第51話 Dランクガーディアン

 農場が完成してから一か月。


 ここ最近の出来事に大きな変化はなく、平坦な平和が続いていた。

 ただここ最近の不穏な事として、王国から『グランドダンジョン』を狙う騎士団が少しずつ勢力を拡大しているそうだ。

 団長の良き部下だった者が、別な騎士団に入り、勢力を増やし、こちらにやってくるのもそう遠くない未来だとの事。


 それ以外は何もなく、最近では『グランドダンジョン』が1層と2層に分かれて誰でも食材を手に入れられると遠征までくる連中がいる程だ。

 しかし、ここで嬉しい誤算が生まれていた。


 ギブロン街の住民達は何故か『グランドダンジョン』のルールを絶対守っているのに対して、遠征組は大半がルール違反者が多くいた。

 その原因は分からないが、ギブロン街は元々貧窮だった事が原因じゃないかと分析している。

 まあ、そんな事はどうでもよくて、違反者が増える事で、ダンジョンのルールにより10点になる者が非常に多く出現した。


 そこで多くの『罪人』が出現し、『拷問の館』に大勢の罪人達が収監されダンポをどんどん増やしていった。




「遂にこの日がやって来たな」


 玉座の間に眷属達が集まり、少し緊張した面持ちで俺に注目している。

 それもそうで、今日は遂に集まった500,000ダンポを使う日なのだからだ。


「では、Dランクガーディアン生成を行う」



【ダンポ500,000を使用し、Dランクガーディアンを生成します。】



 久しぶりのガーディアン生成。

 レヴィ達と同じく、正面に黒い霧が現れる。

 霧の中からはレヴィ達のような圧倒的な雰囲気は全く感じない。


 そんな霧も少しずつ消え始め、中から現れたのは――――――




「ねみゅぃょ…………」




 頭にはヤギの角に似た角が綺麗にまとまっており、短い金髪の中、目は既に眠そうで開いてすらいない。

 そんな彼女は小さく丸まって――――その場で寝始めた。


「ベル! 起きなさい! 主様の前よ!」


「ん……ねみゅぃ…………あるじしゃま……?」


 眠たそうな目が小さく開く。

 中からは美しい金色の瞳が覗け、目と目があった。


「あるじしゃま…………ねみゅぃ…………」


「お、おう」


 何というか、反応に困る。


「寝てもいぃ?」


「うむ。ただ、そこで寝ると風邪を引く」


「ん。あるじしゃまのとこにいくぅ……」


 そう話した彼女は、目にもとまらぬ速さで俺の膝の上に瞬間移動の如く現れた。

 眠いのにこんな早いのか…………全く見えなかったぞ?


「はぁ……主様。ベルは眠さのあまり、近距離瞬間移動まで身に着けたのです」


 お、おぉ……寝たい一心で瞬間移動を身に着けるとは。余程寝たいんだろうな。

 せっかく俺の膝の上に来た彼女の頭を撫でてみる。

 ふわふわした金髪が揺れると、気持ちよさげに寝息を立て始めた。


「主様……ベルが大変申し訳ございません。必ずや教育致します」


「良い。俺はレヴィ達に何かを強要するつもりはない。ベルにはベルの好きなようにさせたいと思う」


「かしこまりました」


「アス」


「はい☆」


「すまないが、以前約束していたアスのフロアの件だが、もう少しだけ待っている間にベルの世話を頼めるか?」


「…………」


 いやいや、そのゴミムシを見るかのような目線でベルを見ないで!? めちゃくちゃ怖いよ!?


「こほん。アス」


「あら★ 私とした事が★ 今すぐに羊のお肉にしてやりたくなってしまいました★」


 声がああああ!? マジのトーンでそれはやめて欲しいかも…………アス様怒ったらめちゃくちゃ怖い。俺覚えた。

 それはそうと、ベルは小さな女の子なのだが……その…………どうして胸がこんなに大きいのか。

 びっくりするくらい巨乳で、自身の身体の半分くらい……は言い過ぎだけど、それに近いサイズの二つのメロンが付いている。

 レヴィと良い勝負出来そうかな? まあ、見た目が子供なのでそういう欲求はないがな。


「ご主人様?」


「ん? どうした。アメリア」



「えっと、本日は――――――ベル様だけに致しましょうか?」



 アメリアのあまりにも突然な言葉に、一瞬頭に?マークが沢山飛んでしまった。


「ベルは子供なのでは……?」


「えっ? ベル様は子供じゃありませんよ?」


「へ?」


「主様。我々ガーディアンは全員成人しております」


 ええええええええええ!?

 ベルってこんな小さな身体をしているのに成人しているのか!?


 思わず息の吞んでしまった。


 ベルの……メロンか。


「い、いや、それは…………」


「あるじしゃま……私、がんばるぅ……」


 うわああああああああ!




 ◆ ◇ ◆ ◇




 俺は威厳あるマスターだと思っていた。

 なのに…………これじゃただのじゃねぇか…………。


 視線を下に向けると、俺の俺を挟んで一生懸命に目を輝かせているベル。

 普段は眠そうなのに、夜は目が覚めるタイプらしい。


「あるじしゃま? 気持ち良いですかぁ?」


「う、うむ。素晴らしい」


 ああ。素晴らしいとも。

 比較するのは良くないが、ここは敢えて比較するとしよう。


 相手はレヴィ。


 レヴィとベルはサイズこそ同じメロンなのだが、一番の違いはその弾力だ。

 レヴィのメロンは程よい弾力があって、ボールのように反発力があって、とても素晴らしい。

 それに対してベルは、反発力がほぼない・・・・

 まるでマシュマロのような彼女のメロンはそれはそれで素晴らしさを感じる。

 天国のようで、雲の上で寝転がっている感覚だ。


 久しぶり(?)に快眠だった。

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