武闘大会最終日

 影は主であるノヴァに他の国の王達の良からぬ企み事の一部始終を伝えると、今後の任務についてノヴァに尋ねた。


「我が主よ。此度の企み事をあの少女セラに伝えますか?」

「……多分伝えない方が都合の良い展開になりそうだな」

「……はっ?」

「まあ、このままどうなるか見ていたら分かる」

「左様でございますか? ところで拙者はこの後はどう動けば」

「お前には、このまま三国の動向を探ってもらう」


 その言葉と共に影は姿を消していた。


「それにしても愚かな奴らよ。セラの逆鱗に触れるような事ばかりして」


 そう口にしているノヴァであったが悪い笑みを浮かべていたのは言うまでもなかった。

 

 ――翌日・大会最終日


 なんだかんだで最終日となり、これが終われば全ての面倒事から解放されるとあって私は少しだけ気分が晴れていた。

 ……んだけども、試合前にモナさんから話しかけられる。

 この感じからして、なんか言われる予感がした。


「貴女の召喚獣なんてどうせ役に立たないだろうし、お茶でも飲んで休むと良いわ」

「じゃあ先方はお任せして私はゆっくりお茶でも飲んでますね」


 モナさんの物の言い方にカチンときた私は、売り言葉に買い言葉とばかりに、お茶でも飲んでますと切り返す。


「ほほほほほ、私だけで勝ち進むので出番はありませんわ」


 いちいちモナさんの相手にするのも煩わしいので、そのまま私は会場へと向かったのだが、会場の中が随分と様変わりしていた。

 会場のリングは無くなり、代わりに障害物だったりと会場一面がバトルフィールドの様な感じに変わっていた。

 この変化に後からついたモナさんも素っ頓狂な声を上げる。


「え、え……これどうなってるの?」


 その声と同時くらいに開設のローズさんのアナウンスが聞こえた。


「選手の皆様が到着したようですので今回の試合内容の変更をお知らせします」


 このアナウンスに会場の人間達はざわつく


「今回の試合形式はバトルロワイアルとします」

「えっ? ローズちゃんどういう事?」


 お姉ちゃんも、試合の内容が変わる事を聞いていなかったらしくて動揺していた。


「それと今回は特殊ルールが採用されます。この試合に勝った国が今回の武闘大会の優勝国となります」

「ちょ、ちょっと! そんないきなりルールを変えられた上に、この試合に勝ったら優勝って私達が不利すぎるじゃない!」


 このアナウンスに抗議の声を上げたのは、モナさんだった。


「抗議にしてもそう決まりましたので、ルールに従ってください」

「ねえ……ローズちゃん。一体どういう事なの?」

「……」


 あっちはお姉ちゃんい任せておいて、私はモナさんと話をしよう。


「モナさん私も――」

「――貴女なんて邪魔なだけよ。のんびりお茶でも飲んでなさい」



 こうして様々な思惑が渦巻く中で最後の試合が始まろうとしていた。

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