武闘大会二日目
――翌日
今日は武闘大会の格闘部門が開催されています。
その一試合目は、東の国カント対西の国ワコクに決まりました。
「早速だが、どちらが先に出るかを決めましょうか」
「フリードさんが先で」
「いや……私はそれで構わないのですが、本当に良いんですか?」
「ぶっちゃけると面倒なので……」
「そ、そうですか……」
順番も決まりフリードさんがリングに上がると、お姉ちゃんの実況の声が聞こえてきた。
「さぁやって参りました二日目は格闘部門の開催だ~! 一試合目は東の国と西の国となったぞ~解説のローズちゃん。この試合での見どころは?」
「そうですね、西の国に注目したいですね、西の国は刀や槍といった武器に精通する国と言っても過言ではないですからね、実際に剣豪や剣聖といった人材を多く輩出している国ですから格闘部門では間違いなく優勝出来る力のある国と言えるでしょう」
ローズ様の話からするとどうやら、西の国は武器の扱いに長けた国だというのが分かる。
「では、西の国有利……といったところでしょうか?」
「いえ……そうとも言い切れません。南の国のフリードと言えば【竜殺し】の二つ名を持ってますから、いい勝負になると思います」
さて、そんなこんなで試合を見ているとフリードさんは四試合目まで勝ち進んで行ったのだが、流石に連戦で三試合はきつかったのか、消耗も激しく、いくつかの傷があり、一つは深手といえる傷があった。
「フリードさん……」
「何この程度の傷ならまだやれる」
「四試合目を始めます」
「四試合目はダイゴロウ対フリードですね、これは流石に竜殺しのフリードでも苦戦する事は必至です」
「ローズちゃんダイゴロウという方はどんな方なんでしょうか?」
「西のワコクで一、二を争う剣豪です。前回の大会でもかなり活躍した武人です」
――二時間後
お互い一進一退の攻防が続いていたが、老齢であるダイゴロウがここに来てジワジワとフリードに押される展開になっていた。
「お互い引かない戦いも既に二時間経過しているが、ここに来てダイゴロウが押され始めているが、ダイゴロウに起死回生の一手はあるのか~!」
「流石に年齢の差が出てますね、ただ油断は出来ない相手は確かなのでお互いがここからどう攻めるか目が離せませんね」
解説のローズの言うようにダイゴロウは油断できない相手だった。
そのダイゴロウだが、諦めたのか突然力を抜いた構えを取る。
「フリードよ! これで勝負を決めようぞ!」
その言葉にフリードはダイゴロウに斬りかかるのだが、それをダイゴロウは避けようともせずにそのまま受ける。
……と同時に嫌な笑みを浮かべてフリードの腕を斬る。
「くふっ……利き腕は貰った……ぞ」
「ぐわぁぁぁっ!」
倒れ込むダイゴロウと、腕があらぬ方向へと曲がり骨が出る程の怪我を負い転げまわるフリード……
「おーっと! どうやら相打ち狙いだったようだ!」
「これは……凄惨な試合ですね」
「この勝負引き分け!」
審判の引き分けの言葉と同時に南の国と西の国お互いの国の人間が、負傷した二人に駆け寄る。
「フリード! おい早く回復魔法を頼む!」
「……ノヴァ様フリード様の腕は、その……治りません」
「どういう事だ!」
「骨が折れたのならまだ治せますが、飛び出た部分が……」
「ははっこうなると竜殺しのフリードも憐れだな」
「なっ! 貴様は剣鬼コゴロウ!」
「オヤジは実に良い仕事をしてくれた。これで四国で最強は俺の物だ」
「あの……これ態とやったんですか?」
「はんっ! だとしたらどうだってんだよ」
この様子を見ていたリィナは呟く「あーあ私しーらないっと」
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