第47話 眷属強制成長のデメリット?

「ご主人しゃまぁ……♪」


 俺の前に色っぽい表情を見せるリース・・・


 どうしてこうなった…………。


 眷属達に『眷属強制成長』を施して、最後にアメリアの妹弟達に『眷属強制成長』を施した時に問題が起きた。その問題とは…………。


「ご主人様~? どうかなさいましたか?」


「ご主人様……大好き……」


 俺の両腕と後ろから抱き抱えているのは、アメリアの妹達で、二女のマリ、三女のリース、末っ子のアリーの3人だ。


「さ、三人とも。それほど身体をくっつけるでない」


「ご主人しゃま……私達は力不足なのですね……」


「そ、そうではない。君達もアメリアと並べるほどに美しい。が、君達はまだ成年だろう?」


「いえ? 私達はもう大人・・です~」


 リースが言う通り、彼女達は現在大人・・になっているのだ。

 俺が彼女達に良かれと思って施した『眷属強制成長』。

 この力にはとんでもないないデメリット・・・・・が存在した。




 そのデメリットとは――――――相手が未成年の場合、強制的に大人に成長させるという事だ。




 彼女達は元々可愛らしい姿だったのだが、『眷属強制成長』によりすっかり大人びた身体付きとなり、年齢もこの世界での大人である15歳に引き上げられたようで、常識インセインを手に入れたようだ。

 そんな彼女達は真っ先に俺に身体をくっつけてくるのだ。


「あ、アメリア……」


 俺は困った表情でアメリアを見つめる。しかし、そんなアメリアは既に目がハート状態に変わっていて、なまめかしい視線を送っていた。


「ご主人様。妹達を末永くよろしくお願い申し上げます」


 違うだろおおおおお!

 そこは妹達はまだ成人したばかりなんだから、引き止めるべきだろうおおおおお!

 こ、このままじゃ…………。


「あ~♪ ご主人しゃま?」


 リースが俺の俺を見て、嬉しそうに反応を見せる。


 うわあああああああ!

 俺の俺よ! なんで反応しているんだい!?

 そこは男として威厳を――――うわああああ! そんな元気な威厳じゃなくてだな!


「ご主人様。大好き」


 アリーぃいいいいいい、そのくっつけ方は反則というか、もう我慢の限界というか…………。




 あっ。




 ◇ ◆ ◇ ◆




 いいのだろうか。いや、もう済んだ事だ。気にしても仕方がない。

 彼女達3人とも、大人になったのだ。元々未成年だったとしても、今はすっかり大人に変わっている。


 そう。だれが何と言っても彼女達は大人で間違いない。


 ベッドで眠っている彼女達を後にして、外に出て来ると、釣場から聖水用に水を汲んでいる眷属達が見える。

 以前は少し重そうに汲んでいた彼女達もすっかり成長した能力で、軽々と汲んでいるのはとても良い事だと思う。

 それにしても、あの聖水。本当に効力・・が抜群だな。

 あの水で作った料理には回復能力が付与されているようで、色々元気になれる気がするし、最近アメリアが作ってくれる魚料理が美味しくて、普段よりも食事量が増えたのか、夜の元気も毎日尽きないくらいにはなって来た。


 それにしても……これからも彼女達を相手する事になるのだろうか……。


「ご主人様。おはようございます~」


「アメリアか。おはよう」


 という事で、3人だけにしてくれたアメリア。彼女がとても嬉しそうに近づいてきた。


「ご主人様? 妹達はいかがでしたか?」


 い、いかがもなにも…………。


「うむ。最高だった。さすがはアメリアの妹だ」


「ありがとうございます! これからも私達姉妹をいつでも使ってくださいませ」


 つ、使う…………。


「うむ」


 うむじゃねぇ~!


「それはそうと。アメリア。一つ楽しみがある」


「はい? 何でしょう」


「うむ……少し言いにくいのだが、毎晩の事はレヴィ達と相談しているのだろう?」


「毎晩……はい。そうでございます」


「これから相手の事は、全てアメリアに任せる」


「っ!? わ、わたくしにですか!?」


「ああ。アメリアは俺の事を思って料理を頑張ってくれている。レヴィ達は彼女達なりに忙しい。それを手助けして貰いたい」


「かしこまりました。その大事な任。必ずや毎日充実したモノにさせていただきます」


「うむ」


「えっと、それについてなのですが…………全て・・任せて頂いてもよろしいんですね?」


 何故に全てを強調するのか分からないが……。


「うむ。全てだ」


 そう話すとアメリアがまた凄い表情で笑う。

 申し訳ないが、こんな笑顔、誰かに見せたくはないな。独り占めしたいくらいだ。


「かしこまりました。ご期待ください」


「う、うむ」


 アメリアさん? ちょっと気合入れすぎじゃないか?

 まあ、これで普段戦えないアメリアにも活躍の場を与える事で、自信を持って貰えるようになるだろう。

 レヴィ達もこれには納得してくれるはずだ。それくらいアメリアの普段の頑張りを認めているから。


「弟達はどうだ?」


「はい! シャーロット様に剣術を教わって、どんどん強くなっております! すぐにご主人様のお役に立つと思います!」


「そうか。そういえば、シャーロットには何も任せていなかったな。シャーロットは剣術を教えているのか?」


「はい。せっかくレベルが上がり強くなった我々ですが、ステータスだけ上がってもそれを使いこなせなかったら意味がないと、シャーロット様がみんなの稽古を付けております」


「ふむ。よかろう。シャーロットには人事を任せよう」


「!? シャーロット様もきっと喜びます!」


「そうだな。アメリアもシャーロットもレヴィ達を陰ながら助けてくれで、良い働きだぞ」


「ありがとうございます!」


 アメリアを通して、団長とアメリアの地位が眷属達に知れ渡る事となった。


 これを機に、レヴィとアスは守護眷属として最上位管理職なのは変わらないが、その下に上位管理職として『秘書アメリア』と『将軍シャーロット』が設けられ、眷属達を組織化し始めた。


 その次となる中位管理職として『釣場管理人リース』、『生産管理人マリ』、『清掃管理人アリー』が制定された。

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