第37話 決意(三人称視点あり)
※非常に残虐な表現が多く使われております。苦手な方は飛ばして読む事をおすすめします。開始までの行を多くしております。(後半に普通の話が続きます。苦手な方は下にスクロールしてくださるとまだ行が多い所がございます。そこから下に下げて頂けると、普通の話から読めます)
※前話で街のトップが「死んでいない」と主人公のセリフがありましたが、あれは「死んで居ない」のつもりで誤字です!まったく気が付かずすいませんでした!(現在は死んでいるに変更)
◆嫉妬の間、拷問の館◆
「や、やめてくれ! もう殺してくれ!」
男の叫びも空しく、目の前に大量の
起き上がった男に、虫達が
男の穴という穴を掘って入る虫達に男は声にならない叫びを続けるが、大量の虫は止まる事なく、男の全身から中に入って行く。
数分後、身体の中から全ての虫が出てくる。
体内からの激痛を感じながら、気を
虫が全て出て来て、ほんの一瞬の安寧がやって来る。
全身が黒い光を発すると、ここまで負っていた傷が全て
「いやだ……またあの痛みはいやだ…………許して……ごめんなさい! ごめんなさい! ごめん――――許して! ぎゃあああああ」
また始まる地獄に、男はただ泣き叫ぶしか出来なかった。
「お、おい……やめてくれ!」
「仕方ないんだ! こうしないと!」
目の前に剣を持った二人はお互いを倒そうとしている。
そんな二人を見ているのは、巨大な花の化け物である。
「このまま時間が経てば、俺達二人共やられるんだぞ!」
「う、うわああああ!」
二人は手に持った剣でお互いを斬り始める。
最終的に片方の男が剣をその手から落とした。
「い、いやだあああああ!」
すぐに反応した花の化け物は、触手を伸ばし剣を落とした男を引っ張り込む。
「許してええええええ! もうしないから! まともな人間になります! お願いします! 神様ああああああ」
その姿を見ながら涙を流しながら跪きながら震える男は、手に持った剣は決して手を離さずにいる。
この植物は剣を
ただ、二人が剣を持っているとある程度時間が過ぎたり、逃げようとすると反応を示す。
花に捕まった男の四俣を広げられる。
その触手には鋭い棘が付いている。
そして、触手は容赦なく、男の下部を貫く。
部屋中に響く男の叫び声。
数分続くと、ようやく解放された男の身体に黒い光が纏うと全身が元通りに戻る。
一瞬の安寧があるが、すぐに剣を拾わなければ、また絶望が訪れるのだ。
二人の男がまた泣きながらお互いに剣を握り対峙する。
次は自分の番にならないように。
「お、おい! 押すなよ!」
「仕方ないだろう! 俺の立てる場所も少ないんだよ!」
彼ら4人は湖の中央に設置された狭い場所にギリギリ立っていた。
少しでも押せば、すぐに下に落ちる仕組みになっている。
彼ら立っているいる地面はほんの少しずつ縮み始める。
「お、押すなよ! くそがああああ」
「てめぇこそ先に落ちろおおおおお」
狭い地面が少しずつ狭まっていくと焦った二人が喧嘩を始める。
その喧嘩に巻き込まれて他の二人も地面から足を滑らせ湖に落ちた。
「ちくしょおおおおお、いやだああああああ!」
「てめぇ! 許さねぇええええええ、いやあああああああ!」
落ちた4人全員の足を掴む感覚が伝わる。
そして、ここから続く地獄を思い出した4人は最後の叫ぶが、すぐに声が全く聞こえてこなくなる。
彼ら全員を湖の中に引きずられたからである。
そこから数分間、水の中で息も出来ず、全身激痛を感じながら死ぬことも許されず、数分後に最後狭い地面に戻される。
彼らの全身に黒い光が包むと、何もなかったように元通りの身体に戻る。
「押すなよ! てめぇが始めたから落ちたんだぞ!」
「あのままだと俺が落ちたんだよ!」
「お前だけ落ちろよ!」
「お、おい! 喧嘩するんじゃねぇ! 休息が終わ――――」
またもや喧嘩する二人に巻き込まれて、4人が湖に落ちる。
そして、また地獄のような時間が訪れるのであった。
◇
「主様」
「レヴィか」
「ゴミクズ共の拷問の館は正常に運営されております」
「そうか。レヴィよ。あれはどういう仕組みなのだ?」
「はっ。わたくしが持つ『幻覚の力』で幻を見せております。地獄のような
「そうか。よくやった。レヴィ」
「はっ! 至高の幸せでございます! このレヴィの失敗を許してくださった主様の期待を裏切らないように、これからも精一杯主様に仕えさせて頂きます!」
「そうか。あれはレヴィのせいではないが、責任者として責任を感じるのは仕方のない事。レヴィ。これからのお前の活躍を期待しているぞ」
「はいっ! ありがたき幸せ!」
レヴィにはあまり気に病まないで欲しいのだが、どうやらあの店の責任者としての責任を感じているそうだ。
感じなくて良いと何度も説得したのだが、一向に聞いてくれない。
となれば、ここは一つ、これからの彼女に期待する事で、彼女自身が納得出来ればなと思う。
「マスタ~☆」
「アスか」
「はい☆ 例のピックアップのリストでございます~★」
レヴィ程ではないが、アスも今回の件でとても怒っていた。
普段はあまり聞かない怒りが込められた声がそれを証明している。
「ご苦労。――――アス」
「はいっ」
「レヴィは今回の失敗でより一層頑張ってくれるだろう。アスも彼女の応援を頼むぞ」
「はい★ 私も今回の件は沢山の反省点がございます。元を言えば、私がレヴィを連れ帰ってこなければ、こういう事にはなりませんでしたから」
「…………そればかりは仕方のない事。だがアスやレヴィが言う通り、対策を疎かにしていたのは事実だ」
「「はっ」」
「これからは対策に手を抜かないように。俺が命令した『人族とは出来るだけ敵対するな』という命令は、これから撤廃する」
「「かしこまりました」」
実は店を出すに当たって、俺は一つ命令を下している。
――――「人族とは出来るだけ敵対するな」。
それは俺が前世で人間だったからである。
どこかこの世界でも同じ人間として接したい、同じ人間として分かり合いたい、同じ人間として手を取り会いたいと思っていた。
だが、現実はそう優しくなかった。
俺自身の勝手な思い込みで下した命令が、眷属達を傷つけたのは間違いない事実。
もし、それがなければ、あの場にもっと強くて圧倒的な存在を護衛として置いておくのだが、そのような存在がいると、ギブロン街の人達と向き合えないと思ったからだ。
だから、最低限の護衛でセーラとアメリアの弟達だけに止まらせたのが、このような結果をもたらしたのだ。
それは言わば、俺の怠慢だ。
こんな事が起きるはずがないと、高を括っていた怠慢だ。
もう二度とこのような事は起こさない。
俺が出来る事は全て施すと誓おう。
「レヴィ。アス。これからも俺に付いてこい!」
「「はっ! お供します!」」
この時。
俺が決意を固めた傍で、こちらにまた大きな悪意が向いているとは思いもしなかった。
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