第16話 王家の忙しい1日の始まり
「ルーカス様申し訳ありません」
目の前のレオが深々と私に頭を下げた。
「レオのせいじゃないだろ?それに私はクロエに何もしてあげれてはいないのだから急に話したいと言っても避けられて仕方のないことだよ・・・・・ただ、クロエの想い人が気になって仕方ない」
私は書斎の机に肘をついて顔の目の前で両手を合わせ、祈るように頭を傾けた。
「ルーカス様にお聞きしたいのですが、ルーカス様は姉上に好意を持たれているのですか?」
「え?」
私は今さら?
という感じでレオを見た
「何となくそうかな?って思っていたのですが、ルーカス様はもうすぐイザベラ様と婚約されるのですよね?そして姉上にも婚約者候補を上げれば、前回と同じ道をたどるのではないでしょうか」
レオは申し訳なさそうに
「姉上に興味がある程度でしたら、姉上を候補から外して頂けないでしょうか。不敬なのはわかって申し上げます。しかし僕は怖いのです」
よく見るとレオの手は震えていた。 不敬だとわかっていて助言したことよりも、あの結末を恐れている。
「レオ・・・・すまない。私はクロエが好きだ。前回守れなかった自分は情けなくてどうしようもない人間だけれど、必ず守ると約束する。そのために今の運命に抗っているんだ」
「イザベラ様は?」
「イザベラ嬢との婚約は白紙にしたよ。だからレオも手伝ってくれるかな。これからの運命を変える手伝いを」
「・・・・・・・・・はい。ルーカス様がそこまで言うのならば。ただ、姉上も今までにない行動をしています。もしかしたら・・・・・・・・・」
「あぁ、私も感じているよ。もしかしたら、クロエも君と同じように記憶を持ったまま逆行したのかもしれない。だから私を疑っているのかもしれないね。自分を陥れた人物かもしれないと・・・・」
「それは違います!!」
「そうだね。でも今クロエと話しができる状況じゃないのも事実だ。クロエはもしかしたらフラッシュバックで倒れてしまうのかもしれない」
私はますます気分が落ち込んで行く。
「レオ・・・・・それでも私はクロエのそばにいたい。そばにいたいんだ。事実を話すのはクロエが落ち着くまで何年でも待つよ」
「国王様がお許しになりますか?長く婚約者がいない事を」
「国王様が全て正しいわけじゃないんだ。今やるべき事は1つあるんだ。母上の命を守る」
「王妃様の・・・・・・・」
「母上の死には不審な事だらけだ。まずは遠縁の者が今、母上の実家の公爵家の跡取りになるべく養子に来ているが、母上が亡くなった後、すぐに病死するんだ」
「え?」
「おかしいだろう?私は城で母上の身辺を調べるが、レオはベルジック公爵家に執事見習いで話しを通しているから公爵家内を探って欲しい。母上には了承済みだ。ベルジック公爵家でこの事を知るのはおじい様であるベルジック公爵と次期公爵のセドリック叔父上だけだ」
「僕がですか?」
「頼めるか?」
「はい!あの結末を避けれるなら僕は何でもします。体は8歳ですが中身は13歳です!非力な自分に戻りたくはない」
「レオは今、剣を習っていると聞いたが?」
「はい。まだ習いたてですが」
「ならば、公爵家に剣の先生を遣わそう!公爵家の者はみんな腕が立つんだ。訓練しても違和感はない」
「ありがとうございます。実家には何と?」
「そうだな。私の側近候補で城での勤務という事にしよう。リシャール伯爵には私から言っておく」
「ありがとうございます」
レオは準備のため、王都の家ではなく領地の屋敷に戻った。 レオが出て行った後に扉がノックされた コンコンコン もうひとりの信頼できる友人が来たのだ。
「ルーカス様、お呼びでしょうか?」
「入れ!」
扉を開け入って来た人物
「忙しい中、ありがとうフレデリク」
「ルーカス様には申し上げたい事はたくさんありますが!」
怒った感じで話すが、本音を言える間柄。 フレデリクはイザベラ嬢の兄だからそうとう怒ってるんだろう。
「こんな事で私達の友情は変わらないだろう?」
「こんな事〜!?めちゃくちゃ大変っだっていうのに」
フレデリクは顔の頬を膨らます。
「それなら、私も怒っているんだよ。クロエの最初の笑顔は僕が見るはずだったんだから」
「え?クロエの誕生日会の事まだ怒ってます?」
「あぁ。クロエが笑いかける相手は私だった・・・あの日・・・・・・・・・」
「はいはい!何回も何百回も聞きました!」
フレデリクはうんざりって顔をした。
「でもルーカス様、私もクロエを諦めないですよ。それが約束です。選ぶのはクロエ!本気ですか?」
「あぁ。クロエは私も君も選ばないかもしれないよ?」
「そうですよね・・・・・ありえる。クロエなら」
昔からの友人のフレデリクは嘘がつけない。クロエを初めて見て気にいっているのはすぐにわかった。それでも正々堂々と勝負する約束で、クロエを守ってもらうために逆行の話をした。 最初はあまり信じてはなかったけど。 クロエを想えば、現実にならない為に気持ちが決まったらしい。クロエの未来を守るために。
「しかし、先日は大変申し訳ありませんでした」
「ミア嬢だったか?」
「はい。イザベラの話が全て信じれるか今裏を取っていますがほぼ間違いないですね。クロエに紅茶をかけたのは」
「激しい令嬢だとは思わなかったな。城に来る時はしとやかで、アベルの婚約者には最高の相手だと思っていたが」
ただ、その後ろ盾が怪しいのだから調べるしかない。
「ミア嬢も婚約が延ばされてイライラしているようですし、行動監視はいるでしょう」
「あぁ、それはうちの者を侍女として入らせる」
「それより再来年は本当に学園に入るのですか?」
「あぁ、もちろんだよ。クロエに会える唯一の方法だろう」
「私も入ります!ルーカス様とクロエのツーショットだけはさせませんから」
2人で顔を見合わせて笑った。
この日、1番のゆったりとした時間だった。
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