第2話 出会い
車の窓から見る桜街の景色。
今までしっかりと見た事が無かったけど、
今見るとやっぱり綺麗だなあ。
「今日も明美ちゃんと待ち合わせ?」
お母さんが運転しながら、助手席に座っている僕に話しかけてきた。
「うん」
「付き合ってるの?」
「え……いや」
そこから無言になり、車は会場に着いた。
「着いたよ。賢治、今日が初めてでしょ?
楽しんでおいでよ」
「うん」
鞄からスマホを取り出し、時計を見ると、
10時30分となっていた。
1時間も遅れてしまった。
どう言い訳しようか。
LINEを起動して、明美に
着いたよ
とだけ送った。
さあ明美を探そうか。
会場に入ると、そこには沢山の桜の木があり、
大人が酒を飲みながら楽しんでいた。
中には酔っぱらって倒れている人もいた。
飛ばしすぎだろ。そんな事を思いながら、人混みの中、明美を探した。
「賢治、遅いよ」
聞き慣れた声がどこからか聞こえた。
人が多すぎて、どこにいるのか分からない。
「明美、どこにいるの?」
「桜の木の下だよ」
目の前に大きな桜があり、その下に明美がいた。
「明美、ごめん」
「許さない」
明美は怒っていた。
まあ普通は怒るよね。
待ち時間に1時間も遅れて……。
「私、可愛い?」
突然、顔を赤くして僕に聞いてきた。
明美は着物姿で下駄を履いていて、
髪は伸ばしていた。
ドクドク ドクドク
心臓の音が一気に速くなる。
今度は僕が顔を赤くしてしまった。
明美はどんな姿でも可愛いよ。
「可愛いよ」
「ありがとう」
「早く、お昼を食べようよ」
明美が引いてくれたレジャーシートに座った。
目の前に明美がいる。
それだけで何か心臓が破裂しそう。
「私、おにぎり作ってきたから」
明美が持っていた弁当にはおにぎりが沢山入っていた。僕のためにそこまで作ってくれたのか。そう思うとまた胸が熱くなる。
「ありがとう」
「でも、遅刻してきたから5個だけね」
明美が笑い始めた。
それからおにぎりを食べ始めて、
気がつけば12時を過ぎていた。
「これから神木に向います。歩ける人は付いてきてください」
村長の声が聞こえてきた。
「よし、行くか」
「うん」
明美と共に神木に向かった。
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