第五膳『おでかけとちらし寿司』(回答)
「
「ん? なんだ、急に?」
「ちらし寿司の具材を何にしようかなと思って……」
天蓬さんが後ろを歩いていた
「もしかして、
「ない。だから楽しみだ」
自慢げに胸を張って、
―― 仕方ない。じゃあ、見栄えが良くて、
私はそう心に誓った。
森をぬけて、街の外壁が見えたところで立ち止まった。ここから先は、妖術具を使う手はずになっている。
「おい、くすぐったいだろう!」と
「見えなくなるだけなんすね。これが『怒られずにちょっとの間だけなんでもし放題妖具』の効力! 全然違和感なしです! 」
「まさに、視覚の妖術!! 」
「この効力は半刻くらいしか持たないからね。それ以上まとっていると恥ずかしいことになるってお師匠様が言っていたから気をつけてね!」
「おお」
◇
「お肉とお魚どっちがいい? 」
後ろにいる
「お肉ね? あとは?」
「オレ、きんかん!」と
「そりゃ、銀の好みだろ!! オレ、それ苦手。……ん? あとは任せるって」と
「じゃあ、何の肉がいい? そこのお肉屋さんには、牛、豚、羊、鳥、蛙、
「え? ぇぇ? ああ、う、牛がいいっす!!」と
「牛かあぁ……。そーいや、あの三つ目牛、食えんのかな?」と
―― あ、
「もう! ハナさんは食べられないわよ!! まずは、薬草屋で薬草茶を売って、それから、牛のかたまり肉と野菜を買うわ」
「「了解!」」
いろいろあったけれど(作者都合で省略)、無事に、牛のかたまり肉、
―― 買い物かごがふわふわと空中を漂っていただなんてことはしーらないわ。(透明人間の
◇
「じゃ、ご飯は私が土鍋で炊くね。だれか、お肉を焼いてもらってもいい?」
「はいはーい! オレ!オレ!」と
「じゃあ、お願いするわ」
土鍋でご飯を炊く間に、私は、赤紫蘇のふりかけをお酢に入れておく。それから、
ご飯が炊きあがったら、作っておいた赤紫蘇のふりかけ入りのお酢をかけて混ぜる。もちろん、『雨もへっちゃら乾かしてみせ妖具』を使って風を送ってお米を冷ますことは忘れてはいない。私の隣で肉を焼いていた
―― 水蓮特製ピンク酢飯のできあがり!!
そして、水鏡用木桶にレタスをしいて、お握りくらいの大きさに握ったものをのせる。そこへ
「まさしく花畑だな。この花も食べられるのか?」
「もちろん!!」と
「水蓮特製春のお花畑ちらし寿司の出来上がりよ。さあ、召し上がれ」
◇
「うまい!! 赤い肉を噛むと甘い脂が口の中にひろがる。このこってりとした感じは牛の肉を堪能している!と思わせてくれる」
「わたしは、本当は牛の脂が苦手ですが、酢飯や野菜と合わせて食するとあっさりと食べられます。見た目も色とりどりで美しいです」
「オレが摘んできた花もシャキシャキっとしていていいだろ?」
「ああ。いい。食感が違うから、あきがこない!
「
「オレだって、肉を焼いたんだぞ。最初に
「ああ、二人ともいい仕事をした」
あまり元気のなかった
ほんと、よかった。
私が作った料理で、幸せな笑顔になってくれて……、ほんと、よかった。
****
きんかん:鳥の雌鶏からとれる内臓の一種(卵管だったっけ?)
『怒られずにちょっとの間だけなんでもし放題妖具』のハプニングは字数の関係で省略しまーす。
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