第17話 婚約

「ルーカス王子!ルーカス王子!」



城の廊下を私の名前を叫びながら歩いて書斎の部屋まで来たのは王の側室のカーリー妃だった。


「うわぁ〜めっちゃ怒ってる感じ出して来ましたね」



苦笑いをするフレデリクの横で

「私の婚約者白紙が耳に入ったんだろう。仕方ないさ自分の愛息子のアベルも白紙になりそうなんだからな」



ドンドンドン


扉のノックの音は上品な音ではなかった。


私は自ら扉を開けた


「カーリー妃どうかされましたか?」


「ルーカス王子はわかっていてその言い方なのですか?」


カーリー妃は怒りが抑えられないようだった。



「国王様に説明があったのではないのですか?」



「えぇ!そうよ!あなたのわがままのせいで、うちのアベル王子の婚約も進まなくなったわ!」


「それは私のせいではありませんよ。私の婚約は無くなりましたが、国王様にはアベルの状況は変えぬようお願い申し上げております。アベルの婚約はアベルの意志で進まなくなったのです」



「それは屁理屈だわ!あなたがロベール侯爵家の令嬢と婚約すれば、アベルはデュラン公爵家の令嬢との婚約が成立したのです」


「でしたら、アベルにデュラン公爵家の令嬢と婚約を勧めればいいのではないのですか?」



「アベルが・・・・・アベルはロベール侯爵家の令嬢と婚約したいといいだしたのよ!!」


「え?」


アベルがイザベラと? フレデリクを見ると フレデリクが驚いた顔をしていた。


「それはカーリー妃の力でデュラン公爵家との婚約は簡単なのでは?」


「もう!あなたとは話しにならないわ!王に直接言います!」


「そうされて下さい。私もアベルの心の内は理解しておりませんので」


そう言うとカーリー妃は扉を バン!! と大きな音を立てて閉めた。



「おいおいどういう事だ?」


フレデリクはわけがわからないという顔をしている。


「ロベール侯爵は何も言ってないのか?」


「あぁ。それにアベル様がそもそもイザベラに好意を持っていたのか?そんな事一度も聞いた事も感じた事もない」


「そうだな・・・・・・・・・」


それは私の婚約者候補だったから?


「ルーカス様スミマセン、一度屋敷に戻って、イザベラと話して来ます。だっておかしいでしょう?ルーカス様との婚約の話しが無くなって可愛そうだと思ったとしても、すぐにご自身も白紙にするでしょうか?前からイザベラに好意を持っていたのでは?」


「アベルが?・・・・・・・・・わからない。だが可能性はあるな。私はアベルと話して見よう」


2人だけで話したくて、 私は急いでアベルの部屋へと向かった。 アベルの部屋の護衛騎士に通すように合図して 扉の前に立った。



コンコンコン


「アベル少し話せるか?」


「兄上!?す・・・・少しお待ち下さい」



少し慌てた声がした。 もうすぐお昼だぞ?まさか寝てたのか?



「どうぞ」


の声と同時に扉を開けた・・・・・・



え?


一瞬しか見えなかったが アベル瞳の色が赤く見えた。


それはカーリー妃と同じ色ではあるが・・・・・・



王子にとっては死活問題だ。




王位継承権を失うのだから。

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