ヤバイ雀その名はスズ

 ジザール村までの道中セラの家に泊まりながらの快適な旅が続いていく、ジザール村まであと少しの場所まで、そこまでは何事もなく長閑のどかな旅だった。


 だが、近くに村が見える場所辺りで、少し変化があった。スズが周囲の様子を探り終わりセラの肩へと戻って来た。

 そのスズだがセラに何かを伝えている様だった。


「みんな近くにゴブリンがいるみたい」

「本当かセラ?」

「カール分かるか?」

「セラすまんが何処らにいるんだ」

「あの大きな岩影辺りにいるみたい」


 場所をセラから聞くとカールが魔法のサーチを使い確認をする。


「「――サーチ!」……ゼン。本当にいるぞ十四体だ」

「場所が悪いな……どうする?」

「あ、それならスズに任せればいいよ」


 その言葉にその場にいる全員が呆れる。


「なあ、セラ。雀にゴブリンは倒せない、何を言ってるんだ……」

「そうですよ。流石に冗談が過ぎます」

「セラちゃんも冗談言うんだね」

「ないない」

「流石にそれは無理なのではセラ様」

「わしもそう思う……」


 南の群狼の皆とハンスさんとゴンザレスさんが、スズにはゴブリンを倒せないと言ってる間に……

 スズとおぼしき? 小さな生き物がセラの肩に飛んできて止まった。

 スズと思しきと言うには、理由があって全身血塗れだったからだ。

 戻って来たスズを見て一同は仰天する、戻って来たスズは全身血塗れで正直なところ不気味過ぎる。


「スズ。お疲れ様」

「な、なあ……カール。ゴブリンの反応は……」

「サ、「サーチ」…… ――ひいっ! は、反応が無くなってるぞ!」

「こ、怖い。怖いよー」

「ははは、あはははははは……」


 皆どうしたんだろう? 南の群狼の人だけじゃなくてハンスさんもゴンザレスさんも変な反応をしてるよ……


「それよりも、スズ汚れちゃったね「――ウォッシュ!」よし! 綺麗になったね」

「ちゅんちゅん♪」

「あ、あの……その雀は普通の雀じゃないですよね?」

「スズは召喚獣だよ。召喚獣って強いんだよ」


 ゼン達とハンス達は言葉を失った。

 ゼン達もハンス達もだが、ゼン達はクエストで召喚術師と仕事をしたことがあり、ハンス達は護衛で雇ったりと幾度か召喚術師や召喚獣を見た事があった。

 

 それらと比べてセラとスズは異質な存在だった。


 ・術師のセラとスズの意思疎通のレベルが半端ない点

 ・雀にしてはあまりにも強すぎる点

 ・スズを常時召喚してる点  ※召喚時はMPを消費し続ける為に普通はしない

 ・使役してる間は召喚した魔獣などを制御し続けてるがそれがない点


 セラが規格外の存在というのは既に分かっていたが、ここに来てスズも規格外の化け物であるという事が分かり一同は黙り込む。


「ねえ、早くジザール村に行こうよ」


 一人明るく足取りの軽いセラに対して、他の面子は苦笑いを浮かべている、そんな面子の後ろをセラがくっついてジザール村へと向かう。


「そういや、セラお前さんはジザール村に何の目的があるんだ?」

「えっと住みたいかな……それと仕事も探そうかと」

「セラ様。何か伝手はあるのですか?」

「……ないです」

「ねえねえセラちゃん。冒険者とかやってみない?」

「それでしたら住む土地を私に提供させて貰えないかね?」

「おいおい、リィナもハンスさんも一度に詰め寄ってもセラが困るだろ」

「それもそうですね、でしたら冒険者ギルドへ行ってからこの話の続きを」


 話しは一旦冒険者ギルドに行ってからとなった。

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