第三膳『シチューと苦手料理』(お題)
まだ、日が昇らない明け方、私は、ふるふるっと震えて目を覚ました。
シトシトシト、シトシトシト……。
窓を開けて外を見る。昨日の夜から降り始めた森の雨は細い糸のように降り続いていたらしい。土も草も木もたっぷりと水を含んで、濡れそぼっている。やっと春を迎えて温かくなってきたのに、ひんやりとした空気が部屋の中にはいってくる。
―― これじゃあ、外の天幕で寝ている
私は、雨除けを羽織ると外に出た。
―― あれ? いないな。散歩かな?
時々、
春の森は食材が豊富。とりわけ、
――
伸ばしかけた手を引っ込めて、あわてて背を向けて走り出す。途中、パキリっと枝を踏んだけど、そんなことを気にしている余裕はなかった……。
◇◇
ホワイトシチュー。この世界では、白い
焼いた鶏肉の上に、
パタンと音がして扉の方を見ると、びしょ濡れの
「外、雨降っていたの? 寒かったでしょ。今ね、白い
「ああ……」
「そうだわ。いいものがあるの。お師匠様の妖術道具の一つで、『雨もへっちゃら乾かしてみせ妖具』!」
昔、雨の日に、ドライヤーがあればすぐ乾くのになーという私のぼやきを聞いてお師匠様が作った妖術具を持ってきた。よっぽど寒かったのか、
「さあ、これでよし! さ、食べましょ!」
―― なに? この微妙な空気。
これまで一緒にご飯を食べてきて、
―― 何がダメなの?
私は、ホワイトシチューを見る。形も色も違う数種類の茸と鶏肉。
――ということは……牛乳が苦手?
私にだって苦手な食べ物はある。だから苦手なものを食べたくない気持ちもわからないわけではない。でも、味覚は変化していくもの。昔は苦手だったものでも、好物に変わることだってある。
―― 食べてほしいな。せっかく作ったんだし。
「ふふ。実はね、これは、母直伝白い
「……」
「もしかして、牛乳苦手? 鶏肉と茸がたくさん入っているから、それほど気にならないと思うんだけど……」
「……ああ」
「それとも、白いのがダメだった?」
「いや……、そういうわけでは……」
「まぁ苦手なものなんて誰にだってあるわ。無理する必要はないけど、ちょっとだけでも口にしてみたら? 食わず嫌いは人生を損するわよ?」
私はまず、自分がスプーンをお皿に入れて、シチューをすくって口に入れる。
「おいしい……」と言った私の言葉を聞いて、
+++++++
*大幅改稿、関川さん、キレないでね。お・ね・が・い♡
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