参加者全員辞退の魔法部門
それはセラと東の国との惨劇の試合の後の事だった。
西と北の魔法使い達が次々と参加の取り消しを申し出ているのが分かった。
「あれ? 西の国サイドで何か揉めている様ですね、何があったのでしょうか?」
「んー多分セラちゃんと当たったら潰されると思って参加を辞めたんじゃない?」
「え? でもあれは東の国が原因で……」
「ローズちゃんはセラちゃんのあの姿を見て参加したい?」
「えっと……無理です」
「でしょ? つまりそういう事なんだよ」
リィナさんと話していると私のところに武闘大会の運営の一人がやって来て告げた。
「西の国の魔法使いは全員参加を辞退しました。それとローズ様……ローズ様のところの魔法使い達も辞退したいとの伝言を承っております」
「……分かりました。辞退を認めます」
「それではその様に伝えておきます」
「やっぱりローズちゃんのところも戦わないんだね」
「……」
「とりあえず魔法部門の試合が無くなった事をアナウンスしようか」
「……そうですね」
魔法部門の参加者が全員辞退した事を私とリィナさんでアナウンスしたんだけど、会場からは特にブーイングもなく騒ぎすらならなかった。
通常この手の大会などで参加を取りやめたりすると大きな騒ぎになる物なのだけど、セラちゃんのあの一件があった所為か誰も何も言わなかった。
「それでは本日の大会はここで終了となります。明日は格闘部門が開催されます」
アナウンスも終わりフリーダムの屋敷へと帰ろうとしている時にリィナさんが声を掛けてきた。
「ねえねえローズちゃんこの後は暇?」
「あ、あのリィナさん私これでも北の国の女王ですよ」
「知ってるよ」
「でしたら」
「そんな事はどうでもいいから、暇なら一緒に来てよ」
「そんな事はどうでもいい!?」
北の国の女王って分かっててそれなの? なんで普通に仲の良い友達みたいな感じで誘ってきちゃってるの?
「ほら、行くよ~」
「えっ? ちょっ? えぇぇ……」
リィナさんが強引な事もあり、諦めてついて行く事になった私だけどリィナさんは私を何処に連れて行くつもりなんだろう?
「ただいま~お客さん連れて来たよ~」
「お姉ちゃんお客さんって誰ですか?」
「北の国の女王のローズちゃん」
「こ、こんにちはセラさん」
「え、あの……えぇぇ! ちょ、ちょっとお姉ちゃんなんでローズ様がいるんです」
「連れて来たから?」
「そういう事じゃなくて! なんで連れて来たんですか?」
セラさんの態度が普通なんですけど、リィナさんって何を考えてるのかちょっと良く分からないです。
それにしてもこうやって見てる分には、試合であれほど冷酷だったような人間には見えません。
先日お会いした時もそうですがきっとこっちのセラさんが本当のセラさんじゃないのでしょうか?
「……ズ様? ローズ様?」
「えっ? なんでしょうか?」
「あの折角ですから一緒に食事でもどうですか?」
「ご迷惑じゃ?」
「あ、それはこちらが言うべき事でして……お姉ちゃんがご迷惑おかけしたようで」
「……困惑はしていますが、迷惑ではありませんよ」
「そ、そうですか、最悪お姉ちゃんが不敬罪で処刑されるんじゃないかって……」
「しませんよ。でもそうですね……罪悪感を無くす為にも、一緒に食事をしましょうか、それでチャラって事で」
妙な流れでセラさん達と食事をする事になりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます