第17話 フロアの改造(三人称視点あり)
ダンポが100,000残った。
3層の改造費用に90,000も使ってしまったが、レヴィが満足いく表情で戻ったので良しとしよう。
どうやらフロアにガーディアンを登録すると、そのフロアには名前が付くようで、『3層-嫉妬の間』と表記されている。
まだレベルが2なので、フロアは一つしか作れないから、レヴィにしか層を与えられないので、次のフロアが作れたらそこはアスが担当する事になった。
残りダンポでやるのは、1層のフロアを増大する。
ダンポ30,000を使い、フロアを最大の広さに広げる。
ここで知ったのは、構成を決めていれば、フロアを広げた場合、構成がそのまま受け継いで広さが広がった。
【1層の魔物が2000体設置が出来るようになりました。】
フロアを広げたら設置出来る魔物数も増えるのか!
これは良い事を知る事が出来た。
早速、1層にFランク魔物を最大限設置する。
Fランク魔物1999体、Eランク魔物1体にする。
せっかくなので、1層のFランク魔物にFランク植物を大量に設定して、ドロップ率は10%にする。
1層フロアボスとなるEランク魔物にはEランク植物を全種20%に設定する。
さらに、フロア魔物再生時間にダンポ50,000を使ってみる。
結果としては1に付き1,000も使うけど、1で1分減る感じだった。
今回50,000使ったので、復活時間が60分から10分まで短縮された事となる。
これで暫く安泰だと思うので、1層を眺めることにする。
◆ ◇ ◆ ◇
とある王国。
「陛下。噂は本当のようでございます」
玉座の間。
少し太った豪華な服を着て王冠を被った男が玉座にふんぞり返っている。
「あ~噂? なにかあったっけ~」
「はっ。ギブロン街を任せていたギブロン子爵の失踪は間違いないようです」
「ギブロン~? 知らないな~それで、君は何がしたいの?」
「はっ、かの街の近くで生まれたダンジョンを攻略する許可くださいませ。どうやらギブロン子爵はダンジョンに入ってから失踪したそうですので」
「ん~いいよ~」
「ありがたき幸せ」
王の前に跪いている女騎士が頭を深々と下げ、玉座の間をあとにした。
「団長!」
騎士団を後にしようとする女騎士を呼び止める。
「どうした、ギルバード」
「本当に向かわれるのですか!?」
「ああ。さすがにギブロン街の一件を無視する訳にはいくまい」
「ですが…………あまりにも戦力が…………」
男騎士は女騎士が連れた騎士団を見つめる。
女騎士はレイジネ王国の第二騎士団の団長である。
そんな団長だが、連れているのは第二騎士団のごく数人だ。
「人数は言い訳になる。それにここにいるのは少数精鋭だ。心配ない」
「…………」
「お前も自分の地位を大切にしろ。第一の方からまた怒られるぞ」
「…………くっ」
そう言われた男騎士はその場から走って消えて行く。
そんな彼の後ろ姿に、女騎士は溜息を吐いて、少数精鋭の騎士達を連れて馬車に乗り込んだ。
ギブロン子爵が失踪したと言われている
◇
1層が大ブレイクしている。
今では冒険者だけでなく、街を守っているはずの衛兵達も、素人に見える青年達もその手に武器を持ち、1層の眷属達を倒して、食材を沢山手に入れて喜んでいた。
やっぱり、あの子爵がクズ野郎だったらしく、随分平和になったそうだ。
既にギブロン街は崩壊状態で、一時期うちのダンジョンを封鎖していた兵士達が全員失踪したから、冒険者達が通うようになって、数日後に全面的な開放状態になったそうだ。
まあ、1層を倍に広げた甲斐があったというモノだ。
ただ…………ダンポが全く増えていない。
兵士達が消えた事が相まって、1層から先に進もうとする人はいない。
1層フロアボスはEランク植物が落ちるのを知っているので、少しレベルが高い冒険者達が張り付いて倒している。
「ご主人様」
玉座でモニターを見ていると、アメリアがやってきた。
「アメリアか。どうした」
「はい。集めていた武器が倉庫いっぱいになりまして…………」
「ん? もう集まったのか?」
それなりに広い倉庫を用意したはずなんだがな…………。
アメリアと一緒に倉庫に向かう。
扉を開くと、その中に大量の武具が山のように入っている。
「凄まじい量だな…………」
「はい。先日の戦いで、ものすごく増えました」
先日の戦いって、子爵の件か。
「ふむ……どうやって処理しようか。ドロップ品にしてもこの街の連中なら、これの正体もすぐ分かってしまうだろうからな…………」
「えっと、それでしたら鍛冶師を雇って、鉄に戻すのは如何ですか?」
「鉄に戻す?」
「はい。街では鍛冶師さんが使えなくなって武器を鉄に戻したりしてましたよ?」
異世界ならではのスキルというやらか?
既に形作っている武器を、元の鉄に戻せるならリサイクル的な観点からもとても良い使い方だ。
ただ、これだけの武具を運べる訳もなく、こちらに連れてくる事も出来ない。
アメリア達の中に鍛冶師がいれば良かったのだが、まだ子供なので難しいな。
「マスタ~☆」
「アスか」
「鍛冶師が欲しいのですか~?」
「そうだな。この武具が溜まってしまって、処理をしないと無駄に倉庫を増やさないといけないのだ」
「ん~消していいなら、魔法で消しますけど~」
「それは少しもったいないな。これを鉄に戻せたら、また何かに使えるだろうからな」
「それなら~捕まえて来ますか~?☆」
アスがまた恐ろしい事を口にする。
捕まえてくるって誘拐してくるって事か?
「アス達はダンジョンから出れるのか?」
「出れますよ~☆」
「ふむ…………最悪誘拐の手もあるか。ただ、それでこちらの命令を聞くかというとどうなのだろう」
「それなら~レヴィに~任せるといいですよ~☆」
「ん? レヴィに?」
「レヴィは調教が上手です~♪」
ちょ、調教…………。
その言葉、久しぶりに聞いたな。
最終的な方法としては、それでもいいかも知れないな。
その時、後ろに人の気配を感じる。
「主様。何やらレヴィを必要としている信号を感じましたので、急いで帰って来ました」
期待に満ちた表情でこちらを見る。
エサを待っている犬のように、ないはずの尻尾が見えるようだ。
「ああ。鍛冶屋がいれば、この武具を鉄に戻せるそうだ。これから使う事も予想されるから鍛冶師が欲しいなと思っていたところだ」
「鍛冶師ですね。かしこまりました。必ずや手に入れて見せましょう!」
「まあ急ぐ訳でもないので、程よくな」
「はっ!」
自らの嫉妬の間に戻るレヴィは、使命感に燃える目をしていた。
◇
「うふふふふふふふ! あは~♪ 主様の初命令~鍛冶師を手に入れろ~うふふふ、これで主様の
レヴィは自分の中にいる
主から預かったダンジョン内が見れるモニターを使い、ダンジョン1層のパーティーを眺める。
その画面には、侵入者のレベルと才能が表示されている。
「才能が鍛冶屋~うふふふふふふ、早く出て来てください~!」
1層にある全ての侵入者に目を通すレヴィであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます