dead

乾いた破裂音が響く。

銃で撃たれた事はある?

身体に衝撃が走り体が撃たれた場所から抉り取られたり血が弾け飛ぶのだ。

弾丸の1発が頭に当たり側頭部が大きく爆ぜるとゼファーは倒れ込む。


「やめっ」


銃声が止むとまさに地獄絵図。

素直に降伏した男達までも見るも無惨な姿だ。


「確認」


隊員達がぞろぞろと遺体を確認し始める。


「酷いな、一体どんな切れ味のもん持ってんだ?」

「おい、ガキ調べるぞ、化け物だ奴ら」


無論、ゼオもゼファーも無惨な姿になっている。


「ま、どんな化け物も銃には勝てなかったって訳だ」

「確認!全18名制圧!」

「よし、帰還するぞ、死体の回収へ連絡!」

「はっ!」


隊員が、帰還しようと背を向けた時だった。


「へぇ、なるほどね」

「言ったじゃんゼファー死なねーってさ」


背後から少年の声が聞こえた。

突然の事に隊員は銃を構え振り向く。

そこには黒煙を纏い傷を塞ぐ銃殺したはずの少年の姿があったのだ。


「ははっ、どんな銃も化け物にゃ勝てねーよ」


ニヤリと笑ったゼオは脚に黒煙を纏わせ、もの凄いスピードで隊員の真ん中まで突っ切る。

ゼオが居た地面は抉れている。


「う、撃て!!」

「うぉぉぉぉぉ!!」


ゼオの頬が弾け飛び胸に穴が空く。

しかしこうなっていては止められない。

両腕に煙を纏わせたゼオはぐるりと回転した。

隊員をボディアーマーごと真横に両断し一度に隊員を壊滅させたのだ。


「さてと、後はあんただ、たいちょーさん」


既に銃創を完治させたゼオが隊長に笑みを見せる。


「き、貴様ら何者だ…!」

「ん?俺達は」

「Slaughterだ」


ゼファーが割り込みSlaughterと名乗る。


「だ、そうだぜ?」

「いやゼオが教えてくれたんだろう」

「いんだよそんなん!せっかくかっこよく決まったと思ったのに!」

「あ、ごめん」

「黙れぇ!」


隊員が銃を構えていた。


「まじぃ?リボルバーじゃん!かっけー!」

「でもあれ弾少ないよね?」

「やーい!殺してみろぉー!」


ゼオの挑発に苛立ったのか。


「黙れガキどもぉ!!」


銃声が6回響く。

ゼファーの右目と首、ゼオ脇腹と内腿に被弾したのだ。

もはや何発当たろうが死なないとわかっている。

痛みはない、痺れる程度。

黒煙が銃創を塞ぎにかかる。


「あっぶなぁ、ちんこ当たるかと思った」

「俺玉に当たったよ、目玉だけど」

「この化け物どもがぁぁ!!」


隊長は自暴自棄になり銃本体を投げつけた。


「あっはっは!弾無くなったんだ!」

「ぐぅ…!」

「もっと弾入る銃にすれば良かったのに、まぁ意味無いけど」

「あそうだ、ゼファー、すげぇもん見せたげる」


そう言うとゼオは両腕を突き出した。


「これもDarknessパワー、見てて」


突き出したゼオの手首から先が黒煙に包まれ、手のひらから銃口が姿を現した。

それは次第に、手のひらからどんどん出てきてゼオは、やたらマガジンが長い拳銃を握りしめていた。

G18Cと言うハンドガンながらも連射が可能なマシンピストル。

両手にその銃を握りしめているのだ。


「ファイアー!」


パララララと心地よい音を立てて排莢が飛ぶ。

ゼオは隊長の脚目掛け全弾撃ち尽した。


両脚に大量の銃撃を受け、隊長の脚は潰れて無くなっている。

垂れ下がった肉片が威力を物語る。


「ぐがぁぁぁぁぁぁ!!」

「きんもちーー!!」

「凄いな…銃出せるのか」


正直最初から言って欲しかった。


「後でやり方教えたげるわ!」

「こ、殺せ…殺してくれ…」


よく見ると腹部にも被弾しており腸がプルリと垂れ下がっている。


「まあ待てって」


ゼオは銃を投げ捨てると腕に煙を纏わせる。

死にかけている隊長に近づき両腕を切断したのだ。


「ああぁぁぁぁ!!」


隊長はジタバタと血を垂れ流す。


「ゼファー、ちょっとこっち来いよ」


ゼオに呼ばれて隣に向かう。


「ほら、こいつゼファーにやるよ」

「あ、ああ…」

「こいつの首を脚で踏み潰してやるんだよ」


ドックンドックンと心臓が高鳴る。

今にも飛び出して来そうだ。


「いいねぇー、その目だ、ゼファーも俺と同じ目になってる」

「同じ…目?」

「Darknessが喜んでる証拠だよ、さ、ほら!」


ガッと隊長の首を脚で踏む。


「がはっ…ぐむむ…」


隊長の顔が真っ赤になり血管が浮き出る。


「そのままゆーっくり」


メキメキと骨が軋む感覚を感じ、脚に黒煙を纏わせる。


「いいねぇ、使い方わかってきてんじゃん」


「…けはぁ…ぁ……」


叫べない隊長は、代わりに顔の表情で叫んでいた。

パキっと音がなり砕ける音が聞こえると首は柔らかくなり、地面と同じ水平までひらべったく潰れたのだ。

グリグリと擦り付けると隊長の頭は体に別れを告げた。


俺、どうかしちまってんのか…殺す事に抵抗を覚えず、もはや笑みまで見せる始末。

我ながら狂ってると感じながらも止める事は出来なかった。


「ゼファー、笛だ、吹くぞ」

「ああ」


2つの笛が鳴り響いた。

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