第4話 栄養指導
糖尿病になってしばらくしてから、診察のたびに『栄養指導』が入るようになった。
一番最初だけかなと思っていたら、毎回毎回あったのだ。
栄養士さんと個室で約20〜30分話をする。
普段どんなものを食べているかを事細かに尋ねられる。
私はそこで、自分が一般的な献立のあり方を知らなかったのを認識させられた。
例えば、おでんを作った日は他に何を出すのが適当なのかを思い浮かべることが出来ない。
私の献立のイメージは生まれ育った家庭のものではなく、給食であったりテレビドラマ等の映像の中の「それっぽい食卓風景」のみが参考資料だったのだ。
母親がおかず一品置いて終わり、冷凍食品はごちそう。という考えの人だったので『一般的な食卓』を知らないのだ。
なので私が食べている食事をありのまま答えていると『食べ過ぎ』を指摘されることは、ほぼ無く。
『何々が足らない』というのばかりだった。
糖尿病の栄養指導というからには、「あれ食べちゃダメ、これ食べちゃダメ」と叱られる会かと思っていたので、まさか足らないから「あれも食べてね、こういうのも足した方がいい」ともっと食べて!と言われるとは思わなかった。
それも「野菜が足らない」と言われるだけならまだ分かる。
肉や魚などのタンパク質まで足らないと言うのだ。
魚ならまだしも、お肉なんて食べちゃっていいの?
ヘルシーなイメージのある鶏肉だけ?と思っていたら、豚肉が案外いいらしい。
そういえばダイエットの勉強をした時に痩せる肉の順番は一番が、Lカルニチンを多く含む牛肉。二番がビタミンB1が含まれる豚肉。三番が鶏肉という順だった。
そうか、糖尿病では糖を分解してくれるビタミンB1がいいから豚肉なのか、と改めて納得したのだった。
と言う具合で、毎回前回の診察から今回までの食生活を問われ、それについての指導が入るというのが繰り返された。
かなり根掘り葉掘り聞かれるので、嘘や誤魔化しは効かない。
まぁ私には誤魔化すほどの食の知識はないのだけど、毎回思い知らされるのは、食べれてないという『足らなさ』ばかりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます