ハンバーグ
セラさんのところで食事をする事になり、席に着いて待っているとリィナさんの他に獣人の少女も現れ席に座って待っている。
「えっと……リィナさんこの子は?」
「この子はリンカーって言って私とセラちゃんの妹だよ」
「あちしはリンカーって言うニャよろしくだニャ」
「えっと……腹違いの姉妹でしょうか?」
「違うニャ血の繋がりは無いのニャ」
「うんうん。血縁関係って意味で言うなら赤の他人だよ」
私は首を傾げて二人を見る。
実際この二人を見る分には仲が良くて、種族を除いてしまえば確かに姉妹の様な関係なんだと思える。
「義姉妹といった感じでしょうか?」
「ん~まあそんな感じかも」
「それくらいお姉様達を愛してるニャ」
「んー! リンちゃんかわいいなぁ……なでなでしちゃう」
「ふニャァ……リィナお姉様……し、尻尾は止めて欲しいニャ」
それにしても私は何を見せられているんだろう?
食事に誘われていたはずなんだけど、何故か百合プレイを見せられている。
さて、そんな何とも言えない微妙な空気のところに、料理が出来たのか辺りには良い匂いが漂い始める。
「良い匂いがしてきたニャ」
「あーこの匂いは……」
「「ハンバーグ!」」
リィナさんとリンカーさんの声が被り料理と思しき名前を全く同じタイミングで口にする。
二人の様子から察するに二人の口にした【ハンバーグ】という料理がとても楽しみな様子だった。
かくいう私も正直ハンバーグという料理には興味津々だ。
私も北の国の女王という立場から様々な料理を食べてきたけど、そんな私もハンバーグという料理は食べた事が無かったからだ。
それに私が興味を持つほど美味しそうな香りがするから……というのもあったりする。
「みんな~出来たよ~」
「わーい! ハンバーグだ」
「ハンバーグだニャ!」
「セラさんこれはどういった料理なのでしょうか?」
「えっとね……これは」
セラさんの説明によると、お肉を細かく挽いた物にタマネギとパン粉と卵を混ぜ合わせて塩、胡椒で味付けし成形して焼いた物だそうだ。
話を聞く分にはとてもシンプルなんだけどとても美味しそう。
付け合わせはニンジンのグラッセとブロッコリーとポテトで、見た目も鮮やかで目も楽しませてくれる。
さて、ここまで香りと見た目は最高だけど味の方は……と
ナイフをハンバーグに入れた瞬間に中からジュワワワァ~っと肉汁が溢れ出て来ると同時に良い匂いが辺りに立ち込める。
更に食欲が出て来る匂いに抗えずに堪らず私はナイフで切ったハンバーグを口へと運ぶ……
「おぃひぃ……」
口にしたハンバーグは肉の味も然る事乍ら、噛んだ瞬間から潤沢に溢れ出る肉汁のジューシーさも相俟って正に極上の逸品と言える代物だった。
(なにこれ! 美味しすぎない?)
そう思ってる私にとんでもない話が耳に入って来た。
「ねえセラちゃんこれドラゴンのお肉?」
「そうだよ~」
「いつものより美味しかったから、あちしにも分かったニャ」
「――ぶぅぅぅっ!」
「汚いニャァ!」
ド、ドドド、ドドドドラゴン!?
ドラゴンって最低でも危険度★★★★★★はあるモンスターだよ?
っていうより、この話の感じからたまにドラゴンのお肉食べてるって感じなんだけど、どういう人なの? セラちゃんって……
「あ、あのドラゴンのお肉って……セラさんが?」
「そうだよ~セラちゃんがドラゴンの肉は美味しいからってたまに狩って来るの」
「あ、あのリィナさん……買って来るではなく?」
「ローズちゃん冗談きついよ。ドラゴンの肉なんて売ってるわけないじゃん」
この日のセラさんのところでの食事は色々な意味で衝撃を受けました。
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