15日目(4/28)熱さがんねえ

 4月28日。今日も朝から37.3度。朝ごはんを食べた後は37.5度にあがる。今日も教習所はキャンセル。「そっかー、お大事にね」とあやすように言われる。結局初日以来ずっと行けていない。

 さすがにここまで熱が下がらないのは心配だということで、母に連れられ再び病院へ。

 いっこうに下がらない微熱について、祖母は「あんた(母)が子供に怒る声がストレスなんだ」と言い、祖父は「教習所がトラウマになっとるんじゃなかろうか」と心配していたらしい。「初孫だからか過保護だねー」と母は冗談めかして言っていたが、正直どちらにも心当たりがあってドキっとする。

 9時ごろには病院についていたが、予約の人が優先とかで、1度目の診察の名前が呼ばれたのは12時過ぎ。暇すぎて持って行った本を読み終わってしまった。

(小川糸さんの「サーカスの夜に」。胸の温まるお話でした)


 症状を説明すると、また採血と検尿をするとのこと。二重の意味でうんざりする。採血怖いし苦手だし、さっきトイレに行っちゃったし。

 苦々しい気持ちで持参した麦茶をがぶ飲みし、採血を待つ。こんな時に限ってすぐ名前が呼ばれる。「痛いねーごめんね」「チクっとするよー」「がんばったねー」と看護師さんによしよしされて幼児になった気分。それにしても島に来てから、年相応より下に扱われることが多い気がする。ピンク髪ピアス女なのに。7割が高齢者のこの島では20代は赤ちゃん同然なのだろうか。それとも私に社会性がなさすぎてバブちゃんに見えるのか。


 そして検尿である。さっきトイレに行ったばかりなので当然ながら出ない。先に言ってもらえればトイレ我慢してたのに。悪戦苦闘し、20分くらいかかってどうにか絞り出す。こんなことでこんなに達成感と感動を味わったのは初めてだ。


 そして検査待ち。1時半ごろになってようやく名前を呼ばれる。結果は前回とほとんど変わらず。医学の教科書的には、若い女性に発熱が続いたら妊娠についても念のため調べるとのことだが、そちらも陰性。心当たりはまったくないが、なぜかホッとする。母は「孫はまだだったか……」「赤ちゃん早く抱きたい」となぜか残念そうだった。気が早い。

 お医者さんの話によれば、炎症が長引いて身体が疲れてきているのだろう、とのこと。解熱剤と、活力を補助するという漢方を処方される。

「それって苦いですか……?」

 思わず尋ねた私に、お医者さんは唐突に目の色を変えた。

「漢方って苦いものだと思われがちなんですけど、自分の体質にあったものって、実は甘く感じたりするんですよ。それが漢方の面白いところでですね、僕も自分で色々試してみたりしたんですけど……」

 急にイキイキしだした。漢方、好きなのかもしれない。


 病院が終わり、帰ってお昼ご飯を食べると、3時を過ぎた。病院はなぞに肌寒くて、ずっと待ちだったのもあって疲れてしまった。漢方は苦くはないがおいしくなかった。そのまま部屋にこもってごろごろ。ゴールデンカムイの最終話を読んでクソデカ感情の波に襲われて、余韻を味わっているうちに、いつの間にか寝ていた。


 気づくと夕ご飯。今日のメニューは餃子ともつ煮。どちらも好物なのだが、残念、私はおかゆである。


 はやくふつうの食事ができるようになりたい。スタバ飲みたい(島にスタバないけど)。家系ラーメンとか食べたい。ファミチキ食べたい。ハイボールとから揚げがほしい。ハーゲンダッツ食べたい。


 ジャンク絶ちを強いられているせいで、最近ジャンキーなものがめっぽう恋しい。

 明日もおかゆなんだろうな……。


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