第66話
祖父神様の許しも得た所で、まだまだ他にも聞きたい事はあるのじゃ。
取り敢えず、大事な所では……
「のう、ワシが習得しとるスキルに付いても聞いておきたいんじゃが……」
「あ! 許可が出たからってまた増やすつもり!?」
「いや、逆じゃよ逆、スキルの複合化とか統合とかって出来んのかのう?」
前々から思ってはおった事なんじゃが、ワシの習得しておるスキルは兎に角、数が多いのじゃ。
寧ろ、増やし過ぎたんじゃなかろうか、とも思っておるくらい。
そこで考えたのが、よくあるド定番の複数のスキルを複合化したり、統合したりして数を減らすという方法じゃ。
「ぇ? そんなの無理よ?」
「無理なの?」
「そんなの当たり前じゃない。 そもそも、スキルを複合化するにしても統合するにしても、前提となるスキルを全部習得してないといけないのよ? そんな事出来る訳ないじゃない」
「分かりやすく言うなれば、スキルの複合化や統合と言うのは料理と同じじゃよ。 スキルが材料、複合化して出来上がるのが料理、と言う感じじゃよ」
成程のう。
つまり、ワシが
「例えば、
「えーと、剣とか槍とかは当然じゃろ? 後は刀とかガントレットくらいかの?」
「ハズレ、それに剣だけでも短剣、長剣、大剣、細剣っていくつもカテゴリがあるのよ?」
……ちょっと待って欲しいのじゃ、もしかして、それぞれが独立して『〇〇術スキル』って感じなの!?
そう考えると、確かに複合化や統合化は無理な話じゃな……
「近接ならまだこのくらいで済むわよ? 魔法なんて、それこそ全部把握するなんて無理無理」
「じゃから、複数のスキルを纏める事は出来ぬ、と」
「流石にね」
ワシのポーション師の能力でも無理なんじゃろうか?
どんな物でも創り出す事が出来るんじゃし……
「……やめときなさいよ、無理にやったら反動でどうなるか私達でも分かんないからね?」
「どういう事じゃ?」
ワシの言葉で、童女神様が溜息を吐いておる。
「例えば、地火風水の魔法スキルを習得してる魔法使いが、雷魔法を無理矢理使ったらどうなると思う?」
「適性が無いんじゃから発動せぬんじゃなかろうか?」
「行き場を失ったマナが体内で暴発して木っ端微塵」
「怖っ!?」
「つまり、貴方が習得してる魔法で『複合化』とか『統合化』したとしても、
さ、流石にそれは嫌じゃのう……
い、いや、物は考えようじゃ、『全ての魔法を習得する』と言うポーションを使えば……
「それもやめておいた方が良いぞ?」
「そいつはさっき言ってた『魂の器』が関係してんのか?」
「まぁ厳密には少し違うんじゃが、まぁそう思っておけば良いかのう……魔法スキルは大小はあれども、かなりの数があるんでな、そんなのを全て覚えようとしたら、それこそ廃人になるじゃろうな」
その言葉で、兄上がワシの方を見ておる。
分かっとるよ、これはフリでも何でもない、絶対にやったら不味い奴なのじゃ。
しかし、そう考えると、地球のラノベでちょくちょくやっとる事って、存外出来んものなんじゃな……
さて、他には……
「あ、そうじゃ、ワシがこっちに来た時におったサポーター殿って会えるのかのう?」
「あの子? 確か今日は来ているハズだけど?」
童女神様が部屋の外におる侍女に何か言うと、頭を下げて侍女が下がって行ったのじゃ。
そして、しばらくすると、一人の侍女殿が連れられてきたのじゃ。
見た目は、青髪をアップにまとめ、他の侍女達と同じ様な着物を着ておるのじゃ。
「シャナリー様、お呼びでしょうか?」
「用があるのは私じゃなくて、こっちだけどね」
「お客様がですか?」
「おぉ、その声は間違いなく、あの時のサポーター殿じゃな!」
懐かしいのう、こっちに来た時、色々と教えてくれたサポーター殿の声じゃ。
「あの時の方ですね、こうしてお会いするのは初めてとなりますね」
「うむ、対面するのは初めましてなのじゃ。 スマンかったのう、教会に来れぬような状態になってしもうて、連絡をしようにもできんかったのじゃ」
「いえ、私達も
うむ? 無償で村人に施し?
あぁ、ベヤヤがおった山の麓にある村の事じゃの。
アレは別に無償でとか、恩を売るとか考えておらんかったのう……
と言うより、長く続いた凶作で喰うに困ってガッリガリに痩せ細った村人に対して、金銭を要求したり、何かを頼むなんて流石にのう?
それなら、ある程度回復して貰ってから、手を貸して貰った方が遥かにマシだと思っただけじゃし。
そもそも、見た目は幼女じゃが、魔女なんて身分も怪しさ満点なワシを受け入れて貰うのじゃから、上から目線なんて出来ぬし、ワシが住む山はあの村の近くなんじゃからコミュニケーションは円滑にしたいしの。
それに、今では村で作った畑の野菜を分けて貰ったり、伐採した森に植林やらをして貰ったりしておるしの。
完全無償で手助けしたのは最初だけじゃ。
「随分とお人好しだと、シャナリー様や他の担当が言っておりました」
「ちょっバラすなし!」
サポーター殿の言葉に童女神様が慌てておる。
ほほぅ、お人好しとな。
まぁ、そこら辺は自覚はあるんじゃが、他の担当と言うのは、もしや、勇者や大賢者とかの担当の事かの?
少なくとも、二人は来ておるわけじゃし。
「解、詳しくは言う事は出来ませんが、勇者と大賢者の担当はあの二人のやらかしで疲れておりますので、貴方の行動は癒しだそうです」
「癒し、て……どんな状況になっておるんじゃ……」
「ぁーうん、別にあの二人の事なら言っても良いかな、まず、勇者は転移初日に『俺の時代だーっ』て叫んだかと思ったら、魔法が使えないって分かって大暴れ、今は所属してる国で勇者として魔法が使える様に研究させてるわね」
あー究極系じゃけど近接職じゃから魔法回路が無いんじゃな?
あれ? でもこの世界の人々は近接職でも魔法を使えておるような?
どういう事じゃ?
「解、『魔法回路』と言うのはマナの通り道であり、地球人で言う所の神経に近い物です。 この世界では誕生当初、持っている人種と持たない人種がおりましたが、融和が進み、現在ではほぼ全ての人種が持っています。 ですが……」
「あー地球人には無い物じゃから、転移時の
ワシの言葉でサポーター殿が頷いておる。
つまり、転移してきた勇者は、魔法回路が無いから魔法を使えぬと知って、ふざけんじゃねーって暴れたんじゃなぁ……
「そして、大賢者ですが……その……」
「言い難かったら別に言わんでも良いんじゃが……」
サポーター殿が言い難そうにしておる時点で、嫌な予感がバリバリなのじゃ。
こういう場合、碌でも無いのは確定じゃ。
「いえ、大賢者ですが、国の発展に寄与してはいるのですが、地球で言う所のマッドサイエンティストに近く、最近は戦争に使える技術の開発も行っている状態です」
別方面で碌でも無かったのじゃ……
つまり、勇者と大賢者は、ワシがおるバーンガイアの両隣、クリファレスとヴェルシュに別れておるって事じゃな。
もしや最近、両国が小競り合い程度で済んでおるのは、コレが原因なのかもしれんのう。
片や勇者の我儘に振り回され、片や大賢者の研究が完成するのを待っておる状態。
まぁ
あ、最後に一つだけ童女神様にお願いと言うか、提案があるんじゃが……
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