第3話:雇用問題を考える ①

現在、コロナウイルスの感染拡大により、かなりの雇用格差と雇用形態による差別がじわじわと起きてきている。そもそも、労働基準法では正規雇用社員のみが給与の保証を受けることが出来るため、それ以外の非正規雇用社員やアルバイト・パートといった人たちが解雇や雇い止めといった生活困窮者となってしまっている。


なぜ、日本は雇用面でここまで差を付けなくてはいけないのだろうか?これは私の個人的な意見ではあるが、第一に“人件費に対する価値観”だろう。


これは、“優秀な人材を極力低賃金で雇用する”という既存の雇用意識が浸透していき、正社員だけが会社の戦力のような考え方が定常化している。


そのため、非正規雇用の社員はどちらかというと正規雇用の社員の欠員補充のような状態になっている。その結果、今回のコロナウイルスでテレワークになることで発生する損害があった場合に真っ先に人員整理対象になるのは非正規雇用の社員もしくはアルバイト・パートの人たちだ。このような人たちは会社の業務に関しては立ち位置も異なり、同一業務を任されることが確約されている訳でもない。


そして、会社からすると労働基準法の適用除外(正規雇用の社員は労働基準法で保護されているため、不当な扱いをすることは許されず、解雇等に関しても相応の理由がない場合には解雇決定が出来ない)の人員でもあることからそこから削って人員削減を行うことが妥当だと考えるのだろう。


私は社会においてこれらの人材を“代替可能人員”のような扱いをしているように感じるのだ。このような人たちは雇用契約に関しては派遣社員なら派遣会社、アルバイト・パートであればそれぞれの雇用先に判断を委ねられている。


そのうえ、これらの人たちは正規雇用のように休日が決まっている場合もあるが、たいていは自由契約になっており、本人側が勤務日や勤務日数、休日など正規雇用では企業をはじめとする事業主側が決定する内容に関しても本人から希望等を事業主側に申し出ることができる。そして、その希望を考慮した勤務が出来る場合もあるが、たいていは両者協議を行ったうえで双方合意をもって就労する。


つまり、非正規雇用に関してはどちらかというと個人の意思を極力尊重し、本人が働きやすい職場環境や就業に対する環境を決定・就労できる。一方で、事業主側の内部事情の悪化などにおける企業経営および運営に左右され、万が一悪化した場合に回復の見込みがあった場合には一時的な減収が見込まれるが、業績回復に伴い増収もしくは一定収益の維持が可能な場合には復職などの選択肢が出てくるため、かすかではあるが、一縷の望みが出てくる。


しかし、これらが長期化してしまうと勤務継続が出来るのか出来ないのかに対する不安が増大してしまう。その結果として失職や解雇をいつされるのかを常に考えながら与えられた仕事を遂行しなくてはいけないのだ。


私はこれらの状況下において、法的保護ないし同一待遇の法令化を検討してはどうだろうか?と考える。今後、同一労働同一賃金の実施が見通されているが、雇用者の地位に関しては保護などの検討はされていない。

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