第四膳『餃子と共同作業』(お題)
「すまない。どうしても水蓮に一緒に来てほしかったから、水蓮が
あの後、
―― でも、そんなのってズルくない?
言ってしまった
―― こんなのってフェアじゃない!! 俺様貴族のやり方じゃん!!
少しでもイライラを静めようと、
さっきと同じお茶だというのに、なんとなく薄くて味気ない気がする。それでも、すっきりとした香りは怒っている私の気持ちを静めてくれた。
―― 冷静に考えてみよう。
正直、
そして気がついた。料理人としても人間としても前世の私は失敗した理由に。
さっき、茸の匂いがダメだと言いながら、
――
それにひきかえ、前世の私はなんて自分勝手だったんだろう。
―― 自分がおいしいと思ったものを人に食べさせたい。
―― 自分が作った料理でおいしいかったと感動させたい。
そうなことを大声で宣言しながら、調理学校に通った。斬新なアプローチで人を感動させる技術もあるという自信もあった。でも、全然、評価されなくて、学校では先生を恨み、勤め先のホテルではコック長やお客を恨み、そして世の中を恨んだんだ。でも、今なら、評価されない理由がわかる。
―― 私は独りよがりな押しつけがましい気持ちで料理に向き合っていたんだと。
―― 見えない相手に対する思いやりが欠けていたんだと。
ふうっとため息をついて、私は
思いやりのある
「よし! こんな時は餃子パーティーを開こう!!」
今日はやり直しの料理を作ろうとメニューを決めた。決めたら、
扉をあけて外にでてみたら、長い細い雨は止んでいた。代わりに、空が高く、鳥の声が聞こえてくる。私は、
「
「どうした?」
金色の目をパシパシしながら、
「今日は、餃子を作ろうと思うの! だから、
「俺は、料理はできないぞ」
「
「しかし、俺の卑怯な物言いに、水蓮は怒っているのではないか?」
「まあね。でも、仲直りしたいなぁって思ってきたの。一緒におしゃべりしながら、餃子を作ろうと思ったの。何が好きとか嫌いとか、なんでもいいから、
私の早口な言い訳にに圧倒されたのか、
―― 自分が好きだからと言って、相手が好きとは限らない。
今は、恋の話とかではなく、人間関係の話みたいな大それた話ではなくて、食べ物の話だけどね。
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お題が跡形もなくなってしまいました。
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