第3話一寸先は闇

 父さんである、赤浜芥也が自殺したことで、非難の対象は俺と母さんに向けられた。テレビの報道陣や週刊誌は俺と母さんを追い回すようになった。俺は高校に行くことをやめて大学へ行くための勉強をしていた。大学へ行くために願書や履歴書をかいて大学へ連絡を取ったりしていた。そんな中、大学は俺の学力が大学の提示している合格点を満たしたとしても、もし主席で合格したとしても、合格の一切を認めないとした。それは国内の大学全土に及んだ。容疑者の息子としてテレビで大きく取り上げられた俺はもはや、人生を失いかけていた。母さんも実家にいることが知られてからは、実家の玄関に色々な誹謗中傷を記したはりがみがされていた。


 世の中が落ち着きをもたらさないまま、赤浜芥也の葬儀を家族葬で行った。その時にも、取材陣が眩いフラッシュと共に押し寄せた。「被害者をあんな目に合わせておいて、容疑者の葬儀を行ってよいものか」と波紋を呼んだ。葬儀には俺の親友たちも来てくれたが、俺と会うなり口も聞いてくれなかった。


 葬儀からひと月が経ち、テレビや週刊誌の取材は落ち着きを取り戻していた。葬儀の後に建てた父の墓前へ俺は報告に行った。

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