第5話 カイトス 過去2

青く見えた空がいつの間にか灰の色に変わっていた。

火薬と鉄と焦げた匂いが混じり合う

血飛沫と人間が舞い家は次々と崩れていく。


悲鳴と罵声が飛び交う

子供や嫁を殺さないでと頼むんだ


戦場なんてそんなものか


「バテン中尉!ほぼ殲滅が完了しました。」

バテン「そうか。」


「女と子供は捕虜として捕まえています。」

バテン「構わん、殺せ。」


「えっ……?」

バテン「聞こえなかったか?殺せ」


「わ……分かりました」



もうこの国も我々の領地、女子供だとしても逃さぬ。殲滅に完了した兵士達は金歯や弾薬の調達を開始した。


敵がいなくなるとやたら寂しがるんだよなこいつら。


「おい、こいつ金歯だぞ!ははっ儲けモンだぜぇ!」

「ヒャッハァァァ!!!連勝連勝!!」

「女……!!金……!!酒……!!」


何か思う事はあるが放っておいてやろう……


今日は祝杯だな



「バァテェンンンン!!!!」


後方で俺の名を叫ぶ奴がいる。

振り返るとこの国の生き残り、たった一人の子供がいた。そして獣の様な目で俺を見る。


子供「なんで……!!なんでこんな事したんだ!!俺の母さんまで殺しやがって……!!」


今回俺、誰も殺してねぇんだけどなぁ……

指揮してたらほぼ終わってたし。


子供の声を聞き俺の兵士達がざわつく


「バテンさん、彼奴どうします?」

「子供一人だろ、やっちまいましょうぜ」


……めんど


バテン「殺したから何だ?暴徒となり俺を殺すか?この国は……」


子供「黙れ!!強くなって!お前をぶっ殺してやる!!命乞いする程に!!」


「はっははははは!!強くなってもバテン中尉に敵うわけねぇだろ!!」


「ガキー!いいぞー!もっと言ってやれ!」


酒の肴だな、今更言っても無駄そうだ。

血の気が多いガキは相手したくないね。


バテン「引き返すぞ、戦争には勝った。」


子供の声を無視し基地に戻る

屈強な男となり戦いを挑み、そして無慈悲に死ぬ


それが必然だ





この国の生き残りとして……母さんの恨みとして……!!



我が国の名誉として、兵士達の上官として、






彼奴を殺す……!

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