第29話 アスのご褒美
初めて団長の料理がテーブルに並んだ。
アメリアの料理はどちらかと言えば、繊細な味をしていて、どれも美味しいと思う。
それに比べてしまうと、団長は数段落ちる。が、アメリアの味とは違い、少し味が濃い目で、時にはそれがまた美味しいと感じる。
特に肉類に関しては、アメリアが作った料理よりも団長が作った料理の方が美味しい。
そして、遂にその夜がやって来た。
「マスタ~」
相変わらずのアイドル服装で俺の部屋に入ってくるアス。
アスは迷うことなく、真っすぐ俺の膝の上に座り込んだ。
少し恥じらいながら上目遣いのアスに今にも理性が崩壊しそうになる。
「マスタ~私…………」
ああああああああああああああああ!
こんな我慢など無理に決まっているだろうが!
彼女の細い腕に握り、唇を重ねる。
今までの俺では想像も出来ないくらい、自分が積極的になったと思う。
アスは決して拒むことなく、数十分もの間、ずっと唇を重ねた。
少し荒れた息遣いにますます興奮が覚めない。
衣装を一つ一つ脱がし、彼女の可愛らしい彼女と対面する。
彼女は自らの手で俺の手を誘う。
既に淫らな声を出していて、普段の可愛らしいアスだからこそ、そそるものを感じざるを得ない。
俺は時間を忘れ、無我夢中でアスと濃厚な夜を過ごした。
◇ ◆ ◇ ◆
おはよう世界。
素晴らしき世界、おはよう。
またこのセリフを言える日が訪れようとは。
あ~ダンジョンマスターになって良かった~。
あのまま普通の冒険者にとかになってたら、依頼に振り回され、まともにお金も稼げず、食事すらままならなかったと思うと、ぞっとする。
それよりも、レヴィ、アス、アメリアに会えなかったと思うと、それが一番ぞっとするな。
「ますたぁ……」
隣で物欲しそうに上目遣いの可愛らしくも儚げなアスが唇を求めて来る。
拒む理由など、どこにもないのだ。
「アス? 疲れてはいないか?」
「大丈夫~☆ 私はマスタ~の沢山頂きましたから~☆」
沢山頂いたという言葉に顔が熱くなる。
「う、うむ!」
「えへへ~☆ マスタ~」
「うん?」
「アスならいつでもいいので、いつでも呼んでくださいね~☆」
「お、おう」
はい!
そうさせて頂きます!
アス様!
◇ ◆ ◇ ◆
すっかりお昼の時間になっていたので、アスと一緒に食堂に入る。
厨房にはアメリアと団長が楽しそうに料理をしていて、テーブルにはレヴィがぼーっと座って二人を見つめていた。
「ご主人様!」
真っ先に声をあげてくれるアメリアが、天使のような笑みを浮かべて喜んでくれる。
隣にいたアスがレヴィの豊満な身体に抱き付くという、珍しい光景も見れた。
テーブルに座るとすかさずレヴィとアスが俺の両側にピッタリくっつくほど座り込む。
くっ……近い…………良き。
レヴィの豊満なモノとアスの控えめだがしっかり存在を強調しているモノが両腕に触れていて、昼から幸せな気分になれる。
暫くそんな幸せタイムを満喫していると、アメリアと団長が美味しそうな食事を運んできた。
「お!? これは――――ハンバーグか!?」
目の前に置かれる美味しそうなお肉から肉汁が溢れている。
「はい! 男子はこういうのがとても好きだと書かれておりましたから、頑張って作ってみたんです!」
「うむ。とても美味しそうだ。では頂くとしよう」
「「いただきます~」」
レヴィとアスも食べる前には必ず挨拶をする。
いくら部下だとは言え、こんなに美味しい料理を作れるのはアメリアだけだからね。
ちゃんとお礼を言いながら食べるのが礼儀というものだ。
久しぶりのハンバーグに箸を入れる。
程よい弾力はあるが、箸でも切れるほどの柔らかさで、割れた肉断面から肉汁が皿全体に広がるほどに溢れてくる。
さらにふんわりと香るハンバーグの美味しそうな香りが食欲を一気にそそる。
隣のレヴィとアスは俺が食べるまで待っているし、作ってくれたアメリアと団長がワクワクした表情で見つめる中、ハンバーグを一口食べた。
「ん!? う、う、う」
「「「「う?」」」」
「美味すぎるぞ!」
思わず感動して涙するほどの美味しさに声を上げると、二人とも嬉しく笑顔を浮かんでくれる。
レヴィとアスも食べ始める。
「ん! 美味しい☆」
「とても美味しいですわね。――――アメリア」
「はいっ!」
「今後も定期的に主様に提供するように」
「はいっ! 頑張ります!」
う、うむ!
是非とも頑張って貰いたい!
毎日アメリアの料理だけが楽しみだからな!
…………最近はもう一つの楽しみが増えた気がするけど。
アメリアと団長も自分達の分を持って来て、5人で仲良く食事を取る。
食事を終えると、入れ替わるように妹弟達が食事を取るので、俺はレヴィとアスと一緒に3層に向かった。
◇ ◆ ◇ ◆
「レヴィ」
「はい! 主様」
自信たっぷりで答えるレヴィ。
俺達の前には俺の大きな銅像と、その前に祈りを上げている女達が見えていた。
「これは一体なんだ……?」
「うふふ。これは偉大なる主様を讃えるためでございます!」
「そ、そうか…………」
…………ん?
俺ってこういう顔をしているのか?
そう言えば、転生して数か月。
自分の姿形も見た事ないな。
服装は、気付けばスーツのままだ。
「レヴィ」
「はいっ!」
「ここに鏡はあるか?」
「ございます! お持ち致します!」
レヴィが一瞬で消えて、すぐに現れると手に小さな鏡を持って来てくれた。
渡された手鏡を覗く。
そうか。
これが今の俺の顔なんだな?
前世とはあまりにも違い過ぎる顔で、漫画とかに出てきそうな金髪の爽やかなイケメンだ。
金髪なのも気づかなかったな。
それにしても、あまりにもイケメン過ぎないか?
本当にどこかの王子様と言っても信じるくらいだ。
「マスタ~☆ とてもかっこいいのです☆」
「主様の世界一かっこいいです」
自分の容姿について、こう言われた事はないのだけど、こんなに可愛い女の子にかっこいいと言われるのは、意外と悪くない。
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