汚れた明日はそして今日も

星美里 蘭

援交少女

 いつものことだった。

 いつも、いつものように、わたしはただ、そこに横たわって声を出す。

 それだけで相手は代わりにお金を払う。

 そうして、私と彼らの関係は済んでいたんだ――


「――カスミちゃん?」

「……“先生”。こんばんわ」

 いつもの下校中。思いがけない人物から声が掛かった。

(これは、少し不味いかもしれない)

 どうしようもない焦燥感が、わたしのなかを駆け巡っていた。

 いつもわたしが着てやった制服は前の学校のものだった。

 こうしていくつか商売をしている中で、前の街にいられなくなった私は今この町で暮らすために学校を移している。

 無論その辺は気を付けていたし、まさか前の“仕事”の“先生おきゃくさま”に出会うなどとは、夢にも思っていなかった。

「どうしたのぉその制服ぅ。前のより可愛いし汚れてないんだね」

「……もぉーっ、そんなこと言われたらみたいじゃないですか“”」

 牽制の意味も込めて、下卑げびた笑みを浮かべるバカに笑い掛ける。

 それでもそれは伝わらず、滾らせたそれを浮かべながら私に向かって笑い掛けた。

「えー? いつも虐めて欲しがったのはキミじゃないかぁ? 本当はいまもそうして欲しいんだろぉ?」

 往来で、しかもこれから仕事もあるというのに、はち切れそうなそれを押し付けて“先生”は嗤う。

(そういえばそういうやつだったな)

 心中で重いため息を吐きながら、触れさせられた手をゆっくりと動かしてナカへと這わせ、カーディガンの裾にソレを仕込んで揉みしだく。

 途中グラグラと揺れる汚い欲望が私に注がれるのを感じながらも、手を止めることはない。

「え~? 虐められるのが好きなのは“先生”もじゃないですかぁ?」

 耳元で囁けばおっおっと汚い嗚咽で悶え、ビクビクと竿が鳴動する。

 面倒だが、わざと緩急を付けて囁いてやれば、“先生”はすぐに欲を吐いた。生温い吐息と性欲がベタベタとくっついて鬱陶しい。

 いい加減満足したかと話そうとするが、“先生”の手が中へと伸びて、私の下着を掠め取る。

 あぁ、そういえば、そういうのも好きだったか。

 盗られたそれを受け取ってから、わたしは内側で手を拭いて、わざと湿らせてから結ばせる。

 満足げに嗤ったそいつから何枚かの紙を受け取って、代わりに囁きを返す。

(はぁ……終わったか)

 少し汚れたズボンを閉めながら、“先生”は以前のように手を振って、そっとその場を後にした。


「――ひいらぎ!」

 不意に、声が掛かる。誰だっただろう。でも、見知った制服だ。何故って、私が着ているデザインと同じ制服だからだ。

 しばらく顔を見て思い出す。

(あぁ、そういえばこんなのもいたな)

 青臭い童貞臭と薄汚い欲望を滾らせた目で、そいつはわたしのことを見ていた。

「どうしたの?」

「ど、どうしたのって、お、お前さっきのっ」

 ひどく淡白な返答に動揺したのか、彼は動揺したように私を見る。

 滴った太腿と臭う右手をウロウロしながら、彼もまた欲望を滾らせていった。

 しばらく何かを喚いた後、彼がわたしの腕を取る。

 ヌメッとした残り香が、彼の腕にも纏わりついた。

「わたし、この後も“お仕事”があるの。だから放してくれないかしら」

 いい加減面倒で、弱く握られた手を振り払い、そっと耳に囁いてやる。

「もし払ってくれるなら、明日からあなたも“先生”よ」

 ポカンと開く唇を汚れた右手で拭いてやる。気付が利いた“お友達”が、慌てて口を拭いていた。


(さて、今日は何人だったかな)

 汚れたスマホを持ちながら、今日も頭で考える。

 彼の喘ぎは、酷く響いた。

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汚れた明日はそして今日も 星美里 蘭 @Ran_Y_1218

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