第4話 油断させ太らせてから食べる戦法
さあさあ、始まりました~マサムネくんクッキングで~す☆
最初にやるのは1層の魔物整理~。
100ダンポもしたDランク魔物を削除~☆
いや~これは痛い決断ですが隠し味としては刺激が強すぎるので仕方ありません~。
次はせっかくのEランク魔物のコボルト達も削除~☆
残るはEランク魔物のポイズンフロッグ1体~☆
そうしたら、1層にはFランク魔物をあと400体配置して全部で500体にします~。
最後にポイズンフロッグを2層への階段の前に配置させたら~完了☆
…………なんだか変なテンションで配置を変えてしまった。
まあ、あれだ。
餌付け大作戦にしようと思う。
まず、最初の侵入者がレベル8だった事を考えれば、『グランドダンジョン』の周囲はまだ駆け出しの連中が多い地域だと予想される。
なので、まずは1層でたっぷりレベルを上げて貰う事にする。
次は2層。
ダンポは残り708。
Eランク魔物を30体、Dランク魔物を4体配置出来る。
ただそれだと残りが8のみとなり、2層のフロア構成変化が出来ないと思われる。
そこで、2層のフロアを罠に変えてしまおうと思う。
まずは降り立った入口から壁を作り10mほど歩かせて広い部屋に案内させる。
そこにはDランク魔物のオークが1体だけ待ち構えていて、侵入者達を油断させる。
これには理由があって、1層の入口を守るのがEランク魔物1体、2層に進んだ所にDランク魔物1体とすれば、駆け出しの連中ならまず騙されるだろう。
すぐにオークを倒しに来なくても、1層に戻りレベル上げをするはずだ。
それでオークを倒せるようになったら、2層に戻る図式だ。
そうやって2層のオークに挑む冒険者達が部屋に入って60秒後、扉が閉まる罠を設置。
扉が閉まったら、今度は逆側の扉が開き、そこに集めていた2層の総戦力を当たらせる。
仮にそれがFランク魔物だったとしても、逃げ場のない部屋で延々と出てくる魔物に苦労するはずだ。
ここの罠魔物はダンポを確保出来次第、随時増やしていけば、強い侵入者が訪れて来ても大丈夫になるはずだ。
題して『油断させ太らせてから食べるクッキング~☆』――――だっ!
まず2層に入口から10m離れた場所に部屋を作る。
建物生成で10坪の大きさの部屋を作り、ダンポ300を消費する。
部屋に入ったら閉まる扉の罠と、それを相反して開く扉の罠を作ってダンポ50消費。
どうやら判定としては小道具生成になっているみたい。
後は建物に入口から真っすぐの道を繋いでダンポ50を消費。
こうして合計400ダンポを使って罠は完成した。
残り308ダンポを使い、Dランク魔物オーク2体とEランク魔物コボルト10体を作り、オーク1体は建物の中に、残りは建物の外扉前に待機させる。
魔物の性質上、敵が見つかると真っすぐ向かうので、ここに待機させておけば、あとは扉さえ開けば真っすぐ突撃するはずだ。
ただ、このままでは数に不安が残るので、侵入者達が2層にたどり着くまでに何人が倒れてくれればありがたいな。
オークをあと8体、コボルトをあと90体は配置させておきたい。
目標は1700ダンポだ!
それはそうとまたお腹がすいたので、不味いリンゴの木に向かい、また10個実っていたので、すぐに取って食べる。
どうやったらこんな不味いリンゴが出来るんだ?
もしかして、土の問題なのか?
【生産物はランクが上がれば味や性能が上昇します】
天の声さんありがとうよ。
そういう事か…………つまり、今はFランク植物しか作れない俺にはずっとこの味を味わうしか出来ないと。
ただEランク植物はどうやったら作れるんだ?
【ダンジョンマスターのレベルが上がると、新しい権限が増えます】
あ~言われてみれば、ダンジョンマスターLvなんてあったな。
今の俺は1だけど、これはどうやれば上がるんだ?
【ダンジョンマスターLv1から2へ上昇には、10,000ダンポが必要です】
一万もいるのかよ!
まあ仕方ないか。
駆け出しはレベル8でダンポ80だった。
この獲得ダンポから計算すると、レベル×10になっているのが分かる。
それに強さによりと言っていたから、もしかしたらレベルが上がったらもっと倍率が増えるかも。
それならレベル10で、100ではなく150くらい得られるかも知れない。
少しずつ希望が出て来た!
実際どうなるかは要検証だろうから、これから検証するか。
取り敢えず、不味いけどお腹がすいたら何も出来ないし、Fランク植物生成を4つ使う。
今度はリンゴではなく、みかん10個、柿10個、メロン5個だった。
えっと……植物というからには果物だけではないと思っていたけど、メロンって果物じゃないのに、当たり前のように
あれか? 異世界仕組みとかで、野菜も木になるとかそういうやつか!?
【ダンジョンの植物生成は全て木からなり、決められた時間で収穫可能になります】
まじかよ……便利過ぎだろう……。
まあ、木って言っても1.5mくらいなんで全て手で取れる大きさなんだけどね。
【高ランク植物生成になると、木も大きくなります】
…………どうやって取るかも考えておかねばな。
新しく作ったクッソ不味いみかんと柿とメロンを皮ごとボリボリ食べていると、モニターに人影が映る。
今回は3人の人間のパーティーが入って、数十秒経ってから6人パーティーが入ったんだけど、その中の一人は普通の人間ではなかった。
「おお! これって、もしかして獣人族!?」
頭に耳があり、腰の後ろには尻尾が出ている。
間違いなく獣人族だろうね。
ということは、この世界はファンタジーらしい色んな異種族がいるのかも知れないね。
それに異種族は人間と違って、ベースが強かったりするはずだ。
それなら倒れた時の高いダンポも狙えるかも知れない。
最初のパーティーはレベルが1~3。
後から入ったパーティーは中堅のようで全員10を超えており、獣人族は14となっている。
最初はオドオドしていたみんなも、魔物がFランク魔物だけだと知ると、どんどん狩りを続ける。
魔物は、ある程度等間隔で配置しているので雪崩れて来ることはないはず。
ダンジョンマスターになって大きく不便だなと思うのは、こういう魔物が自分の言う事を聞いてくれない事だ。
配置すると勝手に戦って、勝手に持ち場に戻って、倒されたら復活してを繰り返すだけの人形のようだ。
これからあいつらの事は『モブ』と呼ぶ事にしよう。
さあ! モブども! 俺が働かないために働けー!
どんどん進む新人パーティーは全員がレベルが5に上がっている。
おお~やっぱり数を倒すとレベル上がりも早いね~。
その時。
どんどん前に進んだ彼らだったが、疲れたようで引き返そうとする。
ただ、この1層。ものすごく迷路になっている。
彼らは一度出ようとするが、道に迷ってしまい出口にたどり着けず、迷路をぐるぐる回りながら、また襲ってくるFランク魔物との戦いを強いられていた。
それを数度繰り返すと、あきらめたようにその場に座り込む。
きっと休憩なのだろうね。
よほど疲れたのか、まさかの3人とも眠りに付いた。
おいおい……ダンジョンの中で寝ていいのかよ……。
もしかして、復活するのは常識じゃないのか?
60分後。
目の前に復活した魔物によって命を落としたのはいうまでもない。
もしかして、この世界の知能指数は俺が想像していたよりも、ずっと低いのかも知れないな。
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