第20話 ご褒美(三人称視点あり)

 レヴィが倒した冒険者達4人は、嫉妬の間に隔離されている。

 鍛冶師を捕獲したから楽しみにしてくださいと報告に来た満面の笑みのレヴィだった。


 三日後。


 4人の冒険者達を連れたレヴィが、俺を訪れてきた。


「主様。ご依頼通り、鍛冶師を連れて参りました」


 4人はレヴィの後ろに跪いて頭を下げる。

 何となくだが、以前の4人とは全く雰囲気が違う。


「ふむ。鍛冶師にあの武具を鉄に戻して貰おう」


「お安い御用でございます。それと一つご相談がございます」


「相談? 言ってみろ」


「はっ。こいつらはギブロン街で一流冒険者として名前が知れ渡っております。こいつらを使い、一つ情報戦を行っても宜しいでしょうか?」


 既に冒険者達をこいつら呼びしているのか…………。

 それにしても情報戦とはどういう事か。


「レヴィがやりたいなら構わない」


「ッ!? あ、ありがとうございます! このレヴィに全面的な信頼を寄せてくださり心より感服しました! これからも主様の手と足となります!」


「ああ。頼りにしている」


「ッ! あぁ…………………………主様」


「ん?」


 身震いしていたレヴィが妖艶な瞳で俺を見つめてくる。


「こんなレヴィでございますが、ささやかながらご褒美・・・をおねだりしてもよろしいでしょうか」


「ご褒美か。もちろんだ。俺に出来る事なら何でも構わない」


「ッ! ん……ああぁっ…………」


 レヴィの動きが少し怖い。


「そ、それでは主様の寵愛・・を頂く事を許して頂けますか?」


 ちょ、寵愛!?


「う、うむ。それくらいなら構わん」


「ッ! あ、ありがたき幸せ! では…………今夜にでも…………」


 ん? 今夜?

 そう言い残したレヴィが4人の冒険者を連れて俺を後にする。

 レヴィの言動が少し気になるが、俺のために頑張ってくれた配下に褒美を遣わすのはやぶさかではない。


 モニターを見ると4人を連れてすぐに落とし物倉庫に向かい、作業を始める。

 3人が外に運び、鍛冶師がスキルで金属をインゴットに変えて行く。


 なるほど、武具を元の金属インゴットに再加工出来る訳か。

 中には宝石も見えるが、属性武具になっており、そういうモノをマジックアイテムと呼ぶらしい。

 それにしても、全員の顔が無表情なのが気になるな。

 それにモニターに表記されているのは、『嫉妬の王の眷属』と書かれている。

 嫉妬の王って嫉妬の間の事から思うに、レヴィの事だろうか?


 暫く作業を進める彼らを奇妙な視線で見るアメリアの父親が面白かった。




 ◇




 その日の夜。

 そろそろ眠ろうと俺は部屋のベッドの中に入ろうとした。


 その時。


「んあっ、主様」


 扉からゆっくり入って来るレヴィは――――――


 何という姿でしょう!


 いつもの清楚なメイド服装ではなく、非常に目のやり場に困る服装だ。


「れ、レヴィ!?」


「うふふ、主様。寵愛を頂きに参りました」


 寵愛ってそういうことかああああああ!

 ど、どうしたらいいんだ…………。

 実は何を隠そう、29歳になる前に一度も女性と付き合った事すらない。

 つまり、そういう事だ。


「う、うむ」


 うむ。じゃないんだよ!

 肯定してどうするんだよ!

 何とか理由を付けて断らなければ…………。

 だが、レヴィはそんな俺を待ってはくれなかった。

 いや、寧ろ承諾しているし、レヴィは凄まじい速度で俺に押しかかる。


 メイド服からも分かるくらい豊満な女性の武器が、俺の身体に密着する。

 あまりの柔らかさに、頭がおかしくなりそうだ。

 それに気付けば、俺の手がそれに伸びていた。気付かないうちに。


「ん……ああっ」


 触れただけで女ってこんなに悶えるものなのか!?

 初めての経験で何をどうしていいか分からないが、俺が思っている事とは真逆に俺の身体は素直に現状に従い続ける。

 彼女の大きな声が耳を刺激する度に、俺の中の熱い何かが燃え始める。

 気付けば、俺はレヴィと濃厚な一晩を過ごした。




 ◇ ◆ ◇ ◆




 おはよう世界。

 素晴らしき世界、おはよう。

 これほどすっきり・・・・した朝を迎えるなんて、いつぶりだろう。

 いや、もはや人生初と言っても過言ではない。

 未だ俺の隣から全てをさらけ出している彼女に心臓の鳴りが少し早くなる。

 ただ、常に興奮していては、ただの獣だ。

 ここは一つ、ぐっと男らしく我慢する。

 まあ、俺の俺は我慢が出来ないみたいだがな。

 …………それにしても前世よりだいぶ大きいな。




 屋敷を後にして、日課の最下層を歩き回る。

 レヴィが眷属にした4人は、まさかの朝まで働き続けている。

 よく倒れないな……というか、俺はブラック企業みたいな働きはさせたくないので、レヴィにはう~んと言っておかねばな。


 落とし物倉庫を通り過ぎ、植物エリアに行くと、子供達と父親が今日もせっせと働いている。

 植物もだいぶ数を増やしているので、実を取るだけで一苦労する作業だ。

 それが1時間毎なのだから、今ではそれなりに重労働になっている。

 みんなは弱音をあげないし、無理はしないように伝えているので休み休み働いてくれているはずだ。


 彼らに励ましの言葉を投げ、次は食堂で働いているアメリアの下を訪れた。


「!? ご、ご主人様!」


 異様に驚くアメリア。

 毎日顔を合わせているが、ここまで驚くなんて初めてだな。


「うむ。今日も頑張っているな」


「はいっ! え、えっと………………今日から料理も気を付けます!」


 気を付ける? 何を?


「うむ。頑張ってくれ」


「は、はいっ!」


 相変わらず心と言動が合ってない気がするが、気にしない。

 俺はここの主だからな。少しくらい寛大に答えた方が良いだろうと思う。


 用意してくれた美味しい朝食を取る。

 基本的に俺の食事は俺とアメリア、レヴィ、アスの四人で食べる。

 その後から、子供達が食べて、最後に父親が一人で食べる事になっているのだ。


 テーブルに座って食事を始めていると、レヴィとアスが入って来る。

 レヴィが少し赤面で入って来ると、俺も一瞬ドキッとしてしまう。

 昨晩の事を少し思い返してしまうが、目の前のアメリアとアスの可愛さで紛らわして忘れる。


 それにしても今日は珍しくアメリアの口数が少ないな。

 久々に黙々と朝食を取り終えた。




 ◇ ◆ ◇ ◆




「レヴィ~」


「アス。どうしましたの?」


 珍しくアスに対して怒りを見せないレヴィ。


「昨晩は羨ましいわ~」


「うふふ。主様の寵愛を頂けてレヴィも幸せものよ。でもアスもまもなくでしょう?」


「そうね~あのおっさん。意外と我慢強いのよね~」


「でも時間の問題でしょう?」


「そうね。レヴィのおかげで昨晩は気が気でなくなったみたいだし、そろそろかな~」


「うふふ、わざと・・・窓を全開にしておいて正解だったわね」


「そうよ~だから、ありがとう、レヴィ~」


「どういたしまして、私達は主様の――――」


「「ガーディアンですもの」」


 二人は声を揃えた。






――――投稿頻度変更――――


 日頃『ダンジョンに堕ちた転生者~社畜は二度とごめんなので、拾ったダンジョンコアでスローライフを送りたい~』を楽しんでくださりありがとうございます!

 次話からもエ〇エ〇展開が続く予定ですが、ここで大変申し訳ないのですが、投稿頻度を2日間隔投稿にさせていただきます。

 少し進行が遅くなりますが他の作品も投稿していますので、ぜひそちらも読んでみてください!

 これからもよろしくお願いします!

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