第6話:雇用問題を考える ③-1

 今は労働基準監督署も労働関連に関してはかなり力を入れているが、現場の実態把握をしていないことや提出書類の信憑性に欠ける部分が無いかなど労働者を守らないといけない立場でありながら若干信用に欠ける部分があるケースもあった。例えば、労働賃金の支払いに際しても二重帳簿などで実払いと法定支払い賃金を分けて計上している場合があった際に法令遵守していない場合でもあまり気がつくとは少ない。そのため、実労働時間や残業時間などが調整されて社員に支給され、源泉徴収や市県民税などの際に実際にはもらっていない給与分までいわゆる“みなし課税”をされてしまい、払わなくても良い税金まで徴収されている場合もある。これらはたいていが労務調整などを会社側が行っている場合もあるため、きちんとしたデータを労働基準監督署が管理し、会社側が提出してきた給与所得に関する課税書類などを労働基準監督署内にあるデータとの照合や対比を行い、数字が合わない、時間が調整されているなどの不正の有無などの確認が必要になってくる。


 そもそも、現代の雇用情勢は双方のパワーバランスが均等ではなく、いずれかが強くなっており、労働者側に限ると新卒採用以外はあまり状況の変化を感じることはない。なぜ、ここまで雇用情勢が安定しないのか?理由は簡単で、長期にわたる労働者の立ち位置が徐々に縮小されていき、実情があまりにも労働者側に不平等に変動しすぎた結果がじわじわと表面化し、“職業選択の自由”が“逃避選択の自由”に変化し、少しでも自分の利に沿う仕事以外の嫌な仕事はしない。という価値観が芽生えていっているのだろう。特に、ネームバリューが社会に浸透している領域の学歴を持っている人にとっては自らの能力や経験を切り売りする“個人売買”という新たな領域を推進してもさほど大きな影響は出ない。


しかし、企業は優良人材として採用したこれらの人材を流出してしまうことで会社の運営にも影響が出てくるのではないかと恐怖しかないのだろう。確かに、企業競争に勝つためにはこれらの人材の流出は恐怖心しかない。


 では、これらの社員との友好関係を高めておくにはどうすればいいのだろうか?


例えば、会社内で優秀な人材が近日中には新しい会社を立ち上げるために会社を退職するとなった場合にまず、彼らがどのような領域でどのように展開をしていくのかを見極め、可能な限り彼らに取引先の1社として認識してもらう必要がある。ほとんどの会社はそれらを実行することなく、そのまま人材を見過ごしていく。その結果、貴重なビジネスチャンスや人脈を減らしてしまっても問題ないと考えてしまうのだろう。ただ、緊急事態に陥った場合にはもっと大変な問題に発展する場合もあるため、可能な限りつながりだけは持っていなくてはいけない。いくら円満退社・退職ではないとしても彼ら・彼女たちにとっては貴重な経験をさせてもらった場所であり、そこで培った知識などはこれからも活用できる。だからこそ、それらの知識を可能な限り積み重ねていき、時間を追う毎にそれらの知識を活かしながら、会社の発展に貢献していく。そのような柔軟性の高い社員がもっと増えるべきであり、他者からの転職組に関しても他者で勤務していた際にどのように仕事をしてきたのかをその会社に入社してからも継続していく必要がある。

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