第70話 作戦開始
シャルルは一時的にシャーロットのペットという事で、檻の中で生活を送らせている。
食事なども十分に与えているし、檻も小さな檻から大きな檻にして、シャーロットが定期的に会いに行ってるので、わりと平穏な生活を送っている。
ヘルサイズ達に渡した16人の元騎士団の面々は、シャーロットによってヘルサイズの一員として訓練を受けている。
中でも、元団長であったゲイルなんかは一段と気合が入っている。
ただ、ヘルサイズの一員になったと言ってもあくまで彼女達のおもちゃとしてになるので、彼女達の直属部下な感じだ。
色んなピースが揃って、数週間が経過した。
「マスタ~☆」
「アスか」
「はい☆ 例の準備が整いました」
「そうか。ダンポとどっちが先になるか楽しみにしていたのだが、準備の方が先に進んだか」
「うふふ。シャーロットちゃんも楽しみにしているみたいです」
「そうだな…………レヴィも待機しているのだな?」
「はい☆ みんな楽しみにしています」
「…………分かった。これから『王国崩し作戦』を宣言しよう」
「かしこまりました」
『王国崩し作戦』
これはシャーロットが第二騎士団に勝った際に求めた報酬の一つだ。
ゲイルの話からも、第一騎士団はこのダンジョンに魔人が住んでいるかも知れないからと、第二騎士団のゲイル達を送って確認しているという。
第二騎士団が帰ってこない期間が長くなり、そろそろ王都でも第一騎士団が本腰を入れて、こちらのダンジョンに攻め入るのは時間の問題だと思われる。
それを先読みしたシャーロットは、攻められる前に攻めたいとの事で、『王国崩し作戦』を立案した。
もちろん俺は反対――――したかったのだが、一緒に聞いていたレヴィやアス、ベルが興味を持ち、俺の前でシャーロットを大いに褒めてしまった。
それもあって、『王国崩し作戦』を撤廃する事を中々言い出せず、遂には準備が先に整ってしまったとの事で、許可してしまった。
『王国崩し作戦』の内訳はとても単純なもので、これからヘルサイズを主力に各街を占領して、各街をダンジョン化して領土を広げていくのが第一段階。
その次は、各街のダンジョン化しながら、『ダンジョン死神教』を広めて兵隊を広げる事が第二段階。
最後に集まった信者達とヘルサイズ及び守護眷属達を使い、王都を攻め落とすのが最終第三段階である。
早速アスがその場から消えて、嫉妬の間の広場に集まっているヘルサイズ達32名とその団長であるシャーロット。守護眷属のレヴィの下に向かった。
「マスタ~の許可が下りたよ~☆」
アスの言葉にレヴィもシャーロットもみんなが歓喜する。
「ではこれから第一段階の周辺の街々を占領していくわ。手筈通りにね」
「かしこまりました」
「アスも出るでしょう?」
「もちろん☆」
「ベルは主様を頼むわよ」
「あい~」
レヴィの開始宣言と同時にその場にいたアスやヘルサイズの面々が一斉にダンジョンを後にした。
◇
「ご主人様?」
「アメリアか。デザートか?」
「はい~! 今日は美味しい氷が作れたので、かき氷にしてみました! いちごジャムと桃ジャムの二種類をブレンドした特製ジャムです~」
白くふわふわした氷の上に赤色と桃色のシロップがかかっていて、見ただけで食欲をそそる。
アメリアから受け取って早速口にすると、甘さが口全体に広がって、冷たい氷の旨さが襲ってくると一段と美味しさを味わう事ができた。
「レヴィ様達は出かけられたのですね?」
「そうだな。『王国崩し作戦』が始まってしまったからな……」
「うふふ。レヴィ様達なら問題ありません! きっと吉報を持ってくると思います」
「ああ。それを楽しみに待つとしよう。それはそうと、最近リース達はどうだ?」
「みんな仕事が楽しそうで元気にしていますよ~」
「それは良かった」
「レヴィ様達が出ている間は、リース達の時間も増やしておきます!」
「う、うむ。よろしく頼む。それと全員一人ずつでよい」
「!? あ、ありがとうございます!」
最近は毎晩誰かと一緒に時間を過ごしているのだが、それもまだまだなれない部分がある。
こうしてアメリアが気を利かせてくれて、何とか毎晩を楽しめているのかも知れない。
その日から、アメリア達と過ごす時間が増えていった。
数日後。
【ヘライオ街の支配条件が整いました。街を
【カルーン街の支配条件が整いました。街を
【デラス街の支配条件が整いました。街を
というアナウンスが流れた。
これも全てレヴィ達が頑張ってくれたからだろう。
すぐに3件とも許可を出すと、ダンポ300,000を消費して新しい街3つが支配下となった。
モニターを利用してそれぞれの街を眺めると、激しい戦いの跡が痛々しく残っていて、大勢の亡骸も転がっている。
『王国崩し作戦』はある意味強行策であり、反逆する者は全て切り捨てる作戦だ。
ダンジョン化していない場所に俺のモニターは反映されないため、戦いがどのような戦いだったのかは分からない。
ただ、少なくとも全ての街を見て、それが優しいものではない現実を知った。
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