第9話 お料理雑談オフコラボ




『ママが手料理を作ってくれるみたいです!!/【ラブシャイン/天抱まお】【ラブシャイン/比良坂めぐる】』

Amadaki Ch.天抱まお 2,3万人が視聴中 1分前に開始



『みなさんこんあまー。今日は我が家にめぐるちゃんがきてくれてますよー。ぱちぱちぱちー』


『ラブシャイン2期生の比良坂めぐる、まおママの手料理を誰よりも早くご馳走になる栄光を手にしたのだ!羨ましいだろう!!そうだろう!!??』


:何ぃ!?

:まおママの手料理だってぇ!?

:おしゃれなの作りそうだから、子ども舌のめぐるに合うのかw

:おいそこ代われ

:¥12000 私にもお裾分けしてください...!!

:¥30000 これで作り置きをお願いします。



『スーパーチャットありがとうございますー。作り置きについては自分でお願いしますね。この配信で作り方を載せておきますので、気になった方は作ってみてください。』


『ねぇまおママ、私料理しないからキッチンの上に乗ってる材料と調理器具が一般家庭にあるかわからないんだけど...鰹一尾って一般家庭にあるの?』


『もちろんありますよ?鰹節はみんな自宅で作ってるんですから』


『それって普通市販のやつじゃない?自宅で鰹から作ってる人見たことないんだけど...』


『見たことないだけでいっぱいいるんですよ。私の友人の家では鰹本体から作ってましたし』


『そ、そうなんだ...』



:騙されるなめぐる!

:まさかこの配信、鰹節作るだけで終わるんじゃ...

:鰹一尾!?

:いったい何を作るつもりなんだ...?

:神回確定



『そうでした、何を作るか言ってませんでしたね。今晩は鰹のたたき、鰹の竜田揚げ、鰹のユッケという鰹づくしメニューになります。』


『鰹かぁ、回転寿司でしか食べたことないなぁ』


:俺も回転寿司でしか食べたことないわ

:いいつまみになるよな

:日本酒によく合う

:メニューには入ってないが、別で味噌汁も作るんだろうな

:¥5000 夕食代はこれくらい?


『そのお金で居酒屋に行けば同じようなもの食べられると思いますよ。今回はありがたくいただいておきます。ありがとうございます。』


配信が始まり、めぐるはダイニングテーブル、まおはキッチンにそれぞれついていた。まおの目の前には配信用のノートパソコンが置いてあり、そこで主な調整を行うことになっている。まおは料理担当だ。


『まおママ、まずは何から作るの!?』


『まずは鰹を捌いていきます。その間はめぐるちゃんチョイスのマシュマロに答えていこうかな。』


『まおママにきてるマシュマロと私宛に来てるマシュマロ交互に行こう!ランダム選出にします!まずはこれ!』



【奥さんと推しが違ったことで喧嘩してしまいました。仲直りするにはどうすればいいですか。旦那さんとラブラブなまおママの意見を聞かせてください】


『まおママごめんなさい。わざとじゃないの』


『え!?何がでたの!?』



:おいめぐるww

:初っ端これはダメやろwww

:割と放送事故www

:ランダム選出だからしゃーなし



まおがパソコンの画面を覗き込み、マシュマロの内容を確認する。


『あー、なるほど。別に気にしなくていいですよ。もう終わったことですし。そうですねぇ...』


まおは鰹の華麗に捌きながら答える。


『そんな小学生みたいな喧嘩するうちはまだ大丈夫ですよ。相手も怒ってないでしょう。今まで通りイチャイチャすれば忘れます。万事解決です。』


『推しの違いは誰にでもあることだもんね。』


まおの解決策にめぐるもうんうんと頷く。コメント欄を見ても同様だ。


『次のマシュマロは私宛だな...これだ!』


【めぐる様はとんでもないクソガキですが、それを補うほどゲームが上手ですね。今度お姉さんと一緒に旅行に行きましょう。】


『何言ってんだこいつ』


:支離滅裂すぎて草

:文脈がなさすぎて理解できないww

:草

:草

:旅行に行くのは俺らや!!

:俺はめぐるよりまおママと旅行行きたい


『まおママと旅行に行くのは私だもんね!できれば夏休み中に行きたいと思ってる!』


『2期生全員で旅行行くのもありですねー。今度提案してみますか。みなさんで配信もやりましょう』


:2期生全員...?

:ということは...

:トオルもってことか...

:女性陣と一緒に旅行なんて許せん!!

:燃やせ燃やせ!!

龍眼寺トオル:待て!完全に飛び火してるんだが!?

:トオルがいるぞ!!燃やせ!!



『あ、トオルさん。今度みんなで旅行行きましょうか。いい返事待ってますよー』


まおが和やかにそう言うと、コメント欄がさらに爆速で流れ始めた。


:ギルティ

:有罪

:ギルティ

:トオル、見損なったぞ。。。

:お前、そんなやつだったんだな...

:ふーん、そうか。つまり君はそんなやつなんだな

龍眼寺トオル:旅行は別に構わんがこの流れをどうにかしてくれ!!

:有罪




『さて、じゃあ次のマシュマロ行きましょうか』


この場にトオルがいたら『おい!!』といいそうだが、めぐるは気にせずマシュマロ読みを続ける。その後も【結婚してくれ!】や【雑魚と罵ってください】などといった恒例のマシュマロが飛び交う中、めぐるはまた一つのマシュマロを出してしまった。



【こんまおです。私の両親は共働きなので家事は父と母と私が分担してやっていますが、今どき家でふんぞりかえるだけの旦那なんて時代遅れだと思っています。私も将来は家事を協力し合える男性と結婚したいと思っていますが、まおママの元旦那はどうでしたか?】


:ええ両親や

:理想やな

:俺の実家はお袋が全部やってたな

:家事..嫁..う..頭が...

:俺んちは全部俺がやってるぜ、独身だからな

:頼る妻がいないから俺が全部やってる

:寂しいやついて草


『私が専業主婦だったので家事は私が全部やってましたね。元旦那は帰ってきたら「風呂」「飯」「寝る」だったので。』


『あれ?でもまおママ結婚する前は一般企業で働いていたんでしょ?その時はどうだったの?』


『その時も同棲していましたが全部私がやっていましたね。あの人は基本的に何もしていなかったです。』


捌き終わった鰹の調理を始めながらそう答えると、コメントは【旦那許せん】や【まおママ健気や】といった同情コメントで溢れる。リズム良く奏でられる包丁の音を聞きながらめぐるも答えた。


『私も協力して家事できる人と結婚したいなぁ...まおママ結婚しない?』


『一緒に住むくらいならいいですよ。一人暮らしするタイミングで声かけてもらえますか?』


『よっしゃあ!!!まおママと一緒に住めるらしいぞお前らぁ!!』


急に野太くなっためぐるの声にまおはびくっとするが、コメント欄は爆速で【てぇてぇ】コメントで溢れかえる。やはりこう言うネタを視聴者は求めているらしい。


『はい、そうこうしている間にできましたよ〜。鰹のたたき。』


『うわぁ!!美味しそう!!!』


まおは完成した料理の写真を配信画面に載せ、次の料理に取り掛かる。


:美味しそう!

:おぉ!!

:これがまおママの実力か

:まおママと結婚したらこれが毎日食べれるのか...

:結婚してください


『ンンン〜〜!!美味しい!!すごく美味しいよまおママ!!』


『それはよかったです。この後の料理も楽しみにしててくださいね。』


こうしてこのオフコラボは続くのだった。








※ ※ ※




とあるホテルの一室にて


「フッフッフッ....!」


一組の男女が電気を消した部屋のベッドの上で裸で絡み合い、貪るように互いの欲を発散していた。


男性が腰を動かすたびに女性の口から嬌声が漏れ、部屋の中に響き渡る。


ある程度運動して満足した彼らは、一糸纏わぬ姿でベッドに仰向けに寝転がっていた。


「今日はいつもより激しかったじゃない?何かあった?」


女性が身を寄せながら耳元でそう囁くと、男性はふっと鼻で笑いながら答える。


「実は妻が不倫をしていたことがわかってな。離婚した上で身ひとつで家から放り出してやった。専業主婦で稼ぎもしないくせに生意気だったからな。今頃身売りでもしてんじゃねぇか?」


「あら、ひどいわね!あなた結婚する前から私とデキてたのに、奥さんの不倫1回で離婚したの?」


女性が男性の胸部を人差し指でなぞりながらそう尋ねると、元気になった男性は女性に再度覆いかぶさる。


「いいじゃねぇか。あいつ身体はまぁよかったし、俺にゾッコンだったから色々と都合がよかったんだよ。とある資産家の娘でもあったから金銭には困らないかと思ったが、勝手に絶縁してんだもんな。早々に切るべきだったんだよ。」


「それに、お前も遠慮しなかったんだからいいじゃねぇか」といいながら再度盛り始めると、「私は別に既婚者だからとか気にしないもの」といいながら再度彼を受け入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る