第14話サヨナラ
「あぁ!」冴子の口から吐息と共に喘ぎ声が漏れた。冴子の全身に狂ったように舌を這わせるのは瀬戸だった。乳房を揉みしだき乳首を丹念に舌で転がして吸う。
「冴子の‥おっぱいが飲みたかった。お願いのませて」乳房を舌で責めながら指で執拗に激しく冴子の下半身を愛撫した。
2人が再会したのは冴子の電話から1週間後のこと。瀬戸は自身が宿泊するホテルの情報を冴子の携帯電話のメールにいれた。場所を
調べてみると
そこは東南アジアリゾートをコンセプトにしたホテルだった。タイやマレーシアなどを頻繁に訪れる瀬戸らしい選択と言えた。
冴子はその日に合わせて隣の吉田家に頼み込み琥太郎を預かってもらう事にした。
時間を気にせずたまにはリフレッシュしてきなさいと快く送り出してくれた。男に会いにいに行くとは言えず冴子は心が痛かった。でも瀬戸に会えなければ死んでしまいそうだった。仕方がなかった。ホテルのロビーに到着しても平日のせいか あまり人とはすれ違わなかった。颯爽とエレベーターに乗り込み18階に到着すると高鳴る鼓動を抑えつつ
指定された1812号室の呼び鈴を押した。しばし間があいてから警戒心の強い瀬戸らしく扉をゆっくり少しだけ開け、まずは細い隙間から冴子の姿を確認した。
紺色のワンピースを着た冴子が間違いなく瀬戸の目の前に立っていた。
「冴子」瀬戸がそう言い終わるより早く冴子は瀬戸の腕の中に飛び込んだ。
「ごめん今シャワー浴びてて。こんなに早く到着すると思わなくて」
なるほど瀬戸は上半身裸だった。白い肌
薄い胸板、細い腕、甘い香り。全てが瀬戸だった。待ち焦がれていた、この腕の中に帰る日を。実質はほんの1ヶ月くらいだったかもしれない。ただ冴子の中ではもう
最後に会った日から何百年も時が経ってしまったように思えた。
2人は交わす言葉もなくしばらくの間、力一杯抱き合った。瀬戸はやがて腕の力を緩めると両手で冴子の顔を包み、背中をまるめて自らの唇を冴子の唇に合わせた。絡み合う舌。溢れる唾液を互いに啜り合うように。瀬戸はまた更にキスが上手くなった気がした。柔らかく甘くあたたかい唇。気持ちいい‥溶けそう。名残惜しげに唇をいったん離した瀬戸は冴子を抱き上げるとベッドに運んでそのまま優しく横たえた。言葉を交わすかわりに吐息で会話した。服を脱ぎ捨てて。自分の痕跡を相手の体に刻みつけるように、上になり下になり体勢を入れ替えながら2人は互いの身体に舌を這わせ続けた。
冴子はここまでの間に何度 夢の頂上に達しただろうか。瀬戸の指と舌に刺激され冴子は何度も全身を激しく震わせた。
また乳房が張る。琥太郎にしこたま飲ませたはずなのだが。
「冴子‥飲みたい。」赤子のように音を出しながら乳頭をしゃぶり続ける。冴子も自分の舌でまずは瀬戸を絶頂に導きたかった。ひとしきり快感を堪能した後、瀬戸のモノを含んだ。「私も飲みたい。出して‥」
私も瀬戸も普通のセックスじゃ満足できない身体になってる。私達を満たすのは私達だけ。他の人とするのでは満足できない。この人なのだ。瀬戸は私の身体の一部になった。私の人生のすべて‥。
冴子を窓辺に立たせると瀬戸は背後から激しく突いた。冴子はあっけなく達した。
背後から力の抜けた冴子の唇をむさぼる。
「綺麗だよ」
最後はベッドの上で重なり真正面からしっかり抱き合って同時に果てた。
ダブルベッドの上で瀬戸の腕に抱かれ冴子も瀬戸の身体にしっかりと自らの身体を密着させた。2言くらい言葉を交わすとすぐにキスをする。そのうち唇が取れるかもしれない。
「冴子‥俺明後日から香港行ってくるよ。」
「だってまだ夏には早いよ。」
「辞める」
瀬戸はまた悪戯っぽく笑った。
「私のせい?」
「冴子のせいじゃない。10年働いし元々どこかで長めの休みをとりたいなと思ってた。本当はもっと早く辞めようと思ってたけど
冴子の事好きになって‥冴子と一緒に働きたいが為にずるずる続けちゃった。」
瀬戸はふいに真顔になった。
「冴子がパートで入ってきたときから明るくて笑顔が可愛い素敵な人だなって気になってたんだ。気持ち隠すの大変だった。ダメだ人妻だ、好きになっちゃいけないって‥思ったけど。冴子がいけないんだよ。俺の気も知らないでキスしたりするからもう‥止まらなくなっちゃった」
冴子は瀬戸を更に強く抱きしめた
「私もずーーーっと好きだった。初めて会った時から。香港で浮気しないでよ」
「そうだな毎日飲茶食べて女人街で買い物して毎晩ビクトリアハーバーからフェリー乗って夜景みてさ‥綺麗な女の人抱いて」
そこまで言うかと冴子は瀬戸を叩いた。
ひとしきり2人は笑い合った。
「だからさ、冴子。」
一緒にきて‥かな?一緒には行かれないとわかっていても冴子の胸は高鳴った。
しかし次にくる言葉は決して甘いものではなかった。
「終わろう、俺たち。そのことを言う為に今日来たんだ」
サヨナラ‥?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます