第46話 眷属強制成長の分析

 - 眷属強制成長を獲得しました。次のボーナス獲得はダンジョンポイント2,000,000です。-



 意外にも次の条件も教えてくれるんだな?

 予想通り1,000,000ごとにボーナスを獲得出来るのかも知れない。

 ただ2倍ずつ増えていく可能性もあるが、それは次のボーナスを獲得してから悩む事にしよう。


 はてさて、眷属強制成長を獲得したのだが…………目の前の4人がキラキラした目で俺を見つめているな。


「こほん。無事『眷属強制成長』を獲得した」


「「「「おめでとうございます!」」」」


 4人っていつも息ぴったりだな……。

 まさか練習でもしているのか……?


「では早速試してみよう」


 4人が一斉に俺を見つめる。

 あまりの速さに一瞬びっくりしてしまったが、全員が真剣な目で俺を見つめる。


「どういうモノか分からないからレヴィの眷属の中から――――」


「主様! それならわたくしが!」


「マスタ~☆ 最初は私が生贄に!」


「ご主人様。私ならいつでも心の準備が出来ております」


「ご主人様! 私もご主人様のお役に立てたいです!」


 4人が一斉にそれぞれの想いを口にする。が、一斉に言って何を言っているのかよく聞き取れなかった。

 ただ、少なくとも4人もこの力の対象になりたい事だけは分かった。


「分かった。ではいつも一番の働きをしてくれている――――」


 みんなの表情に緊張が走る。


「全員に試してみよう」


 一瞬の緊張だったけど、俺の言葉でみんなが安堵した表情を見せる。

 それにしても、この4人はというか眷属達はどうも『初めて』を貰いたがる気がするな。

 俺としては順番なんてあまり気にはならないのだが……特にこういうモノは4人を出来れば後回しにしてデメリットがないのを確認して安全に使ってあげたいのだが…………どこの世界でも一番や一番目の需要は高いのだろうな。

 手を前に出して、4人同時・・に『眷属強制成長』を付与した。

 特に大きなエフェクトが出るわけでも、アナウンスや天の声さんが言ってくれるわけもない。

 ただ一つ大きな変化点を目のする事が出来た。


 ダンジョンマスターのレベルが2から3になって、一つ増えた能力がある。

 レベル1の時は、モニターに映る人物のレベルが表記されていた。レベル2になった時、才能が表記されるようになった。

 そして、レベル3になった時、とある数字が表記されるようになった。その数字が何なのかは分からなかったが、強い人は高く、弱い人は低い数字だったことから、その人の強さを数字で表しているのだと予測している。


 目の前のレヴィとアスは元々6,000と表記されていて、団長は1,700、アメリアは325だった。

 今回強制成長を与えた4人の数値は、レヴィとアスが12,000、団長が4,200、アメリアが1,800となった。


 まず、眷属強制成長による成長は、倍率で強くなるのではない事が知った。その一番の理由。それはレベルである。


 まずレヴィとアスは元々レベル300・・・だった。これはダンジョンマスターレベルが3になった時、二人のレベルが200から300に上がっていた。

 以前レヴィが守護眷属の強さはそれぞれで変わらないと言っていたが、彼女達は俺のダンジョンマスターレベルで一緒に強くなれるんだと思われる。

 そんな彼女達が眷属強制成長で増えたレベルは0だ。

 300のままだったのだが、強さを知らせる数値が6,000から12,000と2倍も上昇している。


 次は団長は元々レベルが130だったのが、眷属になってから150まで上がっていた。それが今は300に上昇している。その甲斐もあってなのか1,700から4,200に上昇している。


 アメリアは元々レベルも低く、強さの数値も低かったのだが、一気にレベルが300となり数値も大幅に増えた。


 ここで一つ仮説が確定となった。

 眷属強制成長はレベルを強制的に最大値にあげられるのだ。ただ、最大値はあくまでダンジョンマスターレベルに比例するんだと思う。それは守護眷属の彼女達のレベル上昇で確信を得ている。

 つまり、今の俺はダンジョンマスターレベル3だから眷属達の最大レベルは300となるのだろう。


 次にレベル300でも強さを表す数値がそれぞれ違う。

 守護眷属達は12,000と非常に高いのに比べて、団長は4,200、アメリアは1,800だ。


 この数値は一体何なのか。

 モニター・・・・を見ているだけでその数値の秘密を知る事が出来た。

 その原因となったのが、モニターに映る俺自身・・・の数値だ。

 これはレヴィ達の数値を確認するために、玉座の間をモニターで映していて気づいたことだ。

 俺の頭の上に映っている数値が19,980と書かれている。

 俺のレベルは既に999なのだが、そこから19,980となる数値ってどこかなと調べてみると、体力と魔力はそもそも強さとは少し違うと思われる。

 そこで、身体能力と魔法能力か9,990なのを加味すると、表記される強さは身体能力と魔力能力を足した数値だと思う。


 そこで今回の眷属強制成長でレベルが300に引き上げられた団長とアメリア。

 団長は元々人間界隈では非常に強い人物で、才能も『剣聖』と書かれているから、普通の人よりもずっと強いのは間違いない。

 アメリアの場合『器用』と書かれてて、この二人を比べた時、間違いなく『器用』より『剣聖』が戦闘・・に関しては強そうなのは明らかだ。

 『剣聖』ともなれば、魔法能力より身体能力の方がずっと高いと思われるから4,200の中でも身体能力3,000と魔法能力1,200とかに分かれているのかも知れない。

 アメリアの場合、レベル300でも身体能力が1,500、魔法能力300とかなのではないだろうか。


 そして、もう一組の守護眷属組であるレヴィとアスだ。

 二人は元々レベル300の数値6,000だった事から、身体能力と魔法能力が3,000と俺と同じ倍率だと思われる。

 そこに眷属強制成長を付与する事で、レベルはそのままだが倍率が10倍から20倍に増えて、身体能力と魔法能力がそれぞれ6,000に上昇し、強さの数値が12,000になったと思われる。


 以上の二組の事実から予測するに、眷属強制成長がもたらすのは、まずレベルを最大値に上げる事。これは俺のダンジョンマスターレベルが上昇すればするほど、みんなのレベルも上がると思われる。

 二つ目は、能力ステータスの倍率上昇だ。これも才能によりけりで最大2倍まで上昇するが、上昇率は固定されていないと思われる。




 4人のおかげでデメリットはなく、分析もある程度出来たので全ての眷属達に『眷属強制成長』を施した。


 その時、俺が想像だにしなかったデメリット・・・・・が発現する事となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る