第2話わくわく動物園

3人は依頼人のお宅を訪問した。

「あのう、鶴田高校から参りました、探偵団です」

「はい、お待ちしていました。どうぞ、お上がり下さい」

3人はリビングに案内されて、ソファーに座った。

「あなた~、探偵さんよ~」

旦那さんは、家庭菜園にいた。キャップをかぶっていた。

「いや、わざわざ」

部長が切り出す。

「髪の毛が一晩で抜けたと、伺っておりますが」

「そうなんです」

旦那さんは、キャップを脱いだ。

田島と山岡はクスクス笑っている。

落武者だ!


「何か心当たりは?」

「いいえ。うちの家系はハゲ体質じゃないんです」

「そうですか~」

部長は真剣に考えているが、2人は笑いが止まらない。

「その寝ている晩に変わった事は?」

「焼き肉で散々ビール飲んで帰ってきました」

「部屋を調べていいですか?」

部長は一階、田島と山岡は二階を調べた。


「あははは、ヒロちゃん、もうあの落武者には耐えられない」

「オレも脇腹がいたいよ!」

「何でハゲたか、解る?」

「サッパリ解らねぇ」

「一階に戻るか」

「そうだな、トシ君」


2人は一階へ戻った。

「二階には何もなかった?」

「うん」

「あっ、パグ飼ってるんですね?……そういえば、旦那さん焼き肉いきましたよね?」

「はい」

「どうした?田島君」

「部長、原因が解りました」

「旦那さん、帰宅後、お風呂入りました?」

「いいえ、酔いつぶれてソファーに寝ちゃいました」

「犯人はこの犬です」

「えっ?」

「あなたの髪の毛には、肉の匂いが染み付いていました。犬ちゃんはその髪の毛を口で脱いたんですよ!」


旦那さんはパグを抱き抱えて、

「このイタズラ好きがっ!」

3人は問題が判明したため、帰ろうとすると、奥さんが封筒を部長に渡した。

少ないですが、お礼ですと言うとニコリとした。


「しっかし、ヒロちゃん良くわかったね?」

「ま、オレは今日は飲ませてもらうぞ。部長分け前」

はいはい、と部長が封筒を確認すると6万円入っていた。1万円多い。きっと、ケンカしないように三等分できるお金を渡したのだ。


お好み焼き屋で、田島、山岡は生ビールを注文し部長はジントニックだった。

3人は私服に着替えている。この店は、老婦が切り盛りしていて、探偵団はなあなあだから、酒を出してくれる。

田島と山岡は最近タバコを覚えた。


注意・お酒とタバコは二十歳まで待ちましょう。


「部長、しかし今日は難事件でしたな。だけど、このオレが解決したんだ」

生ビールを飲みながら、部長は言った。

「真犯人は奥さんよ。深夜まで飲んで。バリカンで髪の毛剃ったのよ。雑に剃ってペットをスケープゴートにしたんじゃないかな?」

「どうどもいいから、誰かお好み焼き焼いてよ!」

この晩、一番酔ったのは出番の無かった山岡だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る