通い妻

バブみ道日丿宮組

お題:ぐちゃぐちゃの団地 制限時間:15分

通い妻

「おはようございます」

 毎朝幼馴染が起こしに来る。

 親公認の通い妻……みたいなものだ。

 合鍵を持ってるから、いつでも侵入可能。 

 起こしにくる時、僕が起きてるか起きてないかはさして重要ではない。

 問題があるとすれば、部屋に入ったときの幼馴染の行動だ。

「なぜ、制服を脱ぐ必要があるんですかね」

 一枚、また一枚と脱いでいき、ブラジャーとショーツも脱ぎ捨てて、笑う。

「汚れてしまったら、行くとき大変でしょ?」

 その行くというのはどういった意味なのか。

「いいから、服を着て、僕も着替えるから」

 ネグリジェを脱ぎ、姿見で寝癖を確認。

 半裸の僕には、ブラジャーなんてものはない。

 平面を守るアイテムなんて必要ないからね。

 問題なしと判断して、ワイシャツをきて、スカートを履く。

「いつもみたいにぐちょぐちょにしてくれないんですか?」

 僕を観察しながら、淫靡な視線が向けられる。

 説明させてほしいが、いつもしてるわけじゃない。休みの時……そう学校がない日は抱きしめたり、いろいろすることもある。

 けれど、学校がある日にはそんな時間の余裕はない。

「朝ごはん食べます?」

 最低限下着だけを着た幼馴染は、台所に向かう。

 そして慣れた様子で僕の朝ごはんを用意してくれる。用意といっても、菓子パンを持ってくるぐらいであるが。

「ありがとう」

 それを受け取って開封。そしてリボンタイをつけて、ベッドにこしかける。

 幼馴染は脱いだ制服をまた着て、隣に座る。

「今日は一緒に帰れますか?」

「わからない。生徒会の内容による」

「やっぱり私も生徒会に入るべきでしたね」

 それは危険だと思う。

 ほとんど人がこない生徒会室で、二人っきりとなればなにをしでかすかわからない。

 僕も幼馴染も性欲は強い。

 今だってほのかに香るミルクの匂いでどうにかなってしまいそうだった。

 幼馴染だけ。幼馴染だけの匂いが僕を刺激する。

 幼馴染はどうなのかはわからない。

 求めてくれてるとは思う。けれど、応えられてるはわからない。

 ふたりとも一方的な感情をぶつけてるだけじゃないかって思うときがある。

「行きますか」

 食べ終わるまで幼馴染は僕の顔をずっと見てた。いや、お互い見てた。

「行きましょう」

 立ち上がり、手を差し伸ばす。

 数秒またずとして、握り返される。

 あとは学校に向かうだけだ。

 これが毎日の過ごし方。

 僕と幼馴染のいき方だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

通い妻 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る