第3話 6月17日 うさぎ座 レポリス (過去)

彼奴が11くらいの頃だったかな

軍の敷地のすぐ側でうずくまってたんだ

服はボロボロで至る所から出血していた


ガンマ「君、大丈夫か?」

少年「………」


返答をしない……

放置も酷なものか


軍……大丈夫だろうか


ガンマ「君、ついてこい」


少年の手を引っ張り私の部屋に連れていく


「ガンマ少尉、そちらの少年は?」

ガンマ「いや……気にしないでくれ」

「ですが…」

ガンマ「命令だ」

「……はい」


取り敢えずこの少年の身だしなみをどうにかしよう。傷だらけなのも可哀想だ


ガンマ「おい、風呂で洗ってやるから服脱げ」

少年「馬鹿じゃねぇの」

ガンマ「あ?」


こんな少年にその様な言葉遣いをされるとは。舐めてるのか?


少年「俺がもし敵国の斥候だったらどうすんだよ、もしかしたら爆弾持ってるかもしれないんだぞ。」

ガンマ「持ってるのか?」

少年「持ってない」

ガンマ「ならいい、早く来たまえ」


警戒心がないというか言いたいのか?

この様な子供に爆弾を持たせでもしたら敵国は他の国からも総叩きにされるだろうな


持ってるとしても子供を放っておく方が私には出来ない



少年を風呂に入れ服の袖を巻き髪を洗う


ガンマ「綺麗な白髪じゃないか」

少年「………」


照れてるのか?だんまりだ

もしくは初対面で緊張してるのだろうな


少年「こんな俺にそこまで優しくするんじゃねぇよ……」

ガンマ「子供を放っておく訳にはいかないだろう?」

少年「……」

ガンマ「お前どうせ行く所無いんだろ、ここの軍の兵士として置いてやる。その代わり訓練等も受けてもらうがな。」


この少年は取り敢えずここに置くとする。もしかしたら優秀な兵士になるかもしれない。そうなると凄く楽しみだな

そして……


「助けてくれ……!足が!!」

「衛生兵はいないのか!」

「モルヒネをくれ!」

「熱い……熱い……」

「おえええぇぇ……!!」

「ウジが……湧いて……」

「水を飲んで死にたい」

「お願いです……指だけでも……」




「助けて……ガンマ軍曹……!!」




この子も……そうなるのだろうか

戦場で助けを呼ぶのだろうか


私は……今とんでもない事をしているんじゃないだろうか……


少年「どうしました」

ガンマ「……いや、なんでもない」


考えるのはやめよう、今はこの子を育てる

その事に集中しよう



そこから数年してあの子が戦場に立つ日が来た。

もしかしたら帰ってこないかもしれない、下半身等を無くし帰ってくるかもしれない


ずっとそう考え 気が気じゃなかった


だがあの子は帰ってきた

傷だらけで、血まみれで、砂まみれで


とても嬉しかった。

初めてかもしれない、こんな嬉しさは


少年「……ただいま」


私は少年に駆け寄り抱き締めた

よく帰ってきてくれたな……




この子が戦場に立ってから我が国は全戦全勝していた。やっぱりこの子は強いんだ


大丈夫、今回の戦いも勝てる

そう思いながら自分の部屋であの子の帰りを待っていた



そして負けを告げられた

あの子がいるのに、全戦全勝だったのに負けてしまった。

だがあの子が生存かだけが1番気になっていた。


医療室にいると言われ急いで向かった

あの子が……無事なら……


医療室の扉を開ける

そしてそこに居たのは変わり果てたあの子の姿だった

右足と左腕を無くし頭に包帯を巻いていた


その姿をみて絶句した

なんて言葉をかけたらいいか分からなかった。


少年「申し訳ありません……私がいながら…」

ガンマ「何を言っている……お前が無事ならそれだけで……」

少年「俺のせいで領地が奪われました。沢山の兵士を無くし武器に弾薬……食料に……」

ガンマ「いいんだ!!今まで勝利を収めてこれた。それだけでも偉業なのだ……」


少年「ごめんなさい……ごめんなさい……」


そう言って少年は私の胸で泣いた




片腕、片足を無くし戦場に立てなくなってもあの子は軍を辞めなかった。そして長期休暇を申し込んできた。


ガンマ「長期休暇?」

少年「はい、また戦えるように……」

ガンマ「もういいんだ、お前は何処か静かな所にいって安全に……」

少年「俺にとってはここが故郷です、また戻ってきます。」

ガンマ「そうか、分かった。」


長期休暇を許可した、あの子がそう望むのだ

好きにさせてやる



あの子が長期休暇に入って3週間が経った




………

寂しいよおおおぉぉ!!!!!!

あの子に会いたい!!あの子の匂いを嗅ぎたい!あの子の声が聞きたい!あの子のご飯食べてる所が見たい!


早く帰ってきて……お願い……



1ヶ月と少し

あの子が軍に帰ってきた

でも帰ってきたあの子はもう私の知ってるあの子じゃなかった


左腕、右足に義手義足を付けていた

赤い上着を羽織い帽子を被る


カイトス「ただいま、ガンマ少尉」

ガンマ「……おかえり」




あの子が帰ってきてまた戦場に立ってから、我が国はまた全戦全勝を収めた

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