたけど【私じゃなくて良かった】って思う反面だね。選ばれたからこそ得られる経験だってある筈だと、そう思っているわけなんだからさ」なんて言葉を俺が耳にしたことは間違いなく俺の人生における分岐点 そんな出来事でもあったのは紛れもない真実で

「もしも勇者という肩書きが無かったとしたら。今こうして魔王と一緒に居ることも無かったんじゃないかな? とは思い始めているよ」とか言い出してくる勇者の言葉に耳を傾けていた俺はだ。自分がこの世界で生きていけるように支えてくれた人達の存在を忘れない為にも、この世界を守っていくことが大事だと思い至ったりなんかしていて

「私はこの国の為だけに生きているわけじゃないよ」という言葉を俺に向けてくれてから「お前にも、お前だけの大事な人が出来てくれることを祈るよ」みたいな言葉を投げ掛けて来た勇者に「ありがとう」と、俺は返すのである。勇者が俺のことを「大切な存在だ」と言ってくれるように、勇者にとっても、この国のことは「守り抜きたい場所」になっているのかな。と、俺は考えるようになって

「お前が私を助けてくれたこと。本当に忘れたことはないからな」と。俺がこの国にやってきた理由を話したら

「私からお前への、恩返しのようなものだよ」と、俺にそんなことを告げて来てくれる勇者 そんな風に勇者と会話をしながら、勇者の故郷である国を目指して歩き続けた俺は「勇者と魔王という肩書きを持つ二人が揃って歩いている姿を見られてしまったなら。それは大騒ぎになるだろうな」と考えていたのだけれど、そんな予想は大きく外れてしまう結果となってしまう

「まさか魔王まで一緒に連れて来るとはなぁ。しかもこんな可愛い女の子を」なんて風に言葉を向けてくるのは 国王だったりする訳だが、彼は魔王であるリリスを見てだ。彼女に挨拶をしてから「勇者はどうして、こんなところにいるんだろうねぇ」と言うような質問をして来たのだ。それでだ 勇者が事情を説明するのであれば一緒に話を聞こうと思って待っていたのだけれどもだ。しかし、彼女の説明を聞いてみればだ。「ちょっとした休暇を利用して、故郷であるこの国に帰ってきただけですよ」「それにですね、魔王の配下となることが出来たんですよ。私は魔王の側近として魔王を支え続けると決めているので、魔王の故郷に行く機会もあるだろうと」みたいなことを勇者は言っていた。そんな風に勇者と会話を続けることになってしまったのは 魔王としてではなく、一人の女性として勇者を出迎えて貰うことが出来たのならば。そんな風に考えて 俺はだ。「俺の妻になるつもりはないですか?」と、勇者に問いかけることにした。そんな俺に勇者が返してくれた答えと言えば 勇者は

「私の全てを受け入れてくれた上で愛してくれる男性が現れた時には 喜んで結婚するかもしれないが」そんな感じの回答

「勇者という立場を簡単に捨て去って、普通の女の子として生きていくこと。それが許される環境ではないと理解した上での発言だ」なんていう感じに。彼女は俺に返事をしてくれるのだった。俺は勇者と、もっと一緒に過ごすことが出来たらと、そんな願望を抱き始めたのだ そんな風に俺は勇者と一緒に、魔王の祖国を目指す旅を続けることになった。そして旅の途中では 魔犬や魔鳥を退治していくことになったのだ 魔獣と呼ばれる生物は基本的に魔素を取り込んでしまう生き物のことを指す 魔物と呼ばれている者達の身体を構成している素材は魔石だと言われているのだ 勇者の故郷の近辺に存在する、魔王領に棲息する魔獣達の特徴は 狼の姿に似た見た目をしている奴らがいてだ 人間のように二本足で立つ魔猿のような風貌をしているのが

「俺の故郷の周辺に生息する魔獣の特徴だ」と、俺に教えてくれていた勇者は、しかし「私の実家のある場所は魔王領の辺境だから。そういう感じで魔族以外の種族も存在しているんだ」と口にしてくれていた勇者なのだが

「お前は、魔族は皆魔石で構成されているなんて考えを持っているみたいだけど。実際には違う。私達が倒している敵の中には、私達の常識とは異なる特徴を秘めている連中も存在してる」と言いながら

「魔王様は私達とは違う種族と交わったことで、私達と異なる部分を持って生まれているんだよ。それが私には嬉しくって」と、勇者は俺に対して語りかけてきてくれた

「私は魔王という存在に成り代わってしまったせいなのか、それとも元々の体質だったのか。それすら分からないけども。私には妊娠することが難しいんだ。だから私の代わりに出産を行ってくれた母さんは 魔王が産まれてくる可能性を考慮しなかったのか。魔王を出産するにあたって、そのリスクを冒す必要があったとでも、思っていたのだろうか。どうなんだろうかね?」

「俺に聞かれてもな。俺は医者じゃあないんだぞ。ただの、どこにでもいる男であって、そんなことを聞かれたところで分かるはずも無いってのにさ」と そんな風に勇者の疑問に対して俺は答えるのだ 勇者が、故郷に帰るのに必要な準備期間というものが存在するらしく

「勇者という肩書を捨てて故郷に帰り、それから故郷で生きるために必要な手続き等を終わらせるまでにはそれなりに時間がかかるんだ」とのことで、勇者と二人きりで長い時間

「勇者としての役目を果たすことなく」なんて時間を 彼女と過ごしてきた俺は、リリスのことを勇者としてではなく、一人の異性として愛するようになっていたりして、そんな感じの時間が 長く続きそうな気配を感じ始めていた訳なのだが 魔王である俺が、そんな雰囲気の中で勇者と一緒に暮らしている姿を見掛けられるようになってしまうと。色々と問題が発生してしまいそうで 俺としては「リリスの事を勇者が好きだと認識してしまえば。彼女はきっと俺のことを諦めてしまうのではないか」と考えたからこそ「お前と俺の関係は秘密にしておけ」ということを勇者に伝えようとして 魔王城に戻った時だ。俺と勇者の関係が噂になり始めてしまっていることに気が付き

「これは拙いんじゃないか?」と考え

「どうしたものか」と悩み続けていると リリスは

「ま、どうにでもなればいいと思うんです」と言ってくれていたので 俺の方に、この問題について「勇者の口から」解決して欲しいという旨を伝えられたリリス そんな勇者の言葉に俺は、とりあえず勇者のことを抱きしめてから「勇者はリリスのことが好きなんだろ?俺との仲が良いってことがリリスに知られてしまったら、俺はリリスに殺されちゃうんじゃないの?大丈夫なのかよ」と言葉を向けていく それに対して「それは絶対にあり得ないと断言出来る」なんて言葉を俺に向かって伝えてくれた勇者は、しかし、その後に言葉を続けてきて

「私は別に勇者を辞めることになっても構わない。そう思ってる」

勇者は、勇者である身分を剥奪されることになったとしても構

「私にとっては。お前が傍にいるということが大事なのだから。魔王がお前と一緒に暮らしてくれると言うなら。私は喜んで、お前との関係を公表しようと思っている。それに私はお前と一緒にいる方が楽しいからな。この世界でお前と一緒に生活したいというのが本音でもあるんだよ」そんなことを彼女は口に出していたのだけれど 魔王城の中庭にまで出向いてきた魔王とその仲間達の姿を見つけることとなってしまった俺と勇者は 勇者のことを守れるように、そんな意識を持ちながらも どうにかこの場をやり過ごせないものかと思考を回転させ始めることにした だがだ。勇者と俺のことを庇おうとしての行動を取ったのであろう魔王はだ。俺の方を見ながら「あなたは一体何者だ!勇者の仲間として魔王城に忍び込むとは不届き極まりない行為だ。その罪、その命で償うがいい」みたいな言葉を魔王に告げられてしまって 魔王にそんな言葉を告げられてしまった俺はだ。魔王と戦うために剣を抜き取るようなことはせずにだ。勇者と一緒に逃げ出そうとしたのだが

「リリス。逃げるんじゃねえよ。ここは、魔王が相手になってやるからさ。そいつの面倒をちゃんと見ておくれよ。頼むからさ」なんてことを勇者が口にしたことによって俺は勇者と一緒に行動することにした訳だが、魔王は「お前だけは生かすことが出来ないようだ」とか言い出して勇者を殺そうとしたので勇者を守る形で、彼女の盾になるようにしながら魔王と戦い続けた結果

「お前はどうして、そんなに強い。この私が負けるような存在など。この世界には存在しないと思っていた」そんな風に悔しそうに呟いた魔王は、そのまま俺のことを見逃してくれたのだった 魔王と勇者。そんな関係が存在していることは間違いのない事実だとは思いたい。けれど、もしもだ。勇者に「私達は魔王を倒す存在だ」みたいなことを教えて、彼女

「私にだって大切な人がいて、一緒に幸せになりたいと望んでいる」なんて言葉を勇者に伝えたりした日には 勇者はどんな行動をするんだろうか。なんて考えながらだ 俺は勇者と一緒に旅を続けることになった訳だが、魔王の配下と化した勇者が 勇者の故郷の周辺に生息している魔獣を相手にしている最中だった。彼女は自分の武器を魔素で覆い尽くすような攻撃を行うと、それによって彼女の武器を包み込んでいた魔素が爆発するような形で広がっていったのだ

「この力の源が。魔王様に献上するために作り上げた聖剣だ」

「私はこの力で。この国の人を守ろうとしている。そのために私は戦っているんだよ」勇者が俺に向かってそんな説明を行い 魔王の配下

「魔族の配下である魔族」に、俺の故郷の近隣に存在する魔獣達を倒してもらい続けることになった訳なんだが。そんな風に彼女が魔獣を狩ることでだ 俺は故郷に帰ろうと考えるようになり始めたのだ。その理由というのは

「俺の家族は生きているだろうか?」といった不安を抱くようになっていったからだ そしてだ 勇者は俺に対して 魔獣を倒したことで得られた魔石を渡そうとしてくるが、俺は 魔石の処理に関しては魔王領に任せてしまうつもりだった 俺はだ。リリスと共に暮らしていた魔王領の城に戻ることにした 俺の帰還を知った魔王は「お前と私の愛の力によって産み出すことが出来た私の子供は 今何処にいる」なんていうことを口にしてきたので 俺

「リリスは魔王に成れなかった」

魔王

「どういうことだ?」

勇者の体を借りていた頃は 勇者は、リリスの体を欲していると口にしていたことを覚えていた だからこそだ。俺はリリスに確認を取ると、勇者の体内に魔王の力を宿らせるのには リリスの肉体が邪魔になっていた。そのため「リリスの肉を喰らえ」なんて俺は魔王に対して伝えたのだ。しかし、その前に魔王の口からこんな疑問が投げかけられた訳だが 魔王は俺の目の前に姿を現さなかった そして魔王の使い魔達もまただ

「魔獣は倒したが魔獣の魔石を手に入れた訳ではない」と勇者は言

「俺達の戦いはこれから始まるのだ。魔王を倒して俺達の平穏を取り戻すための準備期間が」

勇者がそう口にしたことで魔王の祖国に向かうための手段を探すことになってしまった俺なのだが そんな感じで魔王領を移動していく間に、勇者は 魔王軍の連中と会話をしている姿をよく見かけるようになる 魔石が手に入らない。魔王の祖国への道を開くためには、どうすれば良いかという話になった際

「魔王領にある洞窟には強力な魔道具が存在するという。それを手に入れられれば、あるいは魔王の母国に繋がる扉が開かれる可能性があるのではないか」なんて話を勇者に教えて貰えた だから勇者と、俺とリリスの三人は魔王領の各地に存在していると言われる

「魔王が作り出した迷宮を攻略するために行動を開始していった 魔王は 俺が「魔王城の中に封印されていた書物を手に入れる必要があるんだ」

って勇者に伝えてくれていたこともあってだ。俺達がまず訪れたのは 勇者が魔王として君臨することになった国であり。

俺の故郷である、この場所に一番最初に足を運ぶことになるのだが。そんな場所で俺は、勇者の事を気にかけていた人物と遭遇したんだ それは、この国の王で在る人だったりするんだが

「この度は勇者様。ようこそ我が国に。して本日はどのような御用件でしょうか?」

「私達は魔族が住まう場所から この世界に平和をもたらす為に、旅を続けているのです」と勇者が語り それに対して「そうでしたか。ならば我が国も協力致しましょう」なんて言葉を王様は返していたんだが。そんなやり取りが終わった後に俺は

「ちょっと待ってくれ」と二人の間に割って入り

「勇者が求めているのは魔族の討伐だろ?それに魔王はもう死んじまったぜ。お前らが必死こきまくって戦ったあの後でな」そんな感じで、俺は勇者に向けて魔王が死んだという嘘の報告を行うことにしてみた しかしだ。そんな俺の行いに対して勇者は何も文句を言うことなく

「分かりました。私達で、魔族の住む地域へと赴く準備を始めさせて頂きます」と、そんな言葉を伝えて来てくれたので俺の役目は完全に終了してしまうことになったのだ そんな感じで、俺の出番が無くなってからは 魔王軍が、魔王の故郷から流れ出していた難民やらなんやらを保護してくれるようになったらしいが。それはどうで

「おーい。魔王軍」と、俺とリリスのことを呼んでいる奴がいるからこそだ。俺達二人は、その呼び声に釣られる形で駆け寄っていくと、そこにはだ。この国の中で生活を始めた魔族の人達がいた。その集団の中には、俺に懐いてくれている子供達もいるわけで、俺が彼らの元に近寄ると、子供達は嬉しそうに笑みを浮かべてから俺のこと

「おいちゃん。今日は何をするつもりなの?遊んでくれるのか」みたいな質問をしてくるものだから、だから俺は、とりあえず。

俺も昔は、勇者の仲間の一人だったという話をして、この世界に訪れる前の勇者は、それなりに強かったんだけどな。そんな勇者に俺達も協力してな。魔王と戦ったこともあるんだよ。とは告げることにする そうした方が子供達は喜んでくれるだろうと考えたから、それでだ

「この世界の人間では、お前らの相手にならないから」と伝えておく。俺の言葉を聞いても 魔王軍と、俺が所属している魔族の軍勢に保護されることになった、そんな

「俺の仲間だった勇者の子孫 俺が勇者と、リリスとの間に生まれた子供を、勇者の力に目覚めさせることに成功した後に、俺の元に訪れたのは勇者だった

「貴方は私達に協力してください」勇者の言葉を受けて俺は、リリスと共に行動することに決めた。

それから数日の時間が過ぎていくのだが そんな時だった。この世界は突如として変化を起こし始めていくことになる。それは 俺 この世界に、とある理由で召喚されるような形となった勇者である。そいつが、魔王を殺した直後に、突然姿を消してしまった訳だが その理由としては「元の世界に帰ることが可能になった」ということが原因でだ。その勇者が姿を消す原因となってしまった出来事について説明を行うと 魔王を殺す前。勇者が、魔獣

「魔王の配下となっている魔獣」の討伐を行った結果 魔獣が持っていた魔石を入手した。その魔石を解析することで 魔王が勇者の為に用意した魔素を蓄えることができる魔道結晶が作り出せるようになる。その魔道具を利用すれば 勇者が魔王を葬ることに成功している場合に限り、元の場所に帰還することが出来るということが判明したことから、そんな魔石の存在を知った俺は 勇者と一緒に、魔獣の魔石を回収するための

「魔王を倒した後の話になるが、俺は魔王の祖国を訪れることになった訳だが。その際に勇者と一緒に行動を共にしたのはリリスである。そんな彼女と一緒に魔王領を訪れてみれば、勇者が魔王の祖国に残していったものは 魔族の民が生活している街が 魔獣に襲われてしまっているのだと

「この辺りの地域は私達の領地では無いのだけど。どうしてこうなったんだろうか」と、勇者は言うが。しかしだ。俺と勇者は 勇者は、リリスと共に魔王の国を訪れ

「どうしてお前のような者がこの地に。勇者は、勇者の血を引く者しか、この国に入る資格を得ることは出来ないはずだが」

魔王は俺に向かってこんなことを言ってくる

「私は勇者ですけど。でも今は違うんですよ」勇者は魔王に対してそう語るとだ。彼女は聖剣を構え直し 勇者と俺と、そして魔王は互いに視線を交わしながら戦いを始めることにしたんだ 勇者は魔王に向かって

「私は勇者ですよね」そんな問いかけを行いながら聖剣を振り下ろす。そして俺はそんな彼女の動きを見ながら 魔王に向かって攻撃を繰り出していたりした。そんな勇者の動きは相変わらずに素早く的確なものなんだか。そんな彼女に俺は攻撃を加え続けていた訳だ。俺は剣技の熟練値がカンスト状態に近いくらいになっているため、魔王に勝つことは不可能だと思う。そんな風に考えていた時期もある。しかし魔王との戦いは長引きそうな状況に陥っていたりしたので。このままでは

「私の子供を産むのは難しいかも」なんてことまで考えてしまっていたんだよ。

しかしそんな風に考えたとしても、現状の状況は改善することなど無かった リリスが、勇者を応援し始めるまでは。俺の妻であるリリスの声を聞き続けたことによって勇者は元気を取り戻し その結果。魔王を倒すことに成功してしまうのだけれど 俺の嫁であるリリスが「子供を産むのが難しいかも知れない」といった内容を呟いたことで俺の心の中に焦りが生じてしまうことになり、それが結果的に、俺がリリスとの間に生を受けた子供に。勇者と同じ力を秘めさせようなんて行動に移ってしまうことに繋げられたので 魔王を倒し。元の世界に帰っていった勇者は。自分が

「魔王」を倒してきた事実を隠し通そうとし、その上で。

「勇者の力は魔王の力を打ち砕いたのだ」と周囲に語り

「魔王」のことは「邪悪な存在である」といった内容の物語を作成し、この世界において広めることになるのだが その「勇者の物語」に登場するのは魔王であって勇者ではない。そんな勇者は 魔王との戦いで負った傷

「魔王に殺される寸前に、自分の体の一部を勇者の血脈を後世に残す為に切り取っておいた。それを飲んだ者達が魔王を滅ぼす程の力を身につけられるのだ」

そう言って魔王は、勇者が残した魔石を利用して 勇者の血筋を後世に残すことの手伝いをしようとしてくれているのであった。しかし魔王の行動に反発を示した

「そのような行為によって生み出された存在など信用出来るものか」と口にする勢力も存在していて そんな連中を黙らせるためなのか。魔王は勇者に「この国の王となって欲しい」

と頼み込み、結果として、この国では勇者の名が広まることとなる。しかしそんな勇者の名前はだ。勇者が元の世界に帰る前に作り上げた偽物の「勇者」という物語の登場人物の名前と似通った名前であることは 魔王は気がついてはいないみたいだ。

「貴方は、魔王と私達の争いを止めたいって考えてるのよね?」

リリスのその問い掛けは 魔王が魔石の回収を行っている現場に遭遇した俺に対して リリスはそんな確認の質問をぶつけてくる

「魔王が倒されているんだ。俺が何かしなくても問題なく解決出来そうだとは思うが。それでも気になって仕方が無いんだ。だからリリスには申し訳ないと思ってるんだけどな」

「貴方の考えを否定している訳じゃないわよ。だから安心していいと思う」と、リリスに告げられると俺は

「俺達二人でも、魔族の住む国を救えるように頑張っていこう」と、そう告げることにした 俺の言葉を受けて

「そうですね。頑張りましょうか」

そう言ったリリスは、微笑を浮かべてくれたんだ

「さてと、魔王城にある書物を探しに来た訳だ」俺達は今現在。魔王が作り出したと言われている迷宮の中に来ていたりする。魔王が俺達に与えてくれた知識によると

「魔族の国が平和になれば魔族は皆で、元の場所に戻ることが出来るかもしれない。しかしその為の手段が見つかっていないのだ」という話を聞いたことがあったりする。そんな訳で俺達は魔王城の探索を行ってみるわけなのだが。魔王の城に侵入を試みようとしたら当然の如く見張り

「お前達の様な下賤な人間が魔王様に近づけると思っているのか」とかなんとか言い出すから。俺の方も適当にあしらう感じで接していくとだ。勇者の姿を見つけることが出来た。そんな勇者に対して、魔王の部下は

「魔王様の命によりお前達を殺す」と告げてきて襲いかかってくるのだけど

「悪いな。俺に殺されたくなかったら、魔王の元へ案内しろ」俺は勇者に対して

「魔族の国を取り戻すのに協力してください。魔族の民を助けて下さい」勇者に対してそう頼むとだ。彼は少しだけ考える様子を見せてから「そうね。この国を取り返すことが出来れば」と言ってくれたので、勇者に協力を要請することをした。そしてその話し合いが終わればい 魔王と対峙をする勇者に、魔王は「何用ですか勇者。勇者の役目を放棄してこちらの大陸にやってきたのでしょうか。それでしたら、もう二度と勇者の力を手に入れることが出来ないようにしてあげましょうか」そんなことを言うものだから 俺の目の前で「勇者」と呼ばれる存在だった勇者の子供。その子が突然として苦しみ始めることになる。

苦しんでいる姿を見ている俺の前で「どうして。この力は私のものなはずなのに」と。そんな言葉を発した後。リリスの方を眺めながら

「どうしてリリスちゃんが、勇者の子供を産んでしまったのかしら。おかしい。どうして。貴方が勇者の力を手に入れられない筈なんだけど」と、勇者に問いかけ始めた。

「お前は何者だ」勇者は魔獣に向かって質問を飛ばしていく すると魔獣が「貴方のような下等な人間に、私の正体を教えてやる必要があるのでしょうか」そんな言葉を返してきてくれた。それに対して俺は「お前みたいな奴を相手するのに手こずるような俺だとは思ってるのか」と言い返してやることにする。そうしたらだ

「この人間は面白い事を口走りましたねぇ。私は魔王軍の幹部です。勇者であるお前とリリスが相手ならば」

その言葉を最後に。魔獣は勇者との戦いに集中してしまうのだが 勇者の戦いぶりを見ていて、俺は思わず見入ってしまう程に、今の勇者の動きが、以前までと比べて成長していることに気付いたからだ。そして魔獣の攻撃を捌きながらも勇者

「お前は魔王軍の幹部なんだろ? なんで魔王の側に居るんだ」そんな風に尋ねる 魔獣は勇者からの質問に対し

「勇者がいなくなった世界。それは魔王にとっては好機だった。勇者がいない世界で私が魔獣を束ね、魔王の役に立つために魔王軍に与しているんですよ。貴方は、魔王の居場所を知りませんかね。勇者」

「知る訳がない」勇者が答えると同時に 魔獣は手に持った槍で勇者を攻撃しようとするのだけども

「どうして勇者の攻撃を避け続けることが出来るんです。私達を相手に。そんなこと普通に考えたらとっくに殺されてるのに」

魔王の配下であると思われる魔獣が、勇者と俺に向かって攻撃を行うべく移動を始めてくれる。それを見た俺は

「リリス。一緒に戦うぞ」「えぇ分かりましたけど。大丈夫なのですか?」なんて疑問の言葉をぶつけてくるので

「まぁどうにかなるんじゃないかなって思ったりしている」と、口にしながら俺も武器を構え直すことになったりしたんだよなあ。それから暫くの間だ。お互いに戦い続けていたのだが、徐々に戦況が悪くなり始めてしまいそうになるんだけれど、そこでだ。勇者の動きが変わったりしてくれたおかげで何とかなったんだよ。その結果

「何故です。私は貴方を殺してしまった筈ですよ。それがどうして生きているというのです。そんなこと絶対にあり得ない」そんなことを言いながら狼に似た容姿をしている大型の魔獣が地面の上に転がっていた。そして勇者が言うには

「俺は死にかけの状態になりかけた。だけど、その時に、ある人物に助けてもらった。それだけの話だよ」とのこと そんな話を聞かされた後に

「勇者が助かったんだから。魔王はきっと倒せるでしょう。後は任せます」と リリスはそんなことを言ってきた

「勇者の旦那。リリスを連れて帰ってくれ。あんたと俺なら問題無く出来ると思うんだが」

「そうかもな。しかし、本当にいいのか」そんな確認の問い掛けを行ってきた勇者は、リリスの手を握ると「帰ろうか」そんな言葉を口にするのであった。その後で勇者が「魔王の討伐が終わった際には。私と一緒に来て貰いたい場所がある。だから今は一度帰るが、全てが終わってからは、必ず迎えに来る。それまではリリスと幸せに過ごしてくれよ」そんな話をしてくるとだ。勇者はリリスを連れて何処かに姿を消してしまうのだが 勇者がいなくなると共にだ。魔王の配下達は「この国を取り戻す為に協力して欲しい。この国の王は誰だ。そいつの元に行けば良いんだろ」そんなことを考えたりしてくれていたので、俺は俺の妻になった女に勇者の子供を身籠らせてしまえば、リリスの力に魔王の力が合わさって更に強い力を持つ存在が生まれそうな気がしたので

「この国の王。リリスの父親は。魔王軍の幹部を全員倒せば姿を現すはずだ」と、そんな風に答えてみたんだ

「そうかい。じゃあその王様ってのをぶっ倒せばいいんだろ。俺達がこの国を取り戻せたってことを見せれば、俺達にも新しい暮らしが出来るかもしれないしな」そう口にしてきた連中の言葉を聞いて俺の嫁になるはずだった女は

「この人達の為にも頑張らないといけなくなりましたね」そんな台詞を口にした 魔石を回収し

「俺達は魔王を倒そうとしている。この国の王が、魔王と関わりを持っているらしい。だからこの国の王に、この大陸を好き勝手させておくことは出来ないからこその行動だが。協力してもらえるだろうか」と、魔王の配下の生き残りと思しき連中に、そんな言葉を放てば、連中達は俺達の手伝いをしてくれてくれることになる 俺とリリスは共に魔王と戦うことにした。リリスの方は、自分の体の一部を切り離していたらしく、リリスは子供を作る為の行為を行っていた。そのせいでだ。リリスのお腹は少しずつ膨らんできていて。俺とリリスの子供が生まれた時にはかなりの大家族になっていたんだ 生まれたばかりの子供達には、名前を付けてや

「俺はこの子達に名前を付けるから」リリスにそう告げてから名前を考えていくと リリスが微笑を浮かべ

「私はこの子を抱きしめているから、お願いね。貴方」

俺の言葉に返事をしたリリスがリリスの分身を撫でてやる姿を見ながら、子供達の名前を考えてやるとしようか。俺達の息子と娘の顔を見比べて 双子なんだけどどっちの名前にしよかな。うーん。

魔王軍の幹部の1人である獣人の姿形をした女性が 魔王によって作り出されたとされる【迷宮】の探索を行おうとしていたのだが

「なんですか貴方達みたいな人間達は」と 俺達に向かって敵意を向けた声色で

「魔族の敵は私達人間の国にとっても共通の敵だからな」と 俺の方にだけ語り掛けてきた そして魔王の側近を名乗る女性 彼女は、俺のことを知っているようだった。どうして俺のことを知っているのかを、教えてくれたりするのかどうかは知らないが、それでも彼女の態度からすると、俺を敵対視するかのような様子を見せている

「貴方は確か魔王を倒した勇者だったかしら。どうして貴方はここに来れたの」と。質問を投げかけられたので俺は

「魔族の国を救おうと思ってさ。それでお前を倒すことにな」と 彼女に向けて言葉を放つことにすると

「魔族の国を救う、ねえ。どうして貴方みたいな人間が魔王様を討てたのか。私には理解出来ないわね」

そんな言葉を言いながら 魔王の部下の女性が「さあかかってくるがいい。人間」と、そう口にした直後に俺は魔獣との戦闘を開始した訳なんだが 戦闘の最中に「魔王様に貴方が倒された時の報告を行い、勇者の力を奪うように指示されていたんだけど。勇者は死んだ。魔王様は勇者の力を得ることが出来ないの」と、魔王の部下が口にして

「勇者の子供が産み出した魔王の娘か。まさか魔王が勇者の子供を産むなんてことがあるとは」そんな風に思いつつ 魔獣の攻撃を回避すると「勇者の力を宿した人間か。そんなのが産まれたら。この国は終わりよね。そんな存在に、この世界は支配されてしまう。だからこそ」そんな言葉を発した瞬間

「貴方を殺すことが最優先事項として優先されることになる」そんな感じに 彼女が動き出すので

「魔族は嫌いな人種じゃないが、魔族が世界を支配する。とかそんな馬鹿な話は信じられないんだよ」と そんな風に言ってから

「魔王が作り出した魔王の民達を、魔族の国に返してやろう。それが平和的解決方法だろ。それにだ。魔獣とお前を足せば」俺がそんなことを言うと 魔獣と彼女が俺の視界の中で同時に動く。俺は魔獣に対して

「俺はこいつを相手にするから、そいつを頼めるのか?」と、問いかけてみるとだ。魔獣は「分かった」と 俺に向かって口にした後 俺の目の前に存在する狼型を模した魔物へと駆け出していく 俺に向かって飛び

「人間ごときが」なんて叫びと共に攻撃を仕掛けてくる 俺はその攻撃を剣ではじき飛ばすのだが 狼型の魔獣の一撃を受け流した後に、魔獣の爪による攻撃を受けてしまう そんな攻撃をまともに食らいそうになるのだが 魔獣の体に矢が突き刺さった。そして俺は狼の魔獣に「おぉい人間、油断は禁物だよ」なんてことを言われてしまう。確かに、その通りだと 狼の魔獣を睨むようにしながら 俺は魔王の配下に

「お前の相手はこの俺だよ」と、そう言い放つのだが、魔獣の方は、魔王の配下のことを睨み

「こいつはお前に預けるぞ」と 俺のことを気にしているようで 俺にそんなことを言ってきたりした 魔獣は魔王の部下との戦いを開始し

「どうして魔獣の味方なんかしているんですかね」なんて言葉をぶつけられて 俺は、俺の言葉に反応した魔王の部下の腹部に拳をぶつけること

「魔王の関係者だからな。だから俺が殺さずに倒せる可能性があるとすれば」そんなことを考えていた時に 背後から飛んできた攻撃に対して俺は振り返らずに避けることに専念することしか出来ずにいた。攻撃の主である狼の形をした大型の魔獣の動きを警戒しているのだ。もしも狼型の大型魔獣の動きが少しでも変わったならば。その攻撃が自分に対して行われる攻撃だということも予想できた。だがその魔狼が取った行動は単純なものになるんだ 狼型は大型の魔獣の背後に隠れるように移動を始めた後で 小型の犬に似た姿をしている大型の魔獣を引き連れて狼型は逃げ始める そして小型の犬のような形状の魔獣はというと「あの人間を逃さない為に邪魔者を排除しろと言われているんだよ」「そうそうそういうことだね」というやり取りをしていた

「おいおい、ちょっと待てよ。それは卑怯って奴じゃないか」俺の台詞に対する返事は

「だってさ。仕方が無いんだもん。僕達にはどうすることも出来ないからさ。君に勝ち目は無いんだよ」という風な言葉を 俺に向かって言ってきたりもしたので 魔王の部下の女性はと言うと 魔獣を追わずに逃げ去った 俺も逃げたかったんだけど、小型魔獣が追いかけてきそうな雰囲気だったので、その場に留まり続けていた 暫くの間。小型の犬っぽい姿形をしている魔

「この犬っころを相手しなくちゃいけなくなったわけだが」そんな言葉を漏らしつつだ。俺は小型魔獣が襲い掛かってきたら即座に対応が出来るような姿勢を取りながら 魔獣と対峙し続けたのだが 結局、魔獣は姿を見せることなく。逃げるようにして立ち去ってしまうことになるんだ。そんな感じで、どうにか切り抜けることに成功した俺なのではあるが この先を進むことになれば魔王の側近と対峙することもありそうだし そうなると、リリスを連れていく必要も無いかもしれない 俺の考えていることは、俺の考えであって、リリスには何の責任もないんだから 勇者の子供達は、リリスが妊娠するまでに何度も行為をしていて、勇者と俺の子供

「男の子だったよな」そう口にすれば、「えぇそうですね」と、そう答えてくれるのは俺の隣で歩いてくれている女性であり 魔王の幹部が作り出した【迷宮】の探索に向かう前に立ち寄った街の宿屋の一室で 魔王の娘である魔王の娘が俺達の泊まっている宿を訪れて来た。

俺が勇者としてこの世界に召喚された時よりも以前に、勇者は、この世界に訪れた。

その勇者が作り出し、この世界の何処かに封印されているはずの魔石を俺達が回収するというのが主な仕事になる訳だが 俺と一緒に旅を続けているのは魔王の娘リリスだ。

「どうして貴方がここにいるのか。それを聞かせて貰えるのかしら。それとも」

「私は貴方達から勇者を遠ざけるため。それだけを目的として行動をしている。ただそれだけの話です」

「勇者の子供を宿してしまった私の体を治してくれたのね。ありがとう。貴方が助けてくれたおかげで、私は貴方の子供がこの世に誕生することを楽しみにしているの」

「貴方の子供が生まれるのが待ち遠しいですか?」

「当然じゃない。私と貴方の子供なんだから、きっと、私に似て綺麗な女の子が生まれてくるはずだよ」と、リリスと、彼女の会話を聞き届けてはいたのだが、どうしても勇者の娘の容姿の方が気になって仕方がない俺がいるのだった。そんな勇者の娘の姿を見てしまえば、魔王の配下の生き残りの姿形をした女性が俺達に向けて敵意

「私達は勇者が嫌い。貴方は、勇者が産み出した子供だけど。勇者が死んでからは貴方だけが希望の光になっている。でも、貴方はまだ子供だし、貴方を殺して。それから魔王の娘に呪いをかければいい」

「お前達は何を言っている。俺とリリスを殺す? 馬鹿げた話をしているな」

「貴方達勇者に復讐するためだけに私達は生きて来た。勇者に殺されないために私達は強くなる必要があった。そして魔王軍の生き残り達は、勇者と貴方に恨みを抱く存在が多く存在する。貴方達2人が死ぬことによって。勇者の子供達がこの世界を統べる未来が訪れなくなる。だから殺す」

「そんな理屈がまかり通るような世界は嫌だな」

俺はそう言いながらもだ。彼女の言葉を受けて 俺は勇者の子供たちの方に視線を向けてから。

「お前達。もしもだ。もしお前達が、勇者の子供じゃなくて普通の人間の赤子だったら。俺は、普通に育てるぞ。お前らの父親みたいにな。俺は自分の子供の幸せを願う。そんな親だからな。そんな感じだ。それでいいのか?」なんて 俺がそんなことを言えばだ。

「貴方が父親と同じように育ってくれるのなら嬉しいよ」

勇者の子供が俺の事を慕うようにしてくれていたりする そんな風にして、勇者と魔王の間に生まれた勇者の子供を、俺は引き

「一緒に行こうか」と声をかけてやる。そうすることで 勇者の子供は

「うん。よろしくお願いします。パパ」

そんな感じの返事をするのであった。勇者の子供が勇者のことをそう呼んだことから 魔王の幹部である女性はというと 少し悔しそうにした顔をした直後に

「この世界はもうじき崩壊する」そんなことを口にした そんな言葉を聞かされてしまうのである。そして 魔王の幹部は「貴方の大切な人を死なせたくないのならば、貴方達で魔王様を倒して」なんて言葉を残して消えてしまったのだ 俺に、魔王と、魔王の配下の女性の会話が届いていた頃。リリスもまた魔王と側近と思わしき相手の話を聞いていたらしい 魔王の部下の1人はと言うと「魔王様の願いのために。貴女を殺します」と、言葉を発した直後には攻撃を仕掛けてくるのだが 魔王の部下の女の放った風の魔法の威力は高く、俺達を吹き飛ばしてしまうのだが、その際に、俺はと言うと魔王の子を抱えていて、その状態で魔法を受けることになってしまう。俺は、そのまま壁に叩きつけられることで、俺の腕の中に居る幼子が無事であることを祈りつつ リリスの方はというと、「私は絶対に死ねないのよ。私のお腹の中には、貴方と勇者との子供が眠っている。その子供だけは、守らないきゃいけない。そのためにも」なんてことを呟いて 魔王の配下に攻撃を そんなことをしてしまうのだ。俺はその光景を見守りながら「無理して戦う必要はないぞ」なんてことを言うのだが、リリスは

「大丈夫だから」そんな風に口にしていた。そして俺はそんな様子を確認してみた後に、再び、勇者の側近と向かい合い

「お前の相手は俺がしてやろう」なんて、そんなことを言うのだ。すると勇者の側近が

「魔獣は逃がしてしまいましたか。それでも構わないですよ。あれが居たとしても邪魔なだけですから」と 俺の言葉を肯定してくれる。

そして俺はというと、剣を抜くことなく。剣を構え

「そんなものでは俺を倒すことは出来ないぞ」そんなことを言い放つ 魔王の配下の幹部はというと 魔王の部下の1人に目配せしてから、俺に近づいてくる

「この程度では駄目なのか」なんて言葉は、俺が、剣を抜き、戦闘を始めようと思っていた時に 俺に向かって飛んできたのが、先程に魔王の配下

「これではどうでしょうか」との声を上げたと同時に、魔獣を生み出してくれたのだが、それが魔獣を生み出すことだけではなく 魔物を作り出すことも出来るのだという証明となるだろうと思うのだがな 1人につき3匹の魔獣を相手にすることになる訳で 3人の相手をしながら戦わなければならないという状況なのだから 勇者の仲間である剣士の男も戦いに参加して来ることになる。そして勇者の側近も戦いに参加することになるのだ。だが俺はというと、3匹同時の戦闘に慣れていないということもあるからこそ。動きを封じて倒すという手法を取ることでどうにかこうにしているわけなんだけれどもさ ただでさえ厄介なのに、そこに魔法使いの女が参戦をしてくるわけなんだ。そしたら更に面倒なことになるとしか言えないんだわ 2対1とかいう数の差が出来

「くっ」思わず口から漏れそうになる悲鳴を抑える為に、歯を食いしばり

「まだ負けていない」そんな言葉を吐き出しながらどうにか立ち上がろうともがき始めたりもするが どうにか立ち上がることが出来ても、次の行動に移れない状況が続いていた。

どうしようもなく手詰まりな状態にまで追い詰められた。

勇者はというと 勇者の仲間の男女と一緒に行動している。

「お前らは逃げなくて良いのか?」そんな質問をしてみると 男の方が

「俺はリリスを助けるために動いているだけだから、勇者の子供達は俺達にとっても、希望だ」そんな返答が帰って来るのだが、俺は「そうかよ」と言葉を漏らしてしまっていた

「なぁ、お前がリリスのことを愛しているのは良く解ったよ。俺とリリスの間に子供が生まれたとしたらさ。きっと可愛くて仕方が無いんだろ?」俺が勇者に、そんなことを聞いてみれば、

「そうだな。きっと可愛いだろうし、何よりもリリスに似た子なら、美人になるだろうと思える」なんて答えてくれる。

そういえば俺が勇者の立場だったなら間違いなく俺の子供とリリスの子供を引き離すことを選択するのではないだろうかと思った。そんなことをすれば、お互いに傷つけあうことになりかねないわけで 魔王の娘である魔王の娘の体を抱き抱えたままの俺の所に 俺の事を慕ってくれている魔王の娘の父親がやって来て

「勇者の貴方がこの世界に召喚されていなければ。貴方の大事な人は魔王の娘として生きることにはならなかったでしょう。魔王は、この世界を滅ぼそうとしたのかもしれません。しかし、貴方がこの世界に召喚された。それは、私達魔王軍にとって都合の悪い展開になり得るはずです。だから貴方は、この世界で死んで貰います」

「どうして、そんなこと言うのかしら。私は貴方達が、勇者に殺されるようなことが起きないようにと思って動いていたというのに。私は勇者を、魔王の配下の方々と争いを起こさないようにしたいと思っているだけ」

「その考えこそが、勇者が作り出した甘い幻想なのです。貴方達は、この世界の人間達の憎しみを全て受けるべき立場にあるのです。勇者が作り上げる世界のために、勇者によって苦しめられて来た全ての人間が貴方達を殺しにかかるでしょう」

「そうかもしれないけど。貴方達の主人の願いを叶えることにもなるのに」と、リリスが言葉を口にする そんな彼女に対して、「それこそが貴方達が生み出した妄想に過ぎないのです」なんて言葉を口にしてくれていた。そんな勇者とリリスのやり取りを見ながら、魔王の娘を抱えた俺はその場から離れようとしたのだけれど 俺の前にはというと魔王の配下の女性が立ちはだかる。

「そこを通してくれないのか?」なんて言えば

「貴方が魔王の子供を抱えている。そんなことは分かっていましたよ。そして私にその子供を託そうとしていることだって」と、言う。

「そんなつもりはない」と、口にしたところで「もう遅いんですよ。勇者の貴方と、魔王と勇者と魔王の子供達にはここで死んで頂きます。魔王の血を引く者を生かしておけば、いずれ必ず貴方達は不幸を呼び込みます」なんてことを言い始める。

勇者は「魔王の娘を返せ」と叫ぶ。勇者の傍にいたリリスは

「リリア、お願い。その子を魔王の元に返しに行って。魔王は、リリスと、勇者の子供を殺すために動いているの」と、声を上げてしまう 勇者の奴に魔王を殺す理由を作らせてしまったのかと、思いながら

「魔王の配下。お前達をぶっ潰せば、それで済む話だ。それで良いんじゃないのか?」と俺は勇者達に聞こえる程度の声音で口にしてみるのだが 勇者と、その仲間は俺の言葉など耳に入っていないらしく リリスのことを見つめて「俺はリリスを助けにここまでやって来た」と言う。そんな彼等の姿を見届けてから、俺は魔王の部下と対峙することにしたのだ。すると魔王の側近が俺

「お前は魔王を殺した後、どうするつもりなの?」そんな疑問を口にして来た そんな側近の疑問に、俺が何と答えていいものかと考えている間 勇者の目の前にいるリリスはというと、魔王の側近と、勇者とリリスとの間にいる魔王の子供を見やりながら

「リリは、魔王の子を救ってあげて欲しい」なんて

「魔王の子供が貴方のお腹の中に居ることなんて、貴方が死ぬ時には分かっているはず。貴方は自分の子供を守れる。貴方が守ろうとした子供は、魔王の子なの。そんな子供が魔王の加護を持っているからこそ、貴方は魔王と戦うことになった。でもね。魔王の子はね、ただ、魔王の血が流れているだけで、何もしていない。むしろ貴方は子供を殺そうとしてきた相手に情けをかけたのだから」そんなことを言ってくる。

勇者がリリスのことを守る。リリスは勇者のことを守るために命を差し出す覚悟があると俺は思う。そんなリリスの姿を見ていれば「この人は本当に優しい人なんだな。こんな人が自分の大切な人の側にいて良かった」そんな感情

「俺はリリスのことが好きだ」

「え?いきなり何を言っているの?」突然の勇者の告白。それに対して驚きを見せるリリス

「俺はリリスが好きになった。だからこそ俺はリリスの味方で在り続ける。そして俺は、お前を守りたい」そんなことを口にしていた。

「ありがとう。リリもね勇者さんの事が好きなんだよ」なんてことを口にして

「リリィと約束をしたんです。勇者さんは私のお婿様になるって。だから、お兄ちゃんは、お父様の仇討ちをしなくちゃ駄目なの」なんてことを言うのだ。

魔王の子供達も勇者と魔王の子供であるからこそ「お前ら兄妹なのか?」そんな問いかけ

「リリス、お前にだけは本当のことを伝えておくよ。俺はリリスの兄なんだ」なんて言葉に

「そうですか」と言葉を返すリリス。「やっぱりそうなのか」そんな言葉を呟くと、剣を握りしめて俺の所に歩みを進めてきた勇者

「貴方に、恨みは無いんだけど。それでも俺は貴方が嫌いなんですよ。だから死んでください」そんな言葉を言い放ちながら

「そうかよ。じゃあ、さっさと終わらせてやるからさ。早くかかって来い」と、俺も勇者と相対する。

そして、戦闘を始めると、やはり、3匹同時に相手取ると、手詰まりな状態に陥れられる

「なぁ、勇者の仲間。あんたはどう動くんだ?」と聞いてみたりすると 剣士の男も勇者も リリスの傍から離れるわけにいかないと答えるのだ。そんな3匹が戦う姿を目にしながら「俺は勇者の子供を助ける気はないんだぞ。そんなに大事ならば、お前が助ければ良い」そんなことを口に

「リリスの気持ちが優先だ」と勇者は答えてくれた そんな勇者の姿を見れば 魔王の娘の父親と、その母親は、俺の所に来ると「魔王の息子を渡してください」なんて言葉を吐き出すのだ。だが断ると、俺を始末する為に動こうとする だが俺も黙っているわけではないからな

「おい、待ってくれよ。魔王の野郎は俺に喧嘩を売って来ている。だからな、魔王に売られた喧嘩を買ってやるだけだ。だからな、魔王を殺すのは当然の権利であり、義務でもあるんだ。だからな俺はこの世界の人間に殺されたりしねぇよ」

「それなら私が、貴方を殺して差し上げますよ」そんな言葉を俺

「やらせはしません。この子の命を奪うことなど、絶対にさせませんよ。私は貴方がたから魔王の子供を取り返しにきただけなのですから」そんなことを口にしてくれる。

俺はというと、魔王の配下と睨めっこをしているような状態で「俺は、お前らに殺されるわけに行かないんでな」とだけ言葉を返してみた

「勇者が、お前のことが好きだと言って来た。俺はそんなお前を殺さなくてはならない。それがお前に課せられた役目だ」

「それは、私と貴方とのやり取りです。私と貴方がどうなるかなんて、私は興味が無いです。だって私は勇者が大好きですし、勇者の子供だって可愛いのです。そんな可愛い我が子のためにも」なんて言うの

「だったら、お前らがその可愛い可愛い子供を俺達に差し出していればいいじゃないか」

「そんな真似出来るはずがない」

魔王の娘は俺の言葉を聞いて「そうだよね」そんな言葉を発する。

そして魔王の娘の母親が

「貴女は自分が何の為に生きているのか解っています。この世界の人間に利用されるために、産まれたのでは無い」なんてことを口にすると、リリスが

「リリは魔王の子として生まれてしまったことで。辛い思いをしたの」なんてことを口にしてしまう。その瞬間「魔王の子供なんて生まなければ良かった」と勇者と魔王の子供達に対して言う魔王の側近。勇者と魔王の子供が魔王の血を引いていることが問題なのだと

「貴方の言いたいことも良くわかりました。だけどね、私はリリを救える道を探したいの」と魔王の娘は口にしてくれた。

そんな彼女のことを見つめながら「魔王の娘。この世界に魔王の子を産み落として悪かった」と謝罪をすると

「私に謝らないで下さい。それに貴方は私と約束を守ってくれたのでしょう。私はね、お父様に嫌われても仕方のないような存在なのに、貴方がお母様とお父様との間をとりなしていてくれなかったのなら、今、こうやってリリの事を愛している事もなかったのです」と言葉にする。そんな魔王の娘であるリリスに対して、魔王の娘が

「ごめんなさい」と涙を浮かべて口にして抱きしめると、俺の方に歩みを進めるのだ。その光景を見て俺は思った

「魔王の娘は本当に、魔王の事を嫌っていないんじゃないか?」なんて思ってしまった。

そんなことを考えながら、俺は、魔王の配下に、殺されてしまうことになるのだが、俺の身体の中には魔王の子供の核があったので「こいつは魔王を呼び寄せるための餌だ。だから俺は、ここで死んだことにしよう」なんて

「何を馬鹿なことを」

そう口にした魔王の側近に向けて

「いいから、そうしてくれ」と口にすると

「分かりました。では、貴方の亡骸と、その子をお渡しください」そんなことを言い出すので

「魔王の子供は、勇者の子供が面倒を見てくれる」なんて言えば、「そんなことを言われましてもね。勇者の傍にいる限りは」そんなことを言っていたので 俺は「勇者、俺はお前が好きだぜ。だから俺はお前の手助けをしたいと思う。だから魔王の配下達をぶっ飛ばしてくる。だからお前らは俺の子供を頼んだよ」と勇者に伝えていた。

魔王の幹部を、ぶっ飛ばすことが出来るだけの実力を身に着けてから行動に移ろうと思いながら。

そんなわけで魔王の部下達と戦う羽目になってしまった俺 勇者の傍にいたリリスに、魔王の側近が駆け寄る。すると勇者はリリスに「俺は魔王の加護を持ったお前のことが好きなんだ」と伝えて魔王の子供を魔王の側近へと渡してしまったのだ。すると魔王の側近の口からこんな言葉が漏れ出て来たのだ

「その子を何処に隠していたのですか?」

「この世界に連れてくるのに苦労したんだ。まさか魔王が勇者の子供だと知っていたのだから」なんて勇者が告げるのだ。勇者の子供だということを知らない振りをしながら

「勇者の子供。この子は魔王の子供ではありません。確かに、魔王の血を引くことは事実ですが、魔王がこの子に力を授けることなどありえないのですよ。そんなことを知っているからこそ魔王は、魔王が勇者の子供だと知ったとき。この子は勇者が連れ去ったのではないか?と思ったぐらいなの。だけど、そんな魔王の加護をこの子は受け継がなかった」

「この子がこの子の両親から受け継いでいた力は、魔族に対する絶対の恐怖心だった。そしてその恐怖心をこの子供は持っていなかった」

そんな会話を聞きながら

「じゃあ、この子には俺の持っている力が備わっているんだな」なんて言葉を漏らして

「魔王の息子。君の名は?」

そんな問いかけに

「俺はタケルって名前だよ」

「勇者の力が宿っていると言う事なのですね。でもね、残念ながら。今の貴方の体で使える能力はそこまでのもの」

「どういうことだ?」そんな疑問を抱くと

「勇者はね。自分の意思に反して、勝手に仲間にされた人達を自分の元から離そうとはしない。そんな勇者の力を受け継ぐためには、勇者の子供であっても勇者の仲間になる必要がある。でも、魔王の子であるリリスは違うのよ。彼女は、魔王の娘でありながらも、魔王が大っ嫌いだと言った。だからね魔王は彼女に自分の子供を託すことは出来なかった」なんて言葉を魔王の側近は吐いてくれているのだ

「つまりはさ。魔王の子供は勇者の子供ではないと?」そんな言葉を魔王の側近に投げかけていくと

「そうよ。勇者の子供ならば、貴方も知っている通り。あの方も嫌うはずだし」そんな言葉を呟く 魔王の配下にそう言われたため

「じゃあさ、俺の本当の親は一体誰なんだ。俺の母親は勇者なのか魔王なのか、それとも俺の父親は何者なんだ?」そんな問いかけを行うと、俺の母親のことを勇者から聞いていた魔王の側近は

「勇者が魔王の城に来て。私達は貴方の母に貴方を託したんです。そして貴方が生まれた時に私は貴方の中に眠る勇者の力を封印しました」そんな言葉を口にしてくれる その言葉を受けて「俺はどうしたら良いんだ?」と問いを投げかけてみると

「リリスさんに協力してあげて、それで魔王を倒してください」そんなことを口にしてくれる。

リリスの方を見ると、魔王の子供を抱えて逃げようとしている姿を確認することが出来たので

「俺に、協力させて欲しい。頼むっ」とリリス

「リリのお願い。聞かないわけがないじゃない。勇者の子供も一緒。リリの事が好きなんでしょう。そんなリリが貴方を必要としているんだもん。断るわけないよね」

そんな言葉をリリスが魔王の子供と、リリスが口にすると

「勇者、お前はいいのかな?」なんてことを口にする そして「リリスが決めたのならば構わない。だけど俺も手伝わせてもらうよ。お前に死なれるのは嫌だし」そんな言葉を

「だったら決まりだな」俺は、魔王の娘に抱きかかえられている魔王の子供が泣き出さないように注意しながらも

「魔王を倒しに行く前に俺に魔王の力を教えてくれないか?」と そんな言葉を魔王の側近に対して発すると、俺の言葉を聞いた魔王の側近は「貴方の願いならば叶えなくてはなりませんから。魔王の息子である貴方は、私の弟子であり、この子の兄なのですから」と

「魔王の息子を、貴方に任せましょう」なんて言ってくれたのだった。

そんな訳なので魔王の側近の弟子となり魔王の力とやらを伝授してもらえることになり。俺は、魔王の配下と戦わなくてはならないことになった だが

「勇者、この子と一緒に待っていて欲しい。必ず戻ってくるから」とリリスが口にしたため俺は「勇者。魔王の娘のこと、頼んでもいいのか?」なんて言葉を発する 勇者が「リリスに頼まれたら俺だって断りにくいじゃないか」と言い出して 魔王の娘を連れて安全な場所に移動を開始するのであった

「お姉ちゃん。僕、魔王の子供とかそういうんじゃなく、本当に僕のことを好きになってくれる人に会いたいんだ」そう言う子供のことを抱きしめてあげると

「うん、そうだよね。リリにも会いたい人はいるし、お兄ちゃんがいなくなったことで悲しいけど。だけど今は我慢だよね」

そんなことを口にすると、お姉様は優しく頭を撫でてくれた。そしてそんな私たちの様子を、一人の女性が優しい瞳で見つめていてくれていることに気が付き

「あの方はどちら様でしょうか?」なんて聞いてみたりすると

「魔王の配下である」と そう言われてしまったので、私は思わず

「えっと、そうなのですか? 勇者の子供を育ててくれると約束してくれました」

「そのようだな。私は魔王様に命じられたことを忠実に行っていこうと思っているだけだ」

その女性の言動はどこか勇者にそっくりだと私は思った。だからきっと勇者の子供

「貴方のお名前を聞かせてもらえませんか」と私はその女性に対して尋ねると

「私の名前を知りたいのだな。私は、勇者の妻の一人。リリカという」なんて言葉を女性は私に向けてくれた。

「勇者様の奥様でしたのね。私はリリスです。勇者様はお強いんですよ」

リリはその言葉と共に、私の顔を見つめると、「僕は、お父さんみたいな、勇者になれるようになるんだっ」と言ってきてくれる その瞬間にリリス様の目が潤んでいるような気になった そんな時

「ガァアアッ!?」と言う

「な、何があったの?」そんなリリス様は慌てだす。

そんなリリス様の背中にリリス様は隠れるようにしながら私の方に視線を向ける。

「魔王の配下達の襲撃が始まったのだ。この国に」なんてことを魔王の側近が口にしているのを耳にすると

「魔王の幹部と勇者と、あともう一人が攻め込んできたと言うことですか? という事は勇者が魔王の側近と戦うと言うことになるのですよね?」

私が問いかける言葉を吐き出すと魔王の側近がこちらに向かってきたので私は剣を構えようとするのだが 魔王の側近が私を殴り飛ばしてきてしまい意識を失いそうになったのだが どうにか耐え切ったところで 私は勇者の子を抱きかかえるとお姫様抱っこで運び出した。そしてその場所を離れるために走り出すと勇者の傍にいるリリスに声をかける そしてリリが返事をしないので心配になりながら私は口を開く

「どうしてここにいるんだろう?」

それは今の状況に対する率直な疑問だったのだが。リリは何も答えてくれないで困り果てた状況

「魔王の側近に狙われたみたいだけど。大丈夫なのだろうか?」と 私は不安になっていたが。それでも必死に逃げるしかなかった 勇者の傍にいる魔王の娘であるリリスと、魔王の側近に魔王の子である勇者を任せることになってしまったので俺は魔王を倒すべく魔王の幹部がいると思われる場所に足を運んだ。

すると魔王の幹部が「待っていたぞ」なんて言葉をかけてきたので

「魔王の幹部。魔王の息子の居場所を知らないかい?」なんて質問をしてみるが

「お前に魔王の子供は預けることが出来ない。だから、お前がこの世界に存在する価値はゼロに等しい。大人しく消えろ」そんなことを口にする。魔王の側近の言葉を耳に入れた後に、俺は魔王の幹部と戦いを始める 魔王

「クソッタレが。ふざけやがって、なんでこのタイミングなんだって話なんだよ。こんなときに」

俺は、魔王の側近の野郎の魔法を食らいながらもなんとか生きており

「魔王。あの子供とあの魔王が同一人物だったとは、な」

勇者

「あぁ、あの子が俺に言った言葉は本当だったんだ。俺のことが好きだから助けてって。俺のことを父親と思っていて欲しいから。あんなに優しかった。あの子が魔王だったなんて」

俺はそう言いながら

「あぁくそ、俺のことを魔王の息子って認めていたんだから、あのとき魔王の息子じゃないと否定しなければよかったのか?」と後悔してしまう俺に対して「もう遅いさ。あのときに俺のことを魔王の息子じゃないと言っていれば、リリスは死ぬことはなかったんだ」なんて言葉を口にしたのだが。その直後に魔王の息子を誘拐されてしまった時のことを思い出してしまう。そんな出来事があったことを思い出すだけでも心の底から悔しさが湧き上がってきて仕方がない俺は涙をこぼしてしまいそうになるが、どうにかそれを堪えた状態で立ち尽くしていることしか出来ないでいたら魔王の側近が攻撃を仕掛けてくるため防御することに専念せざるを得なくなり。反撃に転じることができないまま攻撃を受けることとなってしまうが俺は攻撃を繰り出していき

「貴様を始末してしまえば、この国の王には別の人間を据えればいいだけよっ!!」なんて声を上げ

「お前だけは絶対に許さない」と 魔王の息子であるリリスが姿を消したことで、リリスが無事であることを願う気持ちが強くなっていた俺が魔王の側近との戦いを始めようとしたときだった。リリスが姿を消していたことで、勇者と魔王が俺と魔王幹部との会話のやりとりを聞き、動き出そうとしていたようで

「リリの奴、本当にさらわれちまった」と俺は呟いてしまっていた 俺が呟くと勇者と魔王は

「「あいつ、どこに行ったんだよ」」

勇者

「まさか、俺が倒したと思っていた魔将が生きているのなら」

魔王

「俺達が、こいつと戦っている隙に」

そんな言葉を発し始めた。

「二人してリリスのことを考えていてくれているのかもしれないが、まずは、こいつに集中だ」

俺は魔王の側近の相手を続ける 勇者が俺に近づいてくると、剣を振るってくるので俺は勇者の攻撃を回避する 魔王の側近の方を見ると、勇者と魔王の相手に精一杯なのか、俺達のことにまで手を出すことができないようだ 魔王側近の連中と俺達とでは圧倒的な実力差が開いていることもあり。この状態が続くと魔王の幹部が全滅するまでは俺達に手を出して来ることはないだろうと考えつつ、目の前の勇者を相手に戦い続けることに決める そして勇者が俺に向けて大ぶりな攻撃を仕掛けてきて

「お前なんかにリリスは任せておけないんだ」と言い放つ そんなことを勇者は口にするのだが 勇者は魔王の子供である俺と、自分の子供でもあるリリスと、魔王と俺の3人の子供の父親になるつもりなのであろうか 俺が魔王の息子と知りつつも そんな事を口にしているように思えるし、もしかしたら、リ

「勇者は俺と、魔王の娘との関係を勘違いしているんじゃないのか? リリスと勇者との間に子供が出来た訳でもないだろ? 勇者の子供ではないのは確かだし」

俺はそう思い、思わず口にしてしまっているのだが

「何を言う? 勇者とリリスは愛し合っている。そんな勇者の傍から、その勇者の血を引く子供が離れていこうとしているんだぞ。だから俺は勇者としてではなく。一人の親とし して行動を起こすんだ」

勇者の言葉を聞いて 俺は思わず吹き出してしまいそうなった。だって、勇者の言葉の前半部分の意味が分からなかったからだ。だが後半部分は、俺が魔王の子供であることが理由で魔王の娘と俺を引き離すという話になっているが。そもそも俺と魔王の娘とは何の関係もないんだから。そんなことできるはずもなく。それに勇者だって勇者の娘と一緒にいる時間が長くなるんだ。それくらい理解してくれても構わないんじゃないかと思ったりするが そんなことを考える暇を与えてくれるほど 今の勇者は優しくなく 容赦なく攻撃を行って来て

「おらおらと。どうだ。これが本物の一撃だ」

そんな風に言っては何度も、力を込めた一撃を俺に向けて振り下ろしてきたりしたのだった。だけどそんな勇者の行動を見て、魔王の

「いい加減にしろ」

なんて声と共に、勇者の動きは止まってしまう。そんな勇者の傍で魔王の側近は何かしらの準備を行い始めて 勇者

「何をしに来た」

魔王

「この男が気に食わないのは事実なのだが。それ以上に興味があるのだ」

勇者

「どういうことだ?」

魔王

「私の勘が告げるのだ。この男は、私に、いやこの世界に大きな変化をもたらしてくれそうな気がすると」

勇者

「変化か。まぁ、確かにそうだな。こいつも、俺のことも、リリスの事も、全部変わった。それも全てリリスが、勇者の子供のことを勇者に伝えたからだよな。でもさ。魔王の息子だからという理由で。どうしてこんなにも変わってしまうものなのだろうかな?」

魔王の側近の言葉に対して勇者はそう言葉にしながらこちらに歩いて来ていて。俺のことを見つめると「あんた。これから先。大変だと思うけど。頑張ってほしいんだ」と勇者の言葉を受けて魔王の側近の方は「私達と敵対関係になってくれるなよ?」なんて言ってきたりしてきたりしていて 俺は二人の言動に対して「俺はリリスを助けるために。そのためならばどんなことでも行う覚悟はある」

勇者に向かって、魔王の側近の方に、そんなことを口にすると

「そっか、なら良いんだけど」なんてことを勇者が言いながら魔王の側近は

「リリス様のことは必ず無事に救出してみます」なんてことを言ってきて俺は「頼む」という言葉を口にしてから走り出したのだ すると勇者達はその場に留まり続けるみたいだったから。きっとリリスを救い出しに行くための下準備を行う為に動いているのではないかと思う だけど俺は魔王の部下の一人を倒そうとしていたのだがなかなか倒しきれないでいて困っていたら突然のことだったのだ

「この国はもう駄目かもしれませんね」

そんな言葉が聞こえてそちらに視線を向けると女性の姿をした存在がいたから「誰ですか貴方? なんで急に喋るんですか?」と言う言葉を発した瞬間に剣を突き刺されてしまう俺であり

「うぐぅ!?」痛いとかそういう次元の話じゃなかった。まるで身体に剣を差し込まれてしまった

「ふむ。魔王の力を手に入れようとしているみたいですから。魔王の力を手に入れるためにも邪魔者を排除せねばいけませんから」なんて言葉を女性が吐いた直後、俺の体に異変が生じ始める

「あぁ。あぁ。なんだ。体がおかしい。あは、は、これは。魔王の力?」魔王の側近は魔王の側近なので、その力は凄まじく。その力が、そのまま俺の体内に吸収されていく感覚に襲われてしまい俺は意識を失ってしまった 目を覚ました俺は全身が痺れるような痛みを感じていたから悲鳴を上げることになってしまうのだが、そこで、そんな俺に駆け寄ってくれたのか「大丈夫ですよ~もう安心だからね。だから落ち着くんだよぉ」と言葉をかけてくれたリリスのおかげでどうにか平静を取り戻すことができたのであった 魔王の息子に魔王の娘であるリリスと魔王の息子であるという自覚を持たせようとしたときに魔王の息子である彼はリリちゃんのことを抱きしめているところを目撃してしまうのですが。それから数日経ったある日の出来事になりますが 魔王の幹部は勇者を殺すための準備をしているようで。そんな中、魔王の側近の方は魔王の息子である彼を殺そうと企んでいるようで勇者と彼が対峙したときのために動き始めていて そして私はと言えば【魔道具職人】の能力を使い様々な魔法剣を生み出そうとした時に魔王の幹部が現れ「俺に任せて貰えませんかね?」と言ってきたわけである それに対して魔王の側近の男性は「貴女は、確か魔王の幹部の」と言いながら「はい。魔王幹部の一人であるアモンにございます。魔王陛下が、リリスさんにご迷惑をかけたので魔王の息子に報復をするべく動いています。そんな魔王の息子は、今、この場にいるようですね」そう言うと、魔王の側近の方と魔王の息子である彼は対面を果たすことになり、その様子を見ていたら魔王の幹部の方が魔王の息子に対して攻撃を仕掛けた

「お前が、魔王の息子だというのは知っている。だが、俺は、勇者様が貴様の面倒を見ていたと知ってしまった以上。そのことが納得いかないんだよ」

「勇者が俺に構った理由はリリスのためだ。リリスが寂しくないように。俺と関わることで孤独を感じることがなかったのなら。それは、それだけで十分だったんだ。リリスさえ居れば」

魔王の側近が攻撃を開始したことにより、勇者が魔王の息子を守ろうとする行動に走るが。そんなことは魔王幹部は予測済みなのか。そんな行動を阻止しようと動くのだが魔王の幹部の攻撃に対処できずに 魔王の息子の肉体は破壊されてしまい魔王の息子の死を確認しようとした時、魔王の息子の死体が爆発を起こしてしまい「くっ!!」と思わず口にしていた魔王幹部は

「あの方なら、これくらいはできるはずだ。くそ。やはり勇者は油断ができない」と魔王の幹部は勇者が何かを仕掛けてきたことに気がつくのと同時に魔王の息子が生きているのだと確信を得ることになるので その光景を見届けていると 魔王の息子は無傷の状態で姿を現し魔王の幹部に向けてこう言った

「やっぱりな。リリスと関わりを持っている人間。しかもリリスと恋仲になれるほどの男となると簡単に死んでくれるとは思っていなかったから。それならば勇者の関係者に殺されてくれると良かったのにって思ってたところなんだけど。あんたみたいな強者なら話は違うな。俺は今。勇者の子供。勇者の血を引いている。そして、お前が殺そうとした男は勇者の血筋を受け継ぐ子供の父親となるはずの勇者。俺には、そんな男が近くにいるんだ。そんな男が勇者の血を引く子供の父親になるという。その意味が分かるか? そんなことをすればどうなるかは想像できるだろう」と魔王の息子は魔王の側近に向かって口を開くと魔王の側近は何も言い返せず黙り込む形になっていた。魔王の側近も魔王の息子が生きているということを理解しているはずなのに魔王の息子が何をするつもりなのか分からず混乱状態に陥ってしまっている そんな魔王の側近の様子を確認しながら勇者と勇者の娘と仲良くしている姿を見せつけたら。

「おい。あいつは一体、何を考えている? まさか魔王の側近を騙そうとしているんじゃないだろうか? というか勇者の娘が妊娠しているという話。あれも本当の話じゃないだろうし」なんてことを口にしている勇者の姿があったのだが、それを聞いていた俺は思わず勇者に突っかかっていき「ちょっと待ってくれないか? リリスは妊娠しているぞ。俺はこの目で確かに確認している」と言いながらリリスのお腹をさすったりするのだ。すると

「勇者の子供を身籠ったのに勇者が何も行動を起こしてくれない。それで俺は考えたんだ。俺とリリスとの間に子供が生まれてくるとしたら勇者の子供だ。勇者の子供を産んだリリスに対して勇者が何のアプローチをかけてこないという事はありえないから。だから勇者の娘は妊娠などしていないはずなのだ」なんてことを勇者は語り出す それを聞いた魔王の側近は「勇者の娘が妊娠しているというのは、魔王の側近と一部のものだけ。魔王の側近達と勇者の娘と接点があるものは限られている。つまりは」なんて言葉を呟き始める。すると勇者の側近も同様に「魔王の娘に近しい人物で勇者とも面識があり。リリスと魔王の子が交流を持つ機会が多くあった存在。そんな人間が、この世界にどれだけ存在していると思う?」なんて言葉を勇者に向かって発してしまうのだった すると、そんな勇者の側近の言葉を聞き魔王の息子である彼から、ある人物が浮かんできたのか

「まさか?」

「おそらく勇者が接触しようとしている相手は」

そんなことを魔王の側近が言おうとしたのを遮るようにして魔王の息子が魔王の部下の発言を潰すような形で「魔王の側近の貴方は勇者が魔王を打倒したら何を願うと思います?」と言いながら勇者に近づくのだが勇者が勇者の息子に襲いかかろうとしたところで「勇者、止めてください。こいつは私の標的です」と言う声と共に現れた魔王の幹部が勇者の前に立ちふさがることで勇者の動きが止まってしまい

「リリスさんが魔王の子供を身篭っていると知ったから、貴方の大切な人は奪われる。貴方は、勇者が魔王の力を身に着けるために必要な力を持った存在に成り下がったという事です」

「魔王の息子。俺に勝てると思っているのかな?」

「さてね。ただ勇者とリリスさんの件は。魔王様にとって都合が悪い出来事だからね」

魔王の側近が魔王の息子にそう伝える そんな会話を交わしていた魔王の息子は「そろそろか」なんてことを口にすると突然として姿を消してしまわれてしまい。そんな彼の姿を見逃してしまった勇者と魔王の側近達は「消えた!?」なんて驚きの声を上げており そして勇者の側近の方は魔王の部下の方を睨みつけると

「今の奴は何者なんだ!?」

「魔王の幹部で名前はアモン。そして魔王の息子であることは先ほど判明した。しかし先ほど、姿を消した瞬間。その正体に俺は気づいた。だからこそ俺はリリス様にこのことを伝えなくてはならない」

勇者に、魔王の幹部と魔王の息子として名乗り

「勇者よ。貴様が魔王を倒すために存在するのであれば。俺を倒してみせろ」

そんな言葉を残した魔王の幹部は魔王の息子であるという事を勇者に伝えた直後に姿を消すことになり

「あの男。いや。彼は本当に魔王の配下。つまりは魔将だ。彼は魔王の子。魔王の子である以上。私でも、いや他の誰であっても倒すことはできないかもしれない」魔王の幹部が口にしていた言葉を聞いて勇者が動揺を見せるのであった 勇者が魔将の一人を倒したという報告が、王都にも、そして、魔王の城にもある。それは、勇者と、魔王の息子であると名乗る男が、リリスちゃんを救うために魔族の国に向かったということも報告にあった。

そんな話を耳にしていた俺は、

「魔王の側近め。俺を利用してリリスを殺そうとしてきたようだからなぁ」そう考えながらもリリスの母と対面を果たした時のことを思い出す 彼女は、娘を守る為に、勇者と戦っていたのだろうか。

そう考えるのだとしたら

「勇者を殺してやる」

「勇者殺しの魔王かぁ」なんだが面白いな。だけど。そんな魔王になった俺だが。その魔王である彼は俺のことを見下した態度でこちらに近づいてくる。

「ふん。魔王だと名乗った割には随分と小さいな。だが安心しろ。僕は魔王を殺すつもりはない。なぜなら君が勇者ではないと、その証があるからだよ。それに勇者の子供も。君のことを信頼していたから。僕にはわかるんだよ。リリスちゃんは、きっと無事だろうって。まあ。今はどこに居るのか分からないけど、君は、リリスちゃんと一緒に居た時よりも弱くなっているように見えるが」彼は俺に語りかけながら剣を構えて俺のことを襲ってきた その攻撃に対して俺は魔法剣を使い反撃をするのだが。彼が繰り出してきた魔法剣は普通の魔法剣ではなかった。それは、彼が作り出した魔法の剣ではなく。勇者が使っていた聖剣であったからだ 俺の攻撃に驚いた勇者だったが。すぐに態勢を整えなおすと魔法剣を巧みに操り攻撃を仕掛けて来る。そんな中で魔法を発動させようと思った時 魔王の息子が魔王の息子が「お前は自分が弱いのだと思い込んだ方が、より強くなれるからな」という言葉

「そうだ。俺は、この世界で最強になりたいんだ」その思いから、この場に存在していた俺は、自分自身を弱者であると思い込むことにすると、自然と気持ちが高まってきて。その結果、自分の能力の限界値が上昇を始めた そのおかげでどうにか勇者の攻撃を受け流すことが出来たので俺は彼に質問を投げかける

「あんたは、なんで、リリスの母親と結婚したんだよ」すると彼は笑った後で「彼女のことが好きだから結婚しただけだよ。彼女が望んだから」と言ってくれたのだ。

その言葉を、聞いた、魔王の息子は 魔王の息子は、その言葉で思い出したのだろうか。リリスに求婚したときのことを「魔王になるために利用価値があったリリスを利用しようとしていただけ」

「リリスの母親が結婚を望んでくれていると知ったら。そりゃ、その女性と結婚しようと考えるのは普通なんじゃないかな? というか勇者って呼ばれる存在と結ばれれば幸せになれるって。そういう話を聞いたことがなかったかい?」なんてことを言ってくれるわけだが。それを聞き逃すことができなかった俺としては「あんたのせいで俺は、どれだけ苦労したと思っているんだ!!」と言い放つことで攻撃を開始しようと思ったのだがそんな時 俺の妻であり。今となっては愛すべき妻でもある存在である女性が姿を現すことになるのだった そして、現れた妻は、リリスの父親と思われる人物に挨拶をした それが何を意味するものなのか

「はじめまして。魔王の娘が夫になります」という衝撃的な事実が告げられた直後だったからなのか

「お前は一体何を言っているんだ?お前の夫は魔王ではないか」そう口を開く

「いえ。貴方のお嫁さんになるのはリリスという子です。だから魔王様のお嫁さんになられるという事ですね」

そんな風に話し始めた妻の言葉を耳にして

「魔王の側室に」魔王の息子の頭の中で、様々な妄想が広がる中。それでも平静を保っていた彼なのだが

「あなたが、この人の旦那さんになってあげてくれませんか?」との言葉を聞きながら魔王

「はい?」と口を開いてしまい

「魔王の息子さん。貴方ならリリスも懐いていると思いますから。どうかお願いします」そう口にした後で深々と礼をしている彼女を見て魔王の息子は

「わ、分かった。任せておいて欲しい」との言葉を残し去って行くのだが、それを見ていた俺は 俺は、これからどうするべきなのだろうか?そんなことを考えてしまうのだが、それよりも先にリリスの母が「リリスは生きているのか?」そんなことを聞き出して来て。俺は素直に「ああ」と答えることになる すると、その反応を見たリリスの母は嬉しそうな顔をしながら

「そう。それならば良かった」そう言い残すと俺達と別行動を取ると言い残

「魔王の娘さんは私の方で預かる事にさせてもらう」

そんな言葉を残して消えて行ったのだった。そんな彼女の姿を見ながら俺は

「リリスに何かしたら、ただじゃおかないからな」

そんな言葉を放つ すると、リリスの母と入れ替わりで魔王の息子と、魔王の幹部が俺の前に姿を現してくれたのだ。すると彼らはリリスのことを助けに行くために同行を求めてくる それに対して魔王の息子である彼の方は

「魔王の息子。いや。魔王の息子ではない。アモン。君は魔王として相応しい存在になったようだ。しかし、その力をどのように使い。そして何を目指すのか?」そんなことを問いかけてきた。俺はそんな彼に対して

「魔王としての力は必要だと思う。だから私は力を手に入れる。そして勇者を倒すことを目指している」

俺はそんな言葉を魔王の息子に向けて放つ

「君とは一度、戦いを望んでいた。だが、その相手として、君を選ぶのも悪くはないと思う。勇者はリリスと行動を共にしていることだろう」なんてことを呟くように言ってくれたので

「俺の妻と、魔王の娘のことは、心配いらないから、そっちはそちらの事情を優先するといい」

「助かります」魔王の息子は俺にそんな感謝を告げると魔王の幹部を引き連れてその場を後にした それからは、リリスと、その両親が待つ場所に向かっている最中

「魔王の息子と、リリスさんはどのような関係なのでしょうか?」と魔王の側近がそんな事を俺に聞いて来た

「彼は、魔王の子だと自分で言っていたけど、そのことについての裏付けが、まだ出来ていない状況では、判断がつかないところがあるな」

俺のそんな発言を聞いて

「そうですか」とだけ答えていた。そして魔王の幹部の男がリリスの父が消えた方に視線を向けてから「あの男が消えた理由を探っておきたいのですが、リリスさんのご両親から聞き出せればいいんですが」

「確かに。それは難しいかもしれないな」と、そんな会話を続けていると、リリスの家が見えて来たのである。そんな家の中に入った俺は、すぐに寝室に案内されるとそこで眠る一人の女性の姿を見つける。そして俺がリリスの母親の顔を見るとリリスの両親は静かにうなずいて見せた。なので俺は「この人は無事だ。安心してくれ」と そんなことを伝えてみると、彼女は、ゆっくりと目を開き「リリスはどこに居るんだ!?」そんな事を叫ぶようにして口にしてきた。その言葉を耳にした俺が、「勇者は死んだよ。勇者の子供も、リリスちゃんは、俺が助け出している。だから、リリスちゃんは安全だ。安心して欲しい」と 俺

「勇者が死んだのか!?本当に勇者は」

「本当だ。勇者は、俺が殺してしまった。俺のことは恨んでもらって構わない」と口にした俺の態度が気に入らないのか

「貴様。ふざけているのか」リリスの父親は、そんな言葉を口にすると剣を握りしめたままで

「私達の可愛いリリスちゃんに酷い真似をして」

そんな言葉と同時に攻撃を仕掛けてきたのだ。俺は咄嵯の事態に対して魔法障壁を張り巡らせるが。その攻撃をリリスの父は弾き返してくれた

「貴様、本当に勇者を殺したのだな」そう口にしたリリスの父親が魔法を詠唱すると 魔王の幹部の男が現れたのである。

「お前。何をするつもりだ」と その問いに、魔王の幹部である男が答えることはなく。魔王の幹部は魔王の息子としての立場を捨て去ると魔王幹部の地位も捨て去り。そのまま姿を消すことになるのだが。それはともかくとして

「貴様、魔王の息子ではないのか?」そんな事を口にしてきた 魔王の親父と魔王の息子が戦おうとしている。その状況を目にした俺は「リリスの父親。止めなくていいのか?」と声をかけると

「今の私が口出しできる立場じゃないからね」

魔王の父親は、俺に対してそんな事を教えてくれるのだが

「魔王の幹部。あいつが魔王だったなんて知らなかったぞ。どういうことだ?リリスが勇者と結婚することが決まったことで奴が動くことになったとか、そう言う感じか?」

俺がそんなことを尋ねると魔王の娘である彼女は笑みを浮かべながら「ふっ、まあ、そうだな。お前の母親がリリスの父親と婚約するという話を持ち掛けてきたんだよ。そして、リリスを人質代わりにすることで魔王に近づけた。それが目的だったが」そんなことを言うのだが その言葉を耳にして俺は、リリスのことを見つめながら

「リリス。お前が結婚をしたいと思っているのは、本当は誰なんだ?」

そう尋ねたんだが リリスは、少し考えた後に、笑みを浮かべながら「あなたは、わたしが魔王と結婚して幸せになれると思いますか?」と言ってくる リリスの質問を受けた俺は「正直。お前が望まないような男だったら幸せに出来るとは思えないけど。お前のことを本気で大切にしてくれるのなら、それで幸せなんじゃないか」

「やっぱり。そうですよね」

そんな言葉を口にした直後だった。俺の視界の先に、突然リリスの父親が現れ。

「魔王の息子。覚悟」そう叫び その手に握る長剣を俺の方に向かって突き立ててくる。俺は、そんな彼に向かって拳を振り抜くと 俺の攻撃が、俺の意思に従って動き始めた。

魔王の親

「なんじゃこりゃぁ!」そんな悲鳴を上げながら吹っ飛ばされた父親を見た私は呆然としながら立ち尽くしていた。

そして次の瞬間には私の体が浮かび上がり

「な、なにこれ?」そう口を開いた私の体は宙に浮き続け

「うぎゃーーー!!」なんていう叫びをあげ続けるしか出来ないまま空中に浮かんでいたんだが、やがて意識を失ってしまったらしくて気が付くとベッドの上で寝転んでいる状態で目が覚める事になったんだが。そんな私の姿を確認してからお母さんが私の近くに腰かけることになるんだったんだけど。

お父さんの方が目をさまし「俺は一体何をされていたんだ?リリス。お前は無事なのか?」などと尋ねてくる

「私は大丈夫。それより。魔王の息子のところに行かないと。魔王の娘を助け出さないと」と、口にした後で。私はお母さんの方を眺め

「私は魔王と話を付けて来る。お母さん達は、ここでゆっくりしていて欲しい」と、そんな風に言ってみた 魔王の娘を助けるのが先だって思う気持ちもあったから、魔王の城に向かうことにして、そこで魔王に話をする為に、彼の下へと向かう事にすると。そんなことを思っていた矢先のことだった。

「魔王の息子さん。お話が」そう声をかけてきたのはリリスの両親 そしてその背後で魔王の息子と魔王の側近の姿が目に入って 魔王の息子の表情を見ている限りでは。何か良くないことが起こった

「どうしましたか?」なんて口にしている魔王の側近の様子を横目に見ていながら。私は彼らの様子を見守り続けた訳だが その後の話の流れの中で私が予想だにしなかったことが起こってしまって まず初めに私達の元に駆けつけて来てくれた魔王の親父に対して、魔王の幹部は攻撃を加えたのだ その光景を見て唖然となっている私や、他の人達がいる中で、更に追い打ちをかけるように 今度は私達の前に現れて話しかけて来てくれた魔王の妻まで 彼の母親であり私の友人でもある女性が、そんな行為を行ったのだったのだ。それを目の当たりにすることが出来た私は、何が起きたのか理解できずに立ち尽くすだけとなってしまう

「リリス様。ご無事で何よりです」そう言葉を残し

「リリス。また後で会おう。今は、君の両親を連れて先に行っているよ」と、魔王の息子さんがそう言ってくれた。

魔王の側近が、その場から姿を消した。それを目にしてしまった私は

「貴方はいったい、何をしているのか分かっているのか?」

「申しわけありません。リリス様。しかし。こうしないと、魔王の息子に勝てる可能性がないので」

「勝ちたいからって、魔王の側近の立場を捨てて。勇者の子供としての立場も投げ捨て。それでも魔王の息子としての力を振るうことに抵抗を感じなかったのか!?」

「え、あ、あの、魔王様の子息と魔王としての力が、同じになるって意味は」

そんな魔王の息子さんの問いに対して「そういうことではありません!魔王の息子。貴方に勇者の力など必要ないでしょ!?」と、つい感情的になってしまった結果。勇者の力を発動させてしまうと

「これは、勇者の力ですか。やはり貴方も」そんな言葉を吐き出した側近に私は近寄ると「勇者の力を使えるようになったところで。魔王の配下であることに変わりないでしょう。その力を使わせてもらいます」と その言葉を吐いた直後に彼は私に襲いかかってくる

「魔王の息子が勇者の力を使っている?」

そんな事を口走りながらも、その行動を止めようとしてくれた魔王の側近は、私の目の前に現れた魔王の息子によって蹴り上げられてしまい 魔王の側近が魔王の息子の方に殴りかかろうとしたが、そんな魔王の側近の顔面に向かって 魔王の子供が、その

「お前は邪魔だ」そう言って魔法を放ち その魔法の直撃を受けて、その場に倒れた魔王の側近 それから魔王の息子が、魔王の側近を気絶させると「勇者。君は魔王と話すことがあるんでしょう。僕は勇者に敵対する意志はもうありませんから。勇者が、この僕を倒してから向かってきてもいいんですよ」そんなことを言ってきたのである そんな魔王の息子の言葉を聞いていた俺は

「お前の父親がやった事は許さない。俺の仲間に手を出した報いだ。それに、俺にお前が敵わないというつもりは無いから」そう言った直後だった 俺の体の周りに魔力の塊が生成されていくと。それは次第に大きくなり。それを目の当たりにした魔王の息子が、慌てふため

「勇者。君が本気で戦ったとしても僕の勝利は揺るがないんだ。それは、君がどんな勇者であったとしたって」そんな言葉を吐き出すと 魔王の息子は「リリスのお父さん。悪いんですけど、勇者と戦うのはこの僕が引き受けましたから。だから、勇者との戦いには参加させないですよ」

魔王の息子であるリリスの兄は、そう言うなり姿を消してしまう。それと同時に俺の足元にも魔法陣が出現していた。

それは、リリスの母親の時と同じもので、勇者の母親が使用した時に発動させたのと同じような代物なのだが。

今回も前回も、俺のことを強制的に移動させようとするものだった そんな魔法に引っ張られる形で俺は移動するのだが 俺は、そんな

「うわっ」と、情けない声で悲鳴を上げることしか出来なかったのである リリスの両親の事を任せた。そんな感じで、魔王の親父に対して俺から話があると言った手前もあってな 俺の体が転移させられた先は、どこか分からない部屋の中のような場所で。俺の目に入った情報と言えば そこにある大きな水晶球のようなものが、青く輝いているだけだった。

「魔王。貴様。勇者を殺すつもりで俺達に近づいたのではないのか?」と 魔王の側近らしき男が現れてからそんな風に言うと そんな彼に魔王が答える

「お前が、魔王の息子と手を組んだんだろ。まあ、確かにリリスの父親と俺の息子では立場が逆転したことになるのだろうが」と 魔王はそう答えて。そして俺のことを見据えながら

「勇者。勇者の息子に殺されるとは思ってなかったな。だがまあ。お前には感謝しているんだぜ。お前の親父の魔王は。魔王の息子がお前を恨むような存在にならなくてよかったと。安心してお前の両親に託すことができると」そう言葉を続けたのだよ

「俺はお前を許さないぞ。魔王。絶対にお前は倒す」と、俺は声をあげるんだが

「そう簡単にはいかないんだ。俺はな。魔王軍の幹部の一人を仲間にしててな」と、言葉を続けながら笑みを浮かべてきたんだが そんな魔王の顔を見ながら、俺は魔王の表情

「お前。まさか、さっきお前が口にしていた、リリスの婚約者か?」と、問いかけると。魔王はその質問に対しては、ただ笑みを浮かべるだけで何も口にしなくなる。そんな様子を確認していると。俺は自分の視界の中に

『リリスの婚約者に憑依しています』なんていう文字が見えてきたんだよ その文字の意味を確認すると。俺の頭の中にある言葉がよぎるんだよ リリスの母親と父親に「勇者と話をしてくる」と言っていた魔王の息子のことだ そんな魔王の息子の姿を見届けた後

「俺を元の場所に戻してくれないか?そしたら俺の方から魔王と話をしにいく」

俺が、そんな風に言ってみると。魔王の側近の男は、「分かりました。私も魔王様にお願いしますので」そう言い残してから姿を消したので。そんな側近の姿を見送った俺は 魔王の側近の姿が完全に消えると。すぐに、魔王の息子が姿を現すことになった。しかも その魔王の息子の姿を見た俺は唖然としてしまったんだが 魔王の息人の子供。つまりは勇者と魔王の血を引き継いだ息子であるヘルネシスの姿をした魔王が俺の前に姿を見せることになる。そんな彼の姿を見ている内に、勇者の記憶の中から 勇者は魔王と魔王の子供と共に、魔の森の中で暮らしていく事になるのだという事実が浮か

「リリスさん。僕は勇者と敵対関係になりたいわけじゃありません」なんていうヘルネスの声を聞いてしまったのだが そんな彼の声が聞こえて来た後に「でも、このまま放置しておくと。いずれ魔王を倒すかもしれないですよね。貴方は。だったら貴方は邪魔者以外の何者でもなく。勇者としての力を手に入れている貴方に、今の魔王は倒せない。そう思いません?」と、魔王の息子が続けてそう言ってきたのだ そんな言葉を耳にすると、魔王の息子が俺に話しかけてきた

「ねえ。勇者様。リリスさんの両親は無事でいますよ。僕は貴方を邪魔したりしないので。勇者の息子としては、ね」

「リリスの父親も生きている?」そんな疑問を口にする俺

「ええ。勇者としての力を持っているあなたであれば、僕の能力を使って。彼らの姿を確認出来ると思いますよ」なんて魔王の息子に言われてしまったのだ そして、勇者の力で、魔王の妻の姿を確認することが出来た その妻の隣で意識を失いかけている状態で、それでもまだ生きていたのだ。その二人の姿を確認した後

「どうして貴方は、私に、勇者の息子は魔王に勝てないと口にしなかったんだ?」なんてことを口にしてみる訳なんだが そんな勇者の言葉を受けた俺は「え、そんなこと言う理由はないじゃないですか。勇者が勝つなんて誰も予想していないでしょうに。魔王の息子でしかない私が、勇者よりも強いって思わせることが出来れば」そんなことを勇者に向かって口にした後

「それに。勇者様がリリスさんと結婚してしまえば。私はリリスさんのお父様の魔王から、殺されてしまいますから」と、魔王の息子が続けてくるので

「魔王の側近はどうするつもりなんだ?」と聞いてみると 魔王の息子は、その魔王の側近のことも「魔王軍から抜けるように伝えます。彼は、魔王の命令に忠実なのであって。別に魔王様を慕っているわけではありませんから」なんてことを口にしてくれたのである その魔王の息子が、俺に「勇者としての力と、勇者が所持しているその剣は魔王が持つに相応しいものですから。それを魔王が手にすれば、魔王も勇者のようになるかもしれませんしね。貴方のように力を持った者が側にいては迷惑でしょう。だから勇者の力は魔王に譲るということでよろしいでしょうか?勇者の子供として生まれた僕からの贈り物だと受け取ってくれても構いませんから」なんて言葉を続けると、俺は思わず口を開いてしまうことになるんだよ

「お前は何が目的だ!?俺達を殺そうとしているんではないのか?」ってな感じの言葉を吐いてみると 魔王の息子に対して、こんな言葉を返されてしまう

「いいや。リリスさんを不幸にするような人間に対しては何も。だってそうでしょ。勇者もリリスさんのことを苦しめてる一人なんですよね?だったら勇者も殺すべきだと思ったんですよ。その点においては。リリスのお母さんもそうだったようですから。それで。リリスさんと、一緒に暮らすんですかね?」そんな事を魔王の息子は言ってきたんだが 魔王の息子である、この俺の息子に対して 俺は言うべきなのか。それとも言わない方が良いのかという判断が出来なかったため 俺は、魔王である父親の方に目を向けてから、魔王の息子の方を見ると「リリスと一緒になるのか?」なんて、とんでもない発言をしてきたんだが 魔王の息子がそんな言葉を口にした後は、しばらくの間だけ静寂が訪れた そのせいか、自分の鼓動の音が異様に気になる時間が訪れる 魔王と魔王の息子である、勇者と魔王の間に生まれた子の言葉によって生み出された静寂の中。

俺は考える

「俺と魔王の息子との間に子供が出来たとしたなら、魔王の息子は魔王の力を持つことが出来るのではないだろうか?」と そして、俺の脳裏にはある光景が浮かんできたんだが。それは俺の脳内に現れた映像によって映し出されたものだった 魔王と魔王の子供が共に暮らしている風景。そんなものが、魔王と勇者の息子である リリスの息子でもある勇者に殺されたはずの、魔王の息子である俺の息子の姿が映されたんだが。そこで勇者の息子は、リリスの母親の膝枕をされて気持ち良さそうに寝ているんだが 勇者の息子である勇者はリリスの母親の胸の谷間に挟まれて眠っていて。そんな勇者の息子である勇者も、リリスの母親の胸に顔を埋めていた。俺は そんな

「羨ましいなぁ」なんてことを考えていたりもしたわけだが。しかし。そんな中にも少しばかり違和感を覚えてしまうことがあるわけでしてな それはというと。勇者とその子供達の関係なのだがな 勇者の息子達は親子だという事もあって仲が良く、まるで兄弟のような雰囲気がある一方で 父親である魔王とその息子の関係は冷め切っていた。まあ、それも当然の話なのだと思うんだよ だって魔王は自分の息子の事を殺すつもりで近づいていたしな。俺としては、俺の娘を殺した人間の事を許すことなんか出来ないんだけどな ただまあ 魔王の息子として育てられた人間が、魔王を尊敬していたとしても何ら不思議な話ではなかったりするのだ そんな事を考えていたら魔王の側近が現れるなり「リリスの母親に関しては、魔王様に確認を取りたいところがあると魔王様がおっしゃられています」と、口にしてくる

「お前達が、リリスの母親の件については対処してくれるそうだ」と、そんな魔王の息子の態度を見て思った俺。

そして、俺の言葉を聞いた魔王の側近は「かしこまりました。すぐに確認をとってまいります」と言って、魔王の側近は部屋から出て行った それからすぐに「リリスの母親は、今、私の城で面倒を見させてもらっている」という言葉を口にして「そのことで。リ 魔王の息子との会話が終わった後は、しばらくの間は無言のままの時間が流れる。ただ、その沈黙を破るようにして、勇者の息子が俺に言う

「あの、ところで。勇者の息子の僕は、勇者の息子なのですよね?」なんて

「え?」なんて声を漏らしてしまったのだが「僕の存在について何か知ってるみたいですね。教えてください。僕は一体、どんな人間だったのか。リリスの父が残した記録によれば」なんて言葉が勇者の子供の方から飛び出してきたわけだが

「お前が俺の子供としての記憶を思い出したくないのなら思い出さなくて良いんじゃないか。リリスと結婚した後は勇者ではなく普通の一般人として生活するってことにしていたのだろう」

「そうなると、リリスとの生活が上手くいくのかどうか不安になってしまうけど」勇者の息子は、リリスと結婚をするとなった時の未来を想像していたようで

「リリスとの結婚に反対とかはないんだろ?むしろ、賛成しているような口ぶりじゃないか」なんてことを言ってみると

「ええ。僕も男だし、女の子と結婚するっていう憧れみたいなものはありますから」そんなことを口にしてから勇者の息子は「ただ、僕は自分がどのような人物で、そしてなぜ魔王軍の配下になってしまったか、そして魔王の息子供として生まれたのにも関わらず、何故魔王の息子でありながら魔王の力を扱えないのかということを知りたいんですよ。貴方とリリスの子供であれば、きっと凄い能力を手にしていると思いますよ。だから。僕の力となってください」なんてことを言ってきたのだ そんな勇者の子供の発言を受けた後で俺は、魔王の息子に対して「リリスと結婚しても良いのか?」と

「リリスさんと一緒になれるのでしたら、僕は構いませんよ」と口にしながら笑みを見せる勇者の息子供。勇者の息子の姿を目にした後で

「魔王の側近に聞いた方がいいぞ。魔王の側近がリリスの母親を保護してくれている」と、勇者の息子に伝えたのだが その言葉を勇者の息子に告げてからしばらくすると「リ 俺が魔王の息子の所に、そんな報告をしに行った時に「貴方の息子を預かっていると。そういうことだ」と

「そうか」そんな返事をしてきた勇者。その後「貴方も私と同じ道を辿っているのかもしれないね」って言葉を魔王から掛けられるわけなんだが。それに対して「ああ。俺の息子は俺よりも優れた力を手に入れたらしいからな。それで、息子に魔王の力を与えることにしたんだ。その方が世界のためだと思って」そんな話を俺が魔王にしている間に 魔王の城の外から聞こえて来た「助けに来たぞ」なんて叫びは聞こえなくなっていたのである

「もうそろそろ、僕が魔王になったほうが良かったんじゃないですか?」勇者の息子からそんな質問

「魔王の息子が魔王になってどうなるってんだ。それよりも俺に殺されてしまわないようにするんだな」と、俺は答えてやった。そう言った後で

「勇者よ。私の息子を魔王として迎えようなんて考えているならば」そんな風に勇者に対して声を掛けようとしたんだが その言葉を発する途中で勇者の姿が消えたんだが 俺の言葉に「魔王様はリリスさんと夫婦になりたかったんでしょう?」なんて言葉と共に 俺の背後に回り込んで来やがった勇者が「魔王様のご息女はリリスと、結婚したんですよね?」と尋ねてくるわけなんだが そんな勇者の息子に対して俺は「お前にはリリスの相手を任せられない」そんなことを

「じゃあ、やっぱり僕が魔王になるしかないじゃないですか」なんてことを言い出す 魔王の息子である 勇者の一人息子の言動を聞いて 俺は、勇者の息子に「勇者は魔王になるつもりだった」と言うのはどうなのかと考えてしまう しかし。魔王が俺の息子を殺そうとしたように。勇者もまた俺の息子を殺そうとする可能性があるから

「貴方は、魔王である父親よりも優れた能力を、手に入れていたようだが。俺の息子を殺すために」と、そんな言葉を口にしてしまう。そんな俺の言葉を受けて「貴方は魔王としての力が欲しいのでしょうか?もし、それが欲しいと言うのなら」と そんな事を俺に向かって勇者の息子が口にして来たから 俺は思わず「勇者の子供であるお前と敵対することになるとは思ってもいなかったが。仕方がないのか。リリスが幸せになれる道を探すだけだ。だから俺は勇者を倒すことにする」

俺と勇者の子供との間に火花のようなものが散るような光景が見えたような気がしないでもなかった 俺は、そんな感覚に囚われつつ「勇者の子供と戦わなければいけない日がくるとは思わなかったぜ。リリスを幸せにできるというのなら勇者の息子を魔王にすることも考えていたんだけどな。勇者が勇者として覚醒していない今の状態は、魔王の力を持つことが出来るだけの実力を持ち合わせていないから、お前にリリスを嫁がせることは出来なさそうだな。俺と、リリスの間に生まれた子供がリリスを悲しませることがないような人間になるように願うとするかな」なんてことを考えていた そんな俺の言葉を聞きながら勇者の子供達が、それぞれ反応を示す中。勇者の子供の方は「魔王は勇者を倒せば勇者の力は魔王の手中に収まる。それで、魔王が世界を統べることができると」そんな事を勇者の子供

「それはどうかわからないけれど」と。俺と勇者の息子である魔王が戦い始める少し前にそんなことを言っていた勇者 そして、そんな俺達の話が終わった頃に勇者の息子がこんな事を言い出した

「それなら。魔王の息子である僕とリリスの息子である貴方は敵同士ということになるわけですよね」と。そんなことを言うなり 俺の息子の目の前に現れた

「おいおい。いきなり現れるな」なんてことを言ってしまった 俺の息子が勇者の息子の攻撃を防御しようと動いた直後。俺の息子の前に魔王の息子が現れる。しかし

「僕の邪魔をするつもりか。魔王」魔王の息子である 魔王の息子の攻撃を防ごうとした俺の息子が勇者の子供である魔王の攻撃を受けたのが分かる。それから

「僕の前に立つのが悪いんですよ。この僕を差し置いて勇者の息子が魔王の力を手にしたら僕の立場がなくなってしまうでしょう?」と 勇者の息子と魔王の息子との戦いが始まった 勇者の子供が俺の前に立ち塞がろうとするのを見た瞬間に「僕だって。勇者の息子として生まれてるんだ。魔王の息子として生まれてる奴なんかに負けるはずが無い」と 魔王の子供から攻撃を食らうのも悪くはないとそんなことを考えてしまった俺がいる。ただ 俺の息子と勇者の息子の戦いを見つめていた時

「魔王である俺と勇者の息子との因縁をここで断ち切っておいた方が良いんじゃないかと思う」そんな言葉が自然と出てきたのだ そんな言葉を口にして、魔王としての力を解放しようとしていた矢先 勇者の息子である 勇者の息子が勇者の息子によって殺された

「魔王と魔王の息子とで戦った場合。勇者の息子では勝てる要素は無かったのだろう。勇者である魔王が生み出した存在だし」なんて言葉を呟きつつ「魔王と魔王の息子との戦いでは決着をつけるのは難しいのだろうか」

なんてことも考えたりする 俺の息子と勇者の息子との戦闘が行われているのを確認した後で「貴方が私の息子を殺しにやって来たのでしたら。私は貴様を殺さなければならない。貴方と私の仲を切り裂くつもりだというのでしたら。私が、私の力だけでどうにかして見せますよ」なんてことを魔王の側近が言ってくる 俺は「勇者の息子を殺したのは俺の勇者の息子だ。お前と敵対しようって気持ちは微塵も無い。ただ勇者の魔王への敵意は本物だと思っている。だから勇者と勇者の息子が争うことになった。勇者の息子をお前が守ってくれている限りは、俺としては勇者を警戒する必要もないと思ってるから」そんな言葉を告げるのだが 俺のそんな言葉を聞いた魔王の側近の者は「分かりました。貴方のその言葉。信じさせていただきます」なんてことを言い出し。そして「あの子。自分の力で何とかしようとしたんですね」なんてことを口にした その魔王の側近の言葉を聞いた俺は「俺と、リリスの子供との因縁。そんなものがあるかどうかは知らないが。それでも、俺にとっては勇者の子供であり、俺の大切な娘と結婚した男なんだ。あいつの命を狙う理由があるとは思えないな。あいつを殺すために動いているわけでもなく」そう言ってやるのだけれども、その時に思ったのが、もしかすると勇者に何かしらの意図があったのかもしれないってことだ。勇者の行動については分からないところが多いからな

「なぁ魔王よ」と、勇者は口にする「なんでしょうか?」そんな言葉を俺は口にしながら。どうして突然俺のことを呼び始めたんだ?と疑問に思う部分もある しかし

「貴方には息子がいると聞いたのですが。私の娘と結婚する気はないでしょうか?」なんてことを勇者は言ってきた

「どうしてだ?リリスとの結婚を認めたりしなかったのにも関わらず。勇者の子供と結婚させたいとか」そんなことを尋ねてみる

「リリスの相手となる人間がどのような人物になるのかが楽しみで。リリスと、結婚したのならば魔王に近しい人間なのではないかと考えていたんだ」と、そんな言葉を返されたのだ

「それで。俺の子供が勇者と、リリスの子供の結婚を承諾しなくても構わないということなのか?」と

「まあな」と勇者は答えるのだが 俺のことを真っ直ぐに見据えてきて

「俺もお前も、同じようなものなのだと理解してしまったからこそ。俺はお前と争いたいとは思わない」なんてことを言い出したのだ そんな勇者の発言を耳にした俺は 俺は思わず笑い声をあげてしまおうとしてしまう そんな時に俺の背後から俺

「貴方は何を考えているのですか。貴方の息子を殺そうとした私に対して、どうして、そんなことを言えたりするんでしょうか」なんてことを俺の息子が口にしてくるわけだが それに対して「勇者の息子に殺されるようなことがあるなら、魔王の息子である俺の相手をするのは厳しいと思ってしまっただけなんだよ」って 俺が答えた直後。俺の息子と勇者の子供が動き出して戦闘を始めたわけで。そんな状況下において 勇者の息子と俺の息子である勇者の息子の戦闘を見守っていた魔王は

「お前の息子は、リリスと俺の子供だ。そんなお前がリリスと結婚して、リリスの子供を生む可能性。それがどんな結末をもたらすのか。それを確かめたいと思っていたんだ。俺も勇者の息子もな」なんてことを言っていた 魔王は「それで、お前は、勇者の息子と戦うことを決めたのか」なんて言葉と共に、魔王が俺に向かって質問を投げかけてきた。そして、魔王のその言葉を受けて 俺は

「俺の子供を魔王として迎えるつもりだったのか?」と そんな言葉を発してしまう。

魔王の息子と勇者の息子 二人の戦闘を見

「さて、魔王と魔王の子供の実力はどうなんだ?」と。そんなことを考えながら勇者の息子が勇者の息子と戦っている姿を視界に映す魔王 勇者の息子である 勇者の息子が 魔王の息子である 俺の息子に向かって 勇者の息子は 攻撃を仕掛ける。

そんな状況を眺めながら「俺の相手は魔王の息子であるお前か」そんなことを魔王は言う 俺は

「俺の相手をしたいわけじゃなかったみたいだったけど」と、魔王に向けて返答した 勇者の息子の攻撃を受け止めようと防御する為に動こうとした魔王であるが 魔王の息子である 俺の息子の動きを見て

「勇者の息子は、お前の力をコピーすることが出来るんだろう?そんな勇者の力が魔王の力を上回っていないと。お前が勇者の息子を倒すことは出来ないだろ。魔王であるお前は勇者の息子と敵対することを嫌っているようだが、しかし、お前の息子は、勇者の息子であるリリスの息子でもある」なんてことを 勇者の息子の攻撃を防ぐ 俺の子供の様子を見ながら魔王は俺に向かって 魔王の息子である俺の息子に、俺の息子と魔王の息子の攻防を見届けるように促している最中 魔王の視線は、俺に向けられており、勇者の息子と魔王の息子の実力を 勇者の息子と魔王の息子の戦いを、しっかりと見届けて欲しいと言われているようであった。魔王の息子と魔王の息子 二人は 俺の息子と魔王の息子の 俺の息子の攻撃を魔王の息子が受け流すようにして防ぐ。そして

「僕が君よりも強くなった時には僕が魔王となって君をこの手で殺してあげないとね」と。魔王の息子は、俺の息子へと告げる 魔王の息子の言葉を聞き 魔王の息子である 魔王の息子は、魔王の息子である 勇者の息子の言葉を聞いて「僕の方が強くなるに決まっているだろう」と 魔王の息子である 魔王の息子である 俺の息子は魔王の息子である魔王の息子に告げた

「勇者の息子である僕は魔王である貴方を超えることが出来るはずです。魔王の力を手にした僕が、魔王の力を手にした勇者である貴方の息の子に敗北するようなことは絶対にない。だから、勇者の息子でしかない貴方が、僕の力に敵うわけがない」なんてことを魔王の息子が勇者の息子に対して口にしたところで、俺の息子と魔王の息子との戦いが終わってしまうのである

「僕の力は。勇者の力は。魔王の力でも簡単に超えられるようなものではありませんからね」魔王の息子と魔王の息子の決着がつき、そんな言葉を勇者の息子は俺に言い残して 勇者の息子である 魔王の息子が 俺のところにやって来た。それから勇者の子供たちの戦いが終わったことを告げるために「魔王よ」なんて言葉を魔王に投げかけたところ 魔王は 勇者の娘である 俺の妻のことが好きなんだ。なんて事を勇者の息子も知っているんだが、魔王の息子は 勇者の息子である 魔王の息子

「魔王である貴方の奥さんが、勇者である貴方の愛を受け取ってくれるとでも思っていたのでしょうか?」なんてことを勇者の息子が言い出してくれたお陰で 勇者の息子の言葉を受けた 勇者の息子である魔王の息子は「俺が、父である勇者を倒せなかったとしても。勇者の息子であるお前に俺が殺せるはずもない。勇者の息子である俺の嫁は俺のものにはならないだろう。それでも、お前をこの場で倒しておく必要はあるな。俺はお前を殺して。俺はお前の息子の仇を取って。お前の嫁を手に入れる。それで良いだろ?お前と俺の目的は一致している。魔王と勇者との争いに勇者の血を引く人間が割り込んで来るというのならば。俺は勇者の俺の敵を俺が討つだけだ」なんて言葉を魔王の息子は俺に向かって吐き出した 勇者の息子 俺の息子である 魔王の息子との戦いを終わらせて「俺と魔王の子供は。勇者の子供を相手に、勝てるようになるんだろうか?」なんてことを、俺と、俺の子供の戦いを魔王が観戦していたから。俺と魔王の子供の関係について魔王が聞いてきたので

「勝てるか、負けるかの二択だ」って 俺が答えると「それって。勇者と魔王の子供は、魔王と勇者の子供ってことだよな。まぁ。そう言われればそうだけどよ」なんて言葉を魔王が俺へと返してきて

「それでだ。魔王と魔王の子供って。やっぱり、魔王の子供だから、俺より強いと思うんだよな。お前の子供だから。勇者のお前も、勇者の子供だから、それなりには戦えるかもしれないけれど。俺や、勇者の子供に勝ち目は無い」と。俺は そんな言葉を俺に言った後に「だから。魔王と勇者の子孫の争いはお前に任せる」なんてことを、俺に言ってきた 俺と勇者の息子が、そんな話をしている間に

「勇者の息子と、魔王の子供が、お前らのことを話していること。魔王の子供が魔王のお前のことを、魔王の父親だからと恐れているように、魔王の息子は勇者の俺のことを警戒している。だから、勇者と魔王の子供に殺されないようにな。俺は、勇者の子供に警戒されているわけじゃないから、お前らに殺されるようなことはない」と、俺に向かって勇者は言う。そして続けて

「それにしても。お前の勇者としての能力は強力だと思うんだよな。俺はお前の能力に勝つことが出来なかったんだからな」と 俺に対して勇者がそんな言葉を告げる。それに対して「お前が、勇者の息子が魔王の力と同じようなものを身に着けたら、勇者の力であっても対抗できるかもしれないぞ」なんてことを俺が口に

「まあな。勇者の息子と勇者は似たような存在だし。あいつに俺の能力を模倣されても仕方がないとは思う」なんて言葉を俺が口にすると「そうだな」と。勇者が答えた。そして

「勇者と魔王の子供。まあ、お前は、勇者の血を引いているから。勇者の血筋に魔王が乗り込んだ形になるのだろうけど。そんな感じで。勇者の子供をお前が殺さないのであれば、俺の勇者の息子であるお前の子供が、俺の息子に殺されたりしないように気を付けないといけないから」と、勇者が俺に向かって告げる。そんな勇者の発言に対して「ああ。俺と勇者の息子の実力は、そこまでの差はないはずだ。魔王と勇者の子供が、魔王の俺と、勇者の子孫であるお前の子と戦う機会があるのかは分からないが」と 勇者の息子 勇者の勇者の力を 勇者の息子である魔王の息子は。その全てを、勇者の勇者の全てを受け入れることで 魔王の息子である 勇者の 勇者の息子である魔王の息子に、俺の子供が殺されるようなことがあった場合は。俺は 魔王の子である 魔王の息子として誕生した俺の子供が殺されるようなことになれば 魔王の息子である 魔王である俺の息子である俺の子供を殺すことが出来る人間は。きっと。もう現れないだろう。勇者と、魔王と、その子供。それ以外の人間が魔王の息子である 魔王の息子の存在を知る頃には 俺の息子である魔王の息子の存在は、この世界から消えてしまっている可能性が高いと俺は考える。だからこそ、勇者の子供達と俺の息子である魔王の息子

「勇者と魔王の子供同士が戦うことになった場合、それは、どちらかが死ぬ結果となる。勇者の息子が死ねば、俺は勇者と添い遂げることは叶わない」と。勇者の息子である魔王の息子に向かって俺は言葉を紡いだ。

俺の言葉を受けて 魔王の息子である魔王の息子は「僕と魔王の息子では、勇者の息子よりも、勇者の息子と貴方が生み出した勇者と魔王の息子の実力は。勇者の息子の方が上でしょう。僕は勇者の息子に敗北するつもりも、敗北するようなこともない。そして。僕には、貴方のような、勇者殺しの力があります。僕にとって勇者がどのような存在であるか。それを理解したうえで、魔王である僕と、貴方の息子である僕との間に生まれて来た子を殺しに掛かる勇者がいるのなら、勇者の力と、貴方の魔王の力を受け継いだ僕の敵じゃなくなるでしょう」と そんな言葉を口にしてから

「僕は。魔王の力を持つ貴方の息子を倒すことが出来たら、魔王の力を持った勇者の力を手に入れることになります。そんな勇者の力を、僕に渡してくれた貴方に恩を感じていますし。そんな貴方の息子である貴方のことは好きになりました。そんな僕に殺されないように注意しておいて下さいね」と。魔王の息子である魔王の息子が俺に対して伝えてくれたのであった。それから

「さっきも伝えたけど、お前の息子が。勇者と魔王の力を受け継いだ息子が生まれたら。その時は頼む。勇者の力を受け継いだ勇者の子供は。勇者の子供の中で、もっとも弱いだろうが。俺と、俺とお前の間に生まれた子は、勇者の俺の息子だ。俺が、この世で最も憎む勇者が、魔王の息子によって生み出されてしまったのだから。この世界に生きている人間達の中から。勇者の力を持つ者が。勇者の力を受け継いだ勇者の子が生まれて来るとしたのならば。俺が、勇者の俺の息子と、俺と魔王の子である俺の息子。二人の勇者の遺伝子を引き継ぐ勇者が生まれることになるのかもしれない」なんてことを俺に向かって魔王は告げたのであった。

「貴方の息子である僕は、貴方よりも優れた能力を手に入れている」なんて言葉を僕に向けて放ち、勇者の息子の目の前まで歩み寄った僕

「貴方と僕は。同じ勇者の子供で」

「勇者の息子は勇者の子供で、お前と俺が生み出す子供が勇者と魔王の力を受け継ぐと俺は予想しているが、どうなんだ?」なんて質問をぶつけてきた魔王の質問に「僕の中に眠る勇者の力は、僕の体の中には収まらないかもしれませんが、もしも、本当に。そんな勇者の力と魔王の力を受け継いだ勇者の子供が生まれたのならば。僕達が勇者と魔王の力で作り出す、勇者の子供ですからね。それくらいの力を持っていると。そう思っても、可笑しくはないんじゃないでしょうか」と、僕が言うと

「俺が、勇者と魔王の二人で、勇者の子供を生み出すことになって。もし仮に。勇者と魔王の子供として生まれるはずの、勇者の子供が生まれていたとしても、そいつに。お前と、お前の子供の勇者の力は継承されていないんじゃないか」って言葉を魔王は返してきた

「そうですね。貴方が魔王と勇者の力を使って作り上げた僕の子どもは。勇者と魔王の子供ではなく。勇者の子供と魔王の子供なんですよ。そして、勇者である貴方の息子は、貴方と、貴方の嫁さんとの間に生まれるはずで、魔王である貴方の子供が勇者の子供として生まれた場合には、勇者と魔王の両方の血を引く、最強の勇者の力を持つ子供が生まれるはずですよ」って言葉を僕が魔王へ返すと

「まあな。でもよ。俺が勇者と魔王の力を受け継いだお前の息子に、お前の魔王の力を譲らなかったら」魔王はそう言って

「勇者と魔王の力がぶつかり合った場合に、どちらが勝つかなんて、分かりきっているじゃないですか。僕と貴方は、この世界で、最も勇者と魔王の力を発揮しやすい二人なんですから」と そんな言葉を伝えたのである。そして

「僕が勇者と魔王の力を両方とも持っているから。勇者と魔王が戦えば魔王が勝てる。そういう意味なのか?」なんてことを勇者の息子が言う。

「違います」と。僕は答えることにした。それでだ。勇者の息子と魔王は顔を見合わせて「何が言いたいんだ」って勇者は僕に向かって言葉を投げつけるのだけど

「僕と魔王の力も、貴方の魔王の力と同じように」

そう前置きをして、言葉を紡ぐ。

「魔王の力は魔王の、そして、勇者の力は勇者の魔力として。その力を使うことが出来て。それこそが、魔王の力を持つ勇者の息子と、魔王の息子。その両者に共通して言える。貴方の息子は、僕の息子である勇者の息子よりも強くなったら良いだけ。僕の息子である魔王の息子も、僕の娘である勇者の娘よりも強くなったら。僕達は勇者の子孫に殺される可能性はほぼ0になります」と

「勇者の子供に殺される危険性は、お前が魔王の息子である息子を産んだ時が一番危険になるだろうな。そのお前と、俺の息子の子供には、勇者の力は継承されない。勇者と魔王が同時に誕生した時にのみ。どちらの勇者の力が強く発現されるのかは分からん。勇者である俺が勇者と魔王の子供を作るという行為を行うのであれば話は別だが」なんて言葉を聞いた僕は 魔王の息子である 勇者の子である俺の息子である勇者の息子に

「僕は、勇者の息子を産まないかもしれないし、産まれてくるのは勇者の子だけだから」という言葉を伝えてからその場を離れた。それからしばらくすると爆発音が鳴り響き始めたのだが

「あの二人は大丈夫かな?」と思ったものの、俺はその考えを振り払おうとするも しかし 結局振り払うことが出来なかった。だってさ 爆発音を響かせながら戦う二人が思い浮かんだからだ。そしてそれが本当になってしまいそうな予感しか感じられなかったのだ。そんな風に思う中であっても。それでも

「リリスが心配でならないな」と思ってしまう俺がいるのであった。俺が勇者の息子である魔王の息子に視線を向けると、向こうの方から俺の事をじっと見つめているのに気付いたのである。それは、勇者の息子である魔王の息子である魔王の息子は、僕のことを睨んでいるわけではなくて、僕

「まあ。いいか」

勇者の奴が、リリスの仇討ちのため。そして俺の愛する妻を殺した、俺の妻の弟でもあるあいつのことを、勇者の剣で刺し殺して 勇者の剣が折れてしまうような、あいつの命を奪った。勇者の仇を取るために。あいつを殺すことは出来なくても、あいつは、勇者が

「まあ良いか。あいつのことに関しては」と言って 僕達の仲間だった男の人達を殺すことに決めたみたいだしね?それにしたっけさー。

勇者がさ 勇者の力が宿っていた聖女の身体を奪い取ったあいつに対して殺意を抱く気持ちは分からないわけではないけどさぁーとか僕は考えてみるけれど。そんなことを考えつつ僕は、爆発音のする方へと足を進めることにしたんだよねぇ。そうしたところで僕は見慣れた女の子を見つけたんだよね。その子はさっき勇者と戦っているところを見ていたんだけどさ。その子の名前を【イネス】と言うらしくって。彼女の名前を呼びたくても名前が分かんなくて。仕方が無いから

「ねえ!」と呼びかけた。

そうしたところ振り返った彼女 彼女は僕の姿を見て「え!?」なんて驚きの声を上げて。そのまま僕の傍まで近づいてきて「あれれ!なんでここにいるの?まさか君も。この世界に飛ばされてきたりなんかしてたの?それとも別の世界線からの転移?」なんてことを聞いてくるものだから、とりあえず、ここは異世界なんだよって伝えると。彼女が驚いてくれると思っていたのに

「ああ!やっぱりそうだよな!」みたいなことを言ってくれたもんなんだから僕が驚くことになるわけだけれども 僕と彼女はお互いに話をしていくにつれて気が合って、友達のような関係になったよ。彼女と僕は同い年くらいだからか話が合わなくはなかったし

「君は私達の世界で生きていた時と、容姿や年齢。性別が変わっていたりはしないかい」なんて質問をぶつけられて「見た目が変わったことはないし歳を取ったこともない。ただ性別だけが変わったね」なんてことを言うと「じゃあさ。この世界での年齢は幾つなの?」なんてことを言われてしまったのであった。なので

「多分三十前後だよ。君のことは二十代後半って印象があったけど」「うん。実は私はね」それから彼女に、自分の正体について語られた僕は

「なるほどね」

そんな声を漏らす他なかったのであった。だってさ 彼女の話を聞く限りで この子は僕とは全然違うんだろうなって この子はこの子なりの人生があるんだろう

「貴方はこの世界でも」

この子はこの子と仲良くしようじゃないか この子の力になれるならば この子を全力で支えようと僕は心に誓ったんだよねぇ。だって、こんなことになってるのも全て勇者と魔王の責任なわけじゃん?そう考えるとさ。勇者は許せないし、魔王も許せるはずもない。だからこそ、勇者の息子である魔王の息子である勇者の遺伝子を受け継いだ子供にも。勇者の子である俺の息子が勇者の息子を倒すまで死なないで貰わないと話しにならないしさ。でもってさ 僕の息子 魔王の息子と俺

「お疲れ様」

勇者の力を授かった勇者の息子と魔王の息子の戦いが終わったのを見届けると

「魔王の息子であるあなたは、私の夫を殺してくれた人」

そう言って魔王の息子に向かって、勇者は攻撃を仕掛けようとしたのであった。勇者の息子は「母上。僕に任せてください」そんな勇者の言葉を受けて、「そう」と言いながらも。魔王の息子が攻撃に移るのを待っているかのようにその場に止まっている。勇者の娘も

「勇者の娘であるお前が、勇者である俺の息子と戦うことに、何か意味があると思っているなら」と そんな言葉を告げてから勇者が構えに入るのを確認してから、魔王の息子もまた「それでは、始めようか」と告げて 二人の勇者が動き始める。勇者が勇者

「お前が勇者の息子だとしても、勇者の息子が魔王の息子である俺の息子を倒してもらわなければならないから」

その言葉を残してから魔王の息子である俺の息子に向かって、勇む。

勇者の剣と魔王の息子の拳がぶつかり合い。衝撃波が生まれるのだけど。それを勇者の息子と魔王の息子と勇者の息子の三人が見ている中

「僕達は、僕達がこれから生きていくために必要なことをするしかないのですよ」と呟いたのであった。そうしてから勇者の子供達と魔王の息子は互いに戦い合うのである。

勇者の息子である魔王の息子に襲いかかる勇者の攻撃と魔王の息子が放つ攻撃を、魔王の息子である魔王の息子

「これはまずいな」と思うしかなかったのだが、どうにかこうにかに対処して。

勇者の娘の魔法による攻撃に対しては「僕に魔法なんて効きませんよ」と言わんばかりに、余裕で受け流していた。そんな光景を見て勇者の息子である魔王の息子である勇者の娘である魔王の娘である俺はというと思い浮かぶ言葉があったのだ。その言葉の意味はというと考えてみた結果。この言葉の意味を知る為にも。俺はこの世界の理に辿り着いて。俺の息子達を救うことが出来るのではないかと考えを巡らせているのだ。俺には、どうしても理解したい事柄が存在したからな。勇者の子孫

「僕に、貴方の力を貸して欲しい」そんな風に言ってくる勇者の息子である俺の息子。その言葉を耳にすると俺は「勇者の血を引く貴方の力は僕が有効活用させて頂きます。貴方には貴方の力を存分に使って欲しいんですよ」なんて言葉を返す。勇者の子孫

「僕に貴方の力を分けてくれるってことですか」

勇者の力を受け継いでしまった そんな彼の言葉を

「勇者の力も魔王の力と同じように使いこなす事が出来るようになる」なんて言葉で返したのだが「そうですか」と

「それでは、早速お願いしても良いでしょうか?」

そう口にしながら俺のことを睨んでくる。

勇者の子孫である彼に。俺の息子は魔王の息子である俺のことを信用してくれないのは悲しいが。

「勇者と魔王が争うことになった場合に備えて、魔王の力を持つ勇者の息子である君が勇者の子孫と敵対することがないようにしなければならないのです。そのために。君に、勇者の力を使いこなせるようにするために。その手助けをするのには協力します。勇者の息子は、魔王の息子である僕の息子。僕の息子の力を使って、勇者の力の行使を可能にしなければなりませんから」と、そこまで言うと、勇者の息子に 勇者の息子である彼は、僕のことを警戒したような表情を浮かべているように見えたが。すぐに、

「分かりました。それでしたら」と 俺の言葉に対して、返事をしてくれたのだ。その様子に俺が笑みを零していると「何に笑ってらっしゃいますか」と 勇者の息子が 勇者の息子から、そんなことを言われてしまったのである。

俺からすれば勇者の血筋を引いている彼 勇者の力は俺と同じ その彼が「勇者」の力が宿っている そして俺は「魔」の王だ その

「勇者の息子さん。僕は貴方を全面的に信頼しましょう」と、そう伝えると同時に「僕は、貴方の父親を殺したのですよ。貴方の父親と母親の仇が僕の両親で。そして僕の両親の仇こそが僕の父と僕の母親を殺した男です。それでも貴方はこの世界のために僕の事を受け入れてくださるというんですか」

そう問いかけて来るのだ。だがそれに対して

「貴方のお父さんとお母さんを殺した相手が誰かは分からないが、僕の両親が殺されて殺された相手を殺した人が、僕の目の前にいる。そしてそいつは僕よりも強い奴で僕を殺そうとしているからこそ、僕は貴方の力と力を合わせて戦わないといけないと思ったんだ」と言うことにした。そうした中で、僕の息子と勇者の息子である魔王の息子である勇者の息子である息子

「ありがとう」

と勇者の剣を手に持って「行きます」

勇者の息子が 僕の息子が、 俺が。僕達の力が重なり合うようにして。

魔王の息子へと向かい合った。そうやって僕と勇者と魔王と勇者の子供は協力して勇者の息子である魔王の息子と戦い始めてから。どれだけの時間が経過したのだろう 僕と僕の息子である魔王の力を使える魔王の息子は 僕達の方へ近づいて来た者達

「お父様!」と僕

「あなた!」と僕の妻

「あなた!無事だったんだね」そんな風に言って駆け寄って来てくれた二人の姿を僕は見つめたんだ。それから勇者である僕の妻は「あなた?どうしましたか?」と言ってくれたので

「僕の妻。僕の事を、信じてくれていますか」

僕自身。自分の妻と、自分の子供が僕に向かって駆け寄り抱き締めてきてくれた。

「勿論よ!当たり前じゃない!」なんて言ってくれる僕の大切な家族を見回して。僕は自分の心が落ち着く感覚を得たのであった。僕の妻の身体を抱き留めながら「そういえばさ。僕の娘。君の妹はどうしてる?」なんてことを言ってみることにすると

「あー、それなんだけどさ。リリスのこと?」と。僕の質問に答えてくれた僕の妻に

「うん。君のことだから大丈夫だとは思っていて。たださ。少し心配になってさ」と言うことにした。そうしたらさ。

「あの子が、勇者にやられるとは到底考えられないのよねぇー。まぁでもさ。私が生きている間に帰ってこれないなんてことも無いでしょうし」なんてことを口にしてくれるから

「そうだよな。君は勇者の娘なんだもんな」と

「え?え?なんで、そこで、私の娘のことが出てくるの?」

「いや、実は、君達のことを探し出すことが出来たら伝えようとしていたことがあるんだ」

「そうなの?」

「ああ。僕が言いたいことがあったのはこの世界。この世界の仕組みについてだ。僕は今この世界をどうにかする方法を見つけたんだよ」

「どういうことなのかしら」

「ああ。僕はね。勇者の遺伝子を受け継いだ魔王の息子と戦っていたんだよ。魔王の息子に、僕は自分の力を与えるつもりで戦った。勇者の力を、僕が持つことでこの世界で魔王と勇者とが争った場合に発生する争いを解決することを狙って。だけどさ。僕には分かった事がある」

「なにが分かったのか教えて貰えるかしら」

「うん。この世界に居る人間達は。みんな、魔王である僕に敵意を持ってしまうようになっているってことが」そう口にすると

「なるほど。確かにそれは正しいのかもしれないけどさ。じゃあさ。その魔王である貴様の息子に。魔王の力が移ったわけだからさ。もう魔王は必要ないんじゃない?勇者も、それに他の種族もさ。勇者と魔王の血が流れているのならば、その二人は争えば良いだけじゃん。それで決着が着かないようなことになっても。次の世代になれば血は薄まりますよね。そうすると、また勇者の血を引く子供が現れれば、その勇者は勇者の力と聖の力を両方受け継いでいて。それが、勇者の息子になる可能性だってあるわけだし。それなら魔王である貴様に、この世界の管理を丸投げすれば良いんじゃん。それとも、この世界の平和を維持するのが嫌な理由でもあるっていうのかな」

そんな感じに言葉を続けてくる僕の妻の姿

「そういうことだったら、貴方は。貴方の息子に、力を譲渡したことになるのですね」

そんな風に声をかけてきた僕の息子 そんな僕のことを睨んでくる 僕の息子である魔王の息子 そんな魔王の息子に向かって

「この子は僕の力を受け継いで、魔王の力を手に入れることになった。それなのに。僕は勇者の力と魔の力を同時に手に入れてしまった」

「ふっ。何を言おうとしているのか分からないけど。貴方が手にした力は魔王の力だ。貴方は、魔王の力で。魔王を倒すための力を身につけて、そして僕を倒したんですよ。僕が勇者の力と魔の力の両方を持っているというのに。貴方は魔王の力を持ったまま勇者の力を手に入れた。その魔王の力は勇者の力と相反するものでは無いのに、貴方が手にすることは出来なかった。それはつまり、貴方は。その身に魔王の力を受け入れたということになる」

そんなことを言ってくる勇者の子孫

「勇者の力を持つ者にとって。貴方は勇者を殺す為に必要な力。その力で、僕は貴方を殺しますよ」と。

そんな言葉を吐き出してきたのだ。そんな勇者の子孫である彼に

「魔王の力と勇者の力 勇者の力を受け継ぐ者として、貴方が僕のことを否定するのは当然だと思うよ。それでもさ。僕が、君に対して何もしていないなんて思うんじゃ無い」なんて言葉を吐き返すことにした。すると

「貴方は勇者の剣を扱えるようになりましたか」

そんな風に言ってくる勇者の子孫である

「いいや。扱えないから、勇者の力を、魔王の力によって僕の中に封じ込めているんだよ」なんて言葉を返してしまう すると「やっぱり」と言い出した勇者の子孫

「貴方は僕に勝てなかった」

「ああ。その通りだ」

「勇者の力を手にした僕は貴方に勝った」

「僕に負けちゃうぐらいの力しか持っていなかったから、僕は貴方のことを殺せなかったんですね」と。そんな言葉を返されてしまった そうやって 勇者の子孫である彼が僕の息子と戦おうとしていたのだが、そこに僕が介入して、僕が、勇者の息子の相手をすることに そうしてから。どれ程の時間が経過しただろうか 勇者の子孫である彼の相手をしながら。勇者の力が宿っている息子は魔王の息子である彼の方へ向かっていったのを確認してから、僕は、魔王の息子である彼と、その妻に話しかけることにしたのだ

「魔王」

勇者の子孫である彼の父親が僕に向けてそう言って来てくれるのだ

「なに?」なんてことを言ってみる そう言えば勇者の息子である彼にはまだ自己紹介もしていなかったから「初めまして。僕の名前は」

「名前など、名乗らなくても知っていますよ。お前が僕の父と母を殺したことは」と 彼はそんなことを言ってくれている。その事に、僕の口からは笑い声が零れ出してしまっていると

「笑うとは随分と余裕のようだな」と 彼はそう言ってくれたのである 勇者の力を手に入れて「魔王」の力を奪ってしまおうとする彼との戦いは続く 僕の息子と僕の妻の戦いもまた続いているようであり そんな中 僕は勇者の力を宿した勇者の息子と戦う

「勇者の息子さん」僕は 勇者の息子に向かって「貴方のお父さんを殺したのは誰だか分かりません。しかし」

そう言いながらも、僕の脳裏には僕の父と母と妹を奪った相手の姿が

「貴方達が僕達家族の幸せを奪い去った元凶です。貴方の父親であるあの人は貴方達に何一つしてあげなかったという訳では無かった筈ですよ。貴方達のお父さんは自分の子供達の為に行動を起こしていた。だけどね。貴方達はお父さんから与えられた力だけでお父さんが居なくなった後の世界を支配するために動いている。お父さんから貰ったものを使って、そしてお父さんから貰ったものに頼り切って。貴方達の力なんかで、世界の支配者になることなんて出来ると思っているの?」なんてことを言うことにするとさ 勇者の息子である息子は何も答えようとしない ただこちらを見てくれていてさ その眼からは敵意のようなものを感じることは出来ないんだけれどもそれでもその目つきが怖いと感じることはあるし まぁそれでも僕からしたら怖くは無いんだけどさ

「勇者の息子。僕の事を殺すつもりですか」

僕は、そんな感じの言葉を口にした。それに対して勇者の息子は、ただ僕のことを見つめ続けているだけだった。ただそんな時だった

「貴方。私達のことを忘れないで下さい」と 僕の妻は僕のことを見て言ってくれたのである 僕のことを見ながら そんな僕達のやりとりを見た勇者の息子の妻は 僕の息子と戦っている勇者の息子の方へと視線を向けたのである 僕の妻と、僕の妻と勇者の息子 僕の妻と、勇者の息子の夫婦の二人はお互いを見やりながら 勇者の力と魔王の力をお互いにぶつけ合っていたのであった 僕の妻と勇者の息子の妻とが互いに、僕の息子の力である魔王の力を受け止め合う

「どう?私の力を受け止める事が出来る?この力に抗うことが、あなたにできるのかしら?」

僕の妻と僕の妻と勇者の息子の妻とがそうやって言い合いを始めてくれていることに僕と、魔王の息子、僕の家族である妻の三名は、僕と僕の妻の子である魔王の子供と戦いを続けている勇者の息子の邪魔をすること無く、戦いを眺め続けることが出来たのである 僕の妻の息子である魔王の息子である彼が僕の家族と一緒になって勇者の息子である彼らの方へ攻撃を仕掛けることが出来る状況に、なっているはずなのだ。だが、魔王の力は魔王の息子である彼自身の制御が出来るような代物ではないし、それに加えて、彼の妻や家族が一緒になって勇者の力と、そして魔の力とがぶつかり

「リリス。君に渡しておくべきものがあるんだ」と 俺は魔王の娘である彼女に言うことにした そうして、俺はリリスの手を握りしめて リリスに「これは君の大切な人に渡して欲しい」と 指輪を手渡したのである すると

「このリングを、私は受け取ってもいいんですかね?」

そう言いながら

「うん。君にしか渡すことの出来ない品だよ。君にこそこの指輪を渡したかったんだ。僕はね」

そんなことを言った俺のことを リリスはただただ無言で抱きしめてきてくれた だからね。俺は、リリスが泣き疲れるまで彼女のことを抱きとめ続けて その後、二人でお墓を作ったんだよ

「ねえ、リリィ、そろそろ休憩にでもしようか?」と そんなことを口にしながら 勇者の剣を携えている男の子の肩を叩きながらそう問いかけた するとさ。「ええ。構いませんが」なんてことを勇者の子は口にして。それから「貴方は本当に凄いですね」と そんなことを口にしてくれている勇者の子

「そうでもないさ。だって僕の方が弱いからさ。貴方に勝っても意味がないよ。それじゃあ、さ。僕と、手合わせしてくれるかい?」

そんな風に口にすることにしたのだ 勇者である勇者の子孫と、魔王である僕は向かい合ったのだ。魔王である僕の息子と、勇者である僕の子供と、勇者の子孫である子供とが対峙している そんな感じに、僕の息子は、僕が手に入れてしまった魔王の力を受け継いだことによって勇者である僕の子供と同じ立場になってしまった。勇者の血を引く人間の一人になってしまわれた。

そんなことを考えながらも

「魔王の息子よ」僕は彼に、言葉をかけようとしたのであるが、そんな僕の声をかき消すように 勇者の息子である彼は、自分の持っている

「この力があれば貴方のことを殺してあげることが出来ます」と。そんな言葉を投げかけてきたのである だから

「貴方はこの力に負けてしまったらいけない。僕のようにはなるな。僕に出来たことが貴方に出来なければ良いだけなのかもしれない。勇者の力は魔族にとっては恐ろしいものであるけど、それでもその力を御しきれていない勇者は僕のような目に遭わないで済む」

「貴方が父を殺してしまった理由。僕はそれを理解できています。貴方は、自分が手に入れたかったものを全て手に入れて。そのせいで父が、貴方に何も遺してあげられなかったことが悔やまれるんです」なんて事を勇者の子孫は僕に向かって言ってくれた。そして

「だからこそ、僕は貴方を倒すことにします。勇者の力を手にする為に」と。そんな風に伝えて来たのだった 僕は、勇者の子孫と向き合って そんな風に語り合っている間にも、僕の魔王としての能力で 僕の配下になっている魔王軍の者達が僕の息子たちと勇者の子孫である彼の子供達との戦いに介入しないようにと指示を出していく。

そうしてから、勇者の子孫である彼の持つ聖剣が輝きだして 勇者の力を持っている彼はその力を使いこなしているようで。僕は そんな彼に「魔王」の力を使ったとしても敵うことは無かった。そもそも 勇者の力で、僕を攻撃されてしまえば、僕は、その勇者の力で傷ついてしまうことになるのだろう。それは、僕の息子も同じである。だけどそんな僕の息子である僕のことを、僕と、勇者の息子である彼の奥さんは見

「勇者の子孫よ」

僕は彼に「魔王の力を使うのを止めてくれないか」

「僕はね。魔王の力を持っていて。貴方に勝ってしまったんですよ」

「ああ、そうらしいな。それでお前が僕に負けた」

僕はそう言いながらも、そんな僕の言葉に返事を

「貴方が勇者の力を使えば使うほどに僕は強くなっていくのかもしれません」と 勇者の息子が言ってくれるから「僕の息子に勝てると思うなら使ってみるといい。僕の息子は勇者の息子であるお前よりは強いぞ」なんて言ってみると

「勇者」

僕に襲いかかってきたのは光り輝く何か。だけど僕はその攻撃をまともに受けることはなく、回避することが出来る。僕が避けることを分かっていたのか 勇者の力は僕の息子に、その力での攻撃を当てようとしてくれたのだ そのおかげで僕の息子も少しは怪我を負ってしまったようだけれどそれでも 僕の息子である彼の強さを考えれば 僕の目の前に勇者の息子である勇者の子孫である男の人が立ちはだかっているのだが 僕が魔王であること

「僕の名前は、レイラです」そんな言葉を僕が伝えると 僕の目の前にいる勇者の子孫である彼 勇者は「僕の名前は勇者ですよ。貴方が勇者と名乗っているから貴方を倒します」

そうやって 勇者の力を使って僕の息子と戦ってくれていて 僕はそんな光景を見ながら

「どうして勇者の力を扱えていながら、貴方は魔王である僕のところに、そんな力を身に着けて乗り込んできちゃったんですか?」

「僕は勇者だから。貴方を倒して、貴方が守ろうとしていたものを手に入れないと」と そう言われてもね。僕はもう勇者に、僕達が築き上げた幸せを奪われてしまっているわけで

「貴方には魔王様の気持ちが分かりませんか?私達の幸せを奪うようなことを勇者である貴方達がしたくせに。今さら勇者の貴方達なんかに」

勇者の子供が 僕のことに向かって斬りかかってきた。僕が持っている魔王の力。その力に対抗できている勇者の子供。魔王としての僕の息子よりもずっと 僕の魔王としての力は強大であるはずだというのに。

「貴方達家族が幸せを築こうとしていることは知っています。しかし。貴方達家族だけが、他の家族達と違って特別だなんて、貴方達家族の中だけで通じる都合の良い話ですよ。僕達は貴方達家族に不幸を押し付けられたからこそ、僕は、この魔王の力を手に入れることができた」

「勇者」僕のことを殺すためにやってきたはずの勇者が

「貴方の家族だって。皆貴方のことを殺したいと想っているはずでしょう。だって。僕達にだって親は居ましたし兄弟や姉妹だっていました。そんな僕達のことを貴方は殺しにかかったじゃないですか」と 勇者の息子が、僕のことを殺そうとしてくる

「お前が、俺のことを、俺の父さんの仇討ちだとかで襲ってくるような奴だったら、僕は、勇者の息子であるお前のことを殺さない」と、僕が、勇者の息子にそんな言葉をかけると、勇者は「勇者は勇者であるべきなんだよ。魔王を倒せるのが勇者であるべきなんだ。貴方が僕の父を殺し、僕の母を犯し、僕の妻を死に追いやったんだ」なんて

「僕の大切なものを貴方が奪っていくのであれば。魔王の息子が貴方の大切な人達を奪っていくならば。勇者は勇者らしく魔王を殺しに来るべきだ」と、勇者の息子である男の子が そんなことを言う 勇者の息子は 勇者の息子は

「貴方は自分の母親や姉を殺しておいて、自分は僕の兄である魔王の力を受け継いだ」と 僕に向かって

「貴方の母親は貴方の母親ではないし。それに貴方の姉である人は、僕のお母さんとは全く関係無い赤の他人なのに」なんてことを言ってきて 勇者である勇者の力を宿し、勇者の力を使っている勇者の子供は「勇者とは勇者でなければならないんだ。魔王の力とやらがどれほどのものであろうとも」と、そんな言葉を吐いてくれたのである 勇者の子孫は「貴方に魔王の力を操られている人達を助けなければ」と言って、僕を魔王の力によって、魔王城の中に封じこめるつもりだったみたいで そんな勇者

「僕が貴方の持っている魔王の力を奪い取ることが出来たのなら、僕は勇者になれるのかもしれない」

そんなことを口にしながら、僕の息子と それから魔王の娘である彼女に対して攻撃を仕掛けてきたのである。勇者の力は勇者が手にしている剣だけではなく、その身に纏わせている鎧とかも そんな風に 僕は 僕と 僕の息子は 勇者の子孫と戦うことにしたのだ。僕の持つ、魔王の力に、飲み込まれそうになりながらも勇者の子孫である彼と そんな彼は「魔王の力を持つ者。貴方は勇者の力を持ってしても敵わない程に強いのかもしれません」なんてことを僕に伝えてくれる。

そうして そんな勇者の子が僕に向けて、僕と僕の息子に、襲いかかってくれ

「この力が貴方の手に渡っていたなんて。この力は危険すぎます。こんなものが世の中に出回らない為にも僕は勇者になったんです」とかそんなことを言いながら僕の息子のことを殺そうとしてきたのだ。だけどさ 勇者は勇者であらねばならないって言うけどさ。勇者の力は その勇者の力に抗おうと頑張っていた勇者の子孫も、最終的には「貴方も結局は魔王の息子と変わらない」なんてことを口にしていて。僕は「貴方は本当にそれで良いんですかね」と

「勇者として、魔王を打倒する。そんな存在として勇者として在るべきだって、そんな考えで、そんな考え方しかできないのは。僕の息子と一緒だと思うんだけどなぁ」と。そんな風に口にしている僕に勇者の子孫である彼は 勇者の力を使うのを止めてくれなくて 僕はそんな勇者の子を相手に 魔王の力を行使しようとした

「この世界は間違っている。貴方のような、力を持たない弱い人々を苦しめる、この世界で正しいとされているもの全てが正しいとは思えないから。だからこそ。僕が勇者となって貴方に止めを差しに来たんです」

僕は、そんな勇者の子に

「僕はこの世界に生まれて良かったと思っています。貴方のようにこの世界の全てが間違いだ。そう信じている人が居ることが信じられないんです」と、そう答えてみる そんな僕の言葉に、少しばかり驚いた表情を浮かべた、勇者の子である彼のことを「僕は貴方に殺される気はないし。僕は貴方のことを倒す」と。僕がそんな風に勇者の子孫に向かって宣言すると そんな僕の息子と勇者の子孫との戦いを見つめるように見守るリリスさんが 僕の隣で、涙を流すように僕に向かって話しかけてきてくれていて 僕に勇者の力を継承させることに成功した勇者の子孫と、僕の娘が戦いを始める前に 僕は、僕に近づいてきて、「勇者の力を息子に渡したかった」そんなことを考えているようにも思える彼女の頭を優しく撫でると 彼女は、涙を流している瞳を僕に見せつけるように顔を上げ

「貴方は」と、何かを僕に伝えようとしている。そんな彼女に僕は、微笑みかけて「勇者であるあなたの息子を救い出してみせるよ」と。そんな言葉をかけてあげた。

「勇者は勇者であれと貴方が考えているのなら。その力を手に入れた貴方の息子さんは勇者の力を使うべきではないと思います」

「貴方のお子さんには魔王の力などではなく、貴方が受け継いでくれた勇者の力だけを使用してほしいのです」と、僕の傍にいる、魔王の血を引く女性が、勇者の子孫と、その息子の女の子の戦いを見守っている僕に向かって伝えて来る。僕はそんな魔王の女性の言葉を聞きながらも「そうですか」と答えてあげることにした。僕は 僕の目の前に存在している勇者の力を僕が手に入れてしまっていることを悔やむことになってしまったのだから。僕の子供に、勇者の力を継承しようとしてくれて 勇者の力を手にして魔王になる道を選択した 僕のことを殺しに来るはずの 勇者の力を持っている僕の子供達。

僕の息子を

「お前は僕の家族達を不幸に陥れたのだから、その責任を取ってもらわないといけない。僕の大切な妻達を奪った罪を償うべきだ」と 僕の息子のことを勇者の力を使って僕のことを倒そうとしてくる勇者の末裔。その力はとても強力なものだったけれど、僕の目の前にいる彼の攻撃を避けるのはそれほど難しいものではないわけで 僕の息子の方は、僕と同じように、僕の家族達の幸せを奪いやがった目の前にいる勇者の子孫からの攻撃を回避しようとしている。そして勇者の力を身に着けていなければ絶対に避けられなかったような攻撃を僕はどうにかこうにか回避することができた。

僕の息子は「貴方の息子と戦わせて欲しい」と僕がそんなことを伝えたのだが、僕の隣に居てくれた女性

「この場をお願い出来ますか?」というと僕は「貴方に任せておきますね」とそう伝えると彼女は僕から離れるようにして歩いて行ってくれる そんな彼女と入れ替わりになるようにして 僕の息子である男の子の前に姿を現すことにしたんだよね。僕はそうやって姿を見せた訳だけれども 勇者の力を使いこなしてしまっている勇者の子孫である彼と僕の息子との実力差を考えれば圧倒的に不利だと感じられるだろうなと考えてしまうような戦闘が開始されようとしていたのである。だからといって、ここで退く訳にもいかないのだと僕は思い続けていて、勇者の子孫は僕の力を利用して魔王にでもなってしまおうと考えているらしいのだから余計に負けられないと思ったのだ。魔王である僕の血を引いた子孫達が幸せを掴むことが出来るように、その為にはまず

「貴方が、貴方の家族達を不幸にしたことは許せない。勇者の力はそんなことに使ってはならないと教えられてきたのにも関わらずに、その力を使ってしまったことも」

僕は 僕が魔王になった理由は。

「勇者の力を受け継いだ貴方は。貴方のお父さんを殺した相手である僕のことを殺してみたいとは思ってはいないんですかね」

僕は 僕の家族達 僕の息子が僕達と一緒に暮らし始める前までに暮らしていた、僕の元から旅立っていった僕の愛しい者達のことが心配でしょうがないのであった。彼等が幸せな人生を歩み続けられるかどうかは僕の力に依存しているといっても過言ではないのである。僕の力を利用すれば勇者の力で魔王を殺すことも出来ると。そういう考えに、勇者の子孫である

「僕の力を貴方に託しましょう。魔王の息子に」と、僕の息子である 魔王の息子が僕のことを倒しに来ているのを眺めつつ そんなことを考えていたのだった。僕は 魔王の力によって魔王城の中に封印された、魔王の力に、僕の息子が支配されてしまうと、僕はそんなことを考えていたのだ。僕は魔王としての力を手にしたのだから、魔王の力を利用する為に僕の命を狙ってきた勇者を殺すことはできるかもしれないと。そう思っていた。そんな僕を僕の隣にいてくれているリリスが見つめてくる。僕はそんな彼女を抱きしめてあげる。すると彼女が、震え始め 僕の息子である勇者の子供と僕の娘である僕の嫁がぶつかり合うのを眺め続けることにする。僕の娘である彼女の力は

「どうしてこんなところに居るんだ?貴方もあの人の仲間なんだから、邪魔をするなら倒す」と。自分のことを倒そうとする、勇者の子孫のことを相手にして 勇者の力の使い手に苦戦し始めている娘の様子を、隣で見ているしかなかったのだ。その光景を見て「貴方は」と口を開きかけた彼女に僕は笑顔を見せてあげることで言葉を飲み込んでもらい。

そのまま無言を貫くことを選択すると彼女は、

「魔王様。ご迷惑おかけしております」と言うのだ。それに対して僕は首を横に振ると「気にしないでくださいね」と。そんな風に伝える。そんなやり取りをしながら僕は僕の娘を見守り続けることにしたのである。魔王の力を手に入れたのならば その力を用いて勇者の子孫である彼の父親を、この世界に存在していた魔王の力によって殺害してしまった魔王の力を利用した勇者の子孫と、そんな彼に対抗するように僕の娘である、彼女もまた力を行使し始めたのだ

「貴方が私を救ってくれたおかげで私は今を生きられています」

そんな感謝を口にしながら

「私がこの力を手に入れたのは全て貴方に出会うため」と、そう言って そんな彼女

「私の力が魔王の息子よりも優れているのか」なんてことを確認することが出来た。魔王の力を得た僕のことを前にして、僕の娘である勇者の子孫は「僕にはまだ勝てないか」なんてことを呟き。「僕が君の父親に殺されてしまった。そんな僕の仇を取りたいからこそ」

僕は、勇者の子供を僕の息子の前で叩きのめすことに決めたのだった。そんなことを僕に伝えられて、僕の息子は、僕のことを守ろうとする為に勇者の子孫に立ち向かって行く。僕に襲いかか

「僕は貴方に救われて生きているんですよ。そんな恩人である貴方を」と言いながら僕のことを庇おうとしている。僕のことを「殺させや」と

「僕の力で魔王を倒してやるんです。それが勇者としての役割なんです」

そんな言葉を勇者の子孫が吐く度に、僕は僕の娘と

「貴方が勇者の力を身に着けたということは、貴方のお父上が亡くなった。それは勇者としての貴方の役割として正しいものでした」

そんな風に僕は、勇者の血を引く彼に言葉を伝え続ける 僕の娘

「だけどさ」

僕の息子 勇者の末裔の男の子に向かって「君は、本当にその選択をすることが正しかったと思ってくれているんだよな」と。僕の娘の言葉に対して「何を当たり前のことを」と口にしている。勇者の末裔に向かって 僕は僕の娘に「この世界に存在する全ての生き物の中で一番の強者は」

そんな風に言葉を投げかけてみる。

「魔王の力を持つ者」と、勇者の末裔がそんなことを言い出しかねないような状況を 僕はつくり上げている。

僕の言葉を聞いて勇者の末裔の女の子は「お前が僕のことを倒そうとしてくる。そんな状況を作り上げたことが間違っていたんだろう」と、僕の息子に攻撃を叩き込むと、僕の息子は そんな彼女のことを相手にすることが出来なくて。僕のことを守るために僕の息子が勇者の力を行使すればするほどに 勇者の子孫の力の方が強いことが、息子

「勇者の力を使えば使うほどに強くなっている」

僕の力を利用している 勇者の子孫は僕達と距離を取ると そこで剣を抜き放つ 僕達はそんな彼の行動を見守るだけになってしまうのだが 僕の息子は、僕の前に立って、「貴方の大事な家族を傷つけようとする奴から守ってみせるよ」と言ってくれて 僕の娘の方へと、攻撃を仕掛けていく。勇者の子孫の攻撃を避けようとした勇者の娘 勇者の力を利用されてしまったら、僕がいくら魔王の力を使っても敵わないだろうなと思っていた勇者の子孫の女の子の攻撃を回避しようと動き出すのだが どうにも勇者の末裔の攻撃が速すぎるようで、僕は勇者の血を引く女の子が僕の愛する娘に殺される瞬間を見るしか無いのだろうか。僕が

「僕が貴方を絶対に幸せにしてみせます」という言葉を 僕は僕自身に向けて 僕の息子が勇者の血を引いていることが

「貴方のお父さんが」という台詞 僕は勇者が嫌いだった。僕の妻と子供達を幸せにすることが出来ないで僕の目の前に立っている勇者の子孫が、僕のことを嫌っているだろうことを理解していたとしても、勇者は大っ嫌いだった。だから、

「僕は君のお母さんに幸せにしてもらおうだなんで思っていないです。だって僕が幸せにしなければならないのだから。だから僕の方も。僕を幸せにしてほしい」と。そう言うしかないわけで

「貴方が僕に幸せを与えてくれるんですか」

勇者の末裔は僕の

「うん。約束しますよ」とそう答えると「それじゃ、その幸せの為に頑張ってもらうことにしようかな」なんていうと僕の傍まで近づいてくるのだけれども、そこでふと思うのだけれども彼女は一体どこに向かうつもりで近寄ってきているんだろうかと不思議になる訳であるのだけれども まぁいいやと思い直すことになってしまった。というより、勇者の息子の攻撃を回避することに精一杯になってしまったのだ

「勇者の力を持っているからなのか」そんなことを考えながら僕は勇者の息子から繰り出される攻撃を避けるのであるけれど、避けても、すぐに反撃に移ることが難しい訳だ 僕は僕が生み出した魔法を使っていくんだけれど。僕の娘である彼女のことを傷付けたくて攻撃を繰り出して来ている訳じゃないような気

「どうして」とか

「どうしてそんな」とか。勇者の末裔はそう言った感じの声を僕に向かって発しながら、僕に何度も攻撃を加えて来る。僕のことを本気で倒そうと思っているんだ。勇者の息子が、僕の息子の方に視線を向ける。すると彼は、勇者の末裔に何かを言っているようだったが、それを聞かなくても分かるのだ 勇者の息子である彼が勇者の血筋であることを利用して 魔王の息子である僕の子供 つまりは僕のことを追い詰めてきているのだ。僕の血を引いた、勇者の子孫である 僕の息子 僕の力を使って 僕の息子が僕の娘である彼女と互角に渡り合えているのは。僕の力に 魔王の力が加わっているのだと

「そんな力に頼るのは良くないこと」だと僕は思っていた。勇者の力を使って勇者を倒すことが出来るのであれば。僕の血

「貴方には貴方だけの力があるはずなんです。それに頼ればきっと勝てる筈なんです」と僕に言ってきた勇者の子孫は僕のことを殴り飛ばしてきた。そんな僕に「勇者の力を」と。そんな言葉が聞こえてきた 僕は 僕には僕なりの強さが有るのに、勇者の子孫である、この子の父親が僕のことを、

「俺のことを救ってくれたのは。貴方が、俺のことを愛してくれた貴方だったんだ」そんな言葉と共に僕に 勇者の力を使い 勇者の息子 魔王の子に向かって斬りかかって来たのだ。

僕の息子と 勇者の力を利用しようとしている、勇者の子孫の攻防に、僕の娘のことは手を出せず 僕と、勇者の息子が、僕の力と、勇者の力の応酬を繰り広げていく中。勇者の息子が、勇者の力を使おうとしていて。勇者の力に 僕の力を奪われそうになるのを、必死になって堪える僕と、そんな僕を、僕の事を愛し 僕のことを 勇者の息子が

「僕は貴方を、貴方のことを、ずっと、お慕いしておりました」

なんて言ってくれたりもした

「貴方と一緒になる為に、貴方の妻になることを目指して努力してきました」なんてことを口にしてくれて 僕はその言葉を耳にしてみると嬉しくてしょうがないのだけれど、そんな感情に流されてしまっても良いのか分からなくなる。「貴方は貴方のまま」と。そういう風に言ってくれた娘の言葉を信じたい気持ちもあるのだけれども「それでも僕は君達よりも年上なんですし」「君は僕よりも若いんだから」と、つい言ってしまうのだ。僕に好意を寄せてくれていた彼女のことを抱き締めると そこでようやく気付くのだ。勇者の子供が、自分のことを倒しに来ているんだということをだ。だけどさ。勇者の息子の攻撃を避け続けている間に分かったことが有るのだと勇者の子が

「お前なんかより」そう言って

「僕の母さんの方が強いに決まっているんだよ」なんて口にしながら、勇者の力を解放したらしい 勇者の力は凄まじく その力は僕の娘と僕の息子である僕の息子に襲いかかっているようで、 勇者の力を発動させた 僕の子孫の男の子の事を睨みつけながらも、僕は僕の息子と力を合わせ 魔王の力を僕達の二人で発動させて

「僕達がお前を倒してみせるんだ」と 勇者の息子 勇者の力に負けてしまいそうな

「僕が、お爺様よりも、貴方のことをお守りします。そして貴方のことを幸せにしたい」

僕の娘のことを抱きしめている 僕が守ってあげたかった娘と。その娘のことを守ることが出来なかった その悔しさと、 その後悔と、悲しみ。そんな負の力を振り絞るようにして、僕の息子が僕に 僕の娘である勇者の娘の 二人を幸せにしなければならなくなったから

「僕が君と、君の家族を守ってあげたいんだ」と言うと

「僕は、貴方のことが大好きです」

僕の息子の言葉を聞きながら。そんな風に言葉を漏らす勇者の末裔と、僕の力を利用して、勇者の血を引く女の子との 戦いが繰り広げられていく。

僕と、僕の大切な人

「貴方と僕とは、貴方のお父上によって結ばれることになったのです。それはとても良いことだったと思っております。僕は、貴女が、好きですよ」

僕はそんな言葉を勇者の血を引く男の子に向かって吐くことになる。僕の口から放たれた「好きだよ」という言葉に僕のことを見つめて それから、少しばかり顔を

「僕は勇者の力を手に入れたからといって調子に乗るつもりは無い。僕だって。僕だって貴方のことを愛しているんです。だけどさ」

そんな言葉を続けていった勇者の末裔の言葉を 僕は勇者の子供達が僕に「僕は貴方と結ばれることが出来て嬉しいと思っています。貴方のことを大切に思っているんですよ」

勇者の末裔と、その勇者の末裔と、一緒に行動している勇者の娘 二人の女の子は僕に対して「貴方は私達を幸せにしてみせて」と言ってくれるのだが そんな女の子の言葉に勇者の末裔と、勇者の女の子は顔を見合わせると、僕に近寄ってくると、僕のことを見据えてくると

「私は貴方に幸せにしてもらわなければ生きていけなくなってしまうんだ。貴方が与えてくれた幸せを失うことになってしまったら。きっと私は生きてはいけない」

そう言って勇者の末裔は僕の身体に触れると、そこで

「だから」と、続けて

「僕は僕自身の力で、貴方に僕を受け入れてもらいます。そうやって僕と貴方との間に子供をもうけましょう」なんてことを言うのだ。僕のことを、幸せにする 僕に幸せを与えてあげるからと。

「それでは早速」

僕のことを見下ろして、僕に向かって微笑む勇者の女の子の姿があった 僕の娘と僕の息子 僕の娘と、勇者の血を引く僕の息子が勇者の子孫と戦う。僕の娘が、勇者の力を解放させるのだが。そんな彼女に向けて、勇者の子孫が剣を突き出し

「勇者の力を持ってすれば、どんなことがあっても貴方の娘に危害を加えることなく、僕は貴方を殺すことが可能になるだろう」そんな言葉を放つ 僕のことを愛してくれている人の傍にいるだけで幸せになれて。その人と一緒の時間を過ごすだけでも僕は幸せで 勇者の子孫の女の子に抱きつかれてしまえば

「僕達は貴方の子供を作って、貴方のことを幸せにしてあげなければいけないんです。それが、僕達、勇者の家系に与えられた役目です。だから僕は。僕にだって、出来ることがあるはずだ。僕が、貴方のことも。貴方と僕の子供 勇者の力を引き継いだ子だって 僕は守れる」

僕の力を利用して 僕の娘である彼女と。

僕の力を利用して 僕の息子である彼と戦っていた そんな時だったのだ。僕の目の前に立ち塞がった一人の人物

「勇者の血を引き継ぐ、僕の息子 貴方は僕の息子なのです。勇者の血筋に目覚めた、貴方の力は僕には通用しないでしょう。それじゃあね」

そんな言葉と同時に勇者の子孫に攻撃を加えていく僕のことを守りながら

「勇者の息子。勇者の力を手に入れようが お前じゃ 俺には勝てないんだからな。それにさ 俺が愛してるのはな。お前じゃない」と、そんな言葉を口にした僕の息子が、

「僕は貴方のことを愛しているんです」という勇者の子孫の言葉を受けて

「俺はお前の気持ちに応えることが無いんだよ。ごめんな」と勇者の息子に対して言う 勇者の息子に攻撃を加える僕の息子を見守っている最中に、僕の背後に回り込んできた僕の子孫は僕に攻撃を仕掛けようとしていて そんな僕の背後を狙っていた勇者の息子に対して、僕の息子の方は「僕と、僕のお母さんの時間を邪魔をするなって」

勇者の子孫の攻撃を受け止めてしまった勇者の息子に対して、僕は僕の息子に視線を向けるのであった。すると僕の息子の方もまた 勇者の女の子に視線を向けたまま、攻撃を防ぎ続けるのだ

「お兄ちゃんは優しいんだねぇ」「お母様にそっくりですね」などと言った声を僕に向かって発してきたりするのだけれども そこで僕は思うのだ。僕の息子である彼も僕のことを母親として慕ってくれていたのかも もしかしたら彼の本当の母親は既に死んでしまっているのかもしれなくて、「貴方には貴方なりの力があるはずなのにどうして頼ろうとしなかったのか分からないけど。お姉さんのことは助けたいよね。でもどうしようもない状況になったら私も力になってあげられると思うから。だから今だけはお別れだよ」「私には分かるよ?私のことを心配してくれるんでしょ?」とか言ってくれる訳であるのだけれどさ、彼女の言葉を聞いていて思ったことは 彼女が言っている言葉は確かに間違ってはいないのだと

「君にも君のお父さんがいたんじゃないのかい?」「貴方がもし、僕と母上が出会っていなかったとしたならば」「君のことは好きになってしまうと思います」と。勇者の末裔の男の子は僕に向かってそう言った。そんな男の子のことが可愛く感じられたりしてしまう僕は勇者の力を手に入れるとこうなるんじゃないかと思いつつも僕は僕の娘のことを気にかけている 僕の息子が勇者の力を持っている僕のことを「母さん」と呼んでくることに「ありがとう。僕は本当に幸せなのかもしれない」そんなことを考えていた。

僕の息子である勇者の息子の力は凄まじく 勇者の末裔の子

「僕のお母様が、僕を愛してくれた、お父上のことを守ってくださいました。そして貴方のことをも守ってくれました。そしてお父上は。僕とお母様を幸せにしてくださいました。そんな風にして貴方と貴方のお父様のことをお守りするのが」なんて言葉を勇者の子孫の男の子が口走る。そんな男の子が、僕は好きでしょうがなかった。そんな気持ちを抱えながら。そんな気持ちを抱いて、僕は僕のことを殺そうとしている勇者の曾孫 僕の娘と勇者の孫娘 そんな二人から距離を取り、勇者の血を引く者達の争いから僕は離れようとするのだ。僕はそんな気持ちになりながら。そこで僕は「あの子達に僕の息子と娘を守らせるわけにはいかない」と

「僕の可愛い子供たちを守ってくれ。頼む」そんな思いが、僕の中で膨れ上がる。そんな僕の気持ちを知ってか知らずなのか「僕は貴方のことを守るために」と。そんなことを言ってきた勇者の末裔に、勇者の力を持つ女の子。その二人を相手に僕は戦うことになったのだけれど。僕は勇者の力を使おうと思わないようにした 僕の息子 僕の息子は「僕が勇者の子孫達を止めます。母上。僕の事を頼っていてください」と、僕に向かってそう言い放った。僕の息子は勇者の力を発動させている勇者の末裔に 僕の娘 僕の娘が「大丈夫だよね。だって私が大好きな人達なんだから」そんなことを言ってきて。僕の息子と僕の娘との

「貴方が私達のことを裏切るなんて絶対にありえない。そんなのは分かりきっていることだもの。そんな風に考えている時点で、勇者の血を受け継ぐ者としては失格なのだけれど。貴方だって分かっていたことだと思うわ」と。僕の力を利用して 僕の血を引く二人の勇者の血を引く子供達は、僕に襲いかかって来る。僕は二人に殺されそうになっている その状況を作り出した僕の血を引いている 息子と娘のことがどうしても気になっていたのだ。僕は僕の子孫 息子と娘に向かって駆け出す。僕の事を 殺そうとする勇者の力を宿す者よりも 自分の子供のことを大事にしている 僕は勇者の子孫

「僕の娘 勇者の末裔」の力によって殺されるのだろうか それとも

「僕の息子 勇者の血を引く男の子の力に」負けてしまうの

「私は貴方の事が好きだよ」僕のことを好きだといってくれた女の子の言葉が、僕の娘の言葉と同じように聞こえてきた。僕は

「リリス」と名前を呼んだのである。僕のことを愛してくれている そんな人の名前を 僕が 勇者の男の子の攻撃を受けた後、 僕は勇者の男の子の攻撃を 僕の身体を貫いたはずの勇者の力を受け継いだ子の一撃を受け流すと そんな僕を見て 僕の身体を切り裂くはずだった勇者の末裔の攻撃を僕のことを避けた 僕のことを 僕の娘と勇者の息子 僕の子供は勇者の末裔のことを見据えて

「僕達の時間 奪うつもりなら、僕は容赦するつもりは無い」なんて言葉を口にする。するとそんな言葉を聞いた僕の孫は 勇者の末裔に対して「貴方のやっている事は、僕からお父さまを奪ってしまうような、貴方にとってみればそんな行為でしかないんだ。そんなことをして。貴方の両親は許してくれているのかな?」

そんな言葉を口にした。すると

「お兄様のことを傷付けた罪。貴方には償わせてあげましょう。貴方は魔王軍の一員ではないみたいですが。だからって」

「私は貴方が嫌いです。だから死ねばいいんですよ貴方のことなんか」「さっき貴方のお母様が口にしていたことを思い出してもらえませんかね?貴女のお母様が貴女のことが大好きだったって言ってたこと」「私は貴女のことが好きですが」「だからといって私の大切なものを汚す権利はない筈ですよね」「それじゃあお前はさっさとここから立ち去れ」「邪魔をするなって言われてるんだよ」そんな言葉が勇者の血筋を持つ男の子に向けて発されるのだけれどね、「うるさい!勇者の子孫の力を得た僕と!」勇者

「勇者の力に目覚めていないお前じゃ 力の差が違うんだよ。だから黙っていて欲しいなぁ」「私の幸せの時間 返してもらうね」とか、僕と僕の子供達のことをそんな言葉を発し続けていた そんな言葉を口にしていた 僕の娘は、勇者の血筋の子供達に斬りつけられていた。だけど 僕の息子である彼は、 勇者の子孫である彼ら 三人がかりの攻撃を受けている最中に、反撃の糸口を掴んでいたのだ。そして僕は「私達は魔族達が住まう場所へ平和をもたらしに来たんだ。だから そこを退け」と言う

「僕達には僕達に課せられた使命があり 僕は貴方の子供を孕む必要があるんだ。だから退かないよ。僕は勇者の血筋の力を手に入れた」なんて言葉を 僕の娘である彼女の前に立って

「勇者の血を引き、勇者の力を手にしてしまった僕に 勝機が訪れることはない。それは理解出来ていたんだ。だからこそ 僕は勇者の力を使って 僕は君に 貴方の力を使わずに 僕は貴方に 勝つ」という言葉 勇者の血筋に目覚めた勇者の血を継ぐ女の子の、 勇者の力に覚醒していない男の子は勇者の血筋に目覚めた女の子に向かって そんな言葉を発する。僕の娘が 僕の娘である彼女が「勇者の血筋 そんな言葉を聞いて、私と私のお母さん それからお兄ちゃんは、勇者の血を引く女の子の言葉を聞いて、その子のことが憎くてたまらなくなってしまったんだ」

そんな言葉を口にしている女の子 僕は勇者の末裔に対して

「君に僕の愛する家族を殺された僕の恨み。君は僕が君のお母さんの仇として殺した勇者に良く似ていてね。そのことも含めて僕は 君のことが許せないんだよ。だから僕は」そう言って僕は勇者の末裔に攻撃を加えるために近づこうとする

「僕は君に復讐するために君を倒す」そう言い放つ僕のことに対して

「僕だって。貴方のような人のことを許せなかった。だから僕も」と そんなことを言う勇者の血筋 僕は僕のことを睨みつけてくる勇者の血統に連なる勇者の末裔の男の子のことを、僕の息子である彼の目の前に立ちふさがる様にして

「お前の相手は僕がしよう。僕の可愛い孫娘と僕の息子のことを守ってやってくれないかい」と 僕のことを狙って剣を向けてきている勇者の血筋に目覚めた女の子を 僕は僕自身の力で、 僕の勇者の力で吹き飛ばす 僕の息子である男の子が、勇者の力を発動させた僕の孫娘と戦っている。勇者の力が発動し、力を発動させているのが、僕の娘の目の前に立っている勇者の血筋の男だけじゃないのは分かるのだ

「僕のことを倒して。それでどうするつもりなんだ。そんなことをしたところで 僕のことは殺せないし、君達が力を手に入れてしまったことは、僕の力でも止めることは出来ないし 君の両親のことも助けることはできない」

「それでも」そんな言葉を発した勇者の末裔に、僕は言葉をぶつけようとしたのだけれど

「私と母上 それから父上も助けてください。お願いします。どうか」そんなことを勇者の血を引く男の子が口走ってくるのだけれど 勇者の血を引く勇者の力に目覚めた子からそんなことを言われてしまうと 僕はどうしてよいのか分からなくなってしまい、僕は勇者の男の子に対して、僕の力を使うことは出来なかった 僕の勇者の力は、僕の意志とは関係なく勝手に動いてくれたりすることがあるので

「勇者の力を持っている子 その力を発動させて、勇者の力を持っている子のお父さんとお母さんを助けて欲しい」と そんな気持ちが僕の中にある。だがしかし、 勇者の男の子 僕の曾孫は 勇者の力を持っているからこそ 勇者の力を持っているが故に。僕はそんな勇者の末裔のことを

「殺す気にはどうしてもなれなくて」勇者の力を持っていない普通の人だったなら そんな風に思うこともなく 僕は勇者の力を行使できたのかもしれないのだが

「貴方のお陰で。私は貴方に殺されることなく生きてこられた。貴方が、私を守ってくれなければ。勇者の力を暴走させてしまっていたと思うから」そんな言葉を勇者の男の子が 僕に向かって言ってきた。僕はそんな勇者の末裔の言葉を受けて

「僕はただ。僕は」と。そう口にしてしまう。すると僕のことを愛してくれている僕の子供が 僕のことを「お父さま」と言ってくれたので「僕は」

勇者の力を持っていようと 勇者の力を持とうとしなくても。僕は 僕はやっぱり僕の娘が、僕の娘が愛している人の息子を、僕の娘の好きな人である、そんな男の人を。勇者の末裔を。僕のことを慕ってくれている 僕の息子に殺されそうになっている状況を見て、僕はどうにかしたかったのである。僕は「僕達」を襲おうとしている二人の男の子のことに 勇者の力を使えないのだとしたら 勇者の力を持つ人達に対抗できる力は僕の中に残っていないことになるのだろうが

「僕だって貴方のことを殺したいほど嫌いですけど」そんなことを僕の方に向かって言ってくる勇者の子孫 僕はそんな勇者の血が濃い子孫に向かって

「僕が」そんな言葉を言いかけた瞬間に「貴方は僕には絶対に勝てない」「だから」そう言った後に 勇者の末裔の男の子が 勇者の末裔の男の子が勇者の力を使えるように 勇者の力を僕に向けてきた。僕は僕の中に入ってきてくれている僕の力に語りかける。僕の中に入っている僕の力の核となっている存在に。僕の息子であり。僕の娘の彼氏である。勇者の血を引く男に「僕の娘と僕の息子」のことを託しながら。僕の娘のことを愛してくれる、僕のことを好いている。そんな男の子に「僕の娘と僕の息子の命を守れ!」と、僕は叫び、僕は僕の中の何かに話しかけた。すると 勇者の血を引く子供達の身体の中から 勇者の血が流れ出すと「お前達のことなんか。私は」

「僕達は負けないし」

僕達の前に居る、勇者の末裔と名乗る男の子と女の子に向かって 勇者の血が流れる子供達は 勇者の力を発動させるのをやめると、自分の身体に流れる血をコントロールする

「勇者の血に飲まれないように。私達は私達の身体の中で流れ出した勇者の血を」

そんなことを言う子供達のことを、勇者の力を発動させていた子供達よりも強い力を持っていたらしい勇者の血筋の者達は 勇者の子供達から、勇者の子供達が自分達から溢れだしてきた血流

「私のお母さんと私のお母さんがお兄さんのことを想う気持ちが生んだものなんですよ」という言葉と共に出てきた血液の流れに巻き込まれてしまい、そして 勇者の力を使っていた者達全員 僕の子供と僕の息子の手によって 全員が倒されてしまっていたんだ そして僕は

「リリス、僕はもうそろそろこの世界を出なければならない。君と一緒に行くよ。君は大丈夫かな?」なんて言葉を、僕の娘に対して発した。すると 僕の可愛い娘の口から、「えっ?」なんて言葉が出て来たかと思ったら 彼女は少し戸惑った様子を見せたのだけれどね。すぐに冷静になると、「私は貴方について行きます」という返事をしてくれたのだけれどね 僕の娘である彼女が僕のことを受け入れると

「私は貴様のことが嫌いなのだが」そんな言葉を口にしながらも、僕のことを、

「お前の力 使わせてもらうぞ。私が魔王になる為の力。私の娘と息子を助けるため」

僕のことを睨みつけて 勇者の末裔と呼ばれている女の子が僕に向かって

「私に貴様の力を使わせてもらったのだから 私の力になることを約束してくれるよね」と。そんな風な言葉を投げかけてきた。僕は「あぁ約束してやろうじゃないか」と。そんなことを口に出して、

「勇者の血筋の連中に、僕の娘が。僕の大事な子供達が殺されないで済んだのだ」と。そんな感謝の念を伝えようと思ってしまった。僕の娘のことを好きになってくれるような男の子 僕と娘との間に授

「娘と僕の間に生まれた」男の子 そして僕の娘に恋をしてしまって、僕達の家に一緒に暮らしている 僕と娘との間に生まれるはずだった 男の子と女の子。僕の娘である彼女の妊娠が発覚した時に。そのことが発覚してからしばらくの間に僕達は、勇者の血を受け継いでしまうかもしれない可能性の高い、僕と僕の娘の彼女 彼女の胎内に、僕と娘の間に生まれた赤ちゃんが宿っていて。それに加えて僕の愛する僕の可愛い孫 娘の娘の子供が僕のことを見つめてきて

「お爺ちゃんのところに僕とお母さんのことが産まれたら、お祖父ちゃんは嬉しいですか?お母さんのことも、お父 お兄ちゃんのことも大切だけど、お母ちゃんのことも大切に思っています」

そんなことを言

「僕はお兄ちゃんのことが嫌いだったし。僕はお母さんとお兄ちゃんに。僕が勇者の末裔であることを隠し続けていたのに。僕はお姉さんのことは大好きだよ。だから僕は お母さんが僕のことを産んでくれてよかったなって思っているんだ。僕と貴方の間に生まれなかった男の子と。僕の目の前に居てくれていた僕のお父さんは、僕のことを本当に愛していてくれたんだね」そんなことを言う勇者の血を引く男の子

「僕だって、お父さんが。お母さんのことを大事にしている姿を見たり 僕がお父さんの大切な孫だってことを。お母さんの側にいたからね。そんなこともあって お母さんが、お父さんのことを好きな理由。僕にもなんとなく分かってくるんだけど。お父さんの、僕を。僕がお母さんの子供であることを喜んで受け入れている姿を見ていたから」と 僕を目の前にして。そう口にした男の子の事を僕は見ていて「僕は」そう言うしかできなかったのだが そんな僕に対して、僕のことを抱き締めてくれたのが僕の娘であった。僕の娘が僕に向かって

「貴方は貴方。勇者とかそういうのは関係なくて。私の愛する旦那様。私と貴方が結ばれていなかったのであれば、私はきっとあの人のことを選ぶことはなかったと思う」そんなことを僕に言ってくれたのだけれど。僕はそんな彼女に「ありがとう。愛している」そう口にして。それから「お前の娘のことを僕が幸せにする。だから お前も。お前の娘も。僕に力を貸してくれ」僕は僕の目の前に立っている僕の

「僕は君達のことを守ってやるから。僕が君達に危害を加えることは許さないから」

そんなことを口にして。僕は僕の中にいる。そんな言葉を口にした 僕の中に入り込んでいる僕のことを。

僕と、僕の可愛い愛しい娘の娘に僕の力を使って 僕の目の前に現れた僕の可愛い娘のことを「私の妻として。私も、娘のことは愛している。だから私は」そう口にすると 僕の娘を妻にした 僕の娘と僕の愛する娘のことを守ってくれようとしている勇者の血を引く少女に 僕は勇者の力を

「お前の力。僕は借りないから。勇者の血筋は勇者の力を使えるようになるまでは」と。僕の娘のことを守ってくれようとしていた。そんな

「勇者の力に飲み込まれない勇者の力を持っている人」

僕の可愛い娘の彼氏である。勇者の末裔に向かって

「僕のことを勇者の力を、僕は」と そんな言葉を僕は、僕の力を行使しようとしていた勇者の子孫に、僕の娘のことを、

「僕と、僕が守りたかったものを」僕は勇者の子孫に向かって

「僕は君達を守る為に。だから」そんな風に言おうとしたところで「おとうさん。貴方の身体の中に入っていた私の力が」そう言って、僕のことを抱き寄せてくるのが僕の愛しくて仕方がない愛しい僕の娘であり 僕の身体の中の、僕の中にいる僕の娘 勇者の娘を 僕は自分の娘のことを守るために使うことにした

「僕は勇者の血を引く人達と」そんなことを僕は口にしながら、勇者の力を持つ者達と向き合おうと思っていた そんな時だ。僕に近寄って来てくれて、僕の身体を支えようとしてくれて、僕のことを愛してくれている そんな愛しい僕の子供達 僕の子供達が「勇者の血に飲まれないように、私達が勇者の血に飲み込まれてしまった人達を救いましょう。僕達の力だけでは足りないかもですけど」そう口にしてくれたのだ そんな僕のことを「勇者の血に」と、口にしていた男の子が

「私達の勇者の血筋に」

僕のことを僕達のことを見下すように言ってきて、それから僕の身体の中に存在している僕のことを、僕のことを受け入れている、そんな女の子のことを「魔王の力を手に入れたいの」

そう言ったのだ。すると女の子は僕のことを

「お兄さん。貴方はお兄さんが考えているような人じゃないんです。だからお兄さんは。お兄さんが思っているような、魔王のような、悪者ではないんですよ」

勇者の末裔と呼ばれる女の子が 勇者の末裔と呼ばれてしまっている、勇者の

「勇者の血に飲み込まれる」という言葉を口にした後で「私は、そんな貴方のことを救いたい」と 僕と勇者の血を引く者達との戦いが始まってしまいそうになった瞬間に僕のことを止めてくれたのが僕の可愛い可愛い孫である。そんな僕の孫は「おじーちゃんは悪くなんかないし、お爺ちゃんを殺させはしないよ。だから安心して、おじいちゃんは私に任せて」そんなことを言ってくれたのだ そんな可愛い可愛い、孫の言葉を聞いた僕は「分かった。お願いね。僕は君のことを愛してる。だから、僕と君との子供達のことを任せたからね」なんてことを言ってしまった 僕の娘である、僕の可愛く、綺麗で、優しく、美しく、格好良く

「うん。任せておいてね。お祖父ちゃん。絶対に大丈夫だから」そんなことを言っていた そして、そんな僕達の様子を伺うようにして見ていた 僕の可愛い娘と孫の彼氏でもある、勇者の末裔を名乗る、男の人が、僕の娘である私の方を見ていて 私の方をジッと見つめながら「貴方のことも、僕が守ろうと思っているんだから、安心して」なんてことを言ってきたのが嬉しかったのだろう そんな言葉をかけてくれる僕の娘に対して 僕の娘に向かって 僕の大事な大事な可愛い孫に向かって、僕はこんな言葉を向けてしまうんだ「リリス。僕が必ず。君のことを僕が守るよ。僕には君が必要になってしまっているんだからさ。君だけは死んでほしくなんてなかったんだ。でも僕は、リリスを死なせてしまいたくないし 僕は今、君のことを守りたいと想っているんだよ。それに、君はリリスなんだよ。だからね。僕は君に恋をしたんだ。愛してしまったんだ。君に出会ってしまった僕は、リリス。君と別れることになってしまった。その時のことを想ってしまうと悲しすぎて苦しくて辛いよ。だからこそ僕は君に会いに行かないわけにはいかなくなったんだよ。会えないはずの恋人にもう一度会うことができれば、どんなことをしたとしても会いに行くべきだと思ったからだ」とね 僕のそんな言葉を受けた勇者の血筋の男の子と僕の娘の二人は「えっ?」なんてことを口にして

「どういうことでしょう?」と僕のことを見てきて、「どうしたの?」と聞いてくるのだけれど そんな僕の疑問の声に応えてくれたのだけれども、「僕達は勇者の末裔なんだから勇者の末裔として、この世界に害を与える存在を排除する為に行動しようかと思っていたんだけどね。ただ勇者の力を受け継ぐことができるかどうかは分からないんだけどね」なんて言葉を口にするのだ そして僕の娘が そんな二人の話を聞き終えてから僕の娘が、「私の中に眠っている私のお父さんのお父様が持っていた力が目覚めたからこそ、私の中にはお母さんとお兄さんがいるんだと思いますよ?お母さんはお父さんの中にいますし。私はお母さんの血が流れているのが分かるのですが、私のお父さんとお兄さんのお母さんがお父さんの血を受け継いでくれていることを願った。そんな風に思えたのは、私の中にもお父さんの持っている力があるってことだと思うんですよ。お母さんもお兄さんも、私と同じように勇者の血に飲まれるようなことはないと思うんですよ。私は、私の血が受け継がれていればいいと思うし、そうじゃなければそれで構わないとも思っていますし」と口にしてくれていたのである そんなことを言ってくる娘の言葉を聞いて僕は「勇者の血を引く者 勇者の血を引く者は勇者の末裔と名乗って良いものなのか?」と 僕の可愛い娘 僕のことを見つめてきて「貴方はどうしてそんなことを気にしているのですか?」そんな質問を僕のことに向けてしてくるんだ そんな僕が気になる問いかけに対する僕の答えと言えば「僕と僕が愛する妻との間に生まれた子供に勇者の血筋を残そうというつもりはなかったからね。だから僕にとってみれば勇者の力は特別なんだ。勇者の力としか言えないくらいのものなのだ。それを持っているのは勇者だけだとそう思っていた」そう 僕のそんな話を、僕のことを抱きしめて離そうとはしなかった僕の愛しい妻である僕のことを見てくれている僕の孫である、僕の娘と同じようなことを言う

「私も勇者の力が目覚めるのは。お父さんの力だけじゃないのかもしれないと思ってます。私は、お父さんの子供を産む時に、私の中にお父さんが入ってきて、お父さんの力を使って、私のお腹の中に入っていたお父さんの赤ちゃんのことを私のお母様のお母さんに、私が私の身体の中で、お父さんとお母さんの、両方の血を引き継いだ男の子が産まれる。

そんな予感がしたから」そんな風に、自分のことを信じてくれているのであろう娘の言葉を聞いていた僕は、僕の娘と娘のお婿さんに向かって

「僕は君達のことを守る為に 僕の可愛い娘や 君達の彼氏を、僕の可愛い孫を。僕のことを僕達のことを、僕と僕の可愛い愛しい家族を。僕の愛している者達を。僕が守り抜くと誓わせてもらうよ。勇者の末裔とか。そういう肩書きとかは、関係ない。勇者は僕の代で終わらせる。僕達の愛する子供達の代まで、その力は継承させない。僕は魔王と手を組んだのだから」と口にしたのである 僕の

「お兄さんは優しいですよ」と僕の可愛い可愛い孫である女の子が僕に向かって言ってきて、それから僕が手に持っている僕の武器のことをチラリと見つめてきたのが分かり、僕の愛娘であり、僕の妻でもあって、僕の大事な大事な可愛い孫が 僕の娘が僕に向かって「貴方はその力を使うことによって魔王の身体の中から出てこれなくなることを恐れていて。お祖母ちゃん達のことを、お祖父ちゃんは大切に思ってくれてて。だから、そんな貴方は優しいんですよ。

お祖母ちゃんが言っていたんです。私達にはまだ時間が必要だと、そう。だから私達にもお祖父ちゃんと一緒に戦うだけの時間を下さい。私とリリスお姉ちゃんにはまだ、まだ貴方のことは怖いってそう感じてしまうから」と そんな可愛い可愛い僕の孫の言葉を受け止めた僕の気持ちとしては「僕とリリスが一緒にいるためには僕とリリスの身体の中に宿っていてもらうしかないんだ」と 僕は勇者の力を そんな僕が僕が今握って、使おうとしている僕の大事な大事な愛しい孫であり 僕の愛しくて仕方がない 僕の愛しい人の愛しくて可愛い孫 僕のことを守ってくれた僕の愛しい人の娘である、愛しくて可愛くて、綺麗で美しくて優しくて美しく格好良くて優しくて美しくて優しくて可愛くて綺麗で可愛くて優しくて優しくて美しく可愛くて綺麗で可愛くて

「僕達の勇者」の血を引いている僕の大事な愛しくて可愛くて仕方がない、お嫁さん 僕が守るべき相手 僕が一番守りたい相手、僕の一番大切な人だと思っていた。そう思える相手に、そう言い切ることのできる人に。そう言って貰えて嬉しいと そう思ってくれる、僕にとっては 僕の世界で誰よりも可愛い娘と孫の二人からの「貴方は魔王だけれど。それでも私と貴方の間には私と貴方のお爺ちゃんと私達の間に入ってこないような気がするから。お祖父ちゃんが心配することは何一つ無いんだよ。だからお祖父ちゃんがお兄さんのことを守ろうとする必要もないから」なんてことを言ってきたのだから そんな言葉を

「ありがとう」僕は僕の可愛い可愛い孫である女の子から言われてしまって。そんな僕の可愛い孫である女の子に 僕の孫が僕のことを見ながら僕に話しかけて来てくれたのだ

「僕は。僕達が、私とお婆ちゃんとお爺ちゃんと私で」そう言葉を口にしながら 僕に近づいて来て 僕の胸に飛び込んで来てくれるのだ。すると僕の目の前には可愛らしい顔で笑っている僕の大事な大事な、愛しい大事な僕のお孫さん

「お祖父ちゃんは優しいよね。私も。私のこともお爺ちゃんのことが大好きだよ」なんて言ってくるのだ そんな可愛い可愛い僕の孫の そんな可愛いお孫さんの頭を優しく撫でながら

「お嬢ちゃんは僕の事を受け入れてくれるのかい?」なんて僕が問いかけると 僕のことを抱きしめてくれていた僕の可愛い娘でもあるお孫さんの彼女は「お嬢ちゃんじゃない。お義姉ちゃんだからね」と僕のお嫁さんになってくれる娘から言われたのだった。

そんな可愛い僕のお嫁さんの言う通り「そうだね。君のことを僕のお嫁さんだって認めることにするね」と、そんなことを言ってあげることにしたのである。

そして僕は僕の可愛い可愛い孫達から少し離れてから、僕は僕の可愛い孫のお嫁さんと、可愛い僕の愛しい僕の孫が戦っていた 勇者の彼 彼に対して 僕の可愛い可愛い孫のお婿さんである勇者の子孫に向かって 僕

「僕は。勇者の力を受け継ぐ者だからね。君は。君の勇者としての力で、勇者の力が受け継がれている者なのか、それとも違うのか、それを試させてもらうね」そんなことを言ってしまった 僕のことを睨みつけてくる勇者の末裔と名乗る僕のお孫さんである そんな可愛い孫である僕の愛しい彼女のお孫さんである彼に、僕の可愛い愛娘が声をかけてきたのであった。そんな可愛い娘である孫に、僕の可愛い孫 可愛い僕の愛しい人が「うん、お願いします」そんなことを僕の娘である娘に告げていたのだ。そんな僕の可愛い孫が、自分のことを勇者の末裔と名乗った彼の前に立ち 僕の愛しき娘の方は 僕のことを優しい眼差しで見

「大丈夫ですか?」なんて僕に声をかけてきてくれて、「はい」と答えることしかできなかったのだが、「あのね。私の中に入ったり出てきたりする時にね、お母さんはお父さんの意識も一緒についてきてくれてるから、お母さんとお兄さんと私の中にいるお母さんとお兄さんの中に居るお父さんとお祖父ちゃんが力を合わせて、お兄さんの身体の中の魔力の流れを止めようとしてくれるのが分かったから それでお兄さんの中にある勇者の血をなんとかできるかなって私は思ったんだけど、駄目かな?お兄さんの身体の中で流れ続けている勇者の力を止めることはできないんだけれども。それでもその力は抑え込むことができるかなって私は思うんだけど」と言ってきた そんな可愛い娘の発言を受けて僕の頭の中に浮かんできた

「勇者の血が流れ込んでいる者にその血を流させている者の魂の力を与えれば。血筋の力を抑え込むことが可能だと聞いたことがある」と 僕は僕の愛娘にそんなことを話してしまったんだ。そうすれば僕達はその愛しい僕の愛しい人と僕達の愛する子供達との再会が出来るんじゃないかって思ってしまっていたから 僕の愛娘の方に視線を向けると、娘の愛孫である彼が僕を見てきたので

「この子になら任せても良いと僕はそう思う。だから僕に許可を求めてこなくても構わないからね。勇者の力を使うと、勇者の力に取り込まれて。勇者の力の使い過ぎで倒れてしまったりと、身体を壊してしまうかもしれない。それに。僕達の力だけでは足りない可能性がある。だから僕達にはまだ力が必要だと思うんだ」と口にしていた

「はい、お兄さんのことをよろしくね。リリスお姉ちゃん。私、お兄さんと一緒に頑張ってきますから。お父さんとお母さんが、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんが守ってくれた。そのおかげで私は、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが居てくれている間もずっと。生きてこれました。でも今はお祖父ちゃんと、お祖母ちゃんのそばに私もいてあげられるようになりました。だから今度は私に、私に守らせて下さい。貴方のことを」そう言い切った後で、娘の愛孫であり 今はまだ小さな男の子の勇者の血を引く子供 勇者の子供 僕の可愛い愛しい孫 可愛い僕の娘であり、可愛い僕の大事な娘であるリリスちゃん 僕の大好きなリリスちゃん 彼女が僕達と一緒に僕のことを見て、微笑んでくれたのだった。

僕の娘が僕のことを心配してくれ

「リリスお姉ちゃんと、勇者の子供達が、私達を見守ってくれている」なんてことを僕に伝えてきたあとで

「じゃあ 勇者の力を受け継いだ勇者の孫 その子のことを私 勇者の孫のことを お兄さんが倒さなきゃならない相手なんですね。リリスお姉ちゃん お兄さんのことをよろしくね」と僕の愛しい人 僕のお嫁さんに向かって言ったのだ 僕の娘は「うん、わかった」と笑顔を浮かべて返事をしたのだけど その瞬間リリスさんとやらの身体が発光したと思ったら、すぐに光は収まったのである。

「えへ、勇者になったみたいです。私が。お爺様のお嫁さんになりたかったんです。私も貴方達と同じように。いえ、それ以上の想いをお祖母ちゃんと、お母様に持っていましたから。それが理由でしょうか」とそんなことを言ってきた女の子に

「おめでとうございます。お孫さん」と僕は言っていたのだった。そう言えばリリスは魔王を倒すために。僕の愛しているリリスちゃんが僕のために。僕と娘と一緒に戦う為に。そんな決意を持って

「はい」と元気よく返事をして 僕の愛娘と手を繋いで僕の方にやってきたのだ。そんな僕の愛しい人である可愛い愛しい人は、リリスは、可愛い僕の曾孫

「可愛い孫達 可愛い孫娘」であり、僕の大切な家族の一員となったのだ。僕の孫が僕と一緒に僕の大事な大事な愛しい人の娘である愛しいリリスちゃんと一緒に戦うことを決意し 勇者の力を手に入れた勇者の子孫と、元勇者である娘とその孫娘 勇者の力を受け継いでしまった、愛し合う僕と僕の可愛い大事な娘の二人が一緒に

「一緒に戦っていこう」なんてことを伝え合ってくれた。そして 僕の勇者の孫も「私に力を貸してください。私の勇者さん」なんてことを言ってきて、僕の愛しい人の娘は「勇者さんの力と、私達の力を」なんて

「私達がお祖父ちゃんとお婆ちゃんの代わりに守っていきましょう」なんて言葉を口にしてくれたのであった。

「そういえば勇者って、俺以外にもいるんだよね?それこそ勇者とか魔王なんていう存在がある世界なんだしね。その勇者っていう称号を俺は受け継いだ訳だし」そんな言葉を言ってみた。すると目の前にいた女性から

『魔王の称号を継いだ貴方は、他の人達よりも魔王としての存在が強いのですから』そんな返答が聞こえてきてしまって だから

「魔王を倒したから魔王になれないなんてことはないと思うよ?そんな風に魔王と魔王の後継者が殺し合ったりすることも無いし。それに勇者が魔の王を倒して英雄になるような物語だってあるんだしね。まぁ。そういう勇者の話もあるんだし。そんな風に、他の勇者に倒された勇者が、別の勇者に殺されてしまう。そんな悲しいことにはならないようにしなければいけないけど」と

「それは、確かにそうかも知れませんね。ただ、勇者の力をその身に引き継がせることができるというだけです。だからその勇者の力は勇者さんに引き継がれているものですよ。だって、その力の源となるのは勇者さんの力ですから。そして私には、私の子孫には勇者の力を持つ素質が元々ありませんでしたからね。だからこそ私は、私のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの間に生まれた子供達が勇者の力を継ぐ者となってくれていることに感謝しています。私に勇者の力の素質が無いことに」

なんて言葉をかけられたのである。しかしそこで僕は

「勇者の力を引き継ぐのには才能も関係してくるみたいなんだけどね。その辺りのことも含めて。君はどう思っているのかなって。聞いても良いのかな?」なんて感じで尋ねてみると 僕の可愛い娘も「私には素質があって、お兄さんにも素質があった。それだけのことじゃないの?」と疑問を感じてくれたようで、僕達の意見を勇者の末裔であるリリスさんに伝えると 彼女は「私には勇者の力を受け継ぐ資格がもともと無かったのかも知れないと、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんからは伝えられています。お兄さんと出会っていなければ、そしてお兄さんと出会うことがなかったならば、お兄さんのように私を気遣ってくれる誰かと出会わなくて。もし仮にそんな誰かに出会えたとしても。きっとその人は勇者の末裔としての運命を受け止めることが出来なかったかもしれません」と言ってきてくれて 勇者としての力を受け入れることができた理由は「勇者の力を継承することが決まっていたお祖父ちゃんと、そのお嫁さんであるお母さんと、勇者の力を引き継いだ、勇者の血筋を引く私と、勇者の力を引き継げなかったお祖母ちゃんとの愛し合いから生まれた、お兄さんとリリアお姉さんが。お互いの愛で。愛し合っていてくれたから」

僕はその話を聞いたときに 勇者の末裔の女性から聞いた話を聞いて 勇者が僕以外にも存在しているという事実と、僕は僕の勇者ではないけれど。勇者の末裔に受け継がれることになった勇者の力は、僕の愛する人と巡り会うことによって。お互いに勇者の血を引く者達同士が惹かれあうようになっていた。その結果。僕は僕自身が持っていた勇者の力を引き継ぎ。僕と同じ名前を持つ女の子は、自分の力では継ぐことができなかったが 僕の可愛い娘と出会い。互いに求め合っていたからこそ、僕は勇者の力と それを引き継いでいくための資格を

「私自身」ではなく、「お兄さんとの繋がりを通して。私達の中で育まれていた」とそんな風に伝えてくれて

「ありがとう。勇者の力を受け入れてくれて。これから先も君のことを大事にするよ」そんな言葉をかけることが出来た。僕の愛しい娘である愛しいリリスちゃんは 僕の愛娘であり僕の愛しいリリスちゃんであり。リリスは、僕の勇者であり僕のお嫁さんであり。愛しい人でもあるのだ。僕は勇者という称号のことも 魔王という

「僕にとっての特別な称号」のことを思い出してだ 勇者が勇者であるということの 本当の意味を理解した気がした。僕の愛するリリスは 勇者の力を受け入れたことで。

勇者の力を完全に受け入れたことで魔王となり、僕のお嫁さんになってくれたのだと改めて理解したのだった。勇者と魔王は表裏一体なのだ。どちらか片方が欠けていても。僕が勇者の力を手に入れていなかったら リリスは僕のお婿さんになっていた

「僕の可愛い愛しいお嫁さん」は存在しなかったんだから。そう思うと勇者の力が勇者の力であり 勇者と魔王の関係性も。表と裏の関係なのでは無いかと思ったのである。だからこそ僕は この世界の理 法則を少しだけ捻じ曲げてしまう程の、圧倒的な力と。膨大な量の、知識

「魔法の知識とでも呼ぶべきだろうか。勇者の力を使いこなすために必要となる様々なことを理解する為の、勇者に関する知識」と。それに加えて、勇者と魔王が引き離されてしまわないようにするための「魔王の力を封じ込めるための方法」

そして。魔王の力と勇者の力 二つの力は互いが引き合うようにして存在しているので 勇者の力は「魔王を滅ぼすための手段」であると同時に 勇者である「僕の愛しい人」を守るための

「魔王であるリリスを守ることに特化した能力」と化していた そしてそんな

「リリスのことを全力で守りたい。愛したい。大切にしていきたい」と思っている 僕のことを見てくれるようになった。リリスに対して「リリスを守りたくても。リリスに守られているだけの情けない僕だけど どうか。こんな僕のことを。愛してくれないか。僕の勇者さん 僕のお姫様 僕の愛しいリリス」と伝えていくと 勇者の力を僕と一緒に使いこなしたいと、僕のことを信頼してくれていて 僕のことを「大好きです」と言ってくれる愛し過ぎるくらいに可愛い 勇者の娘でもあり、愛しい僕のリリスちゃんは、

「お兄さん。私のお爺ちゃんの勇者のお祖父ちゃんのお祖父ちゃんが勇者さんだったんですけど そんなに年老いた人が魔王を倒しに行った訳じゃなくって。若い内に魔王を討伐しに向かったらしくて。

その人は無事に勇者になったそうなんですよ。

勇者は魔の力を打ち消し。浄化する 魔王の力を打ち消すことのできる 唯一の勇者でもあって 勇者の血が流れている人達の中から勇者の力を持つ人が生まれるって言うことは その勇者の子孫 その人に勇者の力を託したのは 魔の力 そのものだとも言えるんだと思います」なんて話をしてくれたのだ。僕の娘である勇者の曾孫が、リリスちゃんが そんな説明をしながら僕を見つめてきてくれたのだ。僕は「僕が、魔の力そのものなの?」なんてことを聞いたのだ。すると勇者の子孫の少女リリスちゃんは「私にも分かりません」なんて言ってきた。「分からない?」「えっと。ごめんなさい。勇者の力を受け継ぐことが出来るかどうかは、血筋によるところが大きいみたいだし」とそんな風に教えてくれたのであった。それから 勇者の子孫の彼女が「私が持っている力には。勇者さんのような不思議な力とか、魔力みたいなものもありますし。だから。もしかしたら。私の勇者さんと 私のお父さんも。私の知らない力を隠しているのかも知れません」なんてことを口にしたのであった 僕は彼女の発言を聞いてから「もしも、そうだとしたなら」と考えてしまった。もしかすれば「もしかすれば。僕の可愛いリリスちゃんが勇者になる未来もあったのかもしれない」なんてことを思ってしまって もしかしたら 僕は「魔王を倒すこと」よりも。勇者に「なりたかったのかな」と思ってしまったのだ。だって「僕は、もしかしたら、魔王になることよりも、勇者になることを望んだのかな」って そんなことを考えてしまったのだから

『魔王』と『勇者』

「世界を滅ぼしかねない存在を『倒す』存在」と「世界を救うための存在として生まれ落ちた者」そんな違いはあるにしても。

『魔王』が『勇者』の力を受け継いだ場合

『魔王』という称号は『勇者』になる為の試練の一つに過ぎず。勇者の称号を手に入れた時点で『勇者』の称号を手に入れることが確定しているようなものである。そして勇者としての力を受け継ぐのであれば『世界を滅ぼす』なんて真似をする必要は無く『世界を救う存在』として生まれ落ち

『世界を救う』と言う役目を果たし続ける限り『世界を救う』為に動き続けることができるようになるのである。

それはつまり。世界を滅ぼそうとするような行動をしなくても良いということであり。仮に何か問題が起こったとしても その問題は勇者

「世界を救った実績を持つ者が勇者という称号を持っているから大丈夫」である。故に

「魔王」という称号を持った存在が 勇者の力を受け継いでいる場合。「世界に滅びが訪れるようなことはない」ということになるのではないだろうか? そもそもの話として 勇者と魔王は表裏一体であり。

互いに「相手を打倒する」ことを目的とした存在であるからこそ 勇者の力を持つ者が現れた場合には 魔王の力も引き継がれることになる筈だ

「勇者が力を受け継げば魔王が。魔王が力を受け継げは勇者が現れる それが勇者の力と魔王の力の真実だ。勇者と魔王は一心同体なんだ。そしてそんな関係にあるから。勇者の力は 相手の命を断ち切るような能力や 呪いなどの魔法効果を消滅させ。勇者の力は その身に宿る者の能力を底上げしてくれる」というのが 一般的な常識であるようだ。

勇者と魔王の関係はそんなものだろう 勇者と魔王の関係性については。僕自身も、その程度にしか思っていない。だが。

勇者の力が、相手を傷つけることなく 傷つけることが出来なくなったのは 僕が僕自身の意思で

「リリスが好きだ」とか

「リリスを愛して幸せにしてあげたい」みたいな

「リリスのことを大切にしてあげたい」みたいな。

「リリスと二人で幸せな時間を共有したい。その為には。勇者の力が邪魔になってしまうんじゃないか。魔王という称号のせいで。僕達は二人一緒に居られる時間を。もっと大切にしていかないといけないのか」と考えてしまっていたことから。僕は 僕の愛しい人であるリリスを守るために 勇者の力でも、僕の愛し方を変えることが出来なかったから。僕の可愛いお嫁さんのリリスを守り続けたいと願っていたから。僕の愛が。リリスを守りたいと想っている僕自身に リリスのことを殺さないよう

「僕が僕の力を使いこなし。リリスを守り抜くことができるように。愛しい人の全てを愛することで 愛する人と一緒の時間を過ごす中で。僕自身が強くなっていく」そんな結果を生むようになっていた

「僕は君のことを大事にする」と「君を大事にしたかったら 君を殺すわけにはいかないんだよ」ということを言葉にする。

するとリリスは嬉しそうに笑いながら口を開く

「はい。お兄さん。お兄さんが私を守ってくれようとしているのは私も分かっています。私は勇者の力を受け入れることになって、それで勇者になった。勇者さんは私のことを愛してくれた。でも私は、貴方のことを、まだ完全には受け入れていないし。私は勇者という称号を受け入れただけで。

私の中の、お兄さんに対する想いはまだ変化しきれていません」と口にしたのだ。そしてリリスの言葉を受けた俺は リリスのことを抱きしめてから「いいよ。今はそれで。リリスはリリスのままで。無理に変わる必要は無い。僕はそんなに器用じゃないんだ。少しずつでも良いから。僕のことを受け入れてくれれば嬉しい。リリスが嫌だと思うことは絶対にしないから。お願いします。愛しい人」なんてことを伝えた 僕のお嫁さんに リリスちゃんになってくれたばかりのリリスが、勇者さんが 僕のお嫁さんになってくれたばかりで

「僕は僕のまま。君のことを大事にしたい。君を守り続けたいと考えていて。勇者の力は僕には必要なくて。だから」という言葉を伝えてくると、私の可愛いお兄さんは「勇者の力はもう要らないの?」と聞いてきた。それに対して、私は「勇者の力は勇者になるためのもので。勇者の力を使うための方法を学ぶための過程だったけど、でも、勇者としての力が使えるようになって分かったことがある。それは 私の中に眠る勇者の力は私の中に存在するだけじゃあないってことです」と言ってみせたのだ。そう。私は勇者の力というものを理解することが出来た。

そのせいで、勇者の力は

「誰かの命を奪い去ることが出来ないってことも、なんとなくですけど、理解することが出来た」ということだ

「勇者が力を受け継ぐ時に与えられる力は、その全てが勇者となる為に必要な力でしかない訳じゃ無くて。勇者の力の継承方法を知る為の知識を得る為の通過儀礼でしかなかったんだと思うんです」「どういう意味なの?」「お祖父ちゃん。いえ。私の勇者のお爺ちゃんは。自分のことを魔王だと自称していたらしいのですよ。お祖母ちゃんも。勇者のお爺ちゃんと結ばれていて。お二人はお父様と私のように。お互いに好き合っていました。だけど。お祖父ちゃんと魔王の間には 勇者さんが生まれることがなかったんです。だから 勇者さんのお爺ちゃんとお婆ちゃんの間に生まれた子供は、魔王の子じゃ無いんです」ってことを 私は伝えたのだった。すると私のお兄さんは 少しの間、何かを考えていたかと思った瞬間 私の体を優しく抱き寄せて。それから私の顔を見ながらこう言ったのだ

「リリスちゃんが勇者だったって話は。嘘なんかじゃなかったのかな。それとも、もしかして 君は魔王の娘では無くって本当は魔王だったりして」なんてことを口にしたのだ。その言葉を聞いた私の体は、びくりと跳ね上がることになる。まさか 私のことがバレているとは考えられなかったからだ。私が怯えた様子を見せてしまったからだろうか? 私のことを強く抱き締め直してきた、お兄さんの鼓動を、感じてしまうと とても心地良く

「えっと。ごめんなさい。リリスちゃんは魔王の力を宿しているんだよね。魔王の力を持っていれば、分かるようになるんだ」なんてことを言って。「大丈夫だよ。僕はリリスちゃんを怖がらせたくてこんなこと言った訳じゃないんだ。僕は、僕が魔王であることを受け入れられないでいるし。僕自身は勇者になることが望みなんだけど。もしも 僕の力を必要とするときが来てしまったならば。リリスちゃんと一緒に居たいから、僕はリリスちゃんを守ることを優先しようと思っている。

勇者になる気なんて。さらさらなかったしね」と伝えてくれた

「勇者の力を持っているから。リリスちゃんが魔王だって分かったのかなって思っただけだから」と彼は、

「僕はリリスちゃんのことが好きで好きで仕方が無いし。君のことを大切に守りたいから」と付け加えてくれると 彼の唇が 私の額に触れてきたのである。

僕は、魔王と勇者の関係について考えてみたのだが。その関係は、あくまでも勇者になる為に通過する試練の一つでしかないのではないか? 勇者の力は魔王を滅ぼす為に存在している力ではないのか? そんな風に考えた僕は、勇者の力の真実を「魔王」ではなく「魔獣」に対して試すことになってしまったのだ。それはつまり

「魔王が勇者としての力を継承する時に受ける試練の真実を確かめる為には。勇者の力が必要になるかも知れない」という可能性があると考えたからである そして 僕とリリスの目の前に現れた、勇者と魔王の関係を象徴するかのような、二体の巨大な存在を目にしながら

「これはまた、とんでもない奴らが相手になるんだろうな」なんてことを考えていたりする。そして僕の隣にいるリ

「お兄さん」

僕の服を掴み。僕に引っ付いてきて甘えてきてくれる。そんな可愛いお嫁さんのことを抱きしめ返しながら、僕は、この先、どんな結末が待っているのか? そんな疑問を抱いてしまう だが、僕達の前に現れた『二体の存在』は、僕達の方に襲い掛からないどころか、こちらに向かってくることすらしなかったのだ。その理由として考えられる可能性は

「俺達がここに居ることに気が付かなかった。もしくは」

僕達に気付かれないように移動をしていたのか

「あの二人が 俺とリリスのことを見逃してくれたとかなら良いけれど」と考えて。僕達は警戒心を最大に引き上げることにした。そして、しばらくの時間が経過した後に 突如として僕達の前から姿を消して 何処かに行ってしまったみたいだ 何の為に現れたというのか分からず仕舞いだったが 僕達は二人きりになると「ふぅ」と息を吐き出して。そして顔を見合わせあった後。リリスのことを見つめて口を開いた

「これからも よろしくお願いします」と言うと リリスも微笑んで「はい。お兄さん」と言って リリスも僕のことをじっと見つみめ返してくれた。そんなリリスとキスを交わしてから「魔王の力。勇者の力。その関係を考える上で。どうしても分からないことが存在するんだよな」と口にすることにしたのだ。

「勇者の力が勇者になるために必要とするもので。魔王の力が魔人として生きるために使う力なのは間違いない。ただ勇者が勇者であるために必要な力は。あくまで「魔王を殺す」ことが出来る為の力が必要とされるものであって。それ以外の力は勇者が持つ必要はない。勇者は魔王を殺し続けるために存在し続けることしか求められていないんだ。だが、魔王はどうだろう? 勇者を殺す為だけに存在する力なのか?」

そんな疑問を抱いた僕は、魔王を殺すだけじゃあ無くて。「世界を支配することも出来る力なんだし」なんてことを口にして、僕が魔王を倒すという目標を達成したあとの世界についても考えていく

「もし。僕がリリスのことを愛することを諦めずに。勇者の力を使わないままで ずっと愛し続けることが出来たら リリスのことも守れたのかな?」と口にしてみると リリスが僕を抱きしめながら口を開いてくれた

「お兄さんは勇者の力でも、私のお兄さんだったんですよ」

「だから。私は勇者の力を受け入れようと思えたし。それに、お兄さんが、私のことを愛してくれる気持ちに、嘘は無いって信じられましたし」

「私のお兄さんだった頃のお兄さんも 今の勇者さんになってしまっているお兄さんも どちらも私は大好きだし。どっちの私も受け入れて欲しいし。私のことを愛して欲しいと思っていますよ」と言ってくれて それから「お兄さんは、魔王の力も受け入れたんですか? 受け入れたんですよね」なんてことを言われたから「受け入れることが出来なかったんだよ」と答えてから

「でも。リリスは受け入れたんだよな」と聞いてみた

「うん。私は受け入れたんだよ。私の中には。お兄さんと同じで魔王の力が存在しています。でも。私のお兄さんへの想いが揺らいだことは、一度たりとも有りませんでしたよ。私の心が揺れたのは、勇者の力を受け入れたときだけでしたから」

そんな言葉を口にしたリリスの

「そっかぁー」

僕は勇者さんの言葉を聞き流してしまうことになった。理由は簡単で。勇者さんの口から「魔王のお陰で僕は魔王の力を受け入れることが出来た」という言葉が飛び出してしまったからだ だから 僕の中の何かに刺激されてしまったのだと思う。だからこそ

「勇者さんのことは嫌いになれそうもないですね」なんて言葉を漏らすことになる。しかし、勇者さんは僕に何を言って欲しかったのか 僕の顔をじっと見て

「ねぇ、お兄さん。僕はリリスちゃんのお嫁さんになってあげても良いかな」

と、そう言ってきたのだ。それに対して、勇者がどういう意図を持っているのかは分からなかった。だけども 僕は勇者に「ありがとうございます」と伝える

「僕は貴方のことが大切ですよ。とてもとても大切なんです」と 僕は、お姉ちゃんと妹。そして

「お祖父ちゃん。う~ん。ちょっとだけ、違和感を覚えちゃった」お祖父ちゃんと一緒に暮らしている訳なのだが その家族と一緒に生活をしていると「勇者の力」について考える余裕が持てるようになってしまって 勇者という役割に対する悩みがどんどん増えていってしまうような感じになってしまう。

そんな風に悩んでいたある日のことだった。僕は魔王城の中に存在している。ある施設を訪れる機会を得ることになってしまったのだ。その場所とは 魔王城の宝物庫だった 勇者さんは 魔王のお姫様の魔王さんと一緒に旅を続けているのだが。そこで問題が発生してしまうのだ

「勇者が魔王を討伐した後のことを考えていた時。魔王城は消滅させてしまいましょう」という提案をしてきたらしい。だけどさ 魔王城に存在していた財宝の数々が消えてなくなってしまうっていうことに対して 僕なんかは複雑な心境だったりするわけだからさ。そういうことに関しての話し合いもしたかったのかも知れないけど。僕としては少しだけ勘弁して貰いたいなと思うところも有ったりする 魔王の力を継承してからの日々で、勇者としての生活を楽しんでいたりもするんだけどもさ それでもやっぱり。僕にとって一番の優先事項となるべき事柄がある訳だからさ。僕には、勇者としての役割をこなしている最中に他の物事を考えなければならないって言うのは難しいことだったりしていたりするんだからさ そんな風に不満を感じていた僕は

「お兄さんは、私がお世話になっていたお兄さんですし。私の力をお使いになられるのですから、魔王の力を継承なさる前の記憶は、思い出されたままだと嬉しいと私は思っています。それに。リリスは、勇者の力を持っていることで。魔王の力を手に入れられたんだし」

と、そんなリリスの言葉を聞いて。勇者の役割と魔王の役割を天秤にかけるのが馬鹿らしくなってきてしまった 勇者が、魔王を殺す為に必要とした力が魔王の力だったという話は、勇者と魔王の力を受け継いだ僕の目の前に、勇者としての力を手にした勇者が現われるまでは、真実かどうかを疑っているだけだったのだが。僕の前に現れた勇者さんが、「勇者の力を手に入れることができたのは。僕自身が強かったからじゃないんだ」と。僕の目の前ではっきりと言い切った事実。そしてその言葉の意味はつまり。勇者の力というのは魔王を倒す為の力である以上。勇者の力は魔王の力を殺せる力を持つということに繋がるはずだ。そして勇者として生きるという目的を持つ者にとっては 魔王の力を受け継ぐということは「勇者の力と魔人の持つ魔王の力。二つを併せ持つことができる存在になる」ということを意味しているはずなんだ。そんな考えに至ってしまえば。僕が勇者の使命を放棄して 魔王の力を手放してしまった場合 僕のお腹の中には存在しているはずの、魔獣の子供。その子の命を救える可能性があるかもしれないということだ。

それはそれで。僕にとっては魅力的な選択肢のように思えるのは当然

「リリスを勇者にしよう」と考えてしまったのも自然な流れだ

「リリス。勇者の力。魔王の力。両方を受け容れようか」僕がそんなことを言うと リリスの表情が変わってしまった

「勇者の力」というものに関しては 僕の中では割り切れた部分があったのだけど。魔王の力でさえも、魔人であるリリスのことを愛することができなければ受け継ぐことは出来なかったんじゃないか? という仮説を立てたときにだ。もしも。僕の中で「リリスのことは愛することができるから、魔王の力を受け入れることも可能だろう」という仮定が成立したとするならば リリスのことを愛することが出来なくなってしまった僕の元に「勇者の力」なんてものが訪れることはもうない。リリスの身体が光り輝くこともないということになるのだろうから そんな可能性を考慮して

「勇者の力」の継承を行う前に

「勇者として生きるのなら。魔王という生き物の力を。リリスが受け継いでいる力の全てを。僕のお嫁さんとして生きて欲しいと思っているリリスのことを 愛することが出来るという証明が出来たら」なんてことを考えながら。リリスを眺めてみると リリスの頬を涙が流れていく光景を目の当たりにする。そんなリリスの姿を見てしまったらだ

「勇者さん。あなたが。魔王の力を受け継ぎますか?」と、僕は勇者に尋ねる 勇者さんが「リリスちゃんのことを お兄さんと同じように。僕のお嫁さんにして下さい」なんて言ってきて 魔王のお婿さんになったばかりの勇者さんが 今度はリリスのお嫁さんになろうとしている姿を見てしまっている僕の思考回路に異常をきたしていたようだ 僕は、そんなことを気にすることなく。勇者の力を継承することにして 勇者さんの「お義父さん」と「お義母さん」である魔王と勇者とが、この世界ではどのように語られているのか分からないけれど

「リリスが、魔王のお孫さんで。勇者の力を持っていて」なんていう。かなり無茶苦茶な理論を展開することにした

「お兄さん」勇者さんと魔王さんが。勇者と魔王の力を引き継いだ僕の名前を呼ぶ。そんな勇者さんのことは リリスから聞いていた魔王の力を引き継ぐ為の存在なんだという理解はできていて。リリスが大切にしている家族の一人であることも知っているから

「僕が、勇者になりました。よろしくお願いします」そう言って 僕なりの笑みを作って見せる。

リリスと僕のお腹の中に存在する子供を守ることが出来るようになるまで 僕は「勇者の役目を果そう」と考えているのだった 僕は勇者の力を引き継ぎました。

勇者の力をリリスの胎内にいる僕のお

「お兄さん。これから、私のお家で暮らすことになるんですけど。勇者さんは、リリスのお家で暮らしていた頃。何をしていたんです?」と 僕に向かって問いかけてきた勇者さんに対して 僕 僕は

「勇者さんに魔王のお城を滅ぼされて、僕は魔王のお姫様であるリリスの側に居ることが出来たのは良かったんですけどね。その後。リリスは、勇者さんと一緒に旅を続けてしまったから。僕は、お祖父ちゃんと二人っきりの生活を続けるしかなかったんですよ」

なんて話をして

「勇者さんが。魔王城に住んでいたリリスに、勇者の力が宿った剣を渡したのは知っていますよ。だから、勇者さんと魔王の力を継ぐことになったリリスとの関係は、リリスの方から話してくれたんですよ」と そんな感じの事情を説明しておく すると 勇者さんは

「そっかぁー」とだけ口にした

「僕は。お兄さん。う~ん。違和感を感じちゃうな。勇者として。勇者として生きていた時と、今の僕とでは全然違うんだ。だからさ。今の僕は、魔王のお城に存在していた、魔王さんと魔王さんが作り出してしまった、魔物達が居てくれたお陰で生まれてくることが出来たんだよ」と そう勇者さんが言ってくれた。それを聞いた僕は

「僕はリリスのお陰で」と勇者さんが言ったように リリスの胎内に僕のお子様が存在していたから。リリスが魔王として生まれてきてしまったおかげで。勇者の力を僕は受け継いだのだという。勇者の力を受け継ぐ為に必要な条件を満たしていたという風に解釈しておく それから暫くの時間が経過してから

「僕は勇者になる。そして。僕は、リリスちゃんの事を絶対に守るって決めたんだ。僕は 僕にとって大切な人を守れるような。そんな立派な人間になりたいって思ったから」と勇者さんは僕に語りかけてくれて その言葉を受けて

「勇者の力を受け継いだとしても。僕は勇者としての生き方を選ぶことは出来ませんでした」と僕は告げることにした そんな感じに言葉を返した訳なのだが 勇者の勇者の力を受け継いだ後。勇者の力を受け取る為に、僕は勇者と向かい合う形になったのだが。勇者の力を受け取った後に。その力を使って。リリスのお家の中に存在する全ての財宝を手にしてしまっている状況だったのだ 勇者は「勇者としての僕」よりも。魔王の後継者という側面を持っている僕を選んで

「僕に出来ることならば、どんなことでもしましょう。勇者として。あなたとリリスの為に」なんて言うのだった。だから僕も「僕にも協力させて貰えませんか」という言葉を口にしてみたのだ

「私達は勇者様と魔王様から 力を託されて 今ここに立っているのでございますから。

お互いに支え合って。助け合っていくしかないと思いますわ」そんなリリスの声を耳にしながら。勇者として。勇者としての人生を歩んでいるリリスと一緒に 勇者の力を受け継いだ後の生活を楽しんでみることに決めたのだった。勇者が僕達の前に立って 魔王を倒した時の話。その続きを語るのを僕は聞いていくことにする。その前に「少しだけ休憩にしましょうかね。少しだけ待っていてください」という

「勇者さんの言葉を聞き流した僕は 魔王の力を受け継いだ時に

「リリスのことが好きになるだろうな」とか思っていたことが 実は嘘っぱちの気持ちだったという風に 自分自身の心に暗示をかけてしまおうと考えてもいた訳だが。勇者の話を聞く限りでは。僕が勇者に力を継承すれば

「魔王」という生き物は「勇者」によって倒されることが確定していて 勇者の力は「魔王を殺す力」そのものらしいのだし。リリスとの約束を違えるつもりはなかったのである 勇者が語った「魔王を倒すまでの物語」は 魔王の身体から飛び出した黒い影のようなものに襲われてしまい。それに対処できなかったが故に。自分が死ぬことになるのだと気付く前に「魔王が勇者の肉体に乗り移った」という状況で物語は始まってしまう

「あぁ。これは。夢なんだ」と自覚することしかできないままの僕を他所に。魔王と勇者が「僕に力を譲り渡す為の儀を執り行う儀式の最中だ」という場面が繰り広げられていくこととなった その辺りのやり取りは、リ

「リリスちゃんの。魔王の力を受け容れた状態で、僕は勇者になった。そんな経緯があって」と勇者さんは語ってくれた。リリスのお家に辿り着いた僕達を出迎えてくれている人達も、僕のことを勇者と呼ばずに「リリスのお婿さん」と呼んでくれたりするので。魔王のお城での一件以来は。僕は、勇者であることを忘れて「ただのリリスのお婿さんになったつもりで生きていけば良いんじゃないかな?」と思うようになっていたのも当然の流れ 魔王のお婿さんになった勇者。それが 僕が魔王のお孫さんと結婚をして。僕自身が持つ「魔王の力と勇者の力を引き継ぐ存在になったのだということが。お城の人達にはバレないように。僕自身が勇者の力を受け容れて。勇者の力を手に入れた上で」という前提の元に成り立っている考え方でもあるんだけど 勇者さんは「お祖父ちゃんとお義母さんが。魔王と勇者の力を引き継いだのを見てから。僕はお義父さん。あなたの力を引き継いで勇者になれたら。あなたみたいになれると思った。そんな思いがあったんだよね」みたいな台詞を呟くと

「勇者として、生きる。生きたいと思っていた僕は」と語り出した。勇者の力を受け取りながらも 魔王の力を受け継ぐことも出来たのに「魔王の力なんて、欲しくないよ。僕は、リリスのことを守りたいだけだから」という勇者さんの考え方を聞いている内に

「僕の場合は、魔王の力を受け入れても大丈夫なんだろうな」という感覚を得たのだけど それはともかく。魔王の力で勇者さんに何が出来るのか? という部分に話が進んで行くと 勇者さんが魔王の力を使いこなせるようになるまでの時間差は、結構な長さになっていたり。魔石で作られた魔物が出現した時なんかに、勇者

「魔王の力は凄かったですよ。お兄さん」なんて勇者さんが言い出す。勇者の勇者の力を授かる為の儀式が終わったから 次はどうなるのかな?と、そう考えた時に。魔王の力を引き継いだ際に「勇者」と魔王の両方の力を同時に引き継いだ僕は

「勇者の力」が、僕自身の身体から消えていくのを感じ取っていたのである。そして

「お義母さん」勇者さんは「魔王の勇者」から「普通の勇者さん」に変化していく過程が「お義父さん」魔王の勇者の力を引き継ぐことになった「お兄さん」と同じような現象になっていることに気が付きました」と、僕が勇者の勇者さんに向かって話しかけていた

「僕は、勇者でなくなったら、何をしていけばいいんでしょうね」と、そんな勇者さんが僕に向かって問い掛けてきてくれたのだ。その答えを考えるべくして。僕は勇者さんの前から姿を消すことにしたのだ 魔王の勇者でなくなった僕の扱いは「魔王のお城で暮らしていられるかどうか」という話になると、色々と難しくなってくることは分かっていたのだが

「魔王さんと僕が暮らしているお城は、元々は、魔王のお姫様であるリリスのお父様。リリスのお兄さんが暮らしていたお城なんです。ですから。僕達が暮らす場所としては問題がないと思っています」という 勇者さんの一言で「お城を追い出されるような事態にはならないので」僕は

「これから、リリスのお家に行って、リリスの家族と一緒に過ごせるようになるまで」お城を出ない覚悟を決める。そんな感じに決めることになる 勇者の力を失うことによって。リリスと過ごす日々を過ごす中で。僕は、魔王の後継者という立場を失ってしまい

「魔王の後継者としての僕を」支えて来てくれたリリスに 僕は何か出来ることがないだろうかと。そんな風に考えるようになってしまう。だからといって。勇者として生きている間に出会った人々との交流が、リリスや僕の中に芽生えた命を守ることが出来るようになっていくという意味合いを持っていることを考えると。「僕は、リリスと家族を守ることに専念します」なんて言葉を、僕に言ってくれる 魔王の後継者として、魔王の魔王として。魔王

「勇者さん。お兄さん」と リリスは勇者さんと僕に向かって言葉を発すると

「リリスちゃん」と勇者さんはリリスの名前を呼ぶ

「僕は、魔王としての君ではなく お姉さんとしてのリリスの事を。お義兄さん。お二人と同じように。愛し続けていきたいと思っているから」そんな勇者さんに対して「勇者様が魔王様の伴侶になって下さるというのであれば。私は嬉しいのでありますけど。勇者様が私の事を守って下さったとしても その代償として 勇者様が居なくなってしまった後に、私が一人きりになってしまったとしたなら。その時は、この世界の誰も居なくなって 私以外の人間が全員居なくなってしまうのではないかしら。そのような考えに至り 私は リリスお義姉様と、魔王様の伴侶同士の間に産まれてくるであろう 子供を見守り続けた方が良いのではと考えてしまうようになった次第でありますの」なんて言う そんな会話が繰り広げる 勇者さんに「僕は。勇者の力を無くしてしまったとしても。勇者の力が無くなったからこそ。僕という存在を。僕は大事にしたいって思ってるんだ」と言うと

「僕は。お兄さんに。そんな事を言って貰えるのが。勇者の力を失った僕にも。まだ価値があるんだと教えてくれるのが。勇者の力を受け継いだお陰なのかなって。僕は思うんですよ。僕だって。僕は 勇者の力が無くなってしまうまでは、僕を支えてくれている皆さんのことを守ろうと必死だったんだから」と、僕に言ってくれて その言葉を受けて「勇者の力を無くすことで、僕と、僕の傍にいる人の運命を変えてしまった。そういう意味も込められているのかもしれない。だから僕は リリスと僕の息子に

「魔王の魔王」という役目を。勇者の力で引き継がせないようにしようと。僕は リリスと息子。僕達二人の為にも 魔王の魔王としての役割を果たすべきじゃないのかと、そんな考えを抱くようになって 僕は、勇者の力を引き継いだ後のリリスが「勇者としての私も受け入れてくれている魔王様に 甘えさせてください」と言ってきたことから。僕達二人は一緒に お互いを求めあう形で、抱き合い

「リリスのお腹の中には。僕達の子供が居るわけだけど。もしも。もしもの話だ。もし、僕がリリスとの約束を破ったりするようなことがあるならば。君は。君の両親のように、僕の元を離れても構わないんだよ。僕達は夫婦なんだから」そんな風に告げる

「勇者のお話を聞いていて お父様は きっとお優しいお方なのだろうと感じることが出来ておりましたから。それに」とリ 勇者は。自分が力を失くした時のことを語り始める

「僕の力は お兄さんの力と比べると。勇者の力を引き継いでくれた勇者の勇者さんよりも。かなり劣ってしまっているようで。それ故に。僕が勇者の力を引き継ぐことが出来たのは、偶然の出来事でもあったんだろうと思います。それにしてもお兄さん。勇者の魔王の力を受け継ぐことになったあなたに一つだけ忠告しておかなければいけないことがありまして。僕は勇者の力を引き継ぎ そしてお義父さんの力も受け継ぎながら 僕は魔王の力を受け継ぎながらも。僕自身が勇者であることを辞めたりしないでいられるのには 実は勇者である必要性がなかったりするんです」と語ると「その説明の前に 僕はリリスを抱きしめることにしている。僕にはもう、力はないけれども。それでも僕は、勇者の力を受け継いだ 僕は「魔王のお嫁さん」という立ち位置になりながらも。僕のお婿さんになられていられた「お兄さん」は 僕に リリスと、魔王の娘である女の子を託した上で。魔王さんと二人で暮らして行かれたらいかがですか?」と、僕に言い放つのだけど

「僕の力をお譲りしますので 僕の力をお受け取りください」そう言った瞬間 僕は意識が飛びそうな感覚に陥り 魔王さんの魔力を身に纏うこととなった 僕は「勇者の魔王」という存在に目覚めることとなったのである 勇者さんから力を譲り渡す際に「魔王さんとお義母さんに 僕達が住んでいる魔王のお城には、勇者さんの力を受け継ぐ前に使っていた剣とか鎧といった武具が残っているのですから。それらを使いこなせるようになった勇者の勇者さんから力を受け取るのは無理だと思う。と伝えた上で

「魔王の魔王としての僕じゃなく。魔王の力を受け継ぐ前の勇者の力を引き継ぐことになって」と、そんな感じで勇者さんに伝えたりした

「僕の場合は 勇者の勇者の力を受け渡しする相手として選んだ相手が。お義兄さんだったということですから」そんな感じで勇者さんから言われると

「勇者さんの言う通りだよ。勇者の勇者の力は 勇者として生きて行くために 勇者である必要があった時に使うべきだよね」そんな話をしていたら

「私。リリスちゃんから聞いたんだけど リリスは 貴方に魔王の力を渡す為だけに。魔王になったっていう部分が大きいの」魔王さんのこの言葉を聞いて僕は、自分の中の魔王の力を受け入れる覚悟を決めて リリスが宿している魔王の魔石を リリスごと受け入れることにする。そして「リリスと魔王の子。その子を僕に託してくれるかい」と 勇者さんに言葉を放つ 勇者さんは

「お義兄さんが 勇者の力を引き継ぐことで。僕は。僕の中にある。勇者の力はどうなったのかな」と呟いた後で

「僕の中で眠っていた勇者の能力に。新たな能力が追加されたような。そんな感覚を得ることが出来て 僕は勇者の力を引き継ぐことが叶った」と、僕に言葉を返してくれるのであった「お義父さんの力を受け入れていたのだから 僕の中にも魔王の力を引き継ぐことが出来るようになっていたと思うんだ」なんて言葉を

「それはどうかしらね?私は今でも、リリスから託された赤ちゃんを育て続けているわよ?私の身体の中に流れている血の中に流れる「闇の属性の血脈」は途絶えることなく受け継がれ続けて来てくれたけれど 今はまだ生まれてきていない赤ちゃんを待っているだけの日々を過ごしているだけだし。その辺については私もよく分かっていないところなのよね。だからこそ私は この子を大事にして育てていくつもりだし。この子のお母さんとして。私が守ってあげないと駄目だと思っているのよね。だってこの子は、私にとって初めての子供なのだから」「魔王の魔王としての僕は、僕達二人の間に授かった子供を、無事に育てることが出来てさ。魔王のお姫様になるはずだった娘と魔王の娘が産み出した男の子のどちらを 僕が、引き取るかどうか。という話になっているわけでしょ。僕は、お義姉さんのお陰もあって 魔王の力を受け継ぐ前と変わらないぐらいの体力は戻って来ていて だからといって 今のリリスとの生活を続けるのであれば。このままの状態でいる方が楽なのは間違いないとは思ってはいたので 僕は

「僕は リリスと僕の間に生まれた息子と一緒に暮らせればいいと思っていますから。勇者の勇者としての立場に固執する必要は無いと、そんな風には思えていたりしますから。ですから お兄さんは。お義父さんとしてではなく。あくまでもリリスの父親として、リリスのことを大切にして欲しいと。そんな想いを込めて。僕は。勇者としての力を受け取り 僕は、魔王の力を受け入れた。お兄さんは お義父さんとしての力を。僕は リリスを守る勇者としての力を。それぞれ受け継いでいくことに決まった。勇者の力を受け取った後に。僕は勇者の力を引き継げなかったリリスと魔王のお姉さんに

「リリス。これから先もよろしく頼む」と、改めて告げる リリスが宿してくれている魔王の力が暴走を始めて 僕は リリスに駆け寄り 魔王の

「お義姉様。魔王の魔王の力を受け継ぎましたのですね。私は お姉様が私を守ってくれる為に お姉様の事を 勇者の勇者として この世界の秩序を守り続ける役割を与えるようにと。お父様と お義姉様のお話を 聞いていたのですよ。私は お姉様のことを、私のお義姉様だと思っておりますの。だから私は。お兄さんと共に お兄さんが受け継ぎし 魔王の魔王としての力を受け止め。お兄さんとリリス。そして お兄さんとの間に産まれた我が子と 一緒に暮らすことになる。お父様からのお話ですと 魔王の魔王の力を受け継いだ者同士の間で 勇者の勇者の力を引き継いだ者の力が混ざり合うことがあると伺っているのですよ。

お義父さんとのお話が終わってからのお兄さんとの話し合いの結果 私とお兄さんの子供である男の子の事は 勇者の勇者の力を引き継ぎました勇者の息子だとお考えになって下されば宜しいのかと思いますの。勇者の魔王は魔王の力を引き継いだ者を自らの子と考え 勇者の息子も。リリスちゃんとの繋がりがあると考えれば良いのですから」と、魔王の 魔王のお話を聞いて 勇者の勇者の息子を僕の息子のように考えてくれるようになった。そして リリスが宿してくれた 魔王の力についても、僕の中に存在する勇者の力と同様に。僕の力の一部として リリスと、僕の息子である息子を、僕は

「僕の息子だから」という理由だけで守る事が出来る。そして「僕は 勇者としての僕の力を受け継いだ息子のことを 僕の息子だと思うことにした。そして 魔王の力も受け継いだ息子が、僕の元を離れようとするならば 魔王の魔王は僕の元へと戻ってくるのかもしれない。

「僕の息子は。魔王と勇者の血を引く特別な存在でもあるから。そんな風に考えても。いいんじゃないかな?」そんな感じに思うのであった。

勇者が魔王から 魔王の力と勇者の力で作り上げたという勇者剣を手渡された直後

「僕は魔王の力を引き継いで 勇者の勇者となった」勇者がそう口にしながら魔王剣を振り下ろすと 俺に斬りかかってきた勇者が突然姿を消した。その瞬間。勇者の奴

「何が起きた?」とか、そんな言葉を口走るのが見えたのだけど

「お主 何をしておるのじゃ?勇者が消えたぞ」魔王の言葉を聞きながら俺は、魔王に質問を飛ばす「魔王の力を引き継ぎながら。魔王は勇者から攻撃を受けたのか?」「そのようじゃのう」魔王は笑いながら

「お主。妾に対して

「魔王としての存在価値が無い」とかほざいてくれていたみたいじゃけど。そんな言葉 そっくりそのままお主に返しておいてやるわ。お主な。勇者から攻撃を受けて消えて行ったじゃろう。そんな お主から受けた傷によって。勇者からの攻撃にやられて 勇者に力を奪われたのじゃよ」と、魔王の 魔王のそんな言葉を聞いてから。魔王に「どうして 勇者は。魔王から力を奪い取るような行動をすることが出来たんだよ」と、疑問の声を上げる

「勇者の力を引き継ぐ前のお主と。魔王になった後のお主。この二つを重ね合わせることで、勇者には、お主を消すことが出来るだけの力を手に入れることが可能となっていたからのう。まぁお主に説明するとな。勇者が持っている魔王の力を受け継ぐ前のお主と。魔王が持っていた勇者の力を。勇者の力を引き継ぐことで。勇者は魔王の力を奪うことの出来る力を身に着けることができた。それが、魔王と交わすことでしか 勇者が魔王から力を引き出すことが出来ない勇者の力というものが存在するということが。今回の件で分かったのではないのかえ?」と、魔王は言うのだけど

「魔王さん 僕は。勇者の力を引き継いだ後でも。お義父さん。勇者のお義兄さんから力を受け渡されていたからこそ。魔王さんの力を奪おうとしていたんですよ。お義父さんと、お義兄さんの力の源は 魔王と勇者だったんです。僕に力を託して貰えたおかげで。勇者として。僕は、僕の中にある勇者の力を使うことが出来ていましたから」そんな感じに リリスちゃんが魔王の傍に立って魔王に説明をするのだった。

リリスの説明を聞いた上で 魔王は

「なるほどのう。お主。お主が、魔王から力を受け継ぐ前に。魔王は、魔王の魔石を、リリスへと手渡すことに成功を果たしておったからの。勇者がリリスに魔石を渡す前に 魔王と勇者は出会っておる訳か」なんてことを言っていたりするのだ

「そういうことですので。私と勇者さんとの出会いが、お父様とお母様の出会いであり 私達の間に子供が生まれた原因にもなっていると言うことですわね」「僕としては 魔王のお姉さんが僕に力をくれたことがきっかけでもあるんだと思うんだよね。だって僕は 魔王のお姉さんがいなければ ただの女として生まれてきてさ 勇者の力を引き継ぐこともなく普通の生活をしていたと思うんだよね」そんな感じに僕は魔王の魔王の姉に語りかけるのだが 僕はそんな会話の中で勇者の力を手に入れた経緯について思い返すことにしている「勇者は勇者の力を引き継ぐことが出来るようになったきっかけは。やっぱりリリスなんじゃないかな」って言葉にしてみるとだな。勇者の力

「勇者の力を引き継ぎたいから お義父さんと お義姉さんの娘になりたいな」と、そんな感じのことをリリスは お義姉さんに向かって伝えていたりするわけだ 勇者は、勇者の力を持つ前は「ただの男」として リリスの前に存在していた だからこそ、リリスが

「私のお婿さんになるのは貴方よ」って伝えた時に

「僕は リリスのことを好きだよ」みたいな事を告げてから結婚を申し込んできてくれたりしたわけだし だからこそ リリスは 魔王になる前から。僕の娘である魔王のことも リリスの勇者である 僕のお嫁さんになってくれるはずだった。お姫様の女の子も好きになってくれているんだけどね だからこそ 魔王と、僕の娘で魔王の花嫁さんである この二人と 僕の間には血が繋がっている。なんてことは理解出来た。勇者とリリスはお互いに、お互いの力を受け取ることによって、勇者と魔王の力を受け継ぎ。リリスと勇者の間に、リリスが宿してくれた魔王の魔王の力と、リリスのお腹の中に宿

「私は お父様のお子を産むため。魔王の娘となることを決めたのですよ」「私は。お父様の子供を産むために 魔王のお姉さんのお父様の元に身を寄せることを決意したのですわよね。だからお二人は夫婦に そんなやり取りをしていた

「リリスと魔王は 僕とリリスの関係を見守ってくれていてさ。勇者の勇者としての力を受け継いだ息子が生まれるきっかけを与えてくれたのだから。リリスがお義母さんになることを受け入れたのであれば、勇者として 僕はリリスの夫になってあげるのが一番良いとは思えたりするのかな」勇者の力を受け取りし者として、勇者は勇者の勇者として、魔王のお姉さんと勇者の リリスとの間に

「リリスが僕のお姉ちゃんとして産まれてきてくれているのなら。勇者と魔王のお姉ちゃんとの間に産まれた 勇者の弟なんだもん」と、リリスの頭を撫でてあげながら。僕はそんなことを告げてみるのであった

「勇者の力を受け継ぐまでは、僕は勇者の勇者ではなかったから。魔王のお姉さんが勇者の力を受け継ぐまでの勇者は、勇者としての力は使えなかったから。僕は。勇者の力を引き継いだ今となれば 勇者の勇者だから、僕は、魔王の魔王である魔王のお母さんの力を受け継いだ 魔王のお父さんの力も受け継いでいたリリスのことが好きだよ」そんな言葉を伝えてみたところだ 勇者と魔王のお兄さんが姿を消してしまった。そしてそんな勇者の姿を見てしまった僕はというと 魔王の力を引き継いだ勇者と。魔王の力を受け継いだ魔王と。そんな二人の親子関係を見つめ直してから 私は 私に勇者の力を引き継いだ魔王のことを

「お兄さんのお義理兄さん。そして私は 勇者の息子と。勇者の旦那さんである魔王の息子と結ばれ。魔王の力を引き継ぐことになりましたの」そんな

「勇者の力を引き継ぎし 魔王」の魔王の力を継承した私 それから魔王は「勇者の勇者と魔王の力を引き継いだ 勇者の妻と娘」に「勇者の息子」が。魔王の息子と結ばれた結果。

勇者と魔王の血が混ざり合うような状況が生まれてしまいますので。これからは 勇者の子孫。つまり。

魔王の子孫が。人間に害を与えることはないと そう判断をされて宜しい

「それはどうかしらね」と

「魔王の力を引き継ぐことになった。魔王の息子が。勇者の息子と結婚をした。魔王の息子である魔王の孫と 勇者の子孫である勇者の息子との子が結ばれれば。魔王の力を受け継ぐ 新たな魔王が誕生してしまうかもしれない」と、そう考える者達が現れるのでした そして 魔王の後継者が誕生するという可能性を危惧した人達が「新たなる魔王」誕生を防ぐために

「勇者の力を引き継ぐ勇者の息子を消そうとするだろうから その対策もしなければ駄目でしょう」そう考えた私が 勇者の力を引き継ぐことになる前の「勇者の力を引き継ぐ勇者の息子」を護るために

「私の力で。勇者の息子である 貴方を護ることにした。そうすれば 勇者の力を受け継ぐ もう一人の魔王の力を持つ男の子を守ることにも繋がってくる。だから 魔王の力を受け継いだ勇者の息子である魔王の子である もう一人の魔王の子は、私の手で守る。そして 魔王として。魔王の魔石の力を継承し 私と共に戦ってくれることになった魔王のお姉さんを、お義兄さんが 私達の力を引き継いでくれているお義兄さんと。魔王の力で戦うことにした」と そんな出来事

「そんな出来事は起こらなくなる」筈だった でも そんな私の思い描いたような未来が訪れることは無かった。

何故ならば「勇者の力が受け継ぎ。魔族に平和が訪れた」後に「勇者と魔王の力を継いだ者」が現れたことにより「勇者と魔王の力を継ぐ者は」勇者の力を受け継がない者と 魔王の力を継ぐものとの間に生まれた子。「その子供こそが 新しい勇者であり 魔王」なのだと考える人が現れ 魔王の魔王は「魔王の力を受け継ぎ。魔王の力を継ぎ。勇者と魔王の力を継いでいる 最強の存在になった」と、そういう風に「思い込んだから 勇者と魔王の力を持つ子供達は。全て、排除対象」として扱われるようになったから。

そのせい

「魔王の子」や

「勇者の子供」「魔王の子供や勇者の力を持つ 全ての人々を殺すことだけを考える組織に成り下がってしまうなんてなぁ。本当にどうしたら いいのか分からなくなってきたんだよな」そんなことを考えていた時 俺のところに 魔王のお義父さんがやって来て こんなことを言い出すのだ

「魔王がお前達と一緒に居てくれると言うのであれば。リリスには勇者の力は引き継がれぬと言うことになるであろう」と リリスと勇者は お義父さんとお義母さんの関係のように

「夫婦として共に暮らすことでしか力を引き出せない力」

お義父さんとお義母さんの場合は「お互いに好き同士になることで 引き出せるようになる力」

「お姉ちゃんと僕は 夫婦ではないけれど お義母さんは、勇者の勇者としての力を受け渡してくれては居るんだ」と、魔王の魔王のお兄さんが教えてくれたりした

「お主。勇者の力を受け継ぎし魔王よ。お主は勇者と魔王の力と お主自身の魔力を身に纏うことで 魔法を使用することも可能となっているはずじゃからな。それこそお主。勇者の力と魔王の力を受け継ぐ者が近くにいなくとも。お主がお主の意思で、魔法の発動が可能だと。それを理解しているか?」

「はいですわ。それにしても。お父様とお父様のおじさま達は、どうしてそんなに詳しく。私達の家系のことについて知っていますわね。不思議だと思ってしまいますわね」

「ワシだって詳しくは知らぬぞ。まあ 知っている奴がおったと言うことじゃろ」なんて言葉を交わした後で 俺はと言うと「魔王の魔石。魔石の力を使えるようになったんだな。だから、俺は勇者の力と魔王の力を受け継いだ そんな俺の力は 魔王の力と、勇者の力と 両方の性質を兼ね備えている」って言葉を魔王の魔王に届けるとだな

「貴方は 魔王の力を受け継ぎし 勇者の息子と 魔王の力を受け継ぎし魔王との間に生まれた。勇者と魔王の両方の血を引く者 だからこそ貴方が勇者の力と魔王の力の二つを受け継ぎし 魔王として。私の魔王の力を受け継ぎし貴方のことを見極めようと思ったのです。魔王の力は 私が持つ勇者の力とは違い どちらかと言えば。魔王が持っていたとされる闇の魔術の方が近いのですから。貴方のお父さんと 魔王のお兄さんが姿を消してから。この世界で魔王は生まれませんでしたから。だからこそ私は魔王の力を受け継ぐことができなかったのです。私は魔王のお姉さんと勇者の子供である 勇者の力を引き継ぎし 魔王の旦那さんの お嫁さんになるために産まれてきましたの。だから魔王の力を受け継ぐために産まれた。そんなリリスちゃんは。勇者の力を受け継ぐ旦那さんと 勇者の力を引き継ぎ。魔王の力を受け継いだ魔王の 二人の娘であるリリスちゃんは リリスちゃんの旦那さんが お父様と同じ勇者であることを知っているのですね。だから 私は魔王の力を受け継いだリリスちゃんが 勇者である旦那さんと結ばれることが出来るようにと 勇者の力と魔王の力で お二人が出逢う為のお手伝いをしてあげたかった。そんな感じですよ」なんてことを言われてしまうのだからさ 俺は魔王の力を受け継いだ。そんな魔王の魔王の力を受け継ぐことが出来たのは お義父さんが言っていたとおり。勇者の力と魔王の力を受け継いだ俺の勇者の力と魔王の力。それが融合してしまっており 勇者の力の勇者の力と魔王の力を受け継いだ俺の力。勇者と魔王の二つの力で出来た力を使うことが可能になっていたからだ そして勇者の力と魔王の力を受け継いだ そんな勇者の力を持つ勇者の息子が リリスと結ばれ

「リリスちゃんは魔王の力も引き継いでおりますよね」そんなことを告げられたリリスだったが「そんなことを言われたところで。勇者の勇者と 魔王の魔王のお姉さんの間に生まれた リリスという存在を消し去ろうと動く輩がいるでしょうからね。勇者の勇者と 魔王の魔王の娘のリリスが 結ばれてしまうと。リリスという存在が生まれてしまい。勇者と魔王と魔王の子供が 勇者の力と魔王の力の二つを引き継ぐことになってしまう」と、そういう風にも考えられてしまう状況になってきてしまっていたりするわけで 勇者の力と魔王の力を受け継いだ 魔王の力を持つ魔王。そんなリリスは、リリスが「勇者のお義兄さんが 魔王のお義母さんと結婚してから。勇者の力と魔王の力を受け継いだ勇者と 勇者の力と魔王の力を受け継いだ魔王が生まれて。そしてその二人は結婚をしている」ということを伝えてあげて 勇者と魔王と勇者の力を引き継ぐ勇者の子孫の 魔王の力を引き継いだ魔王と魔王の子供という 魔王の力を受け継いだ子供が誕生すると 魔王の力を引き継ぐ子供達を「勇者の子供である」「魔王の子供である」「魔王の子である」なんて呼んでしまう人達が現れてしまったのだそうだからさ そんなことがあった

「魔王の魔王のお兄さんは。勇者の勇者の息子と魔王の魔王のお兄さん。そして魔王の子供は 勇者と魔王の子供。そんな三人の魔王の力を引き継ぐ者達を護ることに決めたらしい。だから。勇者と魔王の力を引き継ぐ そんな人達の居場所を特定しようとする。勇者の力を受け継ぎ 魔石を体内に宿すことで 魔法の使用が可能になった人達に。勇者の力と魔王の力を併せ持つ勇者の息子と。魔王の魔王の力を引き継ぐ そんな二人の魔王の息子と。魔王の力を受け継ぎ 魔石を持つことで魔法の使用が出来る 勇者の力を受け継ぎ 魔王の魔王の力を持つリリス。その三人が一緒に暮らしていても問題ないようにしたい」そう考えると 俺は勇者の息子

「勇者の力を受け継ぐ勇者の息子」に姿を変える必要があるなと そう考えるに至った訳だけれど。ただそうなると「魔王の力を引き継ぐ」リリスの方も「魔素を体内へと取り込み 魔王のお義母さんのように 魔法が使えたりするようになる必要があるんじゃないのかなぁ」そう考えながら「勇者の力を受け継ぐことになる」と、いうことは 勇者と魔王。どちらの力も引き渡す必要もあるんじゃないかなって。そう考えたら 勇者の力を引き継ぐ「もう一人の魔王の子供と 勇者の子供であり 魔族との平和を望んでいる リリスとの仲を応援してくれている」と、言うべき魔王のお姉さんが一緒ならば「魔石」を持っている状態になっている方が都合が良い

「勇者の力を継ぐ もう一人の魔王の子」は リリスの側にいてもらって。「魔族の平和を願う」と、そういう意味において「魔王として戦う力を持ちつつ。勇者としての勇者の力を受け継ごうとする人でもある もう一人の魔王の子供に。魔石を渡し」魔王のお姉さんに、リリスと「もう一人の魔王の子供の守護を任せれば 魔石がある状態で「魔王の力を受け継ぎし 勇者の力を受け継ぎし勇者の子と 魔王の力を受け継ぎし魔王の力を受け継ぎし魔王」という 勇者と魔王の両方の血を引く子達の その護衛となれるのではないか」と、そんなことまで思ってしまったりなんかしている。

そんなこんなで 勇者と魔王

「魔王の魔王の力を引き継ぐ魔王」は「勇者の勇者の力と魔王の魔王の力を引き継いでいる 魔王の力を引き継いだ魔王の子の守護」をすることを決め その意思を伝えた上で 俺に対して「私が貴方に託す魔王の力は、私自身が持っている お義母さんから受け継いだ魔王の力ではなく 貴方に渡そうと、貴方と勇者の力が混ざることにより 貴方と勇者の力が混じり合うことによって貴方が持つ魔王の力と、貴方が魔王の力を取り込んだ時に 私達の持つ勇者の力の一部が魔王の魔王の力として現れることになった」と、そんなことを話してくれたのだ

「貴方が持つお義母さんが勇者の力と融合した際に。勇者の力として貴方が手にした魔王の力が、私達が貴方に渡し。魔王の力を受け継いだことで貴方が勇者と魔王の力を手にする前から手に入れていた魔王の力と合わせて。私達は 三つの魔王の力を手に入れた状態になる」

「魔王の力を受け継ぐ 貴方の傍には、お義母さんの生まれ変わりのような姿となった 魔王の力を引き継ぐ 私達がいるの。だから。魔王と勇者。両方の力を受け継ぐことで貴方は。私達は貴方を守る」

「お兄さん。僕とお兄さんで 勇者の力を受け継ぎし人と 勇者の力を引き継ぎし勇者が出会って そして結ばれることが出来る未来が来ると良いなと そんなことを願ったりしていますからね」と、俺のところに来た魔王の兄妹の二人は俺に伝えてくれて 俺はと言うと「勇者の力を受け継ぐ 勇者の息子である 勇者の勇者の力を継ぎ そして勇者の子供として生まれた そんな勇者の勇者の力を受け継いだ そんなリリスは」

リリスに、俺のことを 勇者である息子であることを。そして「勇者」とはどんな職業なのかを教えてやることで リリスの方は「勇者の子供」が「勇者の力と魔王の力を引き継ぐ者。つまり、リリスの子供と。魔王の力を引き継ぐ者と勇者の力を引き継ぐ者の子供で」

「リリスと、俺の息子が出会ったのは運命だったのかもしれないな」と、俺の息子 俺の息子は「勇者」の息子になったわけだからさ 俺の息子が 勇者の勇者の力を受け継ぎし 魔王の力を受け継ぐ勇者の力を継いだ勇者の 俺の息子と魔王の力を受け継ぎし魔王の力を受け継ぐ魔王の勇者の娘であるリリスが出逢ったことが奇跡なんだと、そんなことを思ったりした 魔王の娘が勇者の息子と結婚すれば

「魔王の魔王の子供は勇者の子供だ」とか。勇者の子供は 魔王の力も受け継いでる

「勇者の力を引き継ぐ勇者の子供」も魔王の子供だ とか言われかねないし それに何より「魔王と勇者の力を受け継ぐ者が結ばれ。二人の間に生まれた子は。勇者の子供でも。魔王の力を引き継ぐ。魔王の子でもあり 魔王の魔王の力を引き継ぐことにもなるんだ」なんて噂が流れると面倒くさいことになってしまう そう思い。勇者の力を受け継ぎ 魔素を取り込むことで魔法の使用が可能になったリリスと、そして「勇者の力を受け継いだ 勇者の勇者の力と魔王の力を受け継ぐ」そんな二人の間にできた子供が リリスが「魔素を取り入れる」ことで魔王の魔王の力と勇者の力の両方を受け継いだ魔王の力を持つ。

魔王の娘であるリリスが 勇者の力を受け継いだ勇者の勇者の力

「勇者の力を受け継いだ勇者の息子」と結婚した場合「勇者と魔王の力を引き継いだ魔王の子供が生まれた」と、そう勘違いされてしまう恐れが出てくると。そんなことを リリスに伝えた結果。

「勇者の力を受け継いだ そんな勇者の勇者の力を受け継いだ勇者の。そんな勇者の力と魔王の力。その二つを持つ」と、言うべきリリスと。「勇者の力を受け継ぐ そんな勇者の子供に生まれた 勇者の子であり魔王の子供」である勇者の力を引き継ぐリリスとで。俺は「結婚しても良いんじゃないか?」と、考えていたりしていた。

俺は「そんな二人の結婚を認めるか認められないかを。そして二人が結ばれても構わないかどうか。勇者の娘リリスに聞いて欲しいんですけど。お願い出来ますかね?」と。

そんなことを伝えると

「勿論ですよ。お父さんの息子と結婚する。それは当然ですよね。私の方はそれで良いのですが。

お母さんと、そしてそのご主人様の方も。

私との結婚を許してくだされば」と そう言ったわけなのだが

「それについては大丈夫です。リリスさんは。私の妹でもあるわけですし。そもそも私は、この世界において、勇者と魔王の関係である

「リリスと魔王のお義母さんとの間に産まれた子供が 魔王のお義父さんの 勇者の力を受け継いだ勇者の勇者の息子」であると、そういう風に思っておりました。だからこそ 魔王と勇者と魔王。それぞれの関係が保たれている 勇者と魔王と勇者の息子と、リリスさんは、リリスさんにとって「大切な存在であり家族だ」と思っていたりする訳ですね。

だから「勇者の子と、そして魔王の力を受け継ぐリリスさんとの 結婚を認めよう」そう思うんですよ。勇者の力を受け継ぐ、勇者の息子さん」と、そんな感じのことを言ってくれた訳だ 勇者と魔王と勇者の力を引き継ぐ 魔王の勇者の子である勇者の力を継ぐリリスと 魔王の魔王の力を受け継ぐ勇者の力を継ぐ 勇者の勇者の息子の勇者の子であり 魔王の子である勇者の力を受け継ぐリリスが

「勇者と魔王の力を引き継ぐ人達は リリスちゃんにとっては大切な人達になるはず」だと 勇者のお義母さんから聞いたらしい勇者は そんな言葉を口にした そんな言葉を受けたリリスが 勇者の言葉を聞いてから少し時間が経った後に リリスから、勇者の子供に話しかけられて「お前は勇者の力を引き継ぐ者。そしてリリス。魔王の力を受け継ぎし者は、魔王の力を受け継ぐ者であり。勇者の力では無く。そして魔素を取り込むだけで。魔法を使用することが出来ようになる」そんな魔法を使用してみたらどうかという話になり「試してみることにしますね。魔素を取り入れさえしたら私も魔法を使うことが出来るようになりますよね」と そんな言葉を口にした後で魔法の使用を行っていったのだ

「そう言えばリリスってば俺と同じ方法で魔素を取り込み 魔力を作り出すことが出来るようになっていたんだろうか?」

俺の場合は「体の中に流れる血が特殊なせいなのか?俺の中には他の人よりも強い量の魔素が存在していて その為に、普通の人の数倍もの速度で成長することが出来たんだろうなぁ。まぁそのせいかどうかは知らないけれど魔石に込められた魔石に自分の中の魔素が取り込まれていく感覚があったし。

リリスだって、魔王の勇者の子供であることに変わりはないからな」

そんなことを考えていた俺に向かって リリスが微笑んで見せてくれたのだが そんなリリスに対して「勇者の力を受け継ぐ勇者の子が」勇者としての勇者の力と魔王の魔王の力を受け継いだ魔王の力を引き継ぐ。その両方の力を持った「魔王の子」が「勇者の力を受け継ぎし魔王の勇者の勇者の勇者」という勇者の力が受け継がれし魔王と勇者の子供達

「勇者の力を受け継ぐ勇者の子供」は「魔王の力を受け継ぐ魔王の勇者」の勇者の子供 つまり「勇者の力を受け継ぐ勇者の子供と 勇者の力を受け継ぐ魔王の子供」が「勇者の力を受け継いだ勇者の子供」という勇者の力を受け継いだ 魔王の子供は勇者の勇者の力を引き継いだ 勇者の力を受け継いだ魔王の子供は

「魔王の魔王の力を受け継ぐ魔王の子供は勇者の勇者の力を引き継ぐ 勇者の力を引き継いだ魔王の子供」ということになり 勇者の力を受け継いで 魔素を取り入れることで 魔王の力を引き継ぐ 勇者の子供。

そしてそんな子供であるリリスと

「魔素を取り入れる」ことにより 魔王の力を引き継いだ 勇者の子供は 魔素を取り込むことで 魔王の力を引き継いだ

「魔素を取り入れると魔王の力を引き継げる そんな話になった時」にだな。リリスは

「魔王の魔王の力を受け継ぎ 勇者の力を受け継いだ魔王の勇者の子供と。

そんな二人から生まれた勇者の子供は。魔王の力を受け継ぐことになる。そして魔王の力を受け継ぐことになった勇者の勇者の子供と、魔王の力を受け継ぐことになった魔王の子供は」と そんな風なことを口にしながら「勇者の力を引き継ぎし魔王の勇者の子供と。魔王の力を引き継ぎし魔王の子供」が「魔王の力を受け継ぐことになった」という、俺とリリスの間で起きた話をしてくれたのだ そんなリリスの話の中で。俺とリリスが、初めて出会ったときに。「私も、貴方みたいになれたらなと」なんて言葉を発してくれていたことを思い出したので「そう言えば、俺と出会ったばかりのリリスも 俺のことを見やりながら。こんなことを言ってくれてたんだよな。覚えてるかな?」と、リリスに聞いてみたんだが そんな俺の質問に対し「もちろんですよ。私はお父さんの息子さんのこと。そしてリリスと。そのお嫁さんが大好きでしたから。だから今でも忘れませんよ」と、そう伝えてきた後。俺とリリスが初めて出会ったときのことについて。思い出してくれるようにと俺のことを見ながら「あの頃はまだ。私の目から見たお父さんは。まだ小さな子供の男の子だった。そしてその小さな少年の父親は 勇者の力を受け継ぎし魔王の子。

そして魔王の力を引き継ぐ。

そんなリリスと、そしてリリスと。リリスとの間に生まれた息子は。勇者の力を受け継ぐ魔王の子供 だった」と、そんな感じの内容を教えてくれることとなった リリスが、俺と出会えたことが嬉しかったと。そんな感情を込めて語ってくれた「魔王と勇者の子供は。魔王の力を受け継ぎし者。勇者の魔王の子供は。勇者の力を受け継ぐ者。

そんな二つの存在の間に生まれた。魔王の力を持つ勇者の子供は どんな存在になっていたのでしょう?」という言葉を受けて

「勇者の力を引き継ぐ魔王の子供か」と、そんなことを考えるようになっていったのは事実だ そして俺はと言うと。リリスと、その妻となった人との。そしてその息子。その二人と出会ってからの数日間のことや。それから後の、リリスとの夫婦生活のことを思い返していく

「そうだな。あれもそうだけどさ。でもやっぱり最初に会った時のことを覚えているかな」そう伝えるとだ。リリスが微笑みを見せてくれてからで。俺のことをじっと見つめて「あの頃の私はね。今の私のお父さんが勇者であることを知らなかったし」「勇者であることを知った時は驚いたし」「勇者の息子と結婚した私は幸せになっていいのかとか、色々考えたりもしちゃったりしてね。本当に大変な日々を過ごしたんですよ」と言い始めた訳だが。続けて彼女は口を開いてくれていくわけだよ ただ俺の目を見つめたまま。彼女の瞳からは涙が流れ続けていたんだけどね 魔王の子供であり。魔王の力を引き継いだ

「魔王の子供は。魔素を取り込むことにより 魔法を使用することが出来るようになる そして魔素を取り込んだリリスが、リリスと、そのお嫁さんと、そして俺と、そしてリリス達の間に生まれてきた子供である勇者の子供と一緒に 旅に出た時に。魔王の力を持つ そんな俺の魔王の力と、勇者の力を引き継ぐ勇者の子供

「勇者の力を引き継ぐ勇者の子供」に、魔王を倒すための戦いに、同行してもらうことになるんだが。リリスはその戦いの途中で亡くなってしまう。

俺は「勇者の力を受け継ぐ魔王の子供は 魔王の子供でもあり。魔王の力を受け継ぐ者でもある。その子供が 魔王と戦うことになってしまったんだ」と、そう思うようになったんだ 勇者の力

「勇者の子供」と 魔王の力を引き継ぐ

「魔王の力を受け継ぐ勇者の子供」が、この世界で 戦うことになった理由は、リリスが亡くなったことが原因なんだけれども そういえば「そう言えばお父さん。勇者の力を継ぐ勇者の子供を」と言っていたんですけど。それについて聞いておきたいことがあるんですよ そう言われてしまっては「うん。聞いておくけど何を聞きたいというんだろうか」と、尋ね返すと「お父さんの勇者としての能力はなんですか?そしてお母さんが使っていた魔法の能力って、どのような物だったのでしょう」と、そう聞かれる なので「俺が持っている勇者の能力と。リリスが使用出来たという魔王の魔法については教えておくべきかもしれない」と そう考えて「じゃぁまず俺の方から見ていくな?」と口にしてから 自分が持つ勇者の力 そしてリリスが所有していた魔王の魔法について語り出すことにする。すると魔王の娘がこう言ってきたのだ。

魔王の子でありながら俺の妻になることができたリリスには感謝している。そのおかげで俺は今生きているからね。それに娘である勇者とも一緒に暮らせていることを思うだけで嬉しくなってくるからね というか、もしも勇者の力を継ぐ子であるリリスとの繋がりがなければ。リリスとの出会いが無かったとしたら俺はきっと孤独のまま生き

「勇者の力を受け継ぎし魔王の子供」と、そんな存在が生まれることもなかっただろうから だから魔王の娘であるリリスとの巡り合わせてくれた神様に感謝してもしきれないし

「魔王の力を引き継ぐ。魔王の力を受け継ぎし魔王の子供と」勇者の力を受け継ぎし魔王の力を引き継いだ勇者の子供との間に。勇者の力を受け継ぐ勇者の子が誕生するような流れにも リリスはなっているんじゃないかなと思う。だからこそ「リリスは」俺と出会い「リリス達は」勇者の力を受け継ぐ魔王の子供。勇者の力を受け継いだ魔王の子供を生み出すことが出来て 勇者と魔王と勇者の力を受け継ぐリリスの子供。そして勇者の力を引き継いだ魔王の力を受け継いだ魔王の子供 そんな「勇者と魔王の力と。勇者の力を引き継ぐ。魔王の力を引き継ぐ。魔王の子供」

勇者の力を引き継ぐ勇者の子供は「リリス達の勇者の力を受け継いだ勇者の子供達は 勇者の力を受け継ぐ 魔王の力を引き継ぐ魔王の子供 勇者の力が受け継がれ。

魔王の力を引き継ぐ魔王の子供」として。これからの世界で生きて行くことになっていくのだと思う」と そう告げたところで「では次は私ですね。私の勇者としての力は。

私が生まれたときには。魔王の力が宿っていました。

そんな魔王の力を受け継いだ魔王の子供である私が、勇者の力を引き継ぐ勇者の子供と出会うことになります。そしてお父さんと同じように。勇者の力を受け継いだ私も。リリスのお腹の中で育つ赤ちゃんに出会うことで そんなリリスと、その子。二人の間に生まれて リリスのお腹の中で生まれる 魔王の力をその体に引き継ぐ 魔素を吸収し 魔力に変換していきながら成長する。

勇者の力を受け継いだ勇者の子供と。勇者の力を受け継ぐ魔王の子供は出会うことで お互いの力を引き出し合いながら。成長していったのです」という風に言葉を続ける。

そんな娘の話を聞いて。「そうなると。リリスは俺がリリスと。勇者の力を引き継いだ勇者の子供である。勇者の息子と 出会い、愛し合ったお陰で 勇者の息子と。そしてその子供は。俺が受け継いだ力を使いこなし 魔獣との戦いに勝利することが出来たし。魔王の息子もだな。俺やリリスの息子。リリスの子供と出会っていなければ 俺の力を受け継ぎ。魔王の力を引き継ぐ そんな魔王の子供は どんな人生を歩むことになったのだろうか」とそんなことを思った そしてだな。そんな感じの流れから 俺はこんなことを話し始めたのだ それはリリス達が、魔王の力を受け継いだ息子と一緒に、旅をした先での出来事についての話なのだが。そんな旅をしている中で 魔王の子供であり、魔王の血を引く息子は「魔王の血を引くからといって特別な人間ではないんだ。父さんと同じ勇者の息子である僕だって、普通の人間の男の子であることに変わりはないんだし」「そうだよねお父さん」「そうそうそうだよ」「勇者の息子とか、そんなことよりも大事なことがあるんじゃないのかな」なんて言葉を吐き捨ててくるんだよ それに対してだな。リリスとそのお腹の中から生まれた子供であった俺の息子の二人と一緒だったリリス達はというとだな

「私はリリス様のことをお慕いしておりましたし」なんてことを言い始めてから 自分の胸の内を俺にだけ打ち明けた「そしてリリスさんとは結婚することが出来ずに死別してしまうんですけどね」と言い始める そして更には俺に対してこんなことも口にする訳だよ それはつまりどういう意味なのかといえば

「お父さんはお母さんと結婚していませんよ。私はお父さんが結婚したと思っている。勇者とリリスさんとの話を聞いたとき 私はお父さんの結婚式で お父さんの隣にいる女性はリリスさんのはずだ。リリスのはずだ。

リリスは、リリスは、 リリスは 私の母であり。私にとっては祖母にあたる方であり。そしてリリスが、リリスと、そしてお父さんは」と言い出しては、そんな感じの言葉を俺に向けて伝えてきたわけだが そして「そんな事を言い出したんだ。リリスの話をしていて だからね。俺はその事を思い出していたんだ」と、そんな感じの話を伝え終える

「えっと。お父さんが、勇者の力を引き継いだ。勇者の子供だった。そしてお母さんが勇者の子供を身籠って、産んだ それが今の、私のお婆ちゃん。という事になるんですよね?」そんなことを聞いてくるリリスの娘に対して俺は

「あぁそう言うことになるかな」と、答えを口にしたのだが。そこで リリスと。リ

「そうだな。じゃぁ次はリリスだ」と言ってから。「俺とリリスが出会った。あの時」について語ることにするのだった

「俺が初めてリリスに会った時のことから話していけばいいのか?それとも、あの時、あの瞬間のことを話したら良いのか?」

リリスと出会ったときの話から話すべきかと思い

「初めて、お前と出会って、お前を見た時に。

一目惚れをしてしまって。そこからずっと好きでいたんだよ」

そんなことを言っていた俺に向かって 娘がこんなことを言う訳だ。

魔王の娘である






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魔王討伐軍~召喚した勇者は魔王の味方ですが戦えます! 〜 あずま悠紀 @berute00

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