let's go 天灯姉妹

あれから何日いや何十日経ったろうか。音沙汰無く今日は8月12日だ。

「…あっちぃ…」

暑い。暑くて死にそうだ。そんな時だった。スマホから着信音がした。

「はい鳩山です」

「鳩山さん!今からうちに来てください!そちらに車向かわせてますので!」

そういうと電話が切れた。そう言われ窓の外を見ると確かに黒塗りのリムジンが待っている。車の前には前回の様に黒服のおっさんと…

「中学生…?」

そう一般的に子供と言えるくらい小さい少女がこちらを凝視していた。俺は用意をし扉を開けると。

「おっそいわよあんた!いい加減にしなさいよ!」

叱られた。こんな女の子に怒られるとは。

「すいません。あの…貴方は?」

すると少女はむっふん!と胸を張り。

「あたしは天灯未鳥!楓のお姉さんよ!」

「姉ぇぇぇぇぇ⁉︎」

俺はこの夏一番の大声を放った。

「うるさいわよあんた!とりあえず乗りなさいよ!暑くて仕方ないのよ!」

俺は未鳥さんに蹴られ車に乗る。そのあと未鳥さんも椅子に座る。そしてエンジンがかかり出発した。ちょっとたち未鳥さんが申し訳なさそうに言う。

「…まぁ悪かったわね…なんか蹴っちゃって、暑くてイライラしてたのよ」

「あ…いえそれよりお姉さんいたんですね楓さん。初耳です」

「まぁそうね。あたしは楓みたいに目立った仕事しないからね。そろそろ着くわよ」

「え…?早くないですか?

「別荘よ別荘。今日は別荘にいたのよ」

すると車が開き。前に見えた門が開いた。

「どうぞ入ってください」

門の方から楓さんの声が聞こえた。

俺と未鳥さんは門を潜った。

「楓の部屋はこっちよ着いてきなさい」

「あ…はい」

しばらく未鳥さんと歩いているとKAEDEというプレートが付いた部屋に着いた。

「入るわよー」

ノックもなしに未鳥さんが開けた。

「ちょ…待っ」

楓さんは…着替えていた。

「すいませんでしたぁぁぁ!」

俺は扉を思いっきり閉めた。

「ふっ…シャイだな少年」

「うるさいですよ!未鳥さん!」

「あはは…もう少し待っててください…」

そんな会話があり2.3分後扉は開いた。

「どうぞぉ…」

「お邪魔します」

俺が入ると。未鳥さんは

「邪魔すんでー」

「邪魔すんなら帰ってー」

「あいよー」

「待て待て待て」

と仲の良さを感じる小ネタを挟んできた。俺達は楓さんに麦茶を出して貰った後楓さんにある資料を見せて貰った。中身は

「今日声六兎それに南雲花火ってあの⁉︎」

「はいアスタロトの南雲花火です」

南雲花火。国民的アイドルグループアスタロトのメンバーでよくセンターにいるのを見かける。よくテレビ等にも出ていた。確かキャッチコピーは

「貴方の心にSweet wordsをよね?日本語だと甘い言葉だったはずよ」

隣で未鳥さんが言う。

「そうよお姉ちゃん。この人達が次に目をつけた二人。この人達のスカウトに行って欲しいんです。私と鳩山さんで。お願いできますか?」

「全然大丈夫ですけど…どこに行けば会えるんです?南雲さんはまぁ…アスタロトの方に行けば会えるでしょうけど今日声君は誰です?聞いたことないですよ?」

「ふふっ…貴方のよく知ってる人ですよ。それじゃ向かいましょうか!さっ車に乗りましょー♪」

楓さんは俺を引きづり車へ乗せた。

「それじゃレッツゴー!」

楓さんはガラにもなく発進のかけ声を出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る