1日目(4/13-14)なめくじに塩をかける

 4月13日。次の日、早朝の飛行機に乗るため、母と妹とともに落ち合う。母の再婚相手(以下、おじさんと記す)と弟は荷物を積んだトラックでひたすら南下中。なんでも、引っ越しを業者に頼んでしまうと、離島では60万から80万ほどもかかってしまうらしい。クソ高い。

 途中で電車が止まり母たちが30分以上待ち合わせに遅れるなどのトラブルはあったものの、無事前泊先のホテルへ。喫煙者が二名いるため喫煙部屋をとったはずが、部屋はなぜか禁煙。母と二人で肩を落とす。

 夕ご飯に中華を食べる。餃子がおいしかった。ハイボールを呑んだため向精神薬は朝にまわす。

 妹は今年で小学校3年生になるのだが、妙に私に懐いている。「お姉ちゃんと一緒に寝る」と言ったはいいものの、ハイになってしまい結局寝たのは日付が変わるころ。ビジネスホテルの慣れないベッドで私はなかなか寝付けず、なんども寝返りを打つ。


 翌朝。4月14日。5時半起き。6時頃のバスに乗り、飛行機へ。ここから飛行機をはしごして離島に向かう。直行便などない。

 母と妹の二人と私はそれぞれ別に航空券をとったため、席が離れる予定だった。ところが、ここで妹が「お姉ちゃんと一緒に座る」と頑として譲らない。まあいいよと引き受ける私。朝が早いし眠りは浅いしで飛行機の中で寝る気まんまんだったのだが、妹が寝かせてくれない。眠りに落ちそうになったところで「寝ちゃだめー」と袖を引っ張られる。8歳児とともにおしゃべりをしたりしりとりをしたり(なんとこの妹、一人前に「り」責めなど使ってくる)折り紙を折ったり、どうにか飛行機の時間をクリアする。実に三時間半、妹と二人である。子供の面倒を見るのは嫌いではないがさすがに疲れた。


 昼過ぎ。離島に上陸。どんなところか一言で説明すると、ド田舎である。祖父母宅の最寄りのコンビニ(島にふたつあるうちのひとつ)まで車で20分かかる。

 先日遊びに行った北海道ではタンポポみたいなノリでふきのとうが生えていたが、こちらでは街路樹みたいなノリでヤシの木が生えている。さすが亜熱帯。

 祖父母宅についてからはてんてこ舞い。母一家は引っ越しのため、その荷下ろしを手伝う。その間も妹と弟がまとわりつき、隙をついて「あそぼう」と腕を引っ張られる。虫取りにもつき合った。虫好きの弟はいつか昆虫食がしたいのだと熱く語った。それはいいんだけどさ、妹、コオロギをとった網を私の頭にかぶせて遊ぶのはマジでやめてほしい。

 ようやく一人で一息つけたのが午後3時半すぎ。フォロワーさんに泣きの電話を入れる。


 その後も片づけをしたりおやつを食べたりチビたちと遊んだりで時間が過ぎる。夕飯前、これを書こうとしているところを妹に見つかり、「一緒に日記の内容考えよう」「わたしだったら~」とマシンガントークがとまらない。

 と、思ったら台所から悲鳴。キャベツを切っていた母が巨大なめくじを見つけたらしい。おじさんが指でつまんで外に出し、私と妹とで塩をかける。妹が容赦なく塩をかけるので玄関先に塩の山ができた。なめくじって本当に塩で小さくなるんですね。

 

 夕飯には刺身が出た。北の味覚もおいしかったけど、南も魚がおいしい。九州の甘いお醤油が好き。祖母が私にと甘いチューハイを買ってきてくれていたので、申し訳ないから飲む。今日も向精神薬は朝にまわす。


 午後八時。ようやく一人の時間ができる。嫌煙家の祖母にばれないように一服。

 一人の時間はやっぱり愛おしい。


 さて、チビたちの目を盗んで、私はこの島民生活を有意義なものにできるのだろうか。正直、初日から雲行きがあやしい。

 

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