9日目(4/22)びわおいしかったです

 4月22日。昨日の夜にお酒を飲んだら、眠りがものすごく浅かった。眠いのに9時には叩き起こされる。寝不足でぼんやりする頭で朝ごはんを詰め込む。最近ずっと寝足りない。

 朝食の後、眠気覚ましがてら、母と散歩へ。目的は、明日から始まる教習所のお迎えポイントを確認すること。場所は歩いて5分ほどの公園前。そこから少し歩いた先には、昔の庄屋の家だったという古民家(一応国の重要文化財らしい)がある。

 せっかくだから古民家まで歩いてみると、「どちらから来られたんですか」とおじいさんに話しかけられる。どうやらスタッフの方のようだ。母との会話では方言がないので、観光客と勘違いされたらしい。(ちなみに母は、祖父母と話す時だけどぎつい方言になる。最近やっとヒアリングができるようになってきた)

「私はここ出身なんですけど、娘は東京から来たんです」

 母が答える。東京、というのは嘘なのだが、咄嗟に話を合わせる。

 そのままスタッフのおじいさんは古民家について色々説明してくれた。お屋敷の作りだったり、柱の組み方だったり、いろりやかまど周りのことだったり。わざと天井裏に煙がいくようにして、そこに置いてあったお米に虫がつかないようにしたんだとか、梁が煙でいぶされることで強くなるんですよとか、昔の大工は山ごと買ってその土地の木をどう組み合わせるか考えた(その方が建物が丈夫に出来上がるから)とか。

 建物の説明がひとしきり終わると、歴史トークが始まる。昔鎌倉仏教が流入してきてひと悶着あったとか。この島には三万年前の遺跡があるとか。ここで生まれ育った母も知らないような島の歴史を事細かに教えてくれた。おじいさんは関東に勤めに出ていた人だったらしく、言葉に訛りがない上に、説明がすごくわかりやすかった。

 歴史や民俗の話が好きな私はどんどん聞き入ってしまい、食いつきがいいのが面白いのかおじいさんもどんどん話をしてくれ、気付くと散歩に出てから1時間が経っていた。

 おじいさんは最後に、庭にあるびわをもいで持って帰らせてくれた。長い散歩から帰ると、祖母が「どこ行ってたの」と驚いた顔で言った。


 家に落ち着くころには昼時になっている。そろそろ昼食の準備をしなければならない。料理は基本母におまかせだが、味噌汁担当大臣に任命され、じゃがいもとえのきの味噌汁を作る。

 ご飯を食べた後は、中島みゆきコンサートDVD(母の秘蔵の品)を見ながら、こまごまとした用事をこなしたり、小説のプロットを書き始めたり。

 ずっと書こう書こうと思って放置していた長編小説だが、島に来たばかりの時はおぼろけだったものが、少しずつ輪郭をつかみはじめている。例えるなら、そば打ちやパン作りの生地をまとめる作業だ。最初は粉がもろもろボソボソしていたのが、混ぜていくうちに少しずつまとまって、むちっとしてくる感じ。

 ちなみにプロットづくりやアイデア出しはそこまで得意じゃない。私は文章を書くことそのものの方がずっと好きだ。


 今日はそれからずっとプロットをこねこねしていた。終わってから日記を書こうと思ったら、終わるころには日付が回ってしまった。

 けどあとは小説本文を書くだけ。これ以上なく楽しい作業が待っているだけ。るんるん。

 

 ちなみに明日は教習所の入校式があり、その後夕方まで教習を受けるので、じっくり小説に向かう時間はなさそうである。無念。

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