ジザール村での生活の下準備

 ジザール村はヨシュアとシャロの言っていた通り長閑のどかで生活するには良さそうな村だった。

 そんなジザール村を周りを見ながらギルドへ行く道を歩いていく。


「セラ。冒険者ギルドは中央に位置するあの大きな建物だ」

「へぇ……場所も分かりやすく大きいね」

「とりあえず行きましょうか」



 ギルドの中へ入ると、ハンスさん達と南の群狼の皆が受付の方で依頼の完了の手続きを済ませる為に離れたので、私は一人でギルドの中を見て回る。


「冒険者ギルドってこんな感じなのかぁ」

「ちゅん?」

「仕事ってどんなのがあるのかな? 見てみよっか、多分この紙に書いてあるのが依頼なのかな?」


 薬草採取の手伝い


 内容:薬草採取と薬草運びの依頼

 報酬:銀貨五枚 別途採取量により増額あり

 依頼人:ミシェル

 受注可能ランク:F


 私が依頼書を興味深く見つめてると、その間に手続きが終わったようで皆がこちらへやって来た。


「お待たせしました。では、ここからはセラさんのお仕事と住まいに関して話を進めていきましょうか」

「よろしくおねがいします」

「では、セラさん。まずお仕事はどうされますか? 何処かに就職されますか? それともリィナさんが言ってた様に冒険者をされますか?」


(決まった仕事だと煩わしそうだし冒険者にしようかな)


「冒険者が良いです。今見たものなら私ならこなせそうだったし」

「それでは後で冒険者登録をしましょう。では話を次に進めますね住む場所なのですが、どういった物が希望ですか?」

「それでしたら安く借りられる場所があれば」

「……ねえ思ったんだけどさ、セラちゃん家はあるよね?」

「なるほど……リィナさんそれはいい考えですね、セラさんは土地があれば」

「なるほどな、リィナにしてはいい考えだな」

「ちょ、ちょっと待ってください私は土地買える程お金ありませんよ」


 (安く借りれる場所があればいいのに土地とか買うって無理だよ)


「その事なんだがね、私が土地を提供しよう」

「そ、そそそんな!」

「セラさん。私達は命を救われたんです。その対価から比べれば土地の提供なんて安い物です」

「良いんですか?」

「セラ。ハンスさんはな、この村でハンス商会って大きな店をやってる人なんだよ。それくらいは大丈夫な筈だから、遠慮なく貰っとけ」

「じゃ、じゃあ……ハンスさんお願いします」


 そういうとハンスさんはにっこり笑った。


「それじゃあ、この話はここで終わりにして、次は冒険者の手続きをしに受付に行きましょうか」



 場所を受付に移すと受付嬢さんが対応する。


「あらっハンスさん。まだ何か御用ですか?」

「ああ、こちらのセラさんの冒険者の登録にな」

「まあ、可愛い子ですね、よろしくね」

「はい、よろしくおねがいします」

「アナスタシアさん冒険者登録は銀貨七枚だったね?」

「銀貨七枚ですよ。……はい銀貨七枚確かに受け取りました」

「あ、あの登録料まで良いんですか?」

「セラさん。これくらいはさせてください」


 土地に続いて冒険者ギルドの登録料まで払わせてしまった。

 本当に良いのかな?



「それではこちらの書類に必要なことを記入してください」

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