第2話




 間違いなく変化している事を確認した。

 何処でって?

 言わせるなよ。

 で、何故に幼女になったのかと、ムサイおっさんより、幼女の方が良いだろ?

 ……まぁこれは流石に冗談だが、この幼女の姿は、一昔前にやっていたオンラインゲームで自分が使っていたキャラの姿だ。

 当時は数時間悩んでキャラメイクし、サービス終了まで長い間使い続けていたから、愛着があるのだ。



 とまぁ、コレでこの『ポーション師』というクラスは、ぶっ壊れクラスである事はほぼ間違いない。

 と言うのも、今回使用したポーションは、『使用者の見た目を任意の姿に変化させる』と言う、所謂『変身ポーション』だ。

 よし、まず第一段階は成功だ。

 シールドが消滅するまでは、時間的にまだまだ余裕はある。

 今のうちに、サポーターに色々と聞いておこう。


「まず、スキルは所定のクラス以外が習得する事は可能か否か」


 -解。 難易度は上がりますが習得は可能です。 ですが、使用出来てもデメリットで大幅に威力は減衰しますので、クラス適正者以外が無理に習得するケースは非常に少ないです。-


 なるほど、やはり強いデメリットがあるから一般的では無いのか。

 しかし、習得可能で使用も出来るというなら、考えている事が実行出来る。


「では、次の質問だが、魔法を習得した場合も、減衰条件は同じか?」


 -解。 魔法については魔法回路が無い場合、魔法クラス以外には使用不可能です。 ただし、ポーション師はクラフト系統に属していますので魔法回路は存在します。-


 ふむ、その魔法回路と言うのがあるから、魔法を使用可能なクラスは魔法が使えるという事か……

 まぁ問題は無い。


 それから更にいくつかの質問をしていく。



 まずこの異世界自体について。

 異世界の名前は『ヴァーンガル』と言う名前で、いくつかの大陸とその周囲に島国がいくつか存在する。

 文明レベルとしては、少し予想はしていたが中世くらいで、早い話がナー〇ッパとかそんな感じらしい。

 そして今いるのは、その中でも最大の大陸にある『バーンガイア国』と言う比較的小さな国。

 大国と帝国と言う強国に挟まれているが、どっちも最近は睨み合っている状態であり、この国は中立を掲げている為、今の所、平和な国。

 貨幣は銅貨30枚あれば、庶民なら1週間は喰い繋げる額。

 一日は24時間、一週間は6日、一ヶ月は30日、1年は12か月の360日で春夏秋冬がある。

 種族については、人間以外にもエルフやドワーフ、獣人と色々といるらしく、全てを知る事は難しいらしい。



 さて、それでは何故俺が、この『ポーション師』と言うクラスをぶっ壊れクラスだと考えたのか。

 それは、『どんな能力でもポーションとして作る事が出来る』と言う『ポーション師』の能力。


 この『どんな能力』と言うのは、恐らくだが、限りなく制限は無い。

 自身が欲しい能力があれば、それをポーションとして創る事が出来る。

 それがスキルだろうがクラスであろうが、自由自在。


「それじゃ、次は……『ポーション製作』」


 そうして出来上がったのは、二つのポーション。

 片方は薄い黄色で、もう片方は薄い青色。

 それを一つずつ飲み干す。


_________________________


*『体力超速回復スキル』を習得しました。 

*『マナ超速回復スキル』を習得しました。

_________________________



 頭の中に、サポーターとは違う合成音声の様な声が響く。

 超速回復スキルは、文字通りそれぞれの回復速度が増加するスキルだ。

 今回は、体力とマナを回復させるのだが、この『超速』と言う点が大事だ。

 このスキル、例えばマナ超速回復スキルの場合なら、マナを消耗した瞬間、一瞬でフルまで回復させてくれる。

 つまり、『ポーション師』のデメリットであるはずの『ポーション製作時の消費マナ増加』を実質的に無効化する事が出来るのだ!

 だが、今回はそれ以外にも色々と考えている事がある。


「続けて、『ポーション製作』」


 両手の中に現れたポーションは、今までと違って虹色に輝いていた。

 これが恐らく、『ポーション師』の中でもぶっ飛んだスキルになるだろう。


 一息でそのポーションを飲んだ。


_________________________


 *『スキルデメリット消失スキル』を習得しました。

_________________________



 思った通りのスキルを習得した。

 『スキルデメリット消失スキル』とは、文字通り、本来あるはずのスキルデメリットを『無し』にしてしまうという恐ろしいスキルだ。

 これにより、俺だけはスキルのデメリットを一切受けず、いくつものスキルを習得して使用出来るようになったのだ。


「よしっ色々習得するぞ!」





_________________________


*『魔法回路強化スキル』を習得しました。

*『生活魔法スキル』を習得しました。

*『火魔法スキル』を習得しました。

*『水魔法スキル』を習得しました。

*『風魔法スキル』を習得しました。

*『土魔法スキル』を習得しました。

*『雷魔法スキル』を習得しました。

*『光魔法スキル』を習得しました。

*『闇魔法スキル』を習得しました。

*『木魔法スキル』を習得しました。

*『金属魔法スキル』を習得しました。

*『氷魔法スキル』を習得しました。

*『重力魔法スキル』を習得しました。

*『滅龍魔法スキル』を習得しました。

*『空間魔法スキル』を習得しました。

*『魔力増加スキル』を習得しました。

*『魔法力強化スキル』を習得しました。

*『詠唱加速スキル』を習得しました。

*『無詠唱スキル』を習得しました。

*『錬金術スキル』を習得しました。

*『体術補正スキル』を習得しました。

*『弓術補正スキル』を習得しました。

*『剣術補正スキル』を習得しました。

*『剣聖スキル』を習得しました。

*『剣神スキル』を習得しました。

*『戦闘補正スキル』を習得しました。

*『格闘補正スキル』を習得しました。

*『防御力増加スキル』を習得しました。

*『魔法耐性スキル』を習得しました。

*『完全異常耐性スキル』を習得しました。

*『鑑定スキル』を習得しました。

*『創造スキル』を習得しました。

*『クラフトスキル』を習得しました。

*『偽装スキル』を習得しました。

*『強奪絶対防御スキル』を習得しました。

*『疲労超速回復スキル』を習得しました。

_________________________




 うっぷ、流石にもう飲めん……

 結構な時間を掛けて、凄まじい数のスキルを習得したが、後悔は無い。

 これだけの数のスキル、本来なら習得するなんて絶対に不可能だ。

 元々、魔法系は魔法回路が無いと使えないのだが、そこはサポーター曰く、『ポーション師』にも魔法回路はあるとの事なので強化した。

 そして、怒涛のスキル習得。

 これだけのスキルを習得する対価は、俺の腹具合。

 まぁしばらく我慢すれば問題無い、と言うか流石に何度もお花摘みをしている。

 その度に地面に穴掘ったり、それを埋めたり、生活魔法の『クリーン』を使ったりして、魔法にも慣れた、と言うか、慣れざるを得なかった。

 さて、そうしていると、視界の隅に10と言う数字が表れた。


 -シールド消滅まで残り10分となりました。 出発の準備は宜しいでしょうか?-


 そうか、もう残り10分なのか。

 質問中に、サポーターをスキル化出来るか聞いてみたが、サポーターはこの異世界の女神直属の天使の一人らしく、無理だった。

 と言うのも、サポーターは『生命体』である為、『能力』では無いからだ。

 少々残念だが、教会にでも行って祈れば、多分連絡くらいは出来るだろう。


 -それでは、頑張ってください。-


 その言葉を合図に、ラッ〇のようなシールドが上から徐々に消えていく。

 完全にシールドが消滅すると、気持ちいい微風が吹いてくる。


「さて、それじゃ行くとするか」


 周囲を見渡しても草原なので、適当に歩き出す。


 こうして、異世界での第一歩を踏み出した。







 ダッボダボなズボンを持ちながらと言う、若干情けない恰好だけどな!











~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 -あぁぁあぁあっ!? なんじゃこのスキル数はぁぁあぁぁ!!?-


 -うるさいのう、ちっとは静かに見てられんのか-


 -黙れ、この元凶!-

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る