第14話 お茶会4

真っ赤な顔のまま広場に向かう途中でレオに会ってしまった。


「お姉様!?」


「あ・・・レオ・・・」


汚れたドレスを隠すようにスカートの部分は手で隠せるが、胸元は隠しようがなかった。


「何で?どうして?ドレスが汚れてるの?何かあったの?」


「レオ、ごめんね。お友達ってなかなか難しいのね」

私は苦笑いをした


「何があったの?このままじゃ目立つよ?」


「乾けば気づかれないわ」


「イザベラ様に何かされたとか?」

レオは言いづらそうに聞いて来た


「違うのよ。イザベラ様は全く悪くないの」

「だったら・・・・」


後ろから追って来てたのか


「クロエ!」

第一王子様が呼び止めた。


「え?ルーカス様?いらしていたのですか?」

「あぁ、レオすまない挨拶が遅れた。だが少し待て」


そう言うと第一王子様は私にショールを肩からかけてくれた。

そして私の顔見て優しく微笑んだ


「これでわからないだろ?」


王子様を意識するとますます顔が赤くなる。 意識してしまった男性にこんなに間近で微笑まれた事なんてないから、恥ずかしさでこの場からいなくなりたい。 真っ赤にした顔を下に向け


「あ・・・ありがとうございます」


「クロエ?急に態度が変わったんだけどどうかした?」

第一王子様がますます近づいて来る あの日の匂いが


辛い思い出の中で


あの最期の瞬間

幸せな匂いだった



第一王子様から同じ匂いが香る

「あ・・・あの離れてもらっていいですか?」

「どうして?」

「第一王子様は苦手です」


第一王子様の顔色が悪くなる

「クロエに何かしたかな?」


「したかどうかわかりません」


でも・・・・・


今、真実を知るのにこの感情はいらない


「私の好きになった方と同じ香りがします。でもそれは今、目の前にいる王子様ではありません。その方を思い出すのが辛いのです」


あの喉の渇きを思い出したの事実


空腹よりも渇き


誰にも会えない寂しさ


口にしたらまた鮮明に思い出してしまった。



私の瞳から涙が溢れる


本当は王子様の胸に飛び込んで、その香りに包まれたい。 でも私はまだ婚約者候補でも何でもない そして真実を知るために冷静に物事を見るには王子様を好きになってはならない。


「え?クロエは好きな人がいるの?それは誰?フレデリク?」


「いいえフレデリク様ではありません。もう二度と会えるかわかりません。なので、思い出は大事にしたいのですが、あまり思い出したくもないのです」


「お姉様、いつそのような方にお会いしたのですか?私の知ってる方ですか?」


レオがものすごく驚いている。 友人もいない私に想い人がいるとは信じ難い話しだと思う。


「あまり答えたくはないし、今話す事ではないの」


私は緊張の糸が切れたのか 溢れ出た涙は止まらない。 本当は甘えたい1人で前回の人生を乗り切るのはつらい。


でも無知はもう嫌だ!!


急に第一王子様が私の腕を引っ張って自分の胸元に私の顔が隠れるように私を抱き寄せた。


「え?お・・・王子様?」


「嫌だ。クロエに想い人がいると考えたくはない」


え?王子様は何を言っているんだろう


それだと愛の告白に聞こえますが・・・・


私は王子様の香りに包まれて、力が抜けてそのまま意識を手放した。


前回の記憶を鮮明に思い出すと私の心は、まだその現実を受け入れられないみたいだった。


まだ私は10歳の女の子なのだから。



「クロエ!?」


あぁ、やっぱり王子様なんだ。


あの日の涙した人



王子様から香る匂いだけは、間違えない。

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