第2話:弱者に手を差し伸べる事が出来るのは強者だけ ①

最近、このようなお話を聞くことがある。それは、「最近昇進した友人から連絡があまり来なくなってしまった。何で?と思って別の友人に聞いたら『あぁ、彼は自分とも連絡を取ってくれなくなったよ』と話していた。やっぱり上に立ってしまうと下に居る人の気持ちが分からないのかな?」という内容だ。これはネット上に上がっていたお話だが、実際に友人からも同じようなことを聞いた。なぜ、人は上に立つと下の人の気持ちが分からなくなるのだろう?これは力量の問題でも、思考の問題でもない。いわゆる「組織における距離感」の感覚に似ている。これは、上司と部下という人間関係において、自分に利益をもたらす人材のみで周囲を固め、それ以外には目もくれない状況を生み出している。つまり、友人であっても立場が逆転してしまえば、少し距離を置こうとする。「そんな上司なら考えてしまう」と感じる人は多いが、このような人たちと関わることはメリットしかない。それは反面教師としての立場だ。上司は彼らからすると、力があって、何かしたらすぐに事実を隠される事、すり替える事もある。というイメージしかない。それでは誰も会社では働きたいとは思わないだろう。だからというわけではないが、今までの経験を含めて上司になった場合には初心に返って、彼らの肩身が狭くならないように配慮する必要がある。そして、部下に対しても自分が上司にしてもらったことを参考にしつつ、自分の考えをしっかりと部下にしてあげることが大事だろう。このような僅かな変化を求める社員にとって、自らの背中を使って示すことが過剰な緊張関係を誘発させないために必要なことだろう。


 人間は立場の強い人が居て、立場の弱い人がいる。しかし、立場の弱い人は立場の上の人に理解してもらわなくては何もすることが出来ない。だからではないが、彼らにとって上司や年上の人は信頼しやすい反面、かなり気を遣って顔色をうかがってしまう。その結果、きちんとこうしなくてはいけないと思っていても、実際には行動に移せなくなってしまうこともあり得るのだ。だからこそ、上に立つことは職場内もしくは関係各所のパワーバランスのコントローラーであるという認識を持つ必要がある。もちろん自分の実績で昇進を重ねていったにせよ、その実績を途絶えさせてしまっては元も子もない。だからといって、彼らにやり方を押しつける形になってしまっては、職権乱用だと思われかねない。まさに、今の問題の一例として、このような職場関係が若年層の離職や引きこもりなどにつながっていってしまっているのだろう。


 社長や役員クラスになればなるだけ、時代に合わせた環境の整備が必要になってくる。これは決して自分の思い描く職場を作るのではなく、部下やその先に入社する社員に対しても同じ感覚で働いてもらえるような会社の社風を構築なり、改築してお互いにストレスの少ない職場環境を作ることで長期勤務をしてくれる社員が増えていく。弱者をいたわることはその会社なり社会において、肯定的な役割を担うために必要とされているという心理を生み出すことが大事で、この心理が引き出すことが難しい状況下では十分な労働人口を確保することが難しいように感じる。


 現在、私が考えているのは、業務の細分化による業務負荷の軽減と雇用創出である。これは、一般的な雇用形態とは異なり、業務ごとに従事する社員の比率を変えて、相対負荷量を社員、その他の部分を特別雇用従事者の業務として開放する。そうすることで、社員はもちろん今まで働くことが難しかった人にも働くチャンスを与えることが出来る。そして、ブランクがあったとしても彼らが業務に慣れるまではきちんと見守ることが大切だろう。なぜなら、こういう人たちは会社にとっては貴重な人材で、彼らがいなければ会社は回らないし、個人間の負担も増大してしまう。だからこそ、きちんと立場の弱い人に立場のある人が手を差し伸べてきちんと元に戻るための筋道を立ててあげることが重要になってくる。


これは決して、無駄な出費ではなく、自分たちの会社に対する投資だと思うことでお互いに良好な関係を保つことが出来る。


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