第2話:経済的な問題を考える ②

特に学生の場合はアルバイトをしてお金を貯めなくてはいけないため、アルバイトもそうだが、時給が高く設定されている仕事を選ぶことはよっぽどの事情がない限りない。そのため、月に稼げる額にばらつきが出て、親からの仕送りなどを充当しなくてはいけないのかもしれない。最近は給与区分が細分化されており、アルバイトやパート募集の紙を見ると“一般:○○・学生:○○”というように学生よりも一般の方が高く設定されている場合が多く、中には数十円単位で下がる物も少なくない。これではバイトが集まる可能性はかなり低くなる。なぜなら、学生によっては“同じ仕事しても学生だからという理由だけで時給が下げられるのはおかしい”、“学生に関しては一般と同じじゃないのか?”という声が聞こえてくる。そうすると、アルバイトを探している学生は賃金差のない店舗などのバイトに集中していく。これは、学生からすると“学生だから安くてもやってくれるだろう”、“学生だからこれくらいの賃金差は許容範囲”と思っている人が多いのだろう。確かに、労働基準法には法律で決まっている遵守事項としての明確な基準は都道府県別の最低賃金の遵守しかない。


つまり、学生を最低賃金の範囲内であるなら賃金変動をしてまで最低金額で働かせることに関しては問題ないというスタンスになる。しかし、この問題としてはかなり深刻ではないだろうか?なぜなら、日本では正社員だけが手厚く保護・優遇され、その他は正社員の待遇にも満たない場合が多い。特に学生のうちからアルバイトなどを経験した学生にとって、正社員は夢のような話であること、正社員になることで生活が安定することを理解はしているが、なかなか勝ち取ることは難しい。その結果、所得が安定する人と不安定になる人が出てくることになり、所得が不安定な人ほど消費係数は高くなり、安定している人ほど消費係数が低くなる傾向にある。この論理は個々における心理的な問題だろう。お金が安定的にもらえる場合には計画をゆったり立てることが出来るが、不安定になると所得が入ってきて計画は立てられてもスパンがどれぐらいあるのか分からないため、現役世代なら給与、その他なら生活保護や年金などに関しては入る月などが決まっているため、購入の計画が立てやすく、所得も貯蓄もなんとか頑張ることで入ってくることを保証することが出来る。しかし、所得が不安定の場合、様々な欲が減退していき、悪い結果しか生まなくなる。例えば、なかなか定職に就けず、働きたいけど働けないとなった場合にさまざまな劣等感や悲壮感が強くなる。その結果、自殺や引きこもりといった社会関係を絶つ行為や詐欺、恐喝等の犯罪に手を染める行為など本当はやってはいけないことであると分かりながらやらなければ生活することが難しいということが出てきてしまう。これは、学歴社会の名残や社会的人格形成の遅滞などが要因となるのではないかと考えるが、私はこれらの背景に“社会的信用の喪失”や“自己肯定感の低下”などが挙げられるのではないかと思う。


これらの経験が今までの成功体験を上回ってしまうと人格の崩壊や思考の歪曲など本人からも周囲からも目に見える形で悪化している、好転しているという判断が付きやすくなる。ただ、貯蓄率を考えるとどちらもあまり変わらない結果が出てくるだろう。

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