第7話ナシュリー君の知り合い

 どれだけ走っただろうか、俺は次なる街まで来ていたようだ。道ゆく人に街の名前を聞くと、ダーラントと言っていた。

 ダーラント、やはり街並みを見るかぎりヨーロッパのいずれかの国で、俺の魂はナシュリー君に乗り移ったってことなのだろうか?


 しばらく観光気分で石造りの道をただ歩きすすめていた。すると、聞き覚えのない声がナシュリー君を呼んだ。


 「ナシュリー、どこにいたんだ?探したんだぞ。」


 おいおい、追っ手か?撒いたはずだ…。いやでも時間はかなり経過しているか、ちょっと様子を見るか。


 「ナシュリー、ナシュリー…、君だろ?」


 俺は誰だか分からないがとりあえず話を合わせる。


 「あー、久しぶりー」


 「心配してたんだぞ、ここでは人目もある。場所を変えるぞ」


 なっ…、やっぱり追っ手なのか?でもなー、〝彼〟ナシュリー君の直感では行っても良さそうだけど、心配だ。しかし、このままひとりでいても何もわからないままだからな。ここはひとつ、ナシュリー君を信じてみるか。


 「分かった」


 聞き覚えのない声で話しかけてきた男は、人相が隠すためか布のようなもので顔を覆っていた。男は俺の視界を消すように厚手の黒い布を被せられ、どこかに案内された。その場で座るように言われ、俺は椅子に座らされた。それからロープのようなもので手足を縛られた。そこでしばらく待つように言われた。


 俺はやはり、追っ手に捕まってしまったのかもしれないと心を震わせながら、静かに待った。

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