第27話 アメリアの奉仕(男騎士視点あり)

 ◆男騎士◆


 どうしてこんな事になったんだろう…………。

 団長は我が国でも1、2を争うほどの騎士だ。

 なのに、あの団長ですら手も足も出ず、ダンジョンに住み着いた魔人に一瞬でやられた。

 本当に彼女が魔人なのかは分からない。

 ただ、一つだけ間違いないのは、魔人なんかと比べられないほどに残酷で恐ろしい存在という事だ。

 俺は彼女のゲームに当てられ、この手で多くの民間人を殴り飛ばした。

 本来なら到底許されるはずがない。でも団長を救うために…………俺は勝ち進めるしかなかった。

 このゲームが全て終わり、俺達が生き残る事が出来たならちゃんと謝ろう。

 その時に何度も蹴られようがちゃんと応えよう。

 だから…………今だけは、俺達の前を防ぐ彼女達を殴ってでも進めるしかないんだ。




 ◇ ◆ ◇ ◆




 男騎士達は嫉妬の間を走り回り、自分達の前を塞ぐ女達に手をあげ、家を一つ一つ探していく。

 モニターを動かして確認したけど、アスは約束通り嫉妬の間の至る場所に計3か所に『ポーション』というやらをテーブルの上に置いていた。

 それにしても、あんな『ポーション』とやらをいつ用意したのか。


 その時。


「ご主人様~?」


 扉から可愛らしく顔を出すアメリア。


「う、うむ。どうした?」


「おやつを作ったのでお持ちしました!」


 明るい彼女の返事に、心が少し癒される。

 彼女が小走りでこちらに走って来て、大事そうに抱えた黄色い物体を俺に渡した。


「これは、クレープか?」


「はい! 出来も良かったので、とても美味しいと思います! ぜひ召し上がってください!」


「そうか。ありがとう」


 渡されたクレープに噛みつく。

 口の中に広がる甘い香りと味が、生きている幸せを感じさせてくれる。


「ご主人様? なにか心配事でもございますか?」


「う、うむ。心配事ではないが、アスの遊びがな」


「アス様?」


 アメリアに嫉妬の間のモニターを見せる。

 そこには家の中に置かれている『ポーション』を探すために、扉を塞いでいる泣いている女を殴りつける男騎士の姿が見えた。


「…………」


「アスが家の中に『ポーション』というのを置いてな。それを探すために男騎士達が必死にああやっているのだ」


「この方々は侵入者でございますね?」


「まあ、そういう事になるな」


「…………ふふっ」


「?」


「ご主人様、彼らはご主人様の命を狙った不届き者でございます。そんな彼らには鉄槌が下るべきなのです。今すぐ首を跳ねても良いくらいでしょう」


 あ、アメリアさん!?

 急にキャラが変わり過ぎてびっくりした!

 ちょっと目が怖いよ!?

 いつもの可愛らしいアメリアは一体どこに!?


「うふふ、ご主人様。私も隣で観させて頂いてもよろしいですか?」


「お、お、おう、いいとも」


 意外にも積極的なアメリアが、玉座の足元に座り込み――――――その身体を俺の右足に預けてきた。


 んっ!?

 アメリアの柔らかいのが当たってしまう!


 ふん!


 落ち着け、マサムネ!

 アメリアはまだ15歳の子供だぞ!

 いくら異世界の成熟が速いとはいえ、まだ15歳の子供に手を出すのはいけないだろう!


 …………でも、今の俺は17歳のはずだ。

 たしか未成年者同士は良いんだっけ?


 いやいやいやいや! 落ち着け! マサムネ!


 アメリアが大人になるまで、あと3年だ! それまで、我慢だ!


「ご主人様? ご迷惑でしょうか…………」


「そのままでよい」


 いや、そのままでいてください。お願いします。






「あ~シャーロットちゃん☆ そう言えば、以前聞いた事の返事を聞くのを忘れてたね~☆」


 アスの言葉に、団長が首を必死に上下に動かそうとしている。

 頭にも拘束具が装着されているので、首自体はちゃんと動かないが、何となく頷いているように見える。


「へぇ~やっと降参したのかな~?」


「んっ! んっ! んっ!」


「うふふ、あんなに拒んでおいたのに、あらあら~☆」


 アスが団長の口枷を取る。




「アス様に忠誠を誓います! もう断ったりしません! 何でもします! 許してください!」




 すぐに叫ぶ団長は、必死に訴えた。

 どうやら助けてくださいではなさそう?


「いいよ☆ ちゃんと言う事を聞くならね? でも度目はないからね?」


「は、はいっ! 何でもします! 頑張ります! 頑張らせてください!」


「うふふ~では、まず最初に――――――さあ、舐めなさい☆」


「は、はいっ!」


 団長は左足を引きずりながら、アスの前に躓く。

 いつの間にか女を椅子代わりに座っているアスが、右足を前に出す。

 迷う事なく、アスの足を舐め始める団長だった。






 画面越しではあるが、美しい団長がアスの足を舐め始める場面を見て、自分の中の熱いモノを感じる。

 自分の目の前にはアメリアがいて、アメリアが俺の右足に絡んでいるのもあり、色んな意味で耐えるのがしんどくなってきた。


「ご主人様?」


 玉座の下から首を傾げながら上目遣いのアメリアの瞳が見える。


 ――――ああ、とんでもなく可愛いや。


「あら? ご主人様…………」


 アメリアの視線が俺の目ではなく、その下に向く。

 俺もそれに釣られて下を向く。












 うわああああああああああああああ!

 俺の俺よ!?

 今元気になるべきではないんだよ!?

 目の前のアメリアが気まずいだろう! 寧ろ、これからどんな顔をしてアメリアと顔を合わせたらいいのだ! 静まれ~静まれ~静まれ~いっそのことまれ~。


 だが、俺の俺が静まる事はなかった。何故なら――――――、




「えへへ、ご主人様…………アメリアにお任せください」


 ッ!?

 俺の俺に熱い何かの感触が伝わって来る。

 自分でも信じられないくらい、身体が反応する。

 恐る恐る下を覗くと、アメリアの瞳の中にハート模様映っていると錯覚するくらい、妖艶な笑みを浮かべていた。


 ダンジョンマスターとして、王として、ここは冷静に対応せねば。

 冷静にだ。












 んあああああああああ!

 アメリアの温もりが身体全体に伝わって来る。

 俺は成す術なく、彼女にいざなわれるがまま、流れに身を任せる。


 なんなんだこれは!

 こんなに気持ち良い事が有り得るのか!?

 レヴィと過ごした晩の事は今でも鮮明に覚えている。

 もちろんそれと比較は出来ない。

 いや、比較する必要すらないくらい、アメリアのそれも最高峰である。


 以前アメリアに聞いた話では、この世界では15歳になった時、常識というやらがスキルとして得られ、世界の色んな情報を勝手に知る事が出来るそうだ。

 スラム街に住んでいたわりには、非常に賢いアメリアに疑問だったので聞いた時に、そう教えてくれたのだ。


 ――――――常識め。こんな常識まで叩き込んだのか。けしからん。


 俺はアメリアに身体を任せ、懸命に奉仕を続けるアメリアの頭を撫でてあげる。

 一切、声をあげず、我慢しながら奉仕するアメリアに更に興奮を覚える。




 画面の向こうで口角を上げ笑みを浮かべているアスに、気付くことはなかった。

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