南の群狼達とセラのおもてなし

 セラに家の中に案内され、部屋も貸してもらえることになり、俺達は部屋へと移る。


「うわぁベッド凄いフカフカですよ」

「部屋の中の調度品も高そうだな」

「敷物も柔らかいぞ」

「セラさんって何者なんでしょうか?」


 ダノンがセラが何者か問いかけてきた。


「分からんが、ただの旅人ではないって事は確かだな」

「そうですね、俺達四人でも苦戦してたゴブリンの群れを一人で倒した挙句に回復魔法を使いこなし、更にはこの家ですよ」

「まあ、セラが何者かはどうでもいいじゃないか、言えるのはセラには大きな借りが出来たって事だ。それに詮索されたくない事は人には一つ二つあるだろ」


 人が真面目な話をしてる最中にリィナの奴は、鼻をひくつかせてやがる、本当にしょうがない奴だな……


「くんくん……あれぇ? なんか良い匂いがする」

「おいリィナお前行儀悪いぞ」

「そうは言っても美味しそうな匂いなんだもん」

「でも確かにお腹は減りましたね」

「ダノンお前まで……」


 ――ぐぅぅぅぅぅぅぅ!


「ゼンも人のこと言えねえな」

「すまんカール」

「いや、こんな旨そうな匂いが漂ってるのなら仕方ないだろ」


 そんな話をしてるとドアをノックする音が聞こえた。


 ――コンコン!

 ――カチャ!


「皆さん夕食ご一緒にいかがですか?」

「わーい! 食べる食べる」

「おいリィナ! 少しは遠慮しろよ」

「だってー」


 リィナの奴は後で叱らないとな無遠慮過ぎるぞ……


「すみません。ご迷惑じゃないですか?」

「そんなことありませんよ」

「どうする? ゼン」

「そうだな、ご馳走になろうか」

「わーい! やったー!」

「それじゃあ広間の方へどうぞ」


 広間へ案内されテーブルの上を見るとテーブルの上一杯に所狭しと料理が並べられている。

 その料理はどれも見た事のない物だったが、美味しそうなものだという事だけは理解できた。


「うわぁ美味しそうな料理が一杯あるよ。セラちゃん料理得意なんだね」

「あはははは、そんな事ないよ」

「でも凄い美味しそうですよ」

「早く食べたーい!」

「ごめんなさい、ハンスさん達も呼んできますのでもう少しだけ待ってください」


 そういうとセラは、ハンスさん達の居る部屋へと向かっていった。


「リィナお前本当行儀悪いな」

「そうだな、親の顔が見てみたいな」

「孤児院の院長先生」

「「「そうだけども……」」」


 リィナがバカな事を言ってる間にハンスさん達もやってきた。


「さぁ全員揃いましたし夕食にしましょうか」

「わーい」


 夕食になったわけだが、いざその料理を食べ始めてみると……


(なんだこれ! 旨すぎて手が止まらん!)


 そう思った俺が周りを見渡すとみんなそうだったのか、この場にいる全員が手を止める事なく凄い勢いで食べ進めている。


(それにしても、普段食事中もうるさいリィナが黙って食べ進めるとは……)


 その後食事が終わった後も、お風呂の用意をしてくれたりとセラによるおもてなしを受ける。

 それ自体はとても嬉しかったんだが、何を勘違いしたのかリィナの奴が、セラとお風呂に一緒に入った辺りから「私セラちゃんのお姉ちゃんになる」ってバカなこと言ってた。

 リィナよ仮に姉妹を名乗るにしても、お前は我儘な妹ポジションだ。



まあこんな感じで一日が過ぎたわけだが、快適過ぎる一日だった。

で……柔らかいベッドで皆横になって同じ事を口にしてた。

「こんな贅沢味わうと、これからの生活が物足りなくなりそう」……と

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