第二膳『カレーの冷めない距離』(回答)
自分のおなの虫に負けた
―― そりゃ、あんな爆音鳴らしたらね……(笑)。
突然、気持ちを切り替えたのか、
「ならば、俺が鳥をさばこう!!」
ふんふーと
「さすが!」
「なんの。このくらい。ところで、
「水蓮でいいわよ。今日はちょっと豪華に足の部分を使おうかな」
私は
「何が、やはりなの?」と、私は
「鳥の足を三本使うということは、その料理を食べるのは三人なのだな。つまり、俺と
―― この前も、もう一人の住人に悪いとかなんとか言って帰っていったけど、何を気にしているんだろう。
私は、鳥の足をひっくり返して、もう片面焼き始めながら、ため息をついた。
「残念だけど、その推理は間違っているわ。今この家には私しか住んでいないもの」
「なぬ?」
―― あ、肉、焼けたかな。
「三本中二本は
「あぁ?」
「そうなのか?」
「そうよ」
「そうだったのか……」
耳の後ろをポリポリと搔いている
グゥグゥグゥ グゥー
水をいれるとジュウという音ともに一気に湯気があがった。そこへ、細かく刻んだ
―― そんな見つめられたら、恥ずかしいじゃない!
自分の耳が熱くなるのを隠すようにわざと命令口調で話し出した。
「もう少し煮たら出来上がりだから、
「お、おお!!」
◇◇
「はい。水蓮特製、骨付き山鳥
机の上には、ご飯と山鳥の足を一本ずつのせたお皿が二つ。そして、
「
「あ……ああ」
私はそういうと、
「ああ、美味しい」
自然と笑みがこぼれる。脂がのった山鳥の足を使ったから、いつも以上にコクが出ているような気がする。山鳥の骨に沿ってナイフをいれて、肉を切り取る。それを一口サイズにカットして
ぱくり。
―― うーん! さいこー!!
―― 山鳥の足はちょっと食べにくいけど、使って大正解だったわ。
「確かにね。ぐぢゃっとした見た目と色が最初は気になるよね。失敗じゃないわよ? 玉葱を飴色を通り越して黒っぽくなるまで炒めたからどうしてもそんな見た目になっちゃうのよ。
「う……うむ」
目をつぶっておそるおそるスプーンを口に運ぶ姿を私はじっと見つめる。ほら、口に運んだ途端、口角が上がった。
「う、うまい!! 鼻から入ってきた香りにこってりとした脂が絡み合って、なんという味わいだ。飯粒と混ぜて口に入れることで、飯粒に
「すまぬ。うますぎて、水蓮の食べる速度に合わせられず、一人で食べてしまった」
「そんなこと気にしないで。それより、おかわりする?」
「しかし、まだ、水蓮は食べている最中ではないか」
「私は気にしないけど……。それより、
「
「でしょー。今用意するね」
やっぱり、山鳥の足、
用意した
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