第45話 ボーナス(三人称視点あり)
◆ギブロン街の南のダンジョン◆
「あらあら~ぞろぞろと…………我が主様の地を汚い足で踏み入れようとは! 決して許されないぞ!」
レヴィの怒りの籠った声が響くと、目の前の魔物が数十匹の
「主様から新しく授けてくださった力ならば、貴様らなんぞ触れる事すら必要はない」
そう話すレヴィが魔物の群れに向かってゆっくり歩いて行く。
彼女の宣言通り、目の前の魔物達は次々その頭を切り落とされ倒れ始める。
そのまま魔物の屍を乗り越えてダンジョンの奥地を目指す。
4層となるダンジョンの最奥には
「ちっ! 我が主様の玉座以外の玉座などただのごみ椅子! こんな低俗ダンジョン如きにこんな玉座など似合わないわ!」
怒るレヴィの右手からどす黒い魔力の玉が放たれて玉座にぶつかった瞬間、玉座どころか周囲の全てを飲み込む大爆発が起きる。
もちろん、レヴィ自身も爆発に飲み込まれた。
◆ギブロン街の北のダンジョン◆
「あは~♪ 汚らわしい~♪」
アスは目の前に繰り広げられる魔物
スタンピードを起こしたはずの魔物達は、なぜか同士討ちを始めたのだ。
「全く~うちのマスタ~の地を勝手に攻めようだなんて~許されると思うの?★」
段々と目の笑みがなくなり、視線だけでも魔物を殺せそうなアスの瞳が魔物達に冷たく刺さる。
数分間、同士討ちを繰り返した魔物達は、その場で全滅する事となった。
アスはそんな屍を乗り越えて奥地を目指す。
彼女が辿りついた6層の最奥には、美しく光り輝く玉座が置かれていた。
「はあ!? 玉座だと!? ふ、ふ、ふ、ふざけるなああああ! 我がマスターだけが持つ事を許される玉座を貴様のような低俗なダンジョンが所有しているなんて、許されるはずもない! 貴様ら全員今すぐ消し飛ばしてくれる!」
怒り狂うアスの全身から禍々しいオーラが立ち昇る。
次の瞬間、ダンジョンそのものが
「あは~♪ 私ったら、マスタ~の事を思って興奮してしまった☆」
ただアスの声だけが
◇ ◆ ◇ ◆
- 眷属によるダンジョン攻略を確認。相手のダンジョンが消滅され、『グランドダンジョン』のダンジョンポイントとなります。ダンポ250,000を獲得しました。-
- 眷属によるダンジョン攻略を確認。相手のダンジョンが消滅され、『グランドダンジョン』のダンジョンポイントとなります。ダンポ300,000を獲得しました。-
- 眷属によるダンジョン攻略を確認。相手のダンジョンが消滅され、『グランドダンジョン』のダンジョンポイントとなります。ダンポ350,000を獲得しました。-
連続して頭の中に声が響く。
どうやらスタンピードの対策が終わったようだな。
それにしても、相手のダンジョンが消滅されたという事は、もう向こうダンジョンが存在しなくなったと認識していいのかな?
【眷属がダンジョンを攻略した場合、相手側のダンジョンが消滅し、ダンポが獲得出来ます】
ふむ。間違いなさそうだな。
今回は3つのダンジョンが終わって、数値が違うのは恐らくダンジョンの強さなのだろう。
合計900,000もの凄まじい量のダンポが一気に手に入った。
- 獲得ダンジョンポイントが1,000,000を超えました。ボーナスが与えられます。好きなボーナスを選んでください。-
ん? ボーナス?
- ①眷属強制成長、②眷属視界共有、③眷属音声共有、④眷属連携転移、⑤眷属スキル共有 -
5つのボーナスの中から1つ選べるのか。
今までの経験から、これらのスキルは最終的に全て手に入ると思われる。
今回百万ポイントを手に入れたから、これから百万ごとに貰えるかも知れない。
それぞれの内容が知りたい感じだな。
【眷属強制成長は成長率を最大に引き上げます。その際年齢が強制的に引き上げられる事もございます。眷属視界共有は指定した眷属の視界をモニターに映す事が可能となります。眷属音声共有はマスター及び全ての眷属同士で距離関係なく声を共有する事が出来ます。眷属連携転移はマスター及び眷属同士が距離場所関係なく隣に転移出来ます。眷属スキル共有は眷属が所有しているスキルが全てマスターも獲得し、マスターが獲得しているスキルの適正がある眷属にスキルを付与する事も出来ます】
5つの詳しい説明は非常にありがたい。
天の声さんの言う通りなら、少なくとも
そう考えると5つ全てが間違いなく同列に素晴らしいボーナスで、どれかを選択するのは非常に難しい。
レヴィ達が帰って来て、他の4人の意見も聞こう。
◇ ◆ ◇ ◆
「敵を殲滅して参りました」
レヴィ、アス、団長、アメリアが俺の前に跪く。
「ご苦労様。今回のお前達の働きは俺の理想以上の物だった」
「あ、ありがたき幸せ!」
ギブロン街の失敗からレヴィ達にはどこか元気がなかったけれど、今回の一件で頑張ってくれた4人だからこそ、自分に自信を持てるようになって欲しい。
「お前達の働きによって今回大きな収穫があった。それもあって相談したい事がある」
俺はボーナス5つについてレヴィ達に説明をした。
各々が思うボーナスについて話して貰う。
「主様。私は眷属強制成長を勧め致します。理由としましては、主様が選ばれた眷属達を強化させることがこれからのダンジョン防衛にも大きな力になると思います。そこらへんの雑魚どもがここまで来れるとは全く思いませんし、私とアスがいますが、守る力はいくらあっても良いと思います」
ふむふむ……レヴィの言う通りだな。
「マスタ~☆ 私もレヴィと同じ意見です☆」
「ご主人様。私も同じ考えでございます。それこそギブロン街で働いている眷属達も以前のような悔しい思いをしなくても済むかも知れません」
「ご主人様! 私も同じ意見です! 弟達がご主人様の役に立てなかったと悔し涙を流しました。これからもご主人様の役に立てるようになりたいです!」
そうか……俺の眷属達はそういう事を思っていたのだな。
俺からすれば、既に全員がよく働いてくれているし、ギブロン街の事件も元を正せば俺が任せっきりにしてリスクアセスメントをしっかり考えなかったのが原因だ。
ただ、現実は眷属達に悔しい思いをさせてしまった。それを回避出来るかも知れない。
「分かった。お前達の意見はしかと受け入れた。だが一つだけ伝えておこう。俺はお前達の働きに不満を感じた事は一度もない。みんなそれぞれよく働いてくれている。これからもみんなには期待しているぞ」
「「「「ははっ! ありがたき幸せ!」」」」
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