第52話 アスとベルのフロア
ベルが仲間になってから、また時間が経過した。
「わ~い~! お肉ぅ~!」
今日も元気な声が食堂に響く。
ベルは普段から常に眠いのだが、夜とご飯の時間には目が覚めるようで、目が覚めるととても元気に話す可愛い女の子だ。
だが…………。
「ベルぅ? あまりお肉は食べない方がいいと思うよ★」
「え~アスお姉ちゃん~お肉食べたいよぉ~」
「どうせ必要ない部分にしか行かないでしょうから、ベルは野菜を食べなさい★」
「やだよぉ……お肉ぅ…………」
隣のアスがベルのお肉を奪い取る。
アスとベルは
特に…………。
「ひい!? お姉ちゃん! 胸をひっ叩かないでよ~」
「ただの脂肪だもの★ 少しくらい痩せなさい!」
「あるじしゃまから痩せなくてもいいって…………」
アスが驚いた表情でこちらを見つめる。
ひいっ!?
「こ、こほん。俺はどちらも良いと思う。アスは十分魅力的だぞ」
「うふふ~ありがとうございます! マスタ~☆」
アスの笑顔、ずっと守りたい笑顔。
それにしてもアスは自分の胸にコンプレックスを感じているのかな?
俺はそれほど気にならないというか、アスの可愛らしさに似合ってて良いと思っている。
最近の食事はこのような感じで、賑わってて楽しい。
「アス」
「あい~☆」
「今日はアスのフロアを作る日だったな」
「はい☆ 頑張ります~!」
食事を終えて、アスにダンポと新しいフロアを預ける事に。
『フロア追加(6)』を使い、そこに15万ほどのダンポをアスに預けた。
アスは嬉しそうにその右手に首輪に繋いだベルを連れて新しいフロアに向かった。
◆ ◇ ◆ ◇
アスから完成したという事で、早速新しいフロアにやって来た。
フロアの名前は、『5層-色欲と怠惰の間』となっている。
現在1層と2層がFランク魔物のフロアになっていて、3層がオークが守っているフロア。
4層がレヴィの『嫉妬の間』になっているので、アスの新しいフロアは5層に当てている。
それにしても5層はアスだけでなく、ベルのフロアにもなっている?
フロアに入ると、そこには――――大きなステージが中央に設置されていて、アイドル雰囲気のアスらしいというべきか、寧ろアスならアイドルと言っても信じるくらいだ。
「マスタ~!」
広いステージの上でアスが両手を振って、俺を呼んでいた。
一言でいえば……めちゃくちゃ可愛い。
衣装もいつもと違い、もう少し派手な格好で身体の周囲にピカピカと光が輝いている。
これぞ、ザ・ファンタジー! って感じだね。まあ、いまさらだけど。
ステージの上のアスがライブを始める。
人生初めてのライブなのだが、観客が俺しかいないから映像で見ていたライブとは雰囲気が全く違うんだな。
ただ、観客など構わないと、俺に向かって歌って踊るアスの姿は、可愛らしくも美しい。
全部で3曲だったようで、3曲を歌って「ご清聴ありがとうございました」と話す彼女に全力の拍手を送る。
それにしても――――ライブとは最高だ!
これからアスに定期的にお願いするとしよう。
「マスタ~☆」
「アス。ライブ素晴らしかったぞ」
「えへへ~」
「これから定期的に見たいモノだ」
「本当ですか!?」
「もちろんだ。ただアスが無理のない範囲でまた開催して欲しい。開催する時は俺も呼んでくれたら嬉しいぞ」
「もちろんです! マスタ~のためにこれからも開きます! 練習も頑張りますね!☆」
満面の笑顔の彼女の頭を撫でてあげる。
最近ベルに当たりが強いアスの柔らかい表情は久しぶりに見た気がする。
あれ?
「アス?」
「はい☆」
「その…………聞きにくいのだが…………このフロアの名前は『色欲
「あ~☆ あの羊は部屋で眠っていると思います★」
妹の事となると、黒いアス様が出てくる。
苦笑いを浮かべていると、ベルに案内するとステージから離れた場所に向かう。
このフロアもレヴィのフロアと同じく家が沢山並んだ街のような街並みだ。
広い街路を歩いて進めると、ひときわ大きな建物が出てきた。
建物の入口の両脇には、俺とアスの銅像が並んでいた。
中に入ると、メイド達が出迎えてくれる。
このメイド達ってレヴィのところからのメイド達か。
屋敷の中を進んでリビングに入る。
「ベル!?」
リビングの隣の台座の上に乗っているベルに驚いてしまった。
「ん……ねみゅぃ…………あるじしゃま?」
「あ、アス? あれは?」
「あの子の
いやいや……部屋というか…………檻じゃないか。
大型犬を入れるような檻の中に、ベルが蹲って眠っていたのだ。
起き上がったベルがつぶらな瞳で俺を見つめる。
「ベル? 大丈夫か?」
「あい。ベルは元気ですぅ……」
どこをどう見ても元気そうには見えないのだが、ベルはいつも眠い時はこんな感じなので、また夜になったら出回るかもな。
アスに屋敷を案内されて色々回ると、初めて知ったのだけどレヴィの所にも屋敷があって、屋敷はアス達の屋敷というより俺の屋敷だそうだ。
つまり、レヴィの所は一度もこない主人のための屋敷が、毎日メイド達によって清潔を保たれているらしい。
今度、アスの日とレヴィの日は彼女達のフロアの屋敷に行く事にしょう。
今日はこの屋敷で一晩過ごす事に決めた。
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