ノヴァとゲインとのお話し

 ――東、西、北の王と女王が密談しているその頃


 南の国の王ノヴァはゲインと話をしていた。


「さて、今日お前のところに来たのはセラの事でだ」

「……セラの?」


 余の言葉に体を一瞬ピクリとさせるゲイン


「ゲインよお前はセラと関係を戻すつもりはないのか?」

「……」

「余にはそこまで頑なにセラを拒絶する理由が分からぬ」

「それはセラの召喚獣が雀だからでございます」

「それは余も知っておるが、それだけの事でいつまで意固地になるのかが、余には理解出来ぬ」

「失礼ながらで申し上げます。我がカンテミール家は召喚の名家でございます。そんな我が家でただの雀しか召喚出来ぬというのは、物笑いの種でございます」


 つまり家の体面を守る為だけに親子の縁を切ったという訳か、実に降らない理由ではあるが、これは一概にこの男だけが悪いというわけではあるまい……

 貴族社会というのは身分や格そういった物だけで判断する風潮があり、この男もそんな貴族社会の悪い部分に浸かっているのだろう。


「だが、ゴブリン騒動の時お前達はセラ程の活躍はしておるまい。その所為で今のカンテミール家は二つも格を落としておるではないか」

「そ、それは……私達が動いていれば」

「ならば、純粋に召喚獣でなら自分達の価値を示せる。そう言いたいわけだな?」

「左様にございます」

「最後にもう一度だけ聞くが、セラと関係を修復をする気は?」

「……」

「そうか、ならばそれについては何も言うまい」


 セラという人間をこの国に置いておくには、カンテミール家にセラが居てもらった方が良かったが他の方法を考えるしかあるまいな……


「……」

「ゲインよ。余から一つ提案がある」

「提案でございますか?」

「お前がそこまでの自負があるのなら、今回の大会でセラより活躍したのなら元の爵位に戻してやろう」

「まことでございますか? 勿論その提案に――」

「――待て待て! 話には続きがある。もし仮にセラより活躍が劣るのなら、カンテミール家は爵位剥奪の上でカントから追放処分とするのだが、それでも乗るのか?」

「我が召喚獣がセラの雀如きに負ける筈がありません。提案を受け入れます」

「後で取り消す事はしないがそれで本当に良いのだな?」

「はい」


 カンテミール家はここで潰えると思うと少し複雑な気持ちになる。

 先王も言っていたが先代カンテミール家の当主は優れた人間で、困った事があったら頼るべきはカンテミールとまで言っていた程だった。

 しかし今代のカンテミール家の人間は……いや、考えるのはやめよう


「そうか、分かった……用も済んだことだし余はもう行くとしよう」

「……」



 ゲインの部屋から出ると余はある気配に気付く


「我が主よ。報告が……実は」

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